結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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赤嶺美姫の章ー2「純潔」

 

「今日は暇だな」

 

 クリスマスの日。赤嶺美姫は1人個室で呟いた。いつも色々あるのに急になくなると虚無感に襲われた。

 

「ご先祖様もこちらの世界に来てから見かけないし」

『あら、寂しかった?』

 

 美姫がそう呟くと、赤嶺友奈はひょこっと現れた。

 

「ど、何処にいたんですか?」

『あなたにずっと憑依していたわよ? うまくやれているようでよかったよ』

 

 

 

「何で今まで出てこなかったんですか?」

『みんなが覚えていないからが1つ。もう1つは』

 

 それは衝撃的な発言だった。

 

『私が、乃木若葉を殺したから』

「それはどういう事ですか」

『ちょっと長くなるけど、いいかな?』

「大丈夫です」

 

 美姫の了承を聞くと、赤嶺友奈はゆっくりと話し始めた。

 

 

 

 

 

「精霊化の手伝いをしてほしい。ですって?」 

「そうだ。勇者の姿にはなれずとも神樹様から力を貰った貴方の力が必要なのだ」

 

 神世紀72年某日。もう老齢と言える齢の若葉に赤嶺友奈は1人だけ呼び出されて言われたのがそれだった。

 

「それって私じゃなくてレン……弥勒蓮華でもいいはずですよね」

「無理しなくてもいい。それに、ここでの私はただの若葉だ」

 

 結婚した時に若葉自体は乃木の苗字捨てており公の場以外では乃木若葉ではないと念を押すように若葉は私達に言っていた。大赦と子孫の思惑により後に乃木姓は復活するのだが、乃木若葉自体は乃木姓を頑なに拒んでいた。

 

「蓮華の方は、おそらくだが無理だ。何なら伝える事で失敗する可能性もある」

「そんな危険な橋を渡る物なのですか?」

「危険と言えば危険だな。赤嶺も話を聞いてから断っても構わない」

 

 そう忠告されてから話された内容は赤嶺友奈の想像の遙か上だった。

 

「本気で言ってますか?」

「本気だ。そもそもが私達が未来に先送りにしてしまった事だ。西暦の最後の勇者として見届ける義務がある」

 

 その目の威圧感は、衰えると言う事を一切知らない瞳をしていた。

 

「下手をすると、神樹様をも敵に回すかもしれませんよ」

「構わない。彼女を救えなかった時から、私に許される道は既にないのだから」

 

 若葉は郡千景の事を思い返しながら言ったが、この時には歴史から抹消されている以上、赤嶺友奈がその彼女が誰を指すのか理解できるはずもなく、若葉の伝記で出てくる幼馴染達の方だと誤解していたのだった。

 

「わかりました。やらさせていただきます」

 

 しかし、その勘違い故に赤嶺友奈は受けることを決心するのであった。

 

 

 

 

 

 数日後、朔月の夜。その儀式は丑三つ時にとあることをする事で完了する事になる。若葉の方は所定の場所で既に待機しており、赤嶺友奈も儀式の準備を勧めていた。その時だった。

 

「夜襲だぁ!」

 

 儀式を行う日付と場所は秘密にされていたはずなのに、何者かがこの場所に夜襲を仕掛けてきた。今を逃すと最低でも1ヶ月が待たなければならなくなる。早期解決のために赤嶺友奈も現場に向かう。そしてその場にいたのは

 

「レンち……どうして」

 

 襲撃犯の正体は弥勒蓮華その人だった。

 

「どうしてって、友奈こそどうして、若葉様を殺す依頼を引き受けたのです」

 

 そう。若葉の頼みとは神樹の力を持つ者に自分を殺してもらうことにより精霊化しつつ、神樹から解放され未来の勇者を見続ける者になる事だった。

 

「若葉さんが未来を、未来の勇者を見届けたいと言ったから」

「あの方はもう十二分に背負いましました。何よりも、友奈の手を染めさせるのが弥勒として56億7千万分の1も譲歩するつもりはありません事よ」

 

 そういって蓮華は友奈を止めにかかる。大切な人に頼まれて大切な人が大きな過ちに手を染めるまえに。

 

(ホントにもう……レンちはレンちだよ)

 

 実際そうなのだ。赤嶺達がやろうとしているのは自然の摂理から外れた行為で神の怒りを買うかもしれない。言っている事が正しいのは蓮華のほうであり、赤嶺達もそれはわかっている。

 

(それでも、なんだよ)

 

 それでも。誰かが終わりを見届ける必要があるのだ。そしてそれを見届ける人材として若葉以上に相応しい人材がいないのも事実なのだ。そして、それに弥勒蓮華を巻き込みたくないと改めて思った。だから、

 

「蓮華」

 

 友奈は愛称であるレンちではなく蓮華と呼ぶことにした。これからする事に対して自分から弥勒蓮華を拒絶するように。

 

「もう私達は交われない」

 

 若葉はきっと蓮華に話したらこうなる事は予測で来ていたのだろう。だから友奈は自分だけに話したのだと理解した。

 

「そんなないわ」

「いまの蓮華には負けないよ」

 

 不意に拒絶された事による動揺で蓮華の動きは明らかに精細が欠けてきている。

 

「友奈」

 

 しかし、それでも蓮華だ。一筋縄に行かなかった。

 

「未来は、大丈夫よ。あの子達をこの弥勒は信じているから」

「何の話……まるで、見てきたみたいに」

「友奈にはいつか分かる話だから。だから私達はまた交われる」

 

 そう言いながら、蓮華は友奈に優しい笑みを浮かべていた。

 

「さよなら蓮華」

 

 最後に蓮華はワザと抵抗せずに私の攻撃を受けて、この事態は収束した。そして、儀式は取り留めもなく終わった。

 

 

 

 

 

「それが弥勒家の没落の原因なんですね」

『事が明るみになったら、乃木若葉の命を守る為の襲撃だから表沙汰にもできないから、とある任務においてのやらかしとなっているけどね。むしろやらかしたのはどっちなんだろうね』

 

 おそらく夜襲の最中にだろうか。弥勒蓮華は間違いなくあの世界の記憶を取り戻していた。最後に抵抗せずに受けたのは未来を知っていたからだろうか。

 

『私が反逆神の手先として彼女達の敵になったのも、若葉さん自身の願いとはいえ、彼女を手にかけたのを勇者達に倒される事で罪滅ぼししたかったのかもしれない』

 

 実際には彼女達の仲間に引きずり込まれる事になるのだが。おかげでレンちとの仲も修復できたし、悪い気分はしなかった。

 

「ご先祖様。今、嬉しそうです」

『ええ。彼女達と過ごした数年間は間違いなく私の宝物よ』

 

 臆面もなく赤嶺友奈はそう言った。弓海子に対するレンちの気持ちもこんな感じだったのだろうか。

 

『さてと。美姫。私が表に出てきたのは昔話をする為ではないわ。あなたの使命を話す時期が来たからよ』

「私の、使命」

『ええ。貴方に課せられた使命。それは……』

 

 その内容は、赤嶺美姫にとって、衝撃的内容であった。

 




サブタイトルは弥勒蓮華の勇者花の花言葉
今回の話は何故赤嶺友奈が勇者の敵の役割をする事にしたのか、なぜ精霊化した若葉が
自由に行動できているのかなどを自分なりに混ぜ合わせた結果です。
ゆゆゆいの追加の内容次第では設定の齟齬が大きすぎて出せなくなる可能性もあったので
自分のペースだとそれまでにこの設定がコンシュマー版発売までに本編で表に出るか間に合うか
不安だったのでオリキャラである赤嶺美姫の誕生日に外伝話として出すことにしました
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