結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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乃木若葉の章ー2「風格」

「こちら白鳥歌野です」

「こちら、乃木若葉だ。これより定時連絡を開始する」

 

 今日は乃木若葉と白鳥歌野の定時連絡の日。この日もいつも通りにスタートした。

 

「最近、そちらはどうかしら?」

「奈良の勇者、高嶋友奈がいま来ていて、共同訓練中といったところだな。白鳥さんの方はどうだ?」

「今は兜シローさんが協力してくれているから、今までよりは楽になったかしらね」

「諏訪は兜博士にとっても思い出の地らしいからな」

「そちらに兜博士が今、呼ばれているんでしたっけ?」

「そうだな。ドクターヘルとミケーネ。2度の戦いで活躍した英雄だ。故に今も前線に戻って欲しいと思っている人も多い」

「それでいて、本人は自分を英雄と呼ばれるのを否定しているんでしたっけ?」

「それに関してはミケーネとの戦いで実の父を失っているからだと言われている」

「今のこの状況に思う所はあるのかしら……」

「四国に協力に来ているのもその辺もあるかもな……」

 

 そこからしばらくは、2人とも互いの状況を話した後

 

「そろそろ報告したい事は全て話しましたし」

「そうだな」

「そばか!」

「うどんか!」

「「どちらが上かとことん話し合いましょう」」

 

 

 

 

 

(はぁ。今回も決着がつかなかった……)

 

 次の日の昼飯頃、そんな事を考えながら、若葉は

 

「お、若葉。今日は珍しい人が来てるぞ」

「球子か。珍しいって、どんな人物が……」

 

 球子が指さす方に視線を向けると、そこにはあの伝説の兜甲児がいた。

 

「か、兜博士?」

「緊張するなって方が無理か。正式なのは後でだが、とりあえず四国の勇者達を見に来たって感じだ」

「あなたほどの方が私達の事を?」

「今の日本を守る要なのは君達勇者の方だ。俺が君達に出来るのは、先人の知恵って奴くらいさ」

「そんな事ありません」

 

 そう言ってきたのは高嶋友奈であった。

 

「私が四国に来れるように奈良にイチナナ式の増援の手配をしたのは兜博士だって聞きましたよ」

「俺も昔、いろんな人に助けられた。だからこそ、辛い戦いを何度も乗り越えてきた。そのくらいの事は気にしなくていいさ」

「はい。ありがとうございます」

「兜博士、1ついいですか?」

「伊予島杏さんだったか? 」

「弓さやかさんとは恋仲と噂されていますが、実際はどうなのですか?」

「おい、杏。いきなり失礼すぎるだろ!」

「たまっち先輩。乙女としてこの質問だけは譲れません! 戦友と呼ばれる剣鉄也さんは炎ジュンさんと結ばれたと聞きますし、そうなると兜博士にとってのソレは現光子力研究所所長でもある彼女の他にありません」

「あー、兜博士すまない。杏は悪い子じゃないんだが」

「大丈夫だ。似たような質問されたことは何度もあるし」

 

 杏の暴走に対して、兜甲児は笑って答えた。

 

「彼女とは、素直に言葉で言い表せる関係じゃないしな。それに……」

 

 その顔は、どこか遠くを見ているような気がした。

 

「大切な約束でもあるのか?」

 

 その顔を見た若葉は何かを感じ取ったかのように自然に聞いていた。

 

「……ああ。とても、大事な約束なんだ……」

 

 そう言うと同時に兜甲児は席を立った。

 

「午後の訓練にも顔を見せるつもりだ。では、また会おう」

 

 そう言って、兜甲児は食堂を後にした。

 

「あれが英雄か」

「何か、親しみやすそうな雰囲気だったな」

「どうかしら? 私達をはじめから期待してないだけかもしれないわ」

「だったら、期待してもらえるくらいに頑張ろうよ、ぐんちゃん!」

「そうね。高嶋さん」

「そういえばさ、兜博士がドクターヘルと戦ってたのって確か16歳くらいだったよな?」

 

 土居球子が不意に思い出したかのように疑問を口にした。

 

「ええ、そのはずです」

「だったら、タマ達も年齢的にそんなに差がないんだから大丈夫だ。兜博士がマジンガーZを譲り受けたようにタマ達は勇者の力を授かったんだからな」

「ああ、そうだな! その勇者がこの場には5人もいる。 ならば、たとえ相手が何者でも負けるはずがない!」

 

 球子の発言に乗るように若葉は、自らを鼓舞するかの如く勝利の意思を示す発言をした。

 




花言葉は兜甲児の誕生日(推定)とされる7月24日の誕生花から。
前回が乃木若葉の章と言いながら防人組がメインだったので、今回は乃木若葉の方をメインに。
前話で説明したように、この世界のバーテックスは星喰レベルならイチナナ式で対処できます。
なので、奈良出身の高嶋友奈は四国にいる理由付けが必要になった所存。
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