結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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古波蔵棗の章ー4「才能」

 

「ちょっと行ってくる」

 

 棗は徐々に追い詰められていく戦況に業を煮やしてグロイザーX10の上に飛び乗った。

 

「あなたを倒せば、終わるはず」

「なるほど、まぁ、行動のコントロールが出来なくなるという意味では間違ってはないな」

「なら」

 

 そう言って棗は武器を振るうが、ブロッケン伯爵は余裕綽々と言った顔で避けていく。

 

「なかなか筋はいい。だが、私をまだまだ力不足だな」

 

 そういって棗の武器を掴み取った。

 

「バーテックスと言ったか? 特別な条件を満たさない限り倒せないあいつらは私達でも苦労する。お前たちはそれに勝てるようだが、相性で勝っているだけに過ぎない。故に、私みたいな相手だとこうなる」

 

 そう言いながら、棗をグロイザーX10から振り落とした。

 

「棗さん」

「近づけさせるか」

 

 東郷がすぐさま反応して近づこうとするが、それに対してブロッケン伯爵はグロイザーX10に命令して爆雷を投下して追撃を行う。流石に、ダブルスペイザーでもあの量の爆撃を喰らったらひとたまりもない。

 

「大丈夫」

 

 棗はそう言いながら海に落ち、数瞬後に爆雷も海に落下。海に落下死か衝撃で爆雷は爆発した。

 

「これで勇者とやも終わりだろう。兜甲児もどうやら戦う力はもはやない模様。勝ったな」

 

 ブロッケン伯爵は勝ちを確信するのであった。

 

 

 

 

 

「どうしたの? 亜耶ちゃん?」

「いえ、たぶん気のせいです」

 

 亜耶は何かの悪寒を感じ取ったが、

 

「海動、真上。調子はどうだ?」

「うんともすんとも動きやがらねぇ」

 

 スカルマジンガーのところについた一行は、動かそうとしている2人に

 

「何がいけないんだ?」

「スカルマジンガーさんの気持ちが私達にも伝わればいいんですが」

 

 そう言いながら、亜耶ちゃんは

 

「亜耶ちゃん。それ以上はいけない」

 

 そうして近づこうとする彼女を引き留める謎の声がした。そちらの方に振り向くと

 

「銀ちゃん」

 

 そこには三ノ輪銀がいた。結城友奈は近づいて手を掴もうとするが、その手は空を切った。

 

「え……」

「私はもう死んでいるからな。監視役という名目を任されたから、今ここにいるだけで」

「それでも嬉しいよ。東郷さんや園子ちゃんにも後で……」

「駄目だ友奈。理由もなしに三ノ輪銀として会っちゃダメと言われている」

「つまり、今回は理由があって来たんだな?」

 

 兜博士の言葉に対して三ノ輪銀は首を縦に振る。

 

「この機体の本当の名。それを聞き届けるんだ。そうすれば……」

「それで、どうすれば聞けるの? 亜耶ちゃんじゃダメなんだよね」

 

 すでに覚悟を決めた顔で友奈は銀に尋ねる

 

「友奈さん。あなたでも危険です。それでも大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ」

 

 そう言いながら、友奈はやさしく微笑んだ。

 

「すまない。話が見えないんだが」

「友奈さんは御姿という神に愛されやすい体質だから、この魔神の怒りを抑えて声が聴けると思うんです」

「私がちゃんと声を聴きとげれていれば」

「そんなことないよ亜耶ちゃん」

 

 友奈は慰めるような声色で言った。

 

「じゃあ、行って来ます」

 

 そういって、件の魔神に手を触れるのであった。

 

 

 

 

 友奈は気が付くと、くらい、雷雲が鳴り響く空間に宙に浮かんでいた。

 

(……ここは?)

『ここは我が精神世界』

 

 そう言って現れたのは、禍々しい翼を広げた件の魔神であった。声を出そうとしたが何故か口から出る事はなかった。

 

『何用で来た?』

(私は、私達は大切な人を守る為に)

 

 友奈はなぜか声が出ないので、思念で用件を伝える。そうするとちゃんと伝わったようだ。

 

『己が己の拳で守ればいいではないか? 1度は神に振りかざした拳で』

(何でそれを……)

『光子力とは可能性の光。闇雲に探すのならともかく、目の前にいる存在の紡いだ可能性を見るのはたやすい』

 

 至極当然かの如く、魔神はそう言い放った。

 

『貴様らが言う御姿というのには我は興味がない。神をも殴るその精神。それこそが我らが魔神に近しい存在だったからだ』

(マジンガーZが、神にも悪魔にもなれるというように)

『如何にも。我も別の世界では神も恐れ悪魔も慄くと言われた存在。気に食わない事には神にも抗うのが、我らが源泉よ』

(でも、私には今は戦う力が……)

『他の仲間はともかく、神樹とやらと1つとなった事がある何時に戦う力がないとな? 気づいてないだけか』

(え?)

 

 魔神が何かをすると、突然目の前にスマホが現れたと思うと勝手に修復されていく。

 

『汝に残っていた神樹の力を汝の知る世界の神樹達と共有化させた。あとは汝の世界の神樹に宿りし力も呼び寄せれるようにした』

(どうして、そんな事を?)

『我が手を貸す条件。それは汝の力を見せよ。今の乗り手に手を貸すのは本来の時期ではなかったからな』

(ありがとうございます。あと、1ついいですか?)

『ああ、我が真の名だろ? 我が名は……』

 

 

 

「マジン。カイザー」

「マジンカイザー。それが、こいつの名前なんだな?」

 

 友奈は気が付くと精神世界から現実世界に戻ってきていた。

 

「はい。マジンカイザーSKL。それが、本当の名前みたいです」

「マジン」

「カイザーか」

 

 その名を聞いた海動と真上はそれぞれ名前を口にする。

 

「それで、私も少しいってきます」

「でも、友奈さん。……いえ、わかりました。いってらっしゃい」

 

 銀は止めようとしたがとある存在に気づいた事で送り出すことに決めた。

 

「うん。銀ちゃん。後はお願いね。いくよ、牛鬼」

 

 そういって友奈は、元の世界でともに戦い続けた精霊と共に再び変身する。友奈の変身が終わるとSKLが突如起動し始める。

 

「たしかに今度はちゃんと動くようだ」

「今までのストレス。あの空飛んでいる奴にぶつけに行こうぜ」

「のった」

 

 そうして、勇者と魔神皇帝が新たに戦場に赴くのであった。

 

 

 

(さて、どうするか……)

 

 海の中に落下した棗は考えていた。爆撃に対しては海の中ならば海が棗の事を精霊バリアの如く護ってくれる事を棗は経験上知っていたので海の中にいる今は問題ない。

 

(あそこに戻る手段もないし、海から出たら流石に爆撃でダメージ受ける)

 

 死ぬつもりで行けばどうにかなるものでもないのは

 

(それに、水都さんに生きて帰って来てほしいと言われたんだ)

 

 水都さんとは同じクラスの友人くらいで、親友と言えるほどではなかった。それでも、生きてほしいというのが水都さんの本心なんだろう。

 

(何かあるはず)

 

 そう思いながら考えていると、ふと友奈達の世界の私の話を思い出した。

 

(友奈達の私はキジムナーを切り札として纏ったんだっけ)

 

 あちらでは樹界の中での戦闘が主だったようで、ならば樹木の精霊であるキジムナーのが相性がよかっただろう。

 

(でも、向こうでもこっちでも私の本質は海。もし、私が私の意志で纏える力を選べるのならば、海よ! 私に友達を助ける力を貸してほしい!)

 

 そう思いながら、棗は目に見えない何かに手を伸ばすのであった。

 

 

 

 

「グロイザーX10によく粘っていると言いたいが」

 

 空の方では、グレンファルコン隊とダブルスペイザーによる遅延戦術がひかれていた。

 

「スカーレット大尉。まだいけますか?」

「いや、流石にもう厳しい。だが、沖縄を燃やすわけにはいかない」

「もう終わりにしよう。やれ、グロイザーX10」

 

 ブロッケン伯爵がそう言うと全方位に電撃が放出された。

 

「これで終わり……なにぃ」

 

 その攻撃が届く前に海からの吹き上がる水飛沫がグロイザーX10にあたり中断された。

 

「沖縄を守る。それが、私の使命」

 

 水飛沫が収まると、その中から現れたのは羽衣をたなびかせた和服を着た棗がそこにいたのであった。

 




サブタイトルは結城友奈の誕生花の花言葉
戦闘シーンに見せた説明回と覚醒回
SKLに関しては海動と真上の2人の活で起動するパターンも書いたけど
友奈の覚醒理由が上手く入れれなくなったのでお亡くなりになりました
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