結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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乃木若葉の章ー8「警戒」

 

 それは11月半ばのある日。この日は奈良に一時帰国していた高嶋友奈、かつての英雄である兜甲児及びに西暦の四国の勇者と神世紀組の全員でとある人物のお迎えをしている所だった。

 

「兜博士。お久しぶりですね。進捗はどうですか?」

「とりあえずは順調だな。本当は沖縄に立つ予定だったんだがな?」

「沖縄に何がありまして?」

「インフィニティーとは別のマジンガー似の機体がとある島で発見されて、今は沖縄のとある部隊によって管理されているそうだ。それに対する視察と調査依頼って所だな」

「いいんですか?」

「少しくらいなら大丈夫だ」

 

 そう言いながら、懐かしい友人を待つかのような表情を兜甲児はしていた。

 

「それに、ダブルスペイザーは俺にとっても思い出深い機体なんだ。それが四国に来るというのならば、多少の融通は聞くものさ」

「あ、来ました」

 

 上里ひなたがそう指摘すると視線の先にダブルスペイザーがそこにあった。着陸地点上空までくると、ホバー移動に切り替えて垂直に着陸していった。そして、ハッチが開くと、コックピットから2人おりてきた。

 

「こちら、諏訪より来ました東郷美森です」

「同じく、乃木園子と申します……って、ふーみん? いっつん? それに安芸先生まで。どうしてここに?」

「あんた達が四国に来るって話を聞いて待っていたのよ」

 

 そう言いながら風の視線の先は園子の眼帯で覆われた右目にうつる。

 

「で、今度は何をしでかしたわけ?」

「何でやらかした事前提なんですかねぇ」

「犬吠埼さん達。この2人と知り合いなの?」

 

 降りてきた2人とのじゃれあいに対して、郡千景は疑問をぶつける。

 

「アタシと同じ学校で同じ部活に所属していた部員2名

「ちなみにふーみんは元部長でいっつんが現部長なんだぜ!」

「園子さん! そういう事はいいですから!」

「そのっちにとってはこれが平常運転ですので、四国の勇者の皆々様方。お気になさらずに」

 

 完全に身内のノリになっている園子達を置いといて東郷美森は西暦の勇者に話しかける。

 

「そ、そう。なんか土居さんみたいなノリの人ね」

「元勇者っていうからどんな人物かと思ったが、これはタマのアイデンティティの崩壊の危機かもしれん」

「タマっち先輩。元勇者なのは乃木園子さんではなく東郷美森さんの方だったはずですよ」

「あ、そのタマっち先輩の言っていること当たってるよ。私も元勇者なのさ~」

「そのっち……」

「この右目の事を話すなら、バラした方が説明しやすいでしょ?」

「そうだけど……」

「やっぱりしでかしてるんじゃない。後で安芸先生にお説教ね。私がするより効くでしょ。あなた達には」

「達って私も?」

「「当然」です」

 

 突然自分も説教される事が確定した東郷に対して風と安芸先生の声がハモったのであった。

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけで私達はこの世界では基本的に勇者として戦うことは不可能だと把握して頂けるとありがたいです」

 

 あれから、一行は大社に移動した後、自分と園子に関する情報を現状で必要な分だけ話すことにした。

 

「つまり防人や君達は異世界の人間で、この世界では君達の神から力を借りれないから自らの肉体を糧に変身か。その代償が右目なんだね」

「そうです。元々、異世界の存在である私達がこの世界に関与しすぎるのも問題と思いましたが、諏訪ごと死ぬわけにもいきませんでしたので」

 

 先程とは別人に見える真面目モードに入った園子から語られる言葉はまるで、冷たい人形に変わってしまったのではないのかと若葉には感じられた。

 

「異世界とはいえ、貴様も私と同じ乃木なんだろ!? 白鳥歌野には何か言われなかったのか?」

 

 その言葉に園子の表情が少し動いた気がした。それは、怒りというよりも悲しみの表情に

 

「それで白鳥歌野さんを引き合いに出すのは、それこそ白鳥歌野さんに失礼です。彼女は彼女の愛する諏訪の為に全力を尽くしました」

「うっ……」

 

 言われてその通りだと思った若葉は苦虫を嚙み潰したような表情になった。同じ苗字であるのがただの偶然の可能性のが高いのにそれを理由にした事も理由の1つだろう。

 

(ん?)

 

 その光景を見て風は先程の発言に少し違和感を持った。真面目モードの園子があだ名で呼ばない時がたまにあるのは以前にあるからそっちではない。

 

「(お姉ちゃん……)」

 

 そこに樹も話しかけてきた。樹も違和感を感じたのであろう。そして、そして、東郷と園子の性格も考えるとその違和感の結論は1つしかない。

 

「(なるほど。そういう事ね)」

 

 表立って言わないのかは何かしらの理由があるのだろう。この件に関しては2人は黙っておくことにした。

 

「こちらからの質問ですが、この世界の四国の状況はどうですか?」

「ああ、それはね……」

 

 その後、お互いに質問をしあってお互いの情報を埋めていくことにした。

 

「これで聞きたい事は全部かな? お手を煩わせてすまねぇぜ」

「そのっち。緊張感とけてるとけてる……。あれ?」

 

 それがひと段落したあたりで突然。東郷美森のスマホから着信音が響き渡った。

 

「東郷。こういった場ではマナーモードにしなくちゃダメでしょ」

「いや。この世界的には油断してても仕方がないし、むしろその相手が重要だ」

 

 風の指摘に対して若葉は冷静に言った。この世界にはバーテックスによるジャミングで長距離通信が基本的に出来ない筈なのだ。四国に関しては結界に覆われているため四国内の通信であるならば問題はないが地方外となると、ジャミングの影響を大きく受ける。

 

「もしもし」

 

 東郷が緊張しながらも着信を取る事にした。

 

「その声はちゃんと東郷よね?」

 

 電話越しに聞こえてきたの聞き覚えのある声だった。

 

「夏凜? あなたも無事だったのね? 今は何処にいるの?」

「私、私はね……」

 

 そういって一呼吸を入れた夏凜は特大の爆弾発言を投下した。

 

「私は今、北海道にいるわね」

 




サブタイトルは乃木園子誕生花であるアキノキリンソウの花言葉
諏訪にいた勇者部合流回にして色々な要素が
次回からは秋原雪花の章へと続く模様
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