結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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古波蔵棗の章ー2「謙譲」

 

「おい、連れてきたぞ」

「遅いぞ○○野郎共! 仕事1つ満足に出来ないのか!」

 

 海動達に連れられて、東郷達現場にスカルマジンガーの所に連れてこられたら、我が強そうな女性が、とてもではないが載せられないような言葉を口走って来た。

 

「あわわわわ」

「まぁ、最初はそういう反応になるよね」

「大丈夫ですの。ヒビキ大尉は厳しくも優しいお方ですから」

「そうじゃないの。そうじゃないのよ亜耶ちゃん」

 

 今の発言を聞いても、

 

「これがスカルマジンガー」

「そして、これがそれを動かすためのスカルパイルダーだ」

 

 そう言って兜甲児も会話に参加する。どうやら、スカルマジンガーの研究をしていたようだ。

 

「2人乗りなんですね」

「一応、システム解析的には1人でも操縦できるようだし、実際に合体までは成功したんだろう?」

「一応だがな」

「それでこのポンコツは動きやがんねぇだよ」

 

 海動達は悪態をつくように言った。

 

「おそらく、まだその時ではないのだと思うわ」

 

 それに対して、東郷美森は何かを感じるかのように言った。

 

「その時ではないだと? どういうことだ」

「詳しくは言えないけど、バーテックス以外の脅威もこの世界に迫っているはずだわ。おそらく、その脅威に対抗するための力。そういう力は得てして、時が来るまで目覚めようとしないモノなのよ」

「バーテックス以外の脅威。光子力研究所の方で研究しているインフィニティーのことか? 奴の起動にあわせてこいつも目覚めると」

「専門外なのでそこまでは」

「つまり、こいつは冬眠中のネボスケということだな」

 

 海動はそう言って結論付けた。

 

「他に意見ある奴はないのか?」

「はい。少しだけですが」

 

 ヒビキ大尉の確認に対して国土亜耶が手を挙げた。

 

「この子を見ていると何処からか聞こえるのです。此の者、神も恐れ悪魔すら慄く者だと」

「亜耶ちゃん。それって神樹様から」

「いえ、神樹様とは違った感じの声です。でも、伝え方からして神樹様に近い存在だとは思います」

「神も恐れ悪魔すら慄く者。か。間違いなくマジンガーの系譜って事だな」

「国土。それはいつからか」

「今回が初めてです。今までも見せてもらうことはありましたが聞こえてくる事はなかったです」

「ふむ……」

 

 その発言を聞いて、スカーレット大尉は軽く考えるような動作をした後、

 

「東郷と兜博士の影響かもしれないな。ここしばらく、2人とも調査に協力してくれないか?」

「私に出来る事などないと思いますが」

「そこにいるだけでいい。後ろめたいと思うのなら、茶菓子でも作ってくればいい。料理が上手い事は結城から聞いている」

 

 そうして、東郷達は沖縄にしばらく滞在する事になった。諏訪にいた時と違い、自分達が別世界から来たことが主要な人達にばれているので隠している事による精神的な辛さと気疲れがなく、沖縄を満喫できていたのであった。

 

「棗様。もう少し、こんな所におられましたか。すぐお戻りするようにとの事です」

 

 しばらくたったある日、東郷は棗を呼びに海岸にいくと棗に誰かが抗議している人がいた。

 

「赤嶺さん。もう少し気軽でいい」

「いえ、あなた様は勇者なのですから、他の者に示しがつきません」

(赤嶺!? いえ、赤嶺友奈はかつて言っていたわ。自分の先祖は、古波蔵棗の手を借りて沖縄から四国に来たって)

 

 すなわち、彼女は赤嶺友奈の先祖に当たる人だろう。

 

「たまたま勇者に選ばれただけで偉くはない。それに、少し寂しい」

「寂しいだけで済むのでしたら、まだマシというものです」

「あなた。そんな言い方」

 

 思わず見ていられなくなった東郷はそう言って飛び出していった。

 

「あなたが、外から来た勇者でしたっけ? 私、赤嶺水都と申します。棗様とは級友であらせられました」

「なら、どうしてそんな他人行儀に」

「あなた様には関係ないでしょう」

「友達だったんでしょ!?」

「……では、あなたはどうすればこれからも生きていける保証をしてくれるのですか?」

 

 そう言われると東郷は言葉が詰まった。バーテックスに対する恐怖はこの世界はかなり高いからだ。

 

「東郷。赤嶺。2人ともいいんだ」

 

 2人の間に棗が割って入った。

 

「すぐに戻る事にするよ。迷惑をかけた」

「あ、わかってくれればそれで問題ありません」

 

 そう言いながら、赤嶺はすぐさま立ち去った。

 

「どうして」

「怖いんだよ」

 

 それに対して棗は優しくいう。

 

「ここは東郷達の時代と違う。だから、誰かが希望にならなくちゃいけない」

「それで、それで棗さんはいいのですか?」

「それで心が救われる人がいるのならば、私はそれでいい」

 

 そう言いながら去っていく棗を見て、東郷は何も言えなくなってしまったのであった。

 




サブタイトルは国土亜耶の誕生花の花言葉
赤嶺水都は本編の慰霊碑に名前が刻まれていた人物です
それ以外の原作での設定はないはずなので、棗さんの級友というオリ設定で登場させました

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