結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM 作:朔月新
(とりあえずは私が前に出る事にしたものの、流石にきついですわね)
不意の一撃だったのと相手の上から下絵の攻撃にあわせた叩きつけで先程の攻撃はしのいだものの、今の弥勒達ではスコーピオンバーテックスは荷が重いのには変わりない。
「球子さんは伊代島さんを連れて一度引いてください」
「な、弥勒を一人にしろっていうのか」
「ならば、誰が気絶している伊代島さんの面倒をみるのですか!?」
時期がずれてしまったとはいえ、スコーピオンの魔の手から土居球子と伊代島杏を守る為にいろいろな手を模索していたのだ。弥勒も対スコーピオン用の解毒剤を準備して挑んできている。しかし、実力差という点で、スコーピオンに現状では勝ち目がないのも事実である。
「友奈や千景が援軍に来れば」
「……すぐにはこれそうにありませんでしたね」
2人とも大多数の星屑に囲まれていた。星屑相手なら、どれだけの数がいようとあの2人なら大丈夫だろうがそれでも十数分位はかかるだろう。
「若葉さんがもう1体の巨大バーテックスを抑えてくれているのがせめてもの救いですわ」
スコーピオンの刺突をかわしながら弥勒はつぶやく。スコーピオンと戦いになっているのは弥勒のバーテックスとの経験値が神樹様の世界にいた分プラスされているからだ。そこで大体の星座バーテックスとの交戦経験の記憶が体に残っているからこそ、しのぎ切れているのだ。
「だから、早く逃げてください!」
そう言いながら、弥勒は果敢にもスコーピオンに向かっていくのであった。
(タマは、こんなにも弱いのかよ)
切り札による攻撃も受け切れられて、さらに相手の攻撃を受け止めてボロボロになった自分の神屋楯比売を見ながらタマは心の中で狼狽した。
(タマだけじゃ杏も守れなかった。真鈴にあんなこと言っておいて、ダメダメじゃないか……)
そう思いつつも、自分だけの問題ではないので弥勒の指示通りに気絶している杏を抱きかかえて球子は逃げる事にした。
「はあぁ!」
乃木若葉の方はというと、星屑を足場代わりにしながらヴァルゴに近づいては一撃をくらわしていた。
「くっ。またか」
ダメージ自体はある。しかし、傷口に星屑が集まったと思うとすぐに修復される。相手の回復速度のが自分の破壊力より上なので攻めあぐねている。
「回復量を上回る一撃を入れるか、星屑どもをどうにかできる手がないと」
その時だった、頭上から聞きなれない音がこちら方に向かって降下してくるような音が聞こえてきた。
「隕石か? いや、樹海は神樹様の結界のようなもの。結界の外からなら隕石だって入ってこれない筈」
「神樹がシャットダウンしているキャラならそうでしょうが、私はノープレロプレムだからね」
自分の疑問に対して誰かが答えたような気がした。数瞬後、上空から見えてきたのは巨大なUFOの上に乗った有角の人型ロボットだった
「デュークさんお願いします」
「了解した。反重力ビーム」
ロボットの胸部から虹色のビームが出たと思うと星屑達は抗えずに上空に連れ去られている。
「そこの青い人。今がチャンスよ!」
UFOかロボットの中にあるスピーカーからだろうか? 何故か聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「そうだな。回復さえされなければ!」
若葉は一先ず考えるのをやめてヴァルゴに何度も切りかかる。ヴァルゴもダメージを回復しようとするが、その度に反重力ビームで邪魔される。それだけでなく爆弾による反撃も反重力ビームで自傷ダメージに変えられたりもした。そして、
「これで、トドメだぁ!」
完成型となり神世紀での遭遇した個体より進化した個体と言えど、それまでも回復がなければ若葉のが有利に立ち回っていた。故に何度もの激突の果てに、ついに若葉はヴァルゴを両断し撃破する事に成功する。
「ベリーグッド。と、言ってられないわね」
そう言って、UFOの方からキャトられそうなわっか状の光線が出てきて、その光線を中心として勇者服と思われる服装をした少女が降りてきた。
「あなたは一体……」
「その話は後。私達はもう1体のビッグなバーテックスの方にゴーよ。あのロボットは別の方の救助に」
「あ、ああ。そうだな」
若干謎の女性に押されながら、若葉達はスコーピオンバーテックスの方に向かうのであった。
「さすがに、無謀でした、かしら……」
スコーピオンの猛攻を何とかしのぎながら弥勒は言った。弥勒自身、驕りはあった。倒すことは無理でも若葉達が来るまでの時間稼ぎくらいなら余裕だと。しかし、それでも限界の時は来ていた。
「ですが、私は私の仕事をやりとげましたわ」
土居球子と伊代島杏をスコーピオンから守るという神世紀組の共通目標は達成できた。その点に関しては弥勒は満足していた。
「さぁバーテックス。この弥勒弓海子は何処にも逃げたりしませんわ」
自分に活をいれる意味も込めてバーテックスに高らかに宣言する。それが聞こえているのかいないのか、スコーピオンはその針を、弥勒に対して高速で突き刺そうとした。その時だった。
「それはストップさせてもらうわ」
遠くから鞭がスコーピオンの尾に伸びたかと思うと、絡み取られ引っ張られる。その結果、針は弥勒のところまで届くことはなかった。
(あの鞭は……)
弥勒がそう思って向いた先には、思った通りの人物がそこにいた。
「大丈夫かしら? 」
「弥勒……か? 球子達はどうした?」
隣には若葉もいたようで、こっちを担当していたはずの球子の存在を尋ねられた。
「球子さん達は球子さんの方は武器が半壊。杏さんの方は意識不明だったので戦闘不能と判断して退避してもらいました」
「了解だ。しかし、無茶をする」
そう言いながら、若葉は臨戦態勢に入っていた。
「あの尻尾の先のの針には毒があるようです。気を付けてください」
そこからは蹂躙だった。特に鞭によってスコーピオンの動きが制限されている影響がデカかった。それによって、スコーピオンはやりたい動きを満足に取れずにしかし、体力と耐久が高いために一撃で倒すこともできず、先程のヴァルゴの時と同様にジリジリと削られていくのであった。星屑の同化による回復も若葉はもちろん弥勒も知っていたかのように妨害して、そしてついに。
「やった……」
若葉が確かな手ごたえと共にそう言うと、両断されたスコーピオンがそこにいるのであった。
サブタイトルは白鳥歌野の勇者花の花言葉その2ですね
スコーピオン討伐まで行きました。球子達の方は作中で何度も触れてますが
高嶋友奈の酒吞童子は使わずに勝利もまた大きな変化