結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM 作:朔月新
乃木若葉達は昼食後、いつものように訓練所に向かった。その日は兜博士が視察に来ているという事もあって、少し浮足だっていたのかもしれない。
(彼女達はいったい……)
訓練所には兜博士の他に、見知らぬ巫女が1人と柔道着をこちらも見知らぬ人物が5人。計4人が待ち構えていた。
「(ひなた。彼女達は誰だ?)」
若葉はひなたに小声でそっと聞いてみる事にした。
「(すぐに説明いたしますので、ちょっと待っててくださいね。若葉ちゃん)」
ひなたにそう言われたので、若葉はその時が来るまで待つことにした。そして、しばらくすると兜博士が話し始めた
「四国の勇者達に奈良の勇者、高嶋友奈。今の平和を守る者として、かつて平和を守った先人として、この兜甲児。見学させてもらうことにした」
「ただ君達の鍛錬の様子を見るのも何だという事で、勝手ながら相手を用意させてもらった」
「防人のリーダー楠芽吹だ」
「同じく防人隊。弥勒弓海子ですわ」
「同じく防人隊。山伏しずく」
「犬吠埼風よ」
「その妹、犬吠埼樹です」
「サポーターの赤嶺美姫です」
6人はそれぞれ自己紹介をした。
時が少し戻って……
「ええー。私達が乃木若葉達と組み手をするぅ?」
彼女達の立ち位置をどうするかという議題に対して、ふと発せられた意見に、犬吠埼風は驚きのリアクションをあげた。
「お姉ちゃん驚きすぎだよ」
「でも、相手は私達にとって伝説上の存在よ? そんな相手に組み手って」
「防人としては問題ない。日々、訓練を欠かさずしていたのだ。それに、犬吠埼風だったか?」
「ええ」
「前に夏凜にあった時の印象でだが君達は、夏凜から信頼を勝ち取っていたように感じた。どのような方法であれ、あの夏凜から信頼される存在が生半可な実力のはずがない」
「私達の事を信頼してくれるのはうれしいけど、勇者の力を使えない今は普通の学生よ」
「私としましては、勇者の力の有無を抜きにしましても、あなた達の方が若干有利だと思います」
あの乃木若葉の巫女であるひなたのその発言に一同は少し驚いた表情になった。ひなたはきにせず発言を続ける。
「理由としては2つあります。1つ目は……」
そして今……
「防人? 何かの隠語か?」
こちらの全員の自己紹介を聞いた乃木若葉が口に出した言葉がそれだった。
「兜甲児博士。あなたの差し金ですか?」
「ああ。詳しいことは言えないけどな」
「そうですか」
乃木若葉の質問に兜甲児はそう答えた。
「まずは土居球子と犬吠埼風だ」
「え、あたしが先発?」
先発で出されると想定していなかったのか風が素っ頓狂な声を出す。
「球子。大丈夫か?」
「大丈夫。タマに任せたまえ」
「伝説の勇者の相手を務めさせてもらえるとは光栄だわ。よろしくお願いするわ」
「そうだろう! タマ達はすごいんだからなぁ!」
(伝説の……。何か引っ掛かりますわね。)
風の
「それでは、はじめ!」
「いっくぞー!」
開始の合図とともに突撃する球子。しかし、
「はあぁ!」
球子の突撃に微塵も動じずに風は受け流した。その後も球子は食らいつこうとするが、
「意外とやるなぁ!」
「そのくらいのでビビるような経験は積んでないもの」
(バーテックスとの戦いに比べたら、確かに怖くはないよね……)
バーテックスとの戦いに潜り抜けた神世紀の勇者達の実戦経験は、まだ実戦経験が乏しい西暦の勇者達の訓練に追いすがり、追い抜くには充分だった。
(特殊な訓練を受けた動きではないな。だが、その一方で戦い慣れをした動きが見える)
犬吠埼風の動きを見ていた乃木若葉は彼女の戦い方を見てそう分析した。
(少年兵の類か? いや、それならば兜博士がここに連れてくるわけがない。あの人はそういうことをする性格ではなかったはずだ。それに……)
若葉の考えていることはおおよそ当たっていた。
(何故かは分からないけれど、私は彼女の、土居球子の動きや考えが分かる。まるで、こうして相手をするのが初めてじゃないかのように)
その不思議な感覚に風自身も違和感を感じていた。それが、球子の勝ち筋を失わせるには充分な要素であった。
「うわぁ!」
「私の女子力の、勝ちよ!」
「これまで! 勝者、犬吠埼風!」
まずは神世紀組が1勝をあげた。
サブタイトルは犬吠埼風の勇者花の花言葉です。
勇者達の変身前の身体能力に関しては
ざっくりとしては西暦勇者組>防人組>神世紀勇者なイメージですが
今回は勇者としての実戦経験での経験値と
ゆゆゆい世界での経験を頭ではなく体が覚えてた描写にして風に勝ち星をあげました。