結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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乃木若葉の章ー7「清純な心」

 

 ここは大社近郊にある訓練所。今ここには、楠芽吹と弥勒弓海子が訓練で使用していた。

 

「球子さんのお見舞いにみんなで行っている中、私達は何で訓練しているんでしょうか?」

 

 どうしてこうなったというと、数日前、バーテックスとの戦いで土居珠子が腕を痛めたと聞いて、みんなでお見舞いとか言うことになったが、人数が多すぎるのもアレだからと楠芽吹が弥勒弓海子を引きとめたからだ。それはいいのだが、何故か2人で訓練する事になったのだ。

 

「弥勒さん。1ついいかしら?」

「芽吹さん。あらためてどうしたのかしら?」

「あなた、私達に何か隠している?」

「ん~。色々あって言えない事は確かにありますが、隠そうとして隠している事はありませんわね」

 

 あの世界の記憶については弥勒的には思い出してくれた方が話しやすいだろうけど、別に思い出さないならそれでいいので、自分から話題に出すつもりは最初からなかった。それ以外も他人の隠し事を知っているそれを本人以外の口から話すのは間違っているとの判断だ。

 

「弥勒さんの見解だと不安が残るわね」

「わたくしが偶然知ったが正しいですわね。ですから、おいそれと話せる話題ではないでわね」

 

 なるべく話題には出さない様にしている事が楠芽吹達には違和感として受け取られたようだ。そうは言われても自覚ない事を自覚するのは難しい。

 

「それ以外にも何かあるわよね?」

「そう言われましても、隠しているつもりがありませんし」

「いいえ。こうして組み手をしてみてはっきりとわかったわ。私の知っている弥勒弓海子より練度が明らかに上がっている。数ヶ月程度では得られるはずもない練度を」

 

 そんな部分から謎を解き明かしていく芽吹も大概だが、その事に対して弥勒弓海子は何も言う事が出来なかった。あの世界での5年。いや、彼女達は3年半程を過ごしていた。もちろん、肉体的な還元は記憶が戻ってもなかったが、精神面及び技術面は相応に上がっている。

 

「何があったの?」

「まぁ、色々ありましたわね。ですが、最終的には何もなかった。今はそれでいいんです」

 

 弥勒としては何で記憶を思い出せた理由が不明なのでその説明で正しいと思っているが、あの世界の記憶を取り戻した事が練度の上昇に繋がっているのだから、回答としては間違っているのである。

 

「てっきり、私達が西暦の世界に連れてこられた理由を知っているのかと思っていたのだけど」

「それは知っておりますわ」

 

 あっさり白状した辺り、それをガチで隠している自覚がなかったのだと確定して楠芽吹は呆れて頭を抱える。

 

「芽吹さんもシナモンでも食べます? とある人から教わったのですがスパイスをかじるとリラックスできるらしいですよ?」

 

 弥勒は芽吹きのそんな様子を見て、何処から取り出したのかシナモンスティックを手に持っていた。

 

「どこから取り出したのよ……」

「シナモンスティックは元々紅茶をかき回すモノだからと常備しているものですよ」

 

 ちなみに、シナモンスティックは本来は直接食べるものではないので一般人は真似してはいけない。

 

「とりあえず、お気持ちだけもらっておくとして、この世界に連れてきたのは誰なの?」

「わたくしも聞いた話ですが、わたくし達の世界の歴代の勇者と巫女達らしいですわね」

 

 赤嶺美姫の発言を正しくとらえるならば歴代勇者共通の願いによって、この世界に転移させようという動きになったと言っていた。

 

「実行者となると赤嶺友奈との話です。名前こそ出してませんが、彼女に関する話題にした事はありますね」

 

 赤嶺友奈の命で転移させたと言っていたので実行犯として出していいという事だろう。芽吹はその話で思い当たるのが1つあった。

 

「赤嶺……。神世紀72年のあの話の奴か」

 

 弥勒家がなぜ落ちぶれたのかの話をした時に出てきた当時の弥勒家と親友だったとされる赤嶺家の人間だったはずだ。

 

「なぜ彼女なのかという部分まではわたくしも流石に知りませんわ」

「ところで、その情報は誰からもたらされたのなのかしら?」

「それは流石に本人の許可を取らないと話してはいけない部分になるでしょうね」

 

 その事について、赤嶺美姫にいつかは踏み込んで話をしなければいけない話題であるだろうけど、彼女の様子的にまだ時期ではない。最も、踏み込まなければいけない時には踏み込めるのが弥勒弓海子なのではあるが。

 

「私達が感じていた不調はそっちによるものだったのかしら?」

「あら、私のことを心配してくれましたの?」

「そうね。防人のリーダーである私は、みんなの体調管理も仕事の1つであるからね」

 

そう言いながら、安堵している芽吹と気疲れしている弥勒がそこにいるのであった。

 

 

 

 

 

「弥勒さん……」

 

 赤嶺美姫はこっそりと2人の様子を見て、自分の事をそれとなく避けた弥勒弓海子の事に感謝した。犬吠埼風にも心配されたあたり、私の内面は表情や動きにわかりやすく出ているのかとだろうか。

 

「それでも、私は赤嶺だから」

 

 そう思いながら赤嶺美姫は自分の事を思い出した。

 




サブタイトルは弥勒弓海子の誕生花である白スイレンの花言葉
ゆゆゆいの記憶を持っている弥勒さんですが他の人達の記憶を戻そうとは動いていません
シナモンスティックの下りはリリフレコラボ要素に加えて
弥勒さん流の他の人が思い出しているかどうかの確認も兼ねてやっています
積極的に思い出させようとさせないだけで、それはそれという話
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