ARMORED CORE 3 Replay ~ Stray Crow~ 作:神父三号
あと3ミッション分くらいで完結する予定です。いつも読んでくれてありがとう。
今回はレーザーライフル、ブレード、ミサイル装備です。
右腕部武装:MWG-XCW/90(90発レーザーライフル)
左腕部武装:MLB-MOONLIGHT(高出力ブレード)
右肩部武装:MRL-RE/111(多機能型肩レーダー)
左肩部武装:CWM-S60-10(10連小型ミサイル)
エクステンション:CWEM-R20(4発発射連動ミサイル)
頭部:CHD-02-TIE
コア:CCM-00-STO
腕部:CAL-MARTE
脚部:CLM-03-SRVT
ジェネレーター:CGP-ROZ
ラジエーター:RMR-SA44
ブースタ:MBT-OX/002
FCS:AOX-F/ST-6
オプショナルパーツ:OP-S-SCR(実弾防御上昇)、OP-E/SCR(EN防御上昇)、OP-E/CND(ジェネ容量増設)、OP-L-AXL(ロックオン時間短縮)、SP/E++(EN武器威力上昇)
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FROM:ロイヤルミスト
TITLE:ワルキューレ
ワルキューレの奴がミラージュにそそのかされたらしい。
あいつが最後に送ってきたメールからして、狙いはエースだろう。
くだらねえ。
お前もせいぜい気をつけろ。
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FROM:デュミナス
TITLE:ミラージュについて
レイヴン、久しぶりに君にメールを送る。
第二都市区の地下水流入事件をニュースで見た。
開示情報の限りでは、グローバルコーテックスも君も無事なようで何よりだ。
さて、君とは何度も協働した間柄だから、情報を提供させてもらう。
アクセスプログラムの実行失敗以降、ミラージュの部隊がレイヤードの異常に紛れて、着々と各地で破壊工作を行っている。
ターゲットは主に、クレスト・キサラギの残存施設及び対立関係にあった小規模組織の拠点だ。
それだけならまだよかったのだが、ミラージュは先日、私の拠点に対しても攻撃を加えてきた。
彼らとはそこそこ仲良くやってきたつもりだが、おそらくはアクセスプログラムに関する事情を知っていることが襲撃の理由だろう。
つまり、あの作戦に参加して生き残った君も、未だ狙われている可能性が高いということだ。
君の場合はあの作戦中に既に見捨てられそうになっていたのだから、なおさらかもしれない。
知りすぎたせいか、実力を危険視されているのか、あるいはその両方か。
ミラージュ代表が既にどこかへ雲隠れしたという情報もある。
地下世界最大の企業は、もうすぐ管理者に叩き潰されるだろうな。
私としては最後に一泡吹かせてやりたいところだが、君はどうだろうか。
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………
……
…
《レイヴン、もうすぐマグナ遺跡に到着します》
「分かった。輸送機は作戦領域から離脱。レイン、いつも通り作戦終了後に合流ポイントで拾ってくれ」
《……本当に降りるのですか?これは罠なのでしょう?》
「そうだな、罠だな。だから、蹴散らして帰るだけだ」
《やはり危険すぎます!作戦は中止した方が……》
「……ストレイクロウ、出るぞ!」
黒いACが専属補佐官の制止を振り切って輸送機から勢い良く飛び出し、エネルギー生成区へと降り立った。
前方には、寂びれたレイヤード黎明期の廃棄施設。目標のマグナ遺跡だ。
《レイヴン、こちらはミラージュ管制室だ。聞こえるか?》
「ああ」
《遺跡には複数の侵入ルートがあるのを偵察部隊が確認している。レイヴンはこちらが指定したルートを探索してくれ。他のルートには、ミラージュが選抜した僚機が回る。……遺跡の奥には、レイヤード中枢への侵入路があるはずだ。まずはそこを目指してほしい》
「了解」
管制室の指示に、ソラは生返事を適当に返した。
茶番もいいところだ。
おそらく遺跡の内部では既に、ミラージュの精鋭達が待ち伏せていることだろう。
肩部レーダーの表示範囲や索敵精度をコンソールで調整し、万全の状態にする。
フットペダルの踏み心地を今一度確認、操縦桿をしっかりと握り直した。
そして。
《っっ!?れ、レイヴン、何の真似だ!遺跡の入り口はこちらではないぞ!》
「悪いな、まずは外から掃除だ」
時間はかからなかった。
指揮官が搭乗していると思しき装甲車を蹴り飛ばし、護衛のMTを瞬く間に始末して、ソラは安全な退路を確保した。
《レイン、念のために輸送機のカメラで遺跡の外を見張らせてくれ》
《……了解しました。レイヴン、最大限注意してください》
「悪いな、いつも」
レインが若干ため息交じりに、応答を返した。
心配をかけていることは自覚している。
だがそれでも、これは譲れない戦いだった。
夢を笑われたのだ。これ以上の侮辱はない。
「ストレイクロウ、遺跡内部に突入する」
本格的な戦闘行動に入るよりも前に、ソラの感覚は研ぎ澄まされつつあった。
全身に意識がくまなく巡り、髪の毛の一本一本まで神経が通っているように感じるほどの集中状態に、早くも突入する。
油断も慢心もない。
ただ立ちはだかるものは冷徹に、全て薙ぎ倒すだけだった。
………
……
…
ザグンッ。
ステルスMT"フリューク"の胴体をレーザーブレードが刺し貫いた。
爆散することなく沈黙する敵機をその場に転がし、ソラは周辺を索敵する。
もうミラージュのMT部隊は残っていなさそうだった。
静寂に包まれた遺跡の大広間には、ストレイクロウが仕留めた無数の残骸と、戦闘の余波でへし折れた太い柱が散らばっているのみだ。
《……やはりこの程度では無理か》
《だから乗り慣れたスクータムを使わせましょうって進言したのに。最後の精鋭部隊が台無しだわ》
《しかし消耗はさせられた。あとは、我々の仕事だ》
遺跡のゲートが開き、奥から2機のACが現れる。
濃紺の重量二脚と白い中量二脚。
B-2"ファンファーレ"のAC"インターピッド"と、D-1"リップハンター"のAC"ルージュ"だ。
《ソラ、あなたって本当に馬鹿なのね。あんな安い挑発を真に受けるなんて》
「……リップハンター」
《コーテックスが見張ってるセクション301にいる限り、ミラージュでもそう簡単にあなたに手出しできなかったのに。こんな何もない場所にのこのこ出て来て、ご苦労様》
「管理者への侵入ルートがあるってのは、全部嘘か?」
《当たり前でしょ。そんな重要な場所に、あなたみたいな危険な人を呼び出すわけがないわ》
リップハンターの言葉を聞きながら、ソラは自機のAPを確認した。
AP7000。
ここまで20機近い高級MTを相手にしてきたのだ。必要な出血だった。
残るは、ACが2機のみ。
《イレギュラー要素は抹消する。ミラージュはそう判断した。……管理者を破壊するなど、あまりにも馬鹿げたことだ。まさか信じて出てくるとは》
「心配しなくても、信じてねえよ。今日ここに来たのは、俺をコケにしたあんたらを潰すためだ」
《……そうか》
《もう問答は終わりにしましょう?どうせいくら話しても分かってもらえないし、分かってあげられないもの》
ルージュが頭部の複眼カメラアイをぎらつかせ、一歩前に出た。
ブースターに火が灯り、開戦の瞬間を待ちわびている。
《この世界に、あなたは不要なのよ。消えなさい、イレギュラー》
戦闘が始まった。
インターピッドとストレイクロウがその場を飛び退り、ルージュが真っ直ぐ突っ込み始める。
ソラは肩部ミサイルと連動ミサイルを起こし、接近してくるルージュを素早くロックした。
7発ものミサイルが敵に殺到し、遺跡を揺るがす大爆発を巻き起こす。
しかし、予想より爆炎が大きく近い。迎撃ミサイルに相殺されたのだ。
そうソラが判断すると同時に、煙の中から自律子機が複数現れる。
オービットキャノンがストレイクロウを囲み、レーザーの雨を降らし出した。
それをブースタ全開で大きく回避しようとしたソラに対して、予測していたかのように地を這うミサイルが回り込んでくる。
「ぐ……っ!」
被弾。若干バランスを崩したストレイクロウの正面には、既にルージュが迫っていた。
レーザーブレードが発振され、真っ直ぐ斬りかかってくる。
ソラは操縦桿を素早く繰り、横薙ぎの一閃をACの左腕で巧みに払いのけた。
だが、ルージュの突進は止まらない。そのままもつれ合うようにしながら激突してきて、イクシードオービットを展開してくる。
至近距離で、ソラはミサイルをめくら撃ちした。
迎撃の暇もなく炸裂した爆発にルージュの動きが一瞬止まり、これ幸いとストレイクロウがオーバードブーストを作動させながら蹴り飛ばす。
高出力ブースタが火を噴いてイクシードオービットの追撃を躱すと同時に、大型ロケット砲弾が肩をかすめた。
ソラは目を見開いた。
大きく緊急回避したはずが読まれていたのか、なぜか目の前にインターピッドがいるのだ。
《数的有利、活かさせてもらうぞ》
インターピッドから再び大型ロケットが放たれる。
ストレイクロウがオーバードブーストの莫大な慣性で広間の床に火花を散らしつつ何とか回避したところに、またもルージュのオービットキャノンが殺到してきた。
小レーザーの集中砲火は、大きく動かなければ避けられない。
だが、大きく動くということは、その分回避機動が単調になるということだ。
リップハンターもファンファーレも、それを見逃しはしないだろう。
そこまで考え、ソラはもう一度オーバードブーストを起こした。
そしてレーザーブレード"MOONLIGHT"を発振しながら、インターピッドに全力で突撃する。
インターピッドは、ソラの突撃を真っ向から受け止めてきた。
コア表面の防御スクリーンを焼く高出力レーザー刃にひるみもせず、拡散投擲銃とハンドロケットを接射してくる。
巻き起こった爆炎が追いついてきたオービットを呑み込み、上手く吹き飛ばしてくれた。
ソラはインターピッドのアンテナ型頭部に頭突きを食らわせ、離れざまにまたもブレードで斬りつけた。
《インターピッド、下がりなさい!》
レーザーライフルとイクシードオービットを唸らせながらルージュが援護に駆けつける。
オーバードブーストを持たない分、ストレイクロウに機動力で劣るルージュはしかし、形勢する弾幕は分厚い。
ソラは冷静だった。
イクシードオービットの射撃精度の甘さを計算に入れてレーザーライフルのみに集中し、同じくレーザーライフルでダメージを的確に交換していく。
そのまま斬りかかってきたルージュをブレードで迎え撃てば、その背後からまたも地を這うミサイル弾幕が回り込んできた。
インターピッドの魚雷ミサイルだ。
ストレイクロウはブースタで跳躍して回避し、しつこく撃ち込まれてくるルージュのライフルをジグザグに降下することでやり過ごしながら、ミサイルの束を放った。
迎撃ミサイルが反応し、遺跡にまたも大爆発が起きる。
示し合わせたように後退し、一呼吸の間をあける3機のAC。
ストレイクロウの残りAPは5500。
《……いい腕だ。敵でなければな》
《残念ながら敵よ、こいつは》
さきほどとは逆に今度はインターピッドがオーバードブーストを起動し、高速で突っ込んでくる。
ハンドロケットと拡散投擲銃の斉射が、ストレイクロウを追い詰めるような爆炎を広範囲に巻き起こした。
それを援護するように撒き散らされる、ルージュのオービットキャノン。
ソラは意識のギアをさらに1つ上げた。
オーバードブーストを起動。回避方向は、あえての正面。
インターピッドとすれ違うように駆け抜け、後方のルージュを狙う。
"MOONLIGHT"の強烈な斬り下ろしをルージュは半身で躱し、反撃のブレードを向けてきた。
斬られる。いや、あえて避けさせたのだ。
勢いのままにタックルでルージュを突き飛ばしたストレイクロウは、準備していたミサイル弾幕をマニュアル射撃で早撃ちした。
迎撃ミサイルが自動で応じるも間に合わず、ルージュの至近で連鎖爆発が巻き起こる。
白いACはたまらず転げ、防御スクリーンに火花が散った。
《それ以上はやらせん!》
旋回して追いついてきたインターピッドが後方からソラに挑んでくる。
魚雷ミサイル及び拡散投擲銃の弾幕だ。
再び空に逃れたストレイクロウを、前方からレーザー、後方から砲弾が挟み撃つ。
「まずはてめえだ」
土壇場でソラは、無茶苦茶な機動を自機に強いた。
操縦桿を引きちぎるほどに倒し、フットペダルを交互に踏み込み、空中でストレイクロウの胴体を無理にねじらせながら、同時にオーバードブーストを使ったのだ。
勢いのままに180度反転した黒いACが濃紺の敵機の側面に降り立ち、ブレードとミサイルの零距離連撃を見舞う。
《おおっ!》
だが、インターピッドもやれるばかりではなかった。
ターンブースタで素早く向き直り、拡散投擲銃で距離を取ろうとして――左腕をストレイクロウに捕らえられた。
咄嗟にレーザーライフルを放して自由になっていた右腕が、突き出されたインターピッドの腕を絡め取っていた。
そして無茶苦茶に振るわれる"MOONLIGHT"。一撃、二撃、三撃、四撃。
重量級といえども、超高出力の青白いレーザー刃の前には安定性を失い、なすすべなく引き裂かれた。
《ふざ、けるなぁっ!!》
強引に点火されたオーバードブーストがこちらの拘束を押しのけ、前方に離脱しようともがく。
さらに体勢を立て直したルージュからの援護射撃。
ソラは素直にインターピッドを解放した。
抜け出したインターピッドは、そのまま高出力ブースタに真っ直ぐ押し流される。
すぐ前方の、柱の残骸に向けて。
《しまっ……!?》
ACよりも分厚い柱にまんまと衝突し、インターピッドが動きを止めた。
強い衝撃で停止した重量級ACの上に降り立ったのは、黒い迷い烏だった。
断末魔を上げる間もなく、明滅する防御スクリーンをレーザーブレードが刺し貫く。
敵はあと1機、不倶戴天のルージュのみだ。
残りAP、4000。
《さすがね……2対1でよくやるわ》
ソラは通信に応じなかった。
先ほど置き去りにしてきたレーザーライフルを拾うために、ただ無言でACを動かした。
だが、それを許すルージュではない。
撃ち込まれたレーザーがライフルを一撃で爆散させ、ソラから頼みとする武器を奪う。
《最後の勝負よ、イレギュラー!》
言うや否や、ルージュはオービットキャノンを射出し、イクシードオービットを起こし、レーザーライフルを構えつつ後退する。
的確な状況判断だ。
ストレイクロウに残された射撃武装は肩部ミサイルと連動ミサイルのみ。
迎撃ミサイルを備えるルージュからすれば、引き撃ちに徹していれば勝てるはずなのだ。
しかしそんな甘えた行動を許すソラではなかった。
ミサイルをわざと撃ちっ放して迎撃ミサイルの応戦を誘い、連続で沸き上がる爆煙を目くらまし代わりにブレードの間合いまで接近を試みる。
《見え見えだわ、そんな手は!》
レーザーライフルが正確な予測射撃を放ち、自律子機が周りを囲み、煙の中のストレイクロウを狙う。
たまらず煙から抜け出てオーバードブーストで突っ込んだストレイクロウをジャンプで飛び越え、ルージュは背後を取った。
脚部の旋回性能は、ルージュの方に分がある。
素早く向き直ったルージュが、全ての火器で一斉射撃をしかけてきた。
「まだまだぁっ!」
ソラは自機に旋回行動を取らせながらも、操縦桿を捏ね回した。
ランダムな回避機動がFCSの偏差射撃を上回り、その多くを躱して――
「っ!」
《遅い!》
素早く距離を詰めていたルージュが旋回中のストレイクロウの肩へと斬りかかってる。
側面から斬られれば、機体の安定性は大きく崩れる。
APが削れたこの状況では命取り。
ソラは必死だった。
半ば反射的に、フットペダルと操縦桿を片方だけ操作した。
機体のバランスがたちまち崩れてその場で膝を折り、ルージュの不意の一撃の回避に成功した。
《……!》
敵が驚嘆に息を呑む気配が、通信機から伝わってくる。
ソラは崩れたバランスのまま床を削って旋回を続け、まんまと敵機を正面に捉えることに成功する。
しかし、ルージュの立て直しは早い。
ストレイクロウが連続して放ったミサイル弾幕を後方に大きくブーストジャンプし、迎撃ミサイルだけでなく挙動に緩急をつけることで回避して、反撃のレーザーを降らせてきた。
「しぶといな、なんて奴だ……!」
《そっくりそのままお返しするわよ、その言葉!》
距離が離れ、2機のACは再び膠着状態に入る。
2対1の時より、ルージュの動きが良くなっていることにソラは気づいていた。
レイヤード屈指と誰もが称賛する傭兵としての凄みが、今のリップハンターからは伝わってくる。
時間をかければ、場数で劣る分、自分が不利だろう。
ならば――
「勝負だ、リップハンター……!」
《来るなら来なさい……今度こそ終わらせてあげる》
ソラは集中力を限界まで研ぎ澄ませ、ACに己の意思を通わせた。
メインブースタを全開にして、距離を取ろうと動くルージュめがけてジグザグに突進する。
レーザーライフルとイクシードオービットの嵐がそれを迎え撃ち、しかしやがて、後退する相手を遺跡の壁際に追い詰めた。
「リップハンター!!」
ルージュが飛ぶ。
先ほどと同じだ。ジャンプでこちらの頭上を飛び越え、旋回戦に持ち込む気だ。
ソラは相手の跳躍に合わせて、オーバードブーストのレバーを引いた。
全ての推進機関が同時に爆発し、ストレイクロウが凄まじい勢いで空中のルージュに追いすがる。
瞬く間に距離を詰められたルージュは、レーザーライフルを投げつけてきた。
読めている。
ライフルのエネルギーセルを撃ち抜き、大爆発を起こさせる必殺の一撃。
イクシードオービットでやろうというのか。いや、彼女ならやれるのだろう。
一瞬が永遠に感じるほどにソラの思考時間が延長され、その上で本能が意識を超えて、最適解を導き出す。
《勝っ、……!?》
必勝の目論見は、投げつけられたライフルをいち早く月光の刃が串刺しにすることで潰えた。
一瞬のやり取りを終えた2機のACはそのまま激突し、遺跡のひび割れた床を転げ回った。
《この……ガキがぁっ!!》
もはやなりふり構わなくなったリップハンターが叫び、立ち上がりざまに脚部で膝蹴りを放つ。
もろにくらったストレイクロウは反撃に右拳を唸らせ、ルージュのコアを殴りつけた。
そして2本のレーザーブレードが、組み合った互いを至近で炙り始める。
防御スクリーン同士が激しく接触して迸り、なけなしのAPが瞬く間に減少していく。
《気に食わないのよ、あなたみたいな男は!》
「俺だって、てめえが大嫌いだ!」
レイヴン達が、命を削って吠え猛る。
ルージュの発振するブレードの色が桃色から出力を高めた白色に代わり、ストレイクロウの青白い刃と競り始めた。
互いのブースタが絶え間なく吹かされて押し合い、ジェネレーターのEN容量を憎しみの一撃へと変換していく。
《レイヤードはもう終わりが見えてるのよ!みんな来たるべき終わりに向けて動き出してるわ!どうしてそれが分からないの!》
「分かってるよそんなことは!分かってたら、従わないといけねえのかよ!」
《だからガキだって言ってるのよ!!管理者が全てなの、この世界は!》
「それでも俺はっ!俺は高く飛ぶんだ!本物の空に辿り着くために!負けてたまるかっ、管理者にもお前らにも!!」
《っ……なら、死になさいっ!!》
ルージュは退いた。
退いて、射撃しようとした。
最大の隙だった。
レッドゾーンにも関わらずソラは雄叫んでアクセルを踏み抜き、トリガーを引いた。
一閃。
最後の一撃が、ルージュのコアを大きく斬り裂いた。
《っ、がふ……クソッ……見事だ、わ……ソラ》
「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」
《ふふ……た、楽しみね、あなたが私みたいに……ぐ、この、世界に……望する時が》
「何……!?」
リップハンターが、息も絶え絶えに嗤う。
《血まみれの天井に、怯えるといいわ》
ルージュはもう、向かってこなかった。
その場で機能を停止し、突っ伏して、二度とは動かなかった。
レインから合流ポイントに向かうよう、通信が入る。
ソラは応じ、静かにマグナ遺跡を後にした。
特攻兵器の襲来によってミラージュ本社が壊滅したという報告を受けたのは、帰りの輸送機の中でのことだった。
………
……
…
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FROM:ミラージュ代表
TITLE:管理者
我々は管理者を廃したかったわけではない。隷属させたかったわけでもない。
ただその大いなる力は、人類の繁栄のためにこそ存在するのだと思っていた。
もし狂ったというならば、それを正せば管理者は再び人類を適切に管理し、守護する存在に戻るのだと信じていた。
地下世界最大の企業の代表として、私は改めて言おう。
我々人類には、管理者が必要だ。
我々の生きる道は、レイヤードの全ては、管理者が決めるべきことなのだ。
グラン採掘所以降の戦闘を分析した結果、我々はお前ならばあるいは管理者を破壊できるかもしれないと危惧した。
だから排除しようとした。
あの狂ったユニオンの連中がお前を利用すれば、本当に管理者を滅ぼしかねないと考えたからだ。
レイヴン"ソラ"、お前は危険すぎる。
地下世界の道理も弁えない一傭兵がそれほどの力を持つなど、あってはならないことだ。
お前はこの世界を、管理者を、破滅へと導きかねない存在だ。
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ゲーム本編でリップハンターと対峙した理由って何だろう?という想いから彼女のキャラ造形が始まりました。
あえて言うなら、それが傭兵だから。傭兵なんてそんなもの。
それはそうなんですが、この長いお話を書く以上、もっとキャラクターとして踏み込んだものが欲しかったんです。
ともすればアンチ・ヘイト描写にも見えるし、このお話はあくまで主人公視点でしか描けないので結構悩みましたが、主人公との対比やミラージュの立ち位置から、こういうキャラは描きたかったところでした。
初見の私はスパルタンかリップハンターをよく雇っていた気がするので、当時そこそこ衝撃的だったと思います。
(スパルタンじゃなくてよかったというのが本音)