結城友奈は勇者である 花結いのINFINITISM   作:朔月新

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乃木若葉の章ー25「互いに思う」

 

 時が少しさかのぼり、土居球子を見送ってしばらしくした頃、伊代島杏は病院のベッドで黄昏ていた。

 

「タマっち先輩……。みんな……」

 

 本当は一緒についていきたかった。しかし、ずっとバーテックスの毒の影響で昏睡状態だった自分が行っても邪魔になるだろうというのはわかっていた。何が起きているのかは知らないがタマっち先輩の様子的に自分がこうしていては本来いけない状況なのは把握していた。

 

「私は、どうしてこんなに無力なんでしょう」

「無力じゃないよ。杏さん」

 

 そう言って、杏の何処からともなくあらわれたのは見覚えのない少女だった。

 

「あなたは一体?」

「アタシは三ノ輪銀。須美達から話は聞いているはずだろ?」

 

 三ノ輪銀という名前自体は確かに聞き覚えがある。しかし、

 

「須美さんって誰ですか?」

「ああ、須美は東郷美森の事だよ。今はあだ名みたいなものだと思っていいよ」

 

 東郷美森さん

 

「今のアタシは精霊に近い存在で実体がない。バーテックス相手ならそれでも戦えるが、今の彼女たちが相手しているのはバーテックスとは別の存在で力になれない。だから、言いにくいんだけど……」

「いいですよ」

「まだ言い切ってないけど、いいのか?」

「私もタマっち先輩達の力になりたいんです。それに、今はいかなければ後悔する。損な予感がするのです」

「……わかった。それじゃあ、アタシの手に重ねながらこう言って」

 

 三ノ輪銀がそう言って差し出した手を杏は重ね合わせながら杏子はこういった。

 

「私に力を貸してください『鈴鹿御前』」

 

 

 

 

 

「くっ……」

 

 体を無理矢理動かされている千景はもう肉体的にも精神的にも限界だった。本来は七人出していられるはずの七人御先も、今は本人含めて4人しか維持できていない。

 

「千景! 絶対に助けるからな!」

「土居さん! どうして? 私はあなたにきつく当たった事もあるのに、迷惑もたくさんかけているのに!」

「それを言うならタマもそうだ! ずっとふさぎ込んでて大切なものを見えてなかった!」

 

 そう言って千景をタマは抑え込む。

 

「それに千景が言ったんだろ? タマ達は5人で1人の勇者だって!」

「……いいえ。土居さんが先に言ったはずよ」

 

 前にもあったやり取り。しかし、その時とはお互いに逆のことを言う。

 

(千景を操っている原因がタマから見て全然わからないぞ)

 

 会話に関しては千景は全然縛られていない。それが逆にやりにくさをあげているのだが。

 

(でも、ここでタマが不安になったら千景も絶対に不安になる。今度こそ守り抜くってタマは誓ったのだから)

 

 その思いを胸にタマは千景と刃と言葉を重ねるのであった。その瞬間だった。

 

(何だ。今のは?)

 

 今、一瞬だけ千景の七人御先の精霊が見えた気がした。何か、枷みたいなものがついた精霊が。

 

(何で見えたんだ? いや、それは重要な事じゃない。アレだ。千景本人じゃなくて、精霊を通じて千景を操っていたんだ。)

 

 とはいえ、精霊は普段は現実世界にいない。それにどうやって枷をつけたのかは不明だが、問題は精霊に対して直接攻撃できるかどうかだ。

 

『できるよ』

 

 そう珠子が思った時に何故か脳内に少女の声が聞こえた。

 

『刀使は隠世にその身を潜らせることができる。精霊が隠世にいるなら、その層まで潜れば、私達の刀で行けるよ!』

「そうだな。やらずに迷うなんて、タマらしくないよな!」

 

 少女の声に押されるように球子は覚悟を決める。

 

「千景! 戻って来い!」

 

 そう言って隠世にいる七人御先の精霊に攻撃し、枷を破壊する事に成功する。

 

「あ……」

 

 枷が解かれると当時に千景は変身が解除され、倒れ込むのを珠子は受け止めた。

 

「千景も頑張ったぞ」

 

 そうして、少しほっとした顔をしたのち、あしゅら男爵の方に厳しい視線を向けるのだった。

 

「さぁ、千景は解放したぞ。あしゅら男爵」

 

 それに対してあしゅら男爵はというと  

 

「まさかここまでやれるとは思わなかったな。だが」

 

 そういうと量産型グレートマジンガーが追加投入される。先に出ていた3体はグレンダイザーが抑えているとはいえ、これ以上の投入はグレンダイザー1体だけでは抑えきれるものではない

 

「そりゃ量産型だから3体だけで済むわけないよな」

 

 芽吹の発言に対して、若葉は何か気づいたようだ。

 

「……おかしい」

「おかしいって若葉ちゃん何がですか?」

「なぜ最初に投入された3体がまだ倒されていないんだ?」

「それは超合金ニューZで出来ているからじゃないの?」

「超合金ニューZは強固ではあるが決して無敵の物質はない。グレートマジンガーが常勝していたのは剣鉄也さんの技術あってのたまものなんだ。それに、諏訪の守護神とまで言われたグレンダイザーが超合金ニューZを破壊できない程度の性能なわけがないんだ」

 

 マジンガーを深く知るこの世界の若葉だからこその発言に一同は納得する。

 

「そうだな。貴様らでも流石に気づくか」

 

 そういって、バードスの杖の先から量産型グレートのコックピットの映像が拡大される。そこに映し出されていたのは

 

「バーテックス……」

「そういうことだ。バーテックスと既に我々は協力態勢になっていたのさ」

「千景を騙したのか!?」

「騙してはいないさ。バーテックスも貴様ら地球人も両方とも我々の仲間になれば敵対関係にはならずに滅びないだろう? 最も、こ奴に話す理由もなかったがな」

 

 あしゅら男爵はそういって嘲笑った。

 

「グレンダイザー自体は正直、脅威の1つではあったが、バーテックス相手には有効手段を持っていないのは知っていたからな。こうなってしまえばただのウドの大木よ」

「すまないが、どうやら事実だ」

「そんな。デュークさん」

「大丈夫だ歌野さん。その為の対抗策が、俺達にはある!」

 

 デュークがそう言うと上空から何者かが舞い降りた。

 

「ベガホーク! ベガ、カリバー!」

 

 量産型グレートの1体に斧と剣を構えて猛スピードで突っ込み、見事に右肩を切り落とした

 

「夏凜!? 少し合わないうちに何かキラキラしちゃってぇ」

「今はそんなこと言っている場合じゃないでしょ風!」

「皆さん。遅れてすみません。こちら東郷美森。北海道メンバーを連れて、無事帰還しました!」

「東郷! よくやったわ」

「北海道メンバーだけじゃないよ」

 

 そう言いながら、あしゅら男爵に対してストレートを放つ少女がいた。

 

「友奈!」

「あなたがぐんちゃんにひどいことをしたんだね」

「そうだと言ったらどうする?」

「ぐんちゃんにやったしうち。私が叩きつけてあなたに返してあげる!」

 

 高嶋友奈はそう言ってあしゅら男爵に拳を向けるのであった。

 




サブタイトルはゆゆゆいの土居珠子のURのサブタイトルから
郡千景の救出一旦完了。操られていたのは七人御先の方だった
とりあえず、後は沖縄組と杏が来れば全員集合なのでがんばりたい
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