結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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乃木若葉の章-13「思いやり」

 

 出雲大社から帰省して数日後、ひなたの部屋に突然の来客があった。

 

「ひなた。ちょっといいか?」

「球子さん。どうしたんですか?」

 

 球子は、少し言いづらそうとも恥ずかしそうともとれる表情をしながら聞いて来た?

 

「あのな。真鈴は元気か?」

「え、ええ。元気ですよ」

 

 その質問は、意外と言えば意外な質問だった。でも、球子達と真鈴が全然あっていない事も事実なので質問には答える。

 

「それは良かった。それじゃあ」

 

 球子はギクシャクしながら、ひなたの部屋を出て行ったのだった。

 

「球子さん何かあったのかしら?」

 

 

 

 

 

「と、言う事があったのです」

「確かに珍しいですね」

 

 球子個人の問題なのであまり広めない方がいいと判断したひなたは杏の部屋にお邪魔して聞く事にした。

 

「仮定の話なんですけど」

「それでもいいですわ」

「タマっち先輩に行動の変化がみられたのは出雲大社からの帰省後なんですよね?」

「はい」

「それならば、若葉さんの友人の霊を見て、それが自分と友人の別れを思い浮かべてしまったのではないかと」

「その友人として思い浮かんだのが安芸さんですと? 意外ですね」

 

 球子は自他ともに伊代島杏を一番だと公言しており、実際に2人の中はすこぶる良い。なので、

 

「私の場合はお互いによくわかってますので。若葉さんの友人は理解という意味ではそこまでの深さではなかったのでしょう?」

 

 それはそうだ。彼女達の友人としての絆の深さを否定するものはあの光景を見ていないだろうが、理解度という意味ではまた別だろう。

 

「そうなりますとタマっち先輩から見て、その立ち位置にいるのが安芸さんって事なんでしょうねぇ」

 

 たしかに、ひなたが西暦勇者全体の代表になってから杏達は真鈴達他の巫女とはほとんど会っていない。巫女代理である烏丸久美子の方が成人している事もあって時々あっている気がする。

 

「今まで問題視していませんでしたが、これはもしかするともしかするかもしれませんね」

「私としてはタマっち先輩の不安が解消されて馬問題ないんですけど」

 

 杏としてはそれが一番重要な事であった。

 

「大丈夫です。ちょうど予定してた催しがあるので、そこに安芸さんと花本さんと、できれば横手さんも呼ぼうと思います」

 

 

 

 

 

 それからしばらく経過してクリスマスイブ。勇者たち一行は高松市の温泉旅館に来ていた。

 

「私達に貸し切りにしてくれるとは、太っ腹だなぁ」

「旅館側の御厚意だ。満喫しないと失礼にあたる」

 

 球子と若葉は旅館行きのバスから降りながら、温泉を今か今かと楽しみにしていた。

 

「お迎えがいるみたいですよ」

 

 ひなたはわざとらしくそう言いながら指をさすと、

 

「メリークリスマス」

「真鈴……。真鈴なのか。ひさしぶりだなぁ」

 

 そこには安芸真鈴と花本美佳。そして烏丸久美子は入口近くで待っていた。

 

「球子、それに杏ちゃん達も久しぶり。上里さんから提案されてね。久々に会ってみないかって誘われてね。私と花本ちゃん。烏丸さんはそれで来たって訳」

「郡様と皆様の御活躍は、私としても聞き及んでおります。今宵は郡様と同じ時を過ごすことを許されて、一日千秋の想いで待ち続けておりました」

「横手さんは都合がつかなくて来れてないけど、せっかくだし楽しもうな」

 

 三者三様の返しで巫女達は勇者達を出迎える。

 

「でも、日本の神社の巫女なのに海外の神様のお祭りで休んでいいのか?」

「そんな言う球子の分は今からキャンセルしてもいいって事だよな」

「そんな真鈴ぅ。殺生なぁ」

 

 その掛け合いで周りに笑いが上がった。

 

「折角ですし、風さん達も連れてきたかったですね」

「彼女達の表向きの扱いを考えると難しいですね。ですが」

 

 そう言って球子と真鈴のやり取りを見る。

 

「彼女達も含めて、みんながちゃんといられる。その日が来るのを待ちましょう」

 

 ひなたはそう言って、空を見上げるのであった。

 

 

 

 

 

「マスター……やっぱりやめましょう」

 

 一方、光子力研究所に戻った甲児はマジンガーZの再起動の準備をしながら、とある作業もやっていた。

 

「リサ。確かにこれをやったら、神の逆鱗に触れる事になるかもしれない。だが、俺はそれでも構わないと思っている」

 

 リサと呼ばれた見た目少女の存在は兜甲児からとある提案をされて、その時には空返事をしたが、すぐにそれに対する作業に取り掛かるのは流石に予想外だった。

 

「彼女達が何かをやらかそうとしている。それが達成できた時の報酬は必要なんだ。それが俺の独断だとしても」

「ですが」

「もちろん、今はまだデータだけで現像はしないさ」

 

 そう言いながら、彼が見るメル先には一人の少女のデータがあるのだった。

 




サブタイトルは安芸真鈴の誕生花の花言葉
今回は球子をメインにしたお話。もうすぐ例のアレも出てくるので
温泉回は原作の時系列だと1月だけど、ここではクリスマスに前倒しにしました
こういった事は今までもよくしていますし、これからもすると思います
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