結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM 作:朔月新
「棗さん!? その姿は一体……」
「海の力を借りた。切り札『乙姫』と言ったところ」
「それが切り札というものか。なるほど、思った以上はやるようだ」
ブロッケン伯爵
「棗さん」
「大丈夫。それに、私以外にも来ている存在はまだいる」
棗がそう言うと、、彼女の近くを黒い拳が飛んでいった。
「ようやく追いついたぜ」
東郷が眼下を見ると、砂浜からロケットパンチを飛ばした例の魔神の姿があった。
「スカルマジンガーの起動に対に成功したんですね」
「スカルマジンガーじゃねぇ。こいつはマジンカイザーSKLってらしいぜ。いまSKLのパンチに乗っていった嬢ちゃんが言うにはな」
その言葉にパンチの方に振り向くと、勇者服を纏った結城友奈がSKLのパンチの上に乗っていた。
「いっくよお。勇者、パーンチ!」
そういって友奈はグロイザーに一撃を加える。
「な。先程の別の勇者の一撃より威力があるだと!?」
グロイザーに大きな影響を与える程ではないが、先程の棗が不意に与えた一撃より大きい事にブロッケン伯爵は困惑していた。
「友奈ちゃん。大丈夫なの?」
「まぁ、色々あって大丈夫だよ。その証拠にほら」
そうって友奈は東郷に牛鬼をみせる。
「牛鬼がどうしてここに……。でも、牛鬼がここにいるって事は」
「うん。私はちゃんと神樹様の力を借りて変身しているよ。体内にある残滓じゃなくて」
その返事を聞いて東郷は胸をなでおろすのであった。友奈は一度にほぼ全身を持ってかれていたのだから、変身した場合のデメリットが不安の1つではあったのだ。
「まだだ。まだグロイザーを倒すには力不足だぞ勇者よ!」
「そうみたいだね。どうする東郷さん」
「手がないっていうなら東郷。お前、俺達の翼になれ」
そこに海動達が割り込んでくる。
「できるの?」
「一応、ちゃんとした合体でなくても抱え込み式だから空に運ぶって意味でなら可能のはずよ」
不安げながらも東郷は答える。
「そんな暇を与えるとでも思っているのか?」
ブロッケン伯爵はそう言い放つと亜空間よりグロイザーX10の同型機と思わる個体が2体現れた。
「いって東郷さん」
「でも友奈ちゃん」
「こっちも、準備できたから」
そう言って友奈は東郷に満開ゲージを見せながら言った。
「……わかったわ」
そういって、東郷は地上のSKLの下に向かう。
「させぬと言ってるだろうが」
「私も、通させない。『満開』!」
満開。それは神世紀の勇者が用いる最強戦闘形態の事である。満開は主に須美時代の初期型、散華がまだあった前期型、散華がなくなった後期型に分かれるが、友奈が今使っているのはまた別の最新型と言うべきものである。前期型みたいに時間経過でチャージしつつ後期型みたいに散華のデメリットがない状態である。何故満開が使えるようになったかというと、先程のSKLとの対談で最終決戦時に友奈は神樹様自身を切り札として纏っていた事を理解した。それにより、友奈自身が神樹の権限に介入できるアクセス権を手に入れる事となった。それにより友奈は自分達の時間軸より牛鬼を呼び寄せて、満開のシステムも自分達へのデメリットを最小限にするように最適化した。
「何だその力は。その姿は!?」
「これが、私達、勇者部の全力だよ!」
満開化して飛行能力を得た友奈は新たに表れた方のグロイザーに近づいていく。
「くっ。迎撃せよ。グロイザーよ」
グロイザーは電撃や爆撃などで対処しようとするが、精霊バリアによってすべて弾かれる。
「勇者ぁパーンチ!」
友奈は満開状態で己が必殺技を放った。その一撃は、グロイザーの身体を貫通していった。元々、300年の差で通常形態でこの時代の勇者の切り札クラスの性能がある神世紀の勇者の強化形態の一撃は、マジンガーの必殺技に勝るとも劣らない域に達していた。
「これが、勇者……」
その力を目の当たりにしたブロッケン伯爵は驚愕するしかなかった。
「おおっと。戦力は勇者の嬢ちゃんだけじゃないぜ」
「海動。翼がついてから、変な武装が1つ増えているぞ」
「おもしれぇ。せっかくだし、それを使ってみるか」
その武装を使用しようとしたら、SKLは、突如空間を掴み、その中から骨でできたような歪な剣を引きづりだした。
「その武器がこれを使うのに必要な武器って訳か。行くぜっ。トールハンマーブレーカー!」
彼らは知る由もないのだが、本来の翼ではない為全武装解禁とはならず、しかも本来の威力を出せていない技ではあるが、それでも雷を纏った刃の一撃はグロイザーを倒すのに十分な威力を持っていた。
「こちらはさすがはマジンガーといったところか」
既に1体倒されていたこともあって、SKLに対する反応は並みだった。気が付くと、ブロッケン伯爵が乗ったグロイザーは遠くの方に逃げおおせていた。
「マジンガー? 違うぜ。俺達はなぁ」
「「地獄だ」」
「後、警戒すべきは私達だけじゃないよ」
友奈の言葉と共にブロッケン伯爵の上に影ができる。
「この子に、これ以上悪さはさせない!」
棗はそう言って、ブロッケン伯爵めがけて武器を思いっきり振り下ろす。ブロッケン伯爵は今度は受け止められないと判断し、グロイザーX10から飛び降りた。
「流石だと言っておこう。また会おうぞ。地獄とやらよ。勇者の諸君達よ」
そう言いながら、ブロッケン伯爵は亜空間の中に消えていった。
「ドクターヘルの奴ら。空間転移でも覚えたみたいだな」
「まぁ、何処にあんな巨大な機体を描くていたのかって話ですし」
「だね」
ブロッケンの最後の行動を見て各々が言葉を交わす。それが終わった後に
「帰ろう。みんなが待っている沖縄へ」
棗がそう言って、この戦いに終止符がついたのであった。
サブタイトルは古波蔵棗の勇者花の花言葉
棗のオリジナル切り札『乙姫』は海関連からチョイスしました
竜宮城は琉球の城がモデルだって説もあるので沖縄と無関係ではないです