結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM 作:朔月新
「もちろん、若葉さんが口で説明するのが苦手な側っていうのも少なからずありますが、本気でぶつからないと分からない事。見えない物っていうのも当然ありますから」
「私達もぶつかりあった事があった物ね。今の2人には必要な行為よ」
その言葉に犬吠埼風も同意する。
「そうだな。私も夏凜と本気でぶつかり合って、見えた事がある。これを止める理由が今の私達にはない」
「むしろ、禍根が残った方が危険だね。マイナスの感情を貯め続けるのって、とってもつらい事だから」
芽吹も同意して園子が締めた。各々が、理由こそ違えど、似たような経験をしている。
「だから信じましょう。私達のベストフレンドたちを」
歌野がそう言って、2人を見つめるのであった。
「なんで、なんで届かないのよ」
千景は焦っていた。7対1で攻めているのにあと1歩のところで若葉に届かないからだ。
「そこだ」
そして、少しの隙から一掃される。千景はすぐさま分身を補充するが、倒すたびに若葉のギレが良くなっており、追い詰まれているのが自分の方だと嫌でも自覚する。
「私は、勇者でないと何の意味もないのに。そう思っていたのに」
千景の慟哭はつづく。
「乃木さん。なんであなたはそんなに強いの。そんなに眩しいの。そんなんじゃ、私はいつまでも追いつけないじゃない。仲間でいる意味がないじゃない!」
「千景……」
「最初はこんな気持ちはなかった。ただ勇者として、誰かに認められたいって。私を貶めていた人達から賞賛されたいって。利己的な気持ちしかなかった」
抑えていた感情があぶれだすかの如く千景は叫ぶ。
「でも、あなた達と一緒にいて変わってしまっていた。それに気づいたのはドクターヘルのもとで別の世界の私の最期をしまったから」
「なに……」
「その最期に関しては言いたくないわ。でも、私達はこのままだと負ける。だからこそ、私はあなた達に勝たないといけないの」
「それは違う」
「どこが違うのよ。世界が、私達が生き残る道筋はもうこれしかないはずよ。私達では、もう届かないのだから」
「届く。その証拠を今から私が見せる」
そう言って、若葉は精神を集中させる。
「義経。大天狗。頼む! 私の友にこの世界の未来を見せてくれ!」
そういうと、若葉の背中に黒い翼が生えてきて、次の瞬間。千景が7人全員吹っ飛ばされて壁にたたきつけられていた。
「切り札の複数同時憑依……。それに大天狗を使うのは若葉ちゃん今回が初めてのはずなのに」
「そんな事できるなんて流石マイベストフレンド」
ひなたと歌野は驚き、その言葉に芽吹と風も続ける。
「私は似たようなのを見たことあるが、さすがだな」
「そうね。私も見た事があるわ」
それは天の神に立ち向かった時の友奈のことだ。あの時の友奈は勇者部の精霊の力を引き出していた。つまり、勇者部の精霊全員と1つになっていたともいえる。だから不可能でない事は知ってはいたのだ。
「はぁ。はぁ……」
流石に無茶があったのか、若葉は一気に変身解除に追い込まれた。
「千景どうだ。これでも勝てないのか? 別の世界の私はこれが出来たのか?」
「出来なかったわ。やはり、私は追いつけないのね」
「違うぞ千景」
そういって、若葉がボロボロの身体で千景に近づく。
「お前が本音で、本気でぶつかって来たから更に上に行けた」
「私達には千景が必要なんだ。戻って来い」
そういって、手を伸ばす若葉。それに対して倒れたまま千景は手を伸ばそうとして。
「やはりこうなったか」
千景は急に勢いよく若葉の手をはじくとまるで人形にみたいに不自然な立ち上がり方をした。
「どうした千景!?」
「わからない。体が勝手に」
「フフフフフ……気分はどうかね」
自分の身体の異変に戸惑う千景に対して、あしゅら男爵が何処から出てきた。
「あしゅら男爵! 千景に何をした!」
「新参に対して保険をかけておくのは当然だろ?」
「私はただ、バーテックスに対抗する術をしりかっただけで協力するつもりは最初からなかったわよ」
「ああ。わかっていたさ。だからこそ、お前に気づかない様に制御装置を付けさせてもらった。今からお前の身体は私の思うがままだ」
「くっ」
「さぁ、勇者の諸君。ここからが第2ラウンドだ」
あしゅら男爵はそういって不敵な笑みを思い浮かべるのであった。
サブタイトルは千景の誕生花の花言葉
若葉VS千景は、やっとかないといけない所かなって思ってここまで書いてました
2人が本気でぶつかり合ってこそ、これからの未来に繋がる
そして、そうは問屋が卸さない邪魔が入る。勇者達は乗り換えられるのか!?