結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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古波蔵棗の章ー3「誇り」

 

「今、ここに兜甲児はいるのか」

 

 ブロッケン伯爵は、とある機械獣で空の上から、兜甲児がいるという島を見ていた。

 

「ゴラーゴンによってもたらされた別の世界の機械獣。マジンガーのいない兜甲児は耐えられるのかな?」

 

 誰にも聞こえない空の上で、ブロッケン伯爵の声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 それから数時間後、

 

「こちらに、悪意の化身が近づいています」

「バーテックスか?」

「いえ。ですが、このままだと沖縄が焼かれる未来が見えます」

 

 国土亜耶の発言によりグレンファルコン隊が偵察に赴くと、そこには丸っこいボディをした機械獣らしき存在がいた。

 

「聞こえるか兜甲児よ」

 

 ブロッケン伯爵はグレンファルコン隊の通信回線を機械獣の上からいとも簡単にジャックすると、兜甲児に話しかけてきた。

 

「その声は、ブロッケン伯爵」

「そこにマジンガーZとは違うマジンガーがあるのだろう? このグロイザーX10と共に、貴様もろとも破壊しに来てやったわ」

「兜博士。敵が本来の目的をべらべら喋るわけがありません。これは何かの誘導の可能性があります」

 

 東郷は明らかに挑発しているように感じる発言に対して注意を呼び掛ける。しかし、

 

「小娘。確かにその考え自体は悪くない。だがな、兜の方はわかっているようだぞ」

「何度も相手をした敵同士だ。それに、俺にわざわざ話しかけていると言う事は、俺との勝負を望んでいるようだ」

「そうだ。グレンファルコン隊とかいう小蝿共なんぞ、撃ち落とす価値もないが、準備運動に使わせてもらうかもしれないなぁ」

 

 実際、グレンファルコン隊の攻撃は有効打にならずに、不気味に沖縄へと近づいてくる機械獣に対して、猶予も残りわずかと言っていいだろう。その言葉を聞いて、兜博士は苦虫を嚙み潰したような顔をしている。今の兜博士には戦う力はない。正式な軍人ではないので許可がいるし、今の沖縄に未出撃のイチナナ式はない。

 

「私も行く」

 

 悩んでいる兜に対して棗がそう言って飛び出した

 

「駄目だ。今の棗にはあの高高度に対しての攻撃手段がない」

「なら、私がダブルスペイザーで支援します」

 

 東郷がすかさずに次善策を提案して出て行ってしまった。

 

「兜博士。勝手に行動してすみません」

 

 結城友奈は兜博士に対して謝罪した。

 

「いや、大丈夫だ。だけどせめて、スカルマジンガーが動いてくれれば」

「なら、行きましょう」

 

 その発言に国土亜耶が同調した。

 

「スカルマジンガーの事が心配なんですよね。ならば、すぐに行きましょう」

「そうだな。そうだったな」

 

 そうして、残っていたメンバーはスカルマジンガーの元へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

「棗様」

 

 一方、敵の下に向かおうとしていた棗の前に赤嶺水都が立ちふさがった。

 

「水都」

「あの者はバーテックスではありません。それでも行くのですか?」

「私は勇者だから」

「勇者の使命には含まれておられませんよ」

「でも、行く」

「……そういう所は昔からですね。なら、1つだけ。生きて帰ってきてください」

 

 その言葉に棗は返答はせずに先に進む。わずかな会話で2人の邂逅は終わった。

 

(すまない約束できない。でも、私ができるだけ頑張ってみる)

 

 その時、空から駆動音が聞こえた。

 

「棗さん。あの機械獣のところまで運びます」

「東郷さん。助かった」

 

 2人も合流して、機械獣の元に向かうのであった。

 

 

 

「ほう。今度は噂の勇者共か」

 

 近づいてくる2人に対してブロッケン伯爵が呟いた。

 

「嬢ちゃん達。すまないな」

 

 スカーレット大尉が珍しく謝罪する。

 

「こちらも助けられていますから大丈夫です」

 

 ダブルスペイザーで攻撃しながらも

 

「ダブルスペイザーでも火力不足みたいですね」

「所詮は合体パーツよ。単品で倒せるほど、グロイザーX10は弱くはないわ」

 

 そう宣うブロッケン伯爵をしりめに、棗は機械獣を憐みの視線で見ている気がする気がした。

 

「棗さん?」

「あの機体、泣いている」

 

 棗はグロイザーX10をみてそう評した。

 

「あの機体の魂は、こんな使われ方を望まれてないと言っている気がする」

「何を言う。機械獣は戦うための機械の獣。そんな訳があるか」

「違うそうじゃない」

 

 しかし、棗も自分も直感だけなので、言葉に詰まる。

 

「私は信じる」

 

 その言葉に対して東郷は大声で言う。

 

「私の知っている棗さんも言葉足らずだったけど、間違った事は言わなかった。だから、私は信じる」

「ありがとう」

 

 棗は、その言葉を胸にグロイザーX10に対して戦う事を決意するのであった。

 




サブタイトルはグロイザーXの第一話放送日の花言葉
北海道の敵があしゅらマジンガーなら、沖縄に出す敵はグロイザーしかないって選出です
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