結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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秋原雪花の章ー6「騎士道」

 

「みんなぁ。避難先はこっちだよぉ」

 

 一方、雀の方はというと、避難活動の手伝いをしていた。その時に、保育園の先生の1人から声をかけられた。

 

「すみません加賀城さん。子供が1人はぐれてしまったのですが、探しに行ってもらってもいいでしょうか?」

「しょうがないなぁ」

 

 加賀城雀は後ろ向きな気分を持ちつつも、はぐれた子供を探しに行くのであった。

 

 

 

 

 

「みんな~どこ~」

 

 避難から遅れた少女は1人保育園の中に取り残されていた。

 

「お~い。いる~?」

「あ、雀お姉ちゃん! みんなどこいっちゃったの?」

「他のみんなはとっくに避難したから、私達も行くよぉ」

 

 そう言って、外に出ようとすると、あしゅらマジンガーが近くにいた。

 

「ほう。まだ人が残っていたか。せっかくだし血祭りにあげるとしよう。やれ、あしゅらマジンガー」

 

 雀達に気づいたあしゅら男爵は、まるで虫を踏み潰す程度の感覚でこちらに攻撃を仕掛けてきた。

 

「いやー!」

 

 少女は恐怖で目を閉じて耳をふさいだ。しかし、一向に来るはずの痛みがやってこない。何があったのかと目を開けてみると、

 

「貴様、何者だ! 勇者とかいう奴か?」

 

 ロボットのパイロットスーツみたいな服装を身にまとった雀が、どこから出したか不明な大きな盾によって、その一撃を防いでいた。

 

「違うよ。私は、防人だよ!」

 

 マジンガーの力を防ぎきるために雀は防人に変身した。

 

「防人? まぁ、軍の奴らよりは出来るようだが、これを受け止められるかな? あしゅらマジンガーよ。光子力ビームをうてぇ」

「そのくらいの威力ならまだいける!」

 

 雀はそういうとエネルギー状の盾を3枚空中に展開して、光子力ビームを受け止める。あしゅらマジンガーの片目が破損しており威力が半減以下になってるとはいえ、受け止められるとはあしゅら男爵は想像だにしていなかった。

 

「雀お姉ちゃんすごーい」

「大丈夫だよ。私があなたを守るから」

「貴様。それほどの能力がありながら、そんな矮小な存在の為に力を溝に捨てようというのかね」

「そもそも、私は戦うの嫌だから、見逃してくれるならそれでいいんだけどねぇ」

「その力を見て、見逃せるとでも?」

「ですよねー」

「それに、盾以外の装備がないようだが、それでどう立ち向かう気なのかね?」

 

 それに対して事実なのでこたえられないでいた雀に対して、代わりに少女が反論する。

 

「大丈夫だもん。雪花お姉ちゃんが何とかしてくれるもん。信じてるもん」

「信じるか。信じるなど思考を放棄した人間の使う言葉だ。しいていうなら、この世界で信じるに値するのドクターヘルただ一人」

 

 あしゅら男爵は少女に対して大人げない言葉を振りかざして高笑いする。

 

「……くるよ」

 

 それに対して、雀は反論する。

 

「何を言っておるのだ? そのものが勇者だというのなら、このあしゅらマジンガーを見て一度逃げ出したぞ? 敵前逃亡しておいて、のこのこ顔を出せるものか」

「そりゃそうだよ。勇者だって人間だもの。怖くなるし、逃げ出したくなる事もあるよ。それでも一杯悩んで苦しんでぶつかって。そして最後には立ち直る。それが、私の知っている勇者達だよ」

 

 それは、夏凜と芽吹のぶつかり合いを知っているからこそだった。あの時の会話の内容はよく聞き取れなかったが、あの夏凛があそこまで追いつめられている状況を知っていたから。雀は一度逃げ出しても戻ってくると言えた。

 

「愚かだな。自分の知る別の勇者がそうだからとして、彼女がそうだと信じるとは。せめて、最大火力で焼き尽くしてくれよう」

 

 そういって、あしゅらマジンガーは腕を上げて紅い胸板を雀達の方に向けた。

 

「ブレストファイヤー!」

「まだだ!」

 

 雀はエネルギー状の盾を8枚展開してブレストファイヤーを受け止める。

 

「よしなんとか!」

「まだだ! アイアンカッター!」

 

 ブレストファイヤーを発射しながら、両腕から刃がせり出して、ロケットパンチとして発射されてきた。

 

「片方は行ける! でも」

 

 エネルギー状の盾をさらに2枚展開して片方のアイアンカッターは受け止める事に成功するが、これが今の雀の上限であり、もう片方のアイアンカッターは防ぐすべがなく直接受け止めようと身構えた。

 

「そこは通さないよ」

 

 突如、遠くから棒状の物が飛んできたかと思うと、もう片方のアイアンカッターが大きく吹き飛び、雀達の安全は守られるのであった。

 

「何とか、間に合ったみたいだね」

「雪花さん!」

「雪花お姉ちゃん!」

 

 それを見ていたあしゅら男爵は少し訝しげに雪花に聞いて来た。

 

「先程逃げ出した奴が今更何をしようというのだね?」

 

 それに対して雪花は少し曇った表情でこたえる 

 

「私にもわからないよ、そんなの。でも、何故か戻って来てた」

「その程度の覚悟で、このあしゅらマジンガーが倒せるもんか」

 

 そういいながら、あしゅらマジンガーが光子力ビームを放つが、それは雀によって防がれる。

 

「雪花さん安心して。私が雪花さんを守るから、その間に雪花さんは雪花さんなりの答えを出して!」

「そいつをかばうのは、そいつが勇者だからか?」

「違うよ。彼女が私の友達だから。それに、守れる命を守るのが私達防人の仕事であるから」

 

 口では芽吹のする事に不満も多い雀だが、楠芽吹が最後まで防人を誰1人死なせずに任務をさせた事を加賀城雀は心の中で誇りにもっている。

 

「それに、私の知っている雪花さんなら大丈夫だから」

 

 その言葉を口にした雀は、もう何年ぐるみもの付き合いと思えるほどの信頼を雪花に乗せてきた。

 

「ロケットパン……」

「そこ!」

 

 相手がロケットパンチを発車しようとするところを雪花は槍で合わせた。反動により、あしゅらマジンガーは転倒する。

 

「でも、ここまで言われて、奮い立たないわけにはいかないんだよ」

 

 その手はまだ震えながらも、雪花は真っすぐに立ち向かう事を決めたのだった。

 




サブタイトルはOVAマジンカイザー2作目の発売日の花言葉
(1作目はペチュニア=心の安らぎで被ったため)
雀が最初に変身して雪花が合流なったのは
雀の方から合流する描写が描きにくかったからです
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