海賊少年を百合の間に挟んでみる実験   作:愛犬家

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なんかまた次の投稿が遅れそうなので初投稿です

今回はまた短編集っぽくしてみました。
割と捏造設定やらかしましたので、ご注意を。

…まあ、最初っからやらかしてるか。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではどうぞ。




意外と養命酒もいけるなぁ…


#10海賊と一緒②

その1.海賊とリス(本体)

 

「お、制服届いたのか。似合ってるよ」

「トビアか…。ボクは表の仕事するつもりはないのに…」

「まあ、千束に捕まったら逃げられないさ。おとなしく頑張って」

 

黄色の和服を身にまとった、金髪でこっぱちのちびっこが出てきた。

先日の護衛任務の末、無事喫茶リコリコの仲間となった最強ハッカー、ウォールナットことクルミだ。

どうにも押し入れから千束に連れ出され、着替えさせられたらしい。

彼女は不満たらたらの表情を隠そうともせず愚痴る。

 

「大体、人手は足りてるだろうに…」

「まあまあ、やってみるとなかなか楽しいかもよ?」

“やらないうちから文句言わない”とたしなめるトビア。

2人の髪色のせいか、歳の離れた兄妹同士のやり取りにも見えなくもない。

なお、個人経営の喫茶店にしては、店長を抜いて5人の従業員は確かに多い。

 

「あと、表の仕事を持ってると結構便利だよ?いざって時には、それが自分の身を守ってくれるし」

「……まあ、それは分からなくもないが…」

素性を保証してくれるものは、多い越したことはない。

 

すると、クルミがこんなことを聞いてくる。

「しかし、それはお前の経験則かい?スカルハート」

 

緊張が走る。

はたして、トビアの反応は

「うん?あ、知ってたんだ。そうだよ、安心できるものだよ?」

あっけらかんとしたものだった。

 

「いや、もうちょっと動揺してくれよ……」

「別に隠してないからなぁ。ただ、DAとしてはなるべくおれのこと、隠しておきたかったみたいだけど」

せっかくハッカーらしく、暴いた情報を突き付けたというのにやりがいがない。

クルミはどこか不満げだ。

「そういえば、ダークネットじゃぼくの事なんて書かれてるの?」

「…ドクロの巨大ロボを操る海賊。あと、恐ろしく強い」

「割とざっくりなんだ…」

つまらなそうに話す彼女。すっかり機嫌を損ねてしまったようだ。

 

「ていうか、巨大ロボ、見れないのか?ぜひとも見たいんだが…!」

心なしか目をキラキラさせるクルミ。やっぱり、そういうメカものが好きなのだろうか。

「まだクルミの事ごまかし切れていないから、ダメだよ。格納場所、DAのカメラ入ってるから」

なにせ、トビア達のわがままでこちらの管理としてしまったのだ。あんな強大な戦力に、監視がつかないわけがない。

「カメラにダミーを走らせようか?」

「それをするためにも、もうちょっと待っててよ。まだDAのシステム周り、把握しきってないんじゃないの?」

「はっ、ボクを誰だと思ってるんだい?そんなものとっく………、あっ」

「うん?」

「い、いやっ!なんでもない。そういうことなら仕方ないな。楽しみにしてるよ、うん」

急に慌てだすクルミ。違和感を覚えるも、まあいいかと流すトビア。

 

「さ、とりあえずみんなに制服見せていこう。話逸らしてもダメだよ?」

「う、ダメだったか…。まあ、さっきから千束の無言の圧がすごくなってきてるしな」

見ると、部屋の出口で“早く来い”と手招きしている千束が見える。心なしか、表情が不満気だ。

「ほら、先輩の機嫌を損ねないうちに行った行った」

「ボクはお前たちより年上なんだがな…」

 

とぼとぼと出口に向かい、すかさず千束に捕まるクルミ。

また賑やかになるな。

そう思いながら、開店準備を進めるトビアであった。

 

「………」

「千束さん?」

「たきな、あれなんだけどさ」

「?トビアさんたちですか?」

「仲良くなるの、早くない?」

「……なんで悪いことみたいに言ってるんですか?」

「いや、悪いことじゃないんだけどさぁー…」

「それにしても何話してるんですかね。混ざってきたらどうです?」

「いや、まだここで監視してるっ!」

「…勝手にしてください」

 

 

その2.新入りと情報開示

 

「初めまして!先月より本部所属となりました!セカンドリコリス乙女サクラです!あのスカルハートにお会いできて光栄です!よろしくお願いします!」

「あ、うん。よろしくね。…あれ?」

 

ウォールナットからの依頼が来る前、トビアは自身のエージェントとしてのライセンス更新を終えるために、久々にDA本部を訪れていた。

電車を乗り継ぎ、駅に迎えの車、そして認証を経て本部に入ると、色んな職員から声がかけられる。特に群がるのは、リコリスだ。

何があった、この前の任務で大変だった、そっちはどうだったとにわかに騒がしくなる。

そんな中、紺色の制服を着た、中々カッコいい髪型をしたリコリスが前に出て挨拶してきた。

 

「あなたの活躍は北海道にいた時から兼ねがね…」

「あれ、ぼくがスカルハートってこと知ってるの?」

 

「DAの方で情報開示されたんですよ。お久しぶりです、トビアさん」

彼女がこちらの素性を分かっていることに疑問を抱いていると、その後ろから赤い制服を着た小柄な少女がやってくる。

春川フキ。スカルハートを除けば、最高戦力に数えられるファーストの名を冠するリコリスの1人だ。

 

「フキさん、久しぶり。元気そうで何より」

「はい。トビアさんはライセンス更新ですか?」

「まあね。それにしても、DAが情報開示?随分と気前が良いね?」

DAにとってスカルハートは鬼札。強力無比なX1に、それを手足のように操るトビア。投入される現場は非常に限られるが、出せば間違いなく勝てる。なるべくぎりぎりまで隠しておきたいはずだ。

それ以前に、秘密主義の塊のような組織だ。いったい何があったのだろう。

 

「ああ、それは単純に……」

「この本部だけの話です!なんでも、本部直属の職員にとってスカルハートの正体は公然の秘密状態!ならば本部に配属となった職員には明かしてしまっても問題ないだろうとのことです!」

すかさずサクラから注釈が入る。割り込まれたフキが不服そうだ。

「おい、サクラ…?今は私が話してるんだが…?」

「先にスカルハートと話していたのはこっちッスよ!割り込んだのはそっちじゃないですか!」

一触即発。身長差があるせいか、メンチの切りあいに迫力が増す。

「いや、お二人さん落ち着いて…。ていうか、本部から異動になる職員が出たら、ここだけにする意味ないんじゃ…」

「「本部から異動者を出すことは基本ありません!」」

「仲良しか君ら」

 

「じゃあ、また後でね」

そろそろ体力テストの時間が迫ってきた。一声かけ、振り返ると今度はプロレスのように取っ組み合いをしている。

「はい!また後で!」「ああ、スカルハート!まだお話ししたいことがっ……!」

“元気だなぁ”と、気の抜けた感想を漏らすと先を急ぐトビア。

 

「相変わらずだな、DAも」

先ほどの言葉を思い出す。

“基本的に”異動者は出ない。つまり、異動者が出るときは特殊な事情か、または……。

「…いや、今考えることでもないな」

 

10年経っても、この組織は好きになれそうもない。

あんな普通の学生みたいなやり取りをしている子たちに、こんなことを言わせるこの組織に。

 

「……さっさと更新を済ませよう」

そして、さっきの子たちと話してこよう。

少しでも、この場所以外のことを。

自分たちには、ここ以外にも生きられる場所があると、ほんのちょっとでも意識してもらえたら。

そんなことを思いながら、トビアは更衣室のドアを開いた。

 

「………あれっ、たきなさんからは特に聞かれなかった……?」

彼女にスカルハートとか興味ない可能性が出てきて、トビアは少しテンションが下がるのだった。

 

※たきながリコリコへ異動になってからの情報開示だった。

 

「で、どうだったサクラ?憧れのスカルハートと話してみて」

「いや、途中で割り込まれて碌に喋れてないんスけど…。まあ、はい、嬉しかったっス」

「ていうか、何だあの敬語。転属してきて初めて聞いたぞ、お前」

「だって粗相があったら悪いじゃないスか!…変な子だって思われたくないし…」

「…お前、トビアさんになんかしてもらったか…?」

「…北海道支部の時に、ヘリから助けてもらいました…」

「本人に言ってやれよ…」

「覚えていなかったら、キツいっス…」

「……なんで本部に転属する奴は、似たようなのばっかりなんだ……」

 

※なお、トビアには結局言えずじまいだったそうな。

 

 

おまけ

・いつかのDAその3

「チェーンも大剣も無いのですか…」

「いや、スカルハートに憧れてるのはよく分かるけど、いったい何を真似しようとしたんだ…?」

「…6年前に、スカルハートとドクロの巨人に助けてもらいました」

「…おう」

「その時に、巨人が対象を破壊するときにチェーンと大剣を使ってまして…」

「いや、そっちの方を真似するのかよ⁉」

 




以下筆者メモ

その1
・リコリコの人手→やっぱり多い。でも、2階まであるし、多少はね?
・表の仕事→トビア君たちのブラックロー運送は、運送どころの騒ぎじゃない事業規模になってた。
・実は知ってたスカルハートの正体→ラジアータに攻撃仕掛けたし、そら知ってる。
・緊張が走る→クルミの中で。
・あっけらかん→とは言いつつ、内心結構ビックリ。本部にしかない情報だから、あれ、もしかしてこの子……?
・別に隠してない→次の小話でやるのですが、本部じゃみんな知ってる。
・ダークネット→別にフォルテとかはいない。
・巨大ロボ→みんな大好き巨大ロボ。最近またアニメが増えてきて嬉しい。
・監視カメラ→24時間監視中。たぶんウォンバット定点カメラみたいなノリ。
・千束の圧→「何いちゃついてん。はよきいや」
・何も知らないたきなさん→あのサ店、そんなに距離ないはずなのに妙に聞こえ辛くなるときあるよね。

その2
・サクラ→髪型が男らしい。生意気口調の後輩キャラが、憧れの人の前だときっちりするのが好き(筆者の趣味)
・情報開示→ぶっちゃけ、本部の連中ほとんど知ってるし、開示してもいいんじゃね?の精神。ニードトゥノウと言えど、限度がある。
・フキカットイン→実はたきなちゃんのことで少し相談があったイメージ。詳細は次回で、…書けたらいいなぁ。
・メンチの切りあい→グレ〇ラガンのメンチの切り方大好き。
・異動者→あんな組織だからね。言葉通りとは到底思えません。情報部の出身のミズキだって、あれ実際は出向扱いで全然やめられてないのでは、というイメージ。
・仲良しか→バディだからね。
・こんなこと→あの2人は、異動者に込められたニュアンスを、ちゃんと理解してるイメージ。リコリスってその辺はしっかりドライな印象。あんなかわいい顔して、何人看取ってきたんだろう。
・さっさと終わらせて話してこよう→その結果パフェに興味津々。
・またしても何も知らないたきなさん→タイミング悪かったね。
・ヘリ→ヘリとやりあって勝てるのは某蛇だけです。くれぐれも真似しないように。
・似たようなの→この10年でどれだけフラグを立てたんやトビア君…。

おまけ
・そっちかよ→でも生身のアクションしてないから、参考にしようがないという割と悲しい事実。

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。
いかがでしたでしょうか?

次回も例によって未定となります。

それでは皆さん、またお会いする日まで。

感想、評価、いただけると幸いです。





ザビーネ・シャルに、安らかな眠りを
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