結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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古波蔵棗ー6「あなたとの約束」

 

「銀!」

 

 会議室に戻ってきた東郷美森は三ノ輪銀がここに来ていたという話を聞いて全力で戻って来た。

 

「彼女はもういないぜ」

「……うん。わかっていたわ」

 

 自分も同じ立場になったのなら顔を合わせたくない

 

「銀ちゃんから伝言を預かっています。『須美が須美のままだったらまた会える』ですって」

「銀……」

 

 その言葉をきいて東郷は涙ぐみながら、

 

「兜博士。結局、呼び寄せた割には手間かけさせてしまったようですまない」

「いえ。こちらこそお役に立てなくてすまない」

 

 そこに後から入って来たヒビキ大尉が謝罪しにきた。

 

「それなんだが、早速1つ頼みたい事がある」

 

 そういってヒビキ大尉が見せたのは頭に翼をつけた女性型のロボットだった。

 

「これは?」

「どうやらマジンカイザーSKLには翼をつける事で解放される内部武装がある事が今回の戦いの最中でわかった。これはそれの計画書の表紙みたいなものだ」

「つまり、こいつの内部武装を全開放できるような翼とそれを運ぶためのサポートメカを作って欲しいと」

「できるだろ?」

「誰に言っているんだ?」

 

 それに対して兜甲児は自信に満ちた顔で返した。

 

「結城友奈。ただいま戻りました。棗さんは少し寄るところがあると言って遅れるそうです」

 

 少ししてから結城友奈が帰還した。

 

「友奈ちゃん。さっき満開していたけど大丈夫?」

「大丈夫大丈夫。まぁ、全く問題なしって訳ではないけど」

 

 そういってスマホを見せると再満開使用可能まであと『3:19:54』と表示されていた。

 

「これは」

「今回は3分ほど満開を維持してたので、多分ですけど、私の新しい満開は1度満開すると1分につき1時間ほどクールタイムが発生するみたいです」

「新しい満開ってどういうこと?」

「SKLさんにこの世界でも満開できるように調整してもらいました。私が神樹を切り札みたいな感じに纏った事があるから、私に対する世界の認識を、神樹と誤認させる事でどうたらこうたらって」

「あのやろう。そんな事もできるのか」

「魔神皇帝。その名を持つモノは終焉を終わらせるモノなり」

「亜耶ちゃん?」

「すいません。突然声が聞こえてきたので」

 

 国土亜耶の突然の発言に視線が一気に集まる

 

「終焉を終わらせるモノ。……終焉の魔神」

「東郷さん。それは?」

「今、北海道にいる夏凜が口を滑らしてたわ。勇者の力が戻った経緯の中で確かに出ていたはずよ」

 

 そう言って少し考え込むと東郷は

 

「私、一端北海道に向かいます」

「なら、東郷さんも満開できるようにするよ。だから東郷さんのスマホを貸して」

「友奈ちゃん。まだいいわ」

「え……」

「もう遅いかもしれないけど私達が大きく動きすぎるとバーテックスの動きが読めなくなる。少なくとも四国の桜が咲く頃までは友奈ちゃんだけの力にしといて」

 

 四国の桜が咲く頃。乃木若葉の勇者御記を一緒に読んだことがある友奈にはその意味が伝わった。

 

「うん。そういうことなら。でも、東郷さんも無茶はしないね」

 

 それに対して東郷は軽い笑みで返した。東郷自身も気づいてないが、実際にはこの世界で乃木園子が一度散華した事が、心のしこりとなって受け取る事が出来なかったのだ。

 

「四国の桜が咲く頃に何かあるんだな?」

「だいぶ私達が持っていた情報と変わってきていますが、はい。そこを超えるまで未来を大幅に変えるのは危険と考えてるので内容は聞かないでください」

「わかった。だが、こっちもやる事は出来た。一端、光子力研究所まで送っていってくれ」

「いいですけど、なんでですか?」

「ドクターヘルの一味が動き出しているんだ。マジンガーZを復活させる時が来た」

 

 兜甲児はその疑問にたいして凛然とした態度で答えたのであった。

 

 

 

 

「ここにいたのね。赤嶺さん。いや、水都」

 

 棗の用事。それは水都に会う事だった。

 

「棗様。先程はすみませんでした」

「いい。むしろ、水都のおかげで強くなれた」

「私のおかげ、ですか?」

「そうだ」

 

 その言葉に棗は肯定した。

 

「今回の戦いで『乙姫』の助力を得れた。乙姫は海の底にある竜宮城の住人。水都も水の都だ。だからこれは水都が私に力を与えれくれたからだと思いたいんだ」

「それは、光栄です」

「今は周りに人の気配はないのだから、昔通りにしてほしい」

「無理です。一度でも戻したら、きっと甘えてしまう」

 

 水都は棗にそういうと、それに対して棗はそれ以上は言わなかった。

 

「棗様が許しても、大社はきっと許さないでしょう。いいのです。」

 

 巫女でもない一般人である水都が棗に勇者になる前と同じ態度をとる事は出来なかった。この地に縛られているからこそ、この地に見捨てられたら生きていけないからだ。

 

「……私はいずれ四国に行く」

「そう、ですか」

「沖縄にいるだけだと、沖縄の未来も護りきれないと知ったから。四国には私の知らない私を知っている人たちが友奈たち以外にもいる」

 

 別の古波蔵棗が素晴らしい人物だったのは彼女達を通して伝わってきている。それでも、沖縄がおそらく護りきれなかったのであろうというのも伝わった。

 

「自分の大切な場所を守りたいからこそ、彼女達と一緒に四国に向かう。だから、水都さんは帰ってくる場所として沖縄にいてほしい」

 

 だからこそ、棗もまた決意するのであった。

 

「それが沖縄を、世界を救う事になるのでしたら私に言えることはありません」

 

 神世紀の世界では赤緑水都が沖縄を出奔し、棗の方が沖縄に残った。それが逆になる事が、この時点で決まったのである。運命の歯車は、また少しずれていくのであった。

 




サブタイトルはゆゆゆいの棗のURタイトルから
今回で棗編終了です。次回から乃木若葉に戻りますね
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