結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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古波蔵棗の章ー1「希望」

 

「もう、お姉ちゃん。いくら幽霊だからって失礼すぎるよ」

「そうね。そこは本当に私も反省するべきだとは思っているわ」

 

 あの後、出雲大社跡から戻って来た若葉達と別れた後、自分達に用意された個室で風は樹と軽く話をして怒られていた。

 

「でも、気絶したおかげで大事なことを思い出せたわ」

「大事な事?」

「ええ。私の背中をいつも護ってくれている存在を」

 

 そう言いながら、風はその人物の事を思い浮かべていた。

 

 

 

 

 

 時が少し撒き戻り、ダブルスペイザーの中。

 

「よかったんですか兜博士。あんな突き放す言い方で」

「いいんだ。彼女はかつての鉄也と同じなんだ」

「鉄也って戦闘のプロ剣鉄也ですか? 偉大な勇者グレートマジンガーの乗り手にして兜博士の戦友の」

「今は友人ではあるけど戦友ではないな。少なくとも、当時の俺と鉄也の関係は決して戦友と呼べるものではなかった」

 

 そう言いながら、当時の事を思い出す兜甲児であった。

 

「それで鉄也さんは大事な人を失った。それに対して鉄也は俺に今でも負い目を感じるんだ」

「その大切な人って、兜博士にとっても大事な人だったんでしょう?」

 

 その大切な人が誰なのかは、この世界では有名な話でもあるので、東郷自身も聞いた話でもある。

 

「大事な人ではあったさ。でもあの時には既に一度、死を受け入れてたからな。それが生きてて本当に死んだだけだ。1度受け入れちまってたから、すぐに整理がついた」

 

 俺って冷血な人間だよなって言いたそうな顔をするが、運転中の東郷には当然顔は見えない。

 

「俺は鉄也が許しを受け入れる日が来るのを待っている」

「許しを受け入れる。ですか?」

「俺はとっくに許しているって話題に出しても鉄也は絶対に自分を許せないし、こっちから引き出させてしまったと一生心に引きづる可能性もある。だから、俺から言う言葉が同じだろうとも、自分から切り出して鉄也自身が許しを受け入れる時間を待っているんだ」

「自分自身を許せるようになるための時間。か」

 

 ふと、東郷は自身も例外ではなかったなと思った。壁に穴をあけてその犠牲に自らを供物にしようとした時にはまだ自分を許せていなかったのだろう。その中で銀と出会って、友奈ちゃんが身代わりになって苦悩して、勇者部のみんなが友奈ちゃんのところへと私に道を作って、最後に友奈ちゃんとお互いに許しあって。そうして私の罪はようやく罪でなくなったと思えた。

 

「あ、見えてきましたよ」

 

 そうしていると、沖縄らしき陸の影が見えてきた。

 

「あの人影は……」

 

 更に近づくと東郷美森は、その人影の中に見覚えがある人がいる事に気が付いた。

 

「こちら、光子力研究所より兜甲児だ」

「こちら、諏訪の宇宙科学研究所に現在所属させていただいてます。東郷美森です」

 

 ダブルスペイザーを無事に着陸させた後、2人はそう挨拶する。

 

「こちら、WSOのスカーレット・ヒビキ大尉だ」

「私は、沖縄で勇者をやっている古波蔵棗という。よろしく」

 

 それに対して、出迎えていた人達の中の代表者が挨拶をする。

 

「ああ、よろしく頼む」

「兜博士にはスカルマジンガーの調査をお願いしたい」

「スカルマジンガー。それがこの地で発見されたマジンガーのコードネームですか?」

「そうだな。スカルパイルダーとかいうパイルダーで乗り込むマジンガーに似た機体。故にスカルパイルダーだ」

 

 そう言われて、兜博士が進む方向に東郷美森もついていこうとすると古波蔵棗に呼び止められた。

 

「待って。東郷美森さんは別に会わせたい人物がいる。こっち」

 

 口数は少なく、しかし優しく手を伸ばす古波蔵棗に東郷は懐かしさを覚えるのであった。

 

 

 

「東郷さ~ん」

「友奈ちゃん!」

「東郷先輩お久しぶりです」

「亜耶ちゃんも……」

「その反応は、東郷さんも私達と同じくちゃんと思い出せてるんだね」

 

 案内された場所には、結城友奈と国土亜耶が東郷を出迎えていた。

 

「私達、気が付いたら沖縄の海岸で倒れていたんだよ。そこを棗さんに見つけてもらったの」

「海が言っていた。彼女達は未来の友だと」

「棗先輩は本当に凄いんです。それを見ていて、私も棗先輩みたいになりたいと考えていましたら、あの世界の事をいつの間にか思い出していましたの」

「亜耶ちゃんのあの世界の話を聞いていたら、私も思い出していたんだ」

「そうだったの。それで、合流しようとは思わなかったの?」

 

 それに関しては2人とも首を横に振る。

 

「合流に関しては皆が何処にいるかもわからないのに無理に動くのもよくありませんから」

「四国行きに関しては赤嶺さんの先祖が沖縄から四国に渡った時に使用した便に同乗した方がいいかなって事で、その準備はしてたね」

「そういえばそんな話もあったわね」

「2人には私としてはすごく助けられている。だから東郷さんも遠慮せずに私に頼って欲しい」

「そうね。そうさせてもらおうかしら」

 

 そうして、手を握ったところ。誰かが扉を開ける音がした。

 

「棗。大尉が客と一緒に連れて来いって」

 

 目の前にいるのは目つきが悪い男だった。

 

「海動さん。乙女の部屋に入るのにノックもなしはメッ。ですよ」

「言われてるぞ海動」

「文句ならパシらせた大尉に言いやがれ」

「止めたりはしないんだね、真上さん」

「俺はこいつも御守じゃないからな」

「違えねぇ」

 

 そう言われて、むしろドヤ顔する海動と呼ばれた男はいったいなんだろうか。

 

「あ、東郷さんはしらないよね。こちら、スカルマジンガーのパイロット候補生の海動 剣さんに真上 遼さん」

「そういうことだ」

「いろいろ、力を貸してもらうかもしれんからな。ダブルスペイザーのパイロットさん」

 

 そう言いながら、2人の顔が悪い笑みを浮かべている様に、東郷美森には見えたのであった。

 




サブタイトルは古波蔵棗の誕生花の花言葉
棗編及びSKL編ですが、スカルマジンガーと呼ばせているのはオリ設定ですね
スパロボBXではSKLのが先に存在しましたが、Zが先に存在するなら
スカルマジンガーになる可能性もあったのではという考えが自分にあったので入れました。
亜耶ちゃんも友奈も思い出しているのは、この時点でもう数ヶ月経っているので
亜耶ちゃんがまた棗先輩の真似したりして思い出す出来事があったと思います
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