海賊少年を百合の間に挟んでみる実験   作:愛犬家

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熱が37.5℃まで下がったので、初投稿です。

特に書くことないなー、と思ったんですけど、一言だけ。
スウゥゥゥ…ダイナアアァァァァァ!!!!

なんのこっちゃと思ったあなた、デッカー 21話 で検索を。

ほんの少しでもお楽しみいただけたら幸いです。

それではどうぞ。



トローチおいちい。


#15海賊とさかな

5.

「たきな、トビアにもうちょっと手加減してあげて…?」

「手加減、とは?」

「うん、デリケートな話題だから疲れちゃうのよ。そもそも、男の人が女の子の下着の事なんて分かる訳もないし」

「…トビアでも分からないことがあるんですね…」

「何その厚い信頼」

向かう途中、そんな会話を繰り広げる千束とたきなの2人。

たきなの天然ぶりに早くもたじたじだ。

 

そうしてたどり着いた目的の店。

様々な種類の下着が陳列されている中、“どーよ”とたきなに視線をよこす。

「………沢山ありますね」

「好きなの試してみな?」

「好きなの…。仕事で使える様なのはどれでしょう…」

「ガンアクション前提⁉そんなのあるか!」

ふと、この前トビアと一緒に観た映画のワンシーンが脳裏によぎったが、すぐに切り替える。

「そういう意味では、このトランクス結構いいんですよね。通気性もあるから不快感は少ないし動きやすいですし。流石は店長って思ってたんですケド」

「いや、そこまで考えてる訳ないから!…だいたい、トランクス履いてるなんて人に見せられないでしょ…」

呆れた声を出す千束。まさか男物の下着にそんな副次効果があるとは…。

「いえ、パンツ自体人に見せるものではないのでは…?」

「いざって時どーすんのー」

反射的にそんなことを言う千束。

そう言われたたきなとしては、

「いざって。…どんな時のことを言うんですか?」

こう尋ねざるを得ず。

 

「え。………」

思わずフリーズ。本日2度目だ。

(いざ、いざ、いざ……。まあ、ソウイウコトをする時というか、なんというか)

またもや先日の映画のワンシーンが脳内再生。ギャグとして描写されていたが、あれは間違いなく……。

そして、同時にトビアの横顔が出てくる。

(あ!ダメな奴だコレ!まずいまずいまずい、トビアで想像しちゃう!)

2人で並んでベッドに腰掛ける。どちらともなく自然に倒れこみ、そのまま……

 

「しっ!しししし知るかぁ!バカたれー!」

寸前で何とか軌道修正。顔を真っ赤にしながらも声を荒げることで、話題を強制終了しようとする千束。

 

「うーん………」

対するたきなは、思案顔で唸る。

「た、たきなさん…?」

なにか嫌な予感を感じ取った千束は、たきなから距離をとろうとする。

が、それよりも早くたきなが千束の腕をつかむと試着室に連れ込む。

「うえっ、えええ⁉」

素早くカーテンを閉められ、鏡を背にして追い詰められる。

目の前のたきなにじっと見つめられ、沈黙。

 

「…な、何…?」

たまらずたきなに問いかける千束。

すると、とんでもないことを言われた。

「千束のを見せてください」

「は、はいいい⁉」

「見られて大丈夫な下着というのを知りたいんです」

真剣な表情のまま、前にしゃがみ込むたきな。

 

あんまりな理由に固まる千束。

「早く!」

「急かすな⁉」

仕方がないと、謎の焦燥感に駆られて自分のホットパンツを下げる千束。

 

その顕わになったパンツを食い入るように見つめるたきな。

控えめに言って、地獄だ。

 

「うーん、……これが私に似合うっていうと、ちょっと違いますね…」

「そうだね!なんで見せた私!」

やけくそ気味に叫ぶ千束。

既に涙目だ。

 

「とりあえず、これが見せてもいい下着ということですね」

たきなは満足したようで、試着室から出ていく。

 

もうこのまましゃがみ込んで泣いてしまいたい、そう思っていた千束は、今のたきなの言葉に違和感を覚える。

「…あれ。たきな、もしかして見せる予定が……?」

急いでズボンを履きなおし、試着室を出る。

 

この後めちゃくちゃ問い詰めながら下着を買った。

 

「おーい!トビア、こっちこっちー!」

連絡を受けたトビアは、待ち合わせ場所に指定されたカフェに向かっていた。

なんでもハワイをテーマにしているらしく、パンケーキが有名なお店のようだ。

 

「ふう、お待たせ、2人とも。…そのパンケーキデカすぎない…?」

千束とたきなの前に鎮座しているパンケーキは、とても常識的な量とは思えないトッピング盛りだくさんのものだった。

「お疲れ様です、トビア。…やっぱり大きすぎますよね、それ?」

「なんだよー、2人してさー。それだけカロリーを必要としてんのー!ほんっっっとに疲れたんだからっ!」

そう言って、パンケーキにありつく千束。見てるだけで胸焼けしそうだ。

「あ、アイアスコーヒーを一つ」

とりあえず注文。ここに来るまでは、パンケーキの一つでもと考えていたが、流石に憚られる光景だ。

「う~ん、美味し~」

「食べ過ぎですよ、千束。おいしいのはいいことですけど…」

「野暮なことは言わな~い。寮じゃこんなの食べられないし~」

「寮の食事もおいしいですけど…」

「そりゃ、宮内庁の総料理長やってた人が作ってるからね。レベルはダンチよ」

「……そうなの⁉」

ここで意外な事実が判明して、驚くトビア。

 

「あれ、トビア知らなかったの?何度か寮の食堂使ってなかったっけ?」

「いや、そこまで頻度多いわけじゃないよ?任務が長引いて、夜遅くでリコリコに帰れないときぐらいで…。え、ホントに?」

「というか、トビア、寮の食事知ってたんですね…」

意外そうな目を向けるたきな。

確かに言われてみれば、男の自分がDAという女の園で食事をとっているというのは、違和感がある。

「まあ、トビアもフリーでやって長いからねー。で、話し戻すけど、あそこのスイーツってかりんとうだけじゃん!流石に飽きるって~」

「あー、なんとなくその気持ちは分かるなー」

「私は好きですけど、かりんとう」

「そりゃ来たばっかだからでしょ!大体、人間一生のうちに食べられるものは限られてるんだから、チャンスがあればどんどん食べてかなきゃ!」

そう言って大きく口を開けて頬張る千束。

言わんとしてることは分かるが、あんなに食べて今夜は夕食が入るのだろうか。

 

と、ここでたきながぼそり。

「……太りますよ」

「貴っ様、言ってはならんことをー!」

“道連れじゃぁー!”

千束からパンケーキ攻撃を食らい、沈黙するたきな。

「………」

トビアは我関せずといった雰囲気を醸し出し、アイスコーヒーを飲みながら2人を眺めるのであった。

 

「トビア、千束とは長いんですか?」

「え?」

千束がメニューが読めずに困っている観光客らしい男女を助けに行っている間、いい機会だと思いトビアに質問をぶつけるたきな。

「あー、軽く話したっけ。そうだね、かれこれ10年くらいかな」

「10年、…もしかして電波塔事件の頃から?」

「そう、だね。あれが初めて出会ったときかな?」

そう言って、旧電波塔跡を眺めるトビア。とても懐かしそうな顔だ。

 

 

電波塔で出会った。つまり、千束が話していた彼女を助けた人というのは、まず間違いなく彼の事だろう。

そして、そのまま崩壊を止めたのも。

ふつうに考えれば、たった2人で止めることなど不可能だ。

だが、自分はそんなことが可能なものを知っている。

あのドクロの巨人だ。

6年前のあの時、空からあの巨人はやってきて、そして空を飛んで帰っていった。

ということは、あれには飛行能力があったということ。

電波塔の崩壊を止めるために、空を飛びながら作業に当たるというのも決してできない事ではないだろう。

 

だとしても、分からないことがある。

10年前ということは、トビアもそれ相応の年齢だったはずだ。

千束や自分とそんなに変わらないように見えるため、おそらく7,8歳。

果たしてそんな年齢であれだけのものを操縦できるだろうか。

 

それに、あの巨人のパイロットだった彼は、自分を助けてくれたとき、すでに10代中ごろか後半だったように思える。

年齢が微妙に合わない。

 

でも、あの時の声は、間違いなく…

 

 

「…たきな?」

ここまで考えて、トビアに声をかけられて、たきながはっとする。

「!ご、ごめんなさい。ちょっと考え事を…」

「…今の短い質問に、悩ませるような何かあった?」

首をかしげるトビア。

いけない、放っておき過ぎた。

気を取り直して、別の質問をしようとするたきな。

 

「………、きゅ、休日は何を…?」

「お見合かな?」

なんだろう、チョイスを間違えた気がする。

 

観光客はフランスから来たらしく、店員も対応しきれなったようだった。

彼らの通訳までこなし、残りのパンケーキを食べようと席まで戻ろうとした千束が見たのは、ぎこちなくもトビアに質問をぶつけるたきなであった。

 

「じゃあ、最近の休みはいつも…?」

「そうだね、ドッグタグなんて、て思ってたけ作ってみると結構面白くて…」

「ちなみにその機械って、いくらしたんですか?」

「確か…」

 

自分の新しい相棒が、大好きな人に積極的に距離を詰めに行っている。

そのことはとても喜ばしいのに、なぜだろう、心の奥がつっかえる感覚がする。

これは、何だろう。

「……。ふう、んっ!」

ぱちんと自分の頬を挟み込む。

「………嫉妬なんてらしくないぞ、私」

小さく声に出して、自分の中から追い出そうとする。

 

「よしっ。……私抜きで楽しそうだなぁ、お前ら~?」

たきなに嫉妬するくらいなら、自分から入っていこう。

席に戻って残りのパンケーキをかっ込む。

 

「さ、食べ終わったらいいとこ行くぞー!」

とりあえず、これから行くのは気晴らしにうってつけの場所だ。

 

たきなにも、好きになってもらいたいな。

 

自分の心に蓋をしながら、そう思うのだった。

 

 

 

6.

「いいとこ…、ここが?」

「そ、水族館~!きれいでしょ?」

千束に連れられてきたのは、街中にあるのは珍しい水族館だった。

立地の関係もあるのか、そこまで大型の展示物は少ないが、それでも多種多様な水棲生物が集まっている。

 

「よく来るんですか?」

たきなは水槽を遠めに眺めながら、千束に聞いてみる。

「うん、私たちは年パス持ってるし、常連だよ」

「……私たち?」

「あ、うん。ぼくもあるよ」

意外にも、トビアも千束と同じパスを持っていた。

「トビア、こういうの好きなんですか?」

「いや、何だか珍しくってさ。前いたところじゃ滅多に見れなかったし」

そう言って、照れくさそうに頬を掻くトビア。

なぜだろう、水がたくさんあるところで妙に様になる。

 

「……トビアに見とれてたでしょ、たきな~?」

「ひゃっ」

後ろから千束に声をかけられびくっとしてしまう。

「まあ、こういうとこ来るとさ、トビアって傷跡が相まって海賊というか、海の少年的な画になるんだよね」

「なんだよ、海の少年って…」

なるほど、言われてみれば確かにそんなイメージがぴったりだ。

そういえば、クルミに海賊呼ばわりされていたこともあったな、たきなはそう思い返す。

でも、海賊というよりは

「…どっちかというと、ピーターパンですよね」

そんなことをぽつりとこぼす。

 

「おお、新解釈!それもありじゃん!」

千束が新しいおもちゃを見つけたかのような笑顔を見せる。

対してトビアは、驚いた表情してこちらを見ていた。

 

「トビア?」

「…え、あ、うん。ゴメンゴメン。ちょっとびっくりしちゃって、さ。…前にも、似たようなこと言われてね」

 

“ちょっと懐かしくなっちゃったんだ”

そう言って、少し寂し気な笑顔を向けるトビアが印象的だった。

 

「タツノオトシゴって、魚なんですね…」

「お前、ウオだったのか…」

あれから、少し気を取り直して水族館を見回る。

たきながスマホをいじり、展示されている生き物の解説をして千束がリアクションを返す。

「チンアナゴ…、どうしてこのような形に…。千束?」

「チンアナゴ~」

ゆらゆらとチンアナゴの真似をする千束。

「リコリスが目立ってどうするんですか…」

「制服着てないときはリコリスではありませ~ん。…お、トビアなんかいいの見っけた?」

一方で、トビアは一つの水槽の前で引きつった笑いを見せて立ち止まっていた。

「ん、オウムガイ…?これ、貝なんですか…?」

「おー、英語でノーチラス…。ネモ船長だ~!…あれ、トビアどしたの」

「いや、ちょっとトラウマが……」

「オウムガイに⁉」

あの激闘が不意に蘇り、額に手を当てるトビア。

(というか、木星のMSってこうやってみると海の生き物多かったな…)

この場で言えることでもないので口をつぐむ。

不思議そうに首をかしげる千束とたきながなんだかかわいらしかった。

 

暫く経って、3人はひときわ大きな水槽の前でベンチに腰かけていた。

輝く水の中を悠々と泳ぐ魚たち。

幻想的な光景に、トビアは目を奪われていた。

 

「…2人はいつからあの弾を?」

隣に座るたきなから、そんなことを聞かれる。

「んー、旧電波塔の時に作ってもらったのが初めてかな」

「ぼくは、そうだな、千束とミカさんと出会ってこの仕事をするようになってすぐ、かな」

「あれを使うのに、何か理由が?」

「なーに~?私たちに興味があるの~?」

「タツノオトシゴよりは」

「オウムガイより?」

「……茶化すならいいです」

そっぽを向くたきな。

「ああ~ごめんて~。…といっても、あんまり大した理由じゃないよ?」

水槽を見つめながら語る千束。

「殺しちゃうの、気分悪いから。ホントにそれだけ。」

「気分?」

「そ!悪人にさ、そんな気分させられるの腹立たない?だから死なない程度にぶっ飛ばす!」

そういって拳を空に突き出す千束。

「それにあの弾、当たるとめっちゃ痛いよ~。バットで殴られたときみたいに。あれなら死んだほうがましだな~」

「バットで殴られた経験が…?」

軽く引くたきな。

だが、すぐに吹き出し軽く笑う。

「なんだよ~、変かな?」

「変、というか謎、です。もっと博愛的な理由かと思いました」

「おおー、謎ときたか!ね、トビア。私たちミステリアスガールにボーイだって!」

「そんな難しい話だったかな…?おれたちは」

「したいこと優先、ですね?」

「お!いいね、覚えてるねぇ」

「それと、戦争をしているつもりもない?」

「あー、人に言われると何だか恥ずかしいね、それ」

思わず照れてしまうトビア。

 

「トビアのそれは、どんな意味が?」

たきなからそう問われる。

少し考えて、口を開くトビア。

「…人間てさ、戦争て言葉を使っていろんなことを正当化しようとするんだ。無関係の人を犠牲にしたり、街を壊したりとか。少なくとも、おれが前まで戦ってた相手は、そんな連中ばっかりでさ」

だから

「あんな連中と一緒にされたくない、負けたくないっていう意地、かな?」

“あんまり難しい話じゃないでしょ”と結ぶトビア。

結局、あの木星戦役から今日まで戦い続けたのは、そういうことだったんだろう。

 

「やっぱり2人とも謎です」

そう言って微笑むたきな。

疑問が晴れたのか、少しすっきりした様子だ。

しばらくして、

「でも、どうしてDAを出たんですか?あそこにいても、殺さないってのはできたと思いますけど」

続けてそう問われる。

「あー、と…。今日は、やけにぐいぐい来るね?たきな」

「配属初日に千束にやられましたからね。お返しです」

「うへー、まさかここで返ってくるとは…」

「それも、したいこと優先?」

千束は観念したかのような表情で、胸元からフクロウを象ったペンダントを取り出す。

 

「人探し、なんだ」

 

「…確かにこのペンダントと同じですね」

休憩スペースまで移動して、スマホを使いニュースサイトを眺めるたきな。

画面には、アランチルドレンに関する記事と千束のペンダントと同じものが表示される。

 

「アラン機関、才能を世界に届ける、支援団体……。千束には何の才能が?」

「んー…。分からなあい?」

うっふんとでも言いそうな、すぐそばにあったポスターと同じポーズをとる千束。

「「それはない」ですね」

即座にたきなとトビアに否定され、撃沈。

机に顔を突っ伏す千束。

 

「あー、と。千束はかわいい系だからさ?方向性が違うから、ね?」

「トビアぁ…」

「なんだか久々に見ましたね、その漫才」

千束をあやすトビアに呆れる。

最近は見慣れてきたと思ったが、やはり2人の距離は近いような気がする。

 

「まー、2人はさ、自分の才能って何かわかる?」

「いえ、…何かあれば、とはおもいますけど」

「でしょ?トビアはどう…どしたの嫌そうな顔して」

千束の隣に座るトビアを見る。

今までにないしかめっ面だ。

「あんまり才能とか、そういうのいい思い出なくてさぁ…。別に得意なことで良くない?」

「本当に過去に何があったんですか…?」

なんだろう、さっきの質問の答えといい、彼はいったいどんな人生を歩んできたのか気になる。

それはさておき、

「それで、見つかったんですか?これをくれた人」

「んや、ぜーんぜん」

「10年も探してるのに?」

「…うん」

そう言って、水槽に目を向ける千束。

 

「もう、…会えない、かもね。ありがとうって、伝えたいだけなんだけど、ね?」

 

寂しそうな顔に、何も言えなくなる。

こんな表情はここ数か月で初めてだ。

だからだろう、たきなは普段の自分じゃ考えられない行動に出てしまった。

 

立ち上がり、水槽の前へ出て、ポーズ。

「さ、さかなー!」

 

「へ、…そっか、魚かー。…チンアナゴ~!」

すると千束も乗ってきて先ほどのようなチンアナゴの真似をする。

2人してトビアを見やる。

彼は“仕方がないな”といわんばかりの笑みを浮かべ、千束の隣に立つと一言。

 

「エンゼルフィッシュー」

 

「「オウムガイじゃない⁉」」

「絶対やらない!」

「「本当に過去に何があった⁉」」

 

ぷ、と誰からともなく笑いあう。

見れば千束もトビアもおなかを抱えて笑っている。

気づけば、自分も大笑いだ。

 

「ふふっ、千束、そのペンダント隠さない方がいいですよ?」

「はえ、そう?」

「ええ、…めっちゃ可愛いですよ?」

そう言い、ニヤリ。

 

「あ、こいつぅ!…よっし、次はペンギン島だ!行くぞ2人とも!」

「ペンギン!」

ウキウキで先導する千束に、それに釣られて笑いながらついて行くたきな。

すると、後ろからトビアがやってきてお礼を言ってくる。

「…ありがとね。おれも千束も元気がでちゃった」

「いえ、…よかったです。それに、深い意味は無いですよ?だって」

 

“さかなは、さかなですから”

 

買い物も終わり、駅前に戻ろうとするとトビアは違和感を感じた。

「…千束、たきな」

「うん、いくら何でも、多いね」

「リコリス…、いったい何が」

 

視界の端々に見えるのは、自分たちにとっては見慣れたベージュの制服の少女たち。

リコリスだ。

日本の治安を守る以上、街中にいるのは珍しくはないが、それにしたってこの数は異常だ。

 

たきなが背負った鞄から銃を取り出そうとする。

「たきな、銃は出しちゃだめだ。今のぼくらは手を出す資格がない」

「そうだよ、制服を着てない以上私たちはリコリスじゃない。おとなしく任せよう」

何とか2人してなだめる。

 

そうこうしているうちに、駅の入り口近辺へと到着するも、閉鎖されていて中に入ることができない。

 

「…地下構内で、テロリストがいるってことですか…」

「たきな、抑えて?」

「…分かってます」

険しい顔をして、答えるたきな。

やはり、自分が何もできない状況ということに歯がゆく思っているのだろう。

しかし、トビアはそれとは別の懸念に顔をしかませていた。

(なんだ、この嫌な感じ…。悪意、というわけじゃない?)

 

「トビア…?」

そんな様子に気づいたのだろう、千束が心配そうに声をかける。

 

直後、轟音。

地面が揺れ、駅の入り口から土煙が噴き出す。

 

あまりの事態に悲鳴が上がり、パニックに陥る群衆。

 

「…!」

たきなが走りだしそうになる。

「ダメだ!」

咄嗟に手を掴む。

「もう、…ぼくたちにできることは、何もない」

「トビア…」

悲し気に、一言

「……帰ろう、2人とも」

 

ふと、後ろを振り返る。

混乱を何とか収めようとする警察と、周りから見えないところで、本部と連絡を取り合おうとしているリコリスたち。

 

「何が、スカルハートだよ…」

 

やるせなさを嚙み締め、帰路に就く。

沈みゆく太陽が目に染みた。

 

 

 

7.

「はいっ、これも捨てます!捨てます!これも、これも!」

 

翌日、喫茶リコリコにてたきなの了解を得て彼女のロッカーからトランクスを処分していく千束。

 

「はーい、これ、も…」

次々とゴミ袋に入れていくも、ふと手を止めてたきなの言っていたことを思い出す。

 

「通気性、ねぇ…」

するっ、すちゃっ。

 

「お?おお、意外とこれは…」

魔が差した、とはこういうことを言うのだろう。

意外にも履き心地が良く、新たな発見にはしゃぐ。

 

「千束、いつまでさぼって……」

それが良くなかったのか、ミズキに更衣室を急に開けられる。

 

「いやちがうんですよこれ」

「いいいいやああああああ⁉ハレンチぃいいいいいいいいい!!!!!」

ミズキ絶叫。

「お前、ついにトビアとやったな⁉やったんだろふっざけんな!!??昨日トビアん家に泊まり込んだなそうなんだろ!!!???」

「違うから⁉これたきなの、たきなのだから!」

「嘘つくにしてもマシなのつきやがれ!不潔よ不潔ぅ!!!」

 

すると幸か不幸か、このタイミングでたきながやってくる。

「おはようご、…あの、ミズキさんなに」

無言でスカートをめくり、たきなの下着を確認するミズキ。

たきなの顔は真っ赤だ。

「かわいいの履いてるじゃねぇか」

 

「だから、それは昨日買った…ちょちょちょ!ミズキぃ⁉」

「みなさーん!この店に……」

「マジでやめろ⁉」

 

ミズキを止めようと急いで追うも、逆にミズキに捕まりスカートをまくられる。

「うえ、ちょっ!シャレになんないって!ミズキ!」

「クルミ、アンタ扇風機持ってきなさい!」

「ん?これか?」

「ちょおおおおお⁉やめろおおおおおお⁉」

羽交い絞めにされ、ぶおーとスカートの中身をさらされる千束。

 

さらに運の悪いことが立て続けに起こる。

「すいません、少し遅れま、し、た……」

昨日の疲れからか、珍しく遅刻したトビアが出勤してきたのだ。

 

「…………」

「…………」

ばたん、カランコロン。

 

「ちょっ!!トビアぁああ⁉」

無言で扉を閉めるトビア。

 

 

 

 

「もうすぐ夏だな………」

 

遠い目をしたミカが一言。

喫茶リコリコ、本日も平常運転だ。

 

 

 

おまけ

「トビア、お疲れ様です」

「ああ、うんお疲れ。…どうしたの?たきな」

「いえ、その、見てもらいたいものがありまして」

「?」

「それ用を昨日買ってきたんです」

「え?」

「その、これなん…」

「千束!昨日たきなに何言ったの⁉」

「あ、待ってください!」

「いや追ってこないで、…なんでパンツ持って迫ってくるの⁉」

「感想を!」

「は⁉」

「このパンツの感想を!!」

 

 




以下筆者メモ

5.
・下着関係→正直男から女に相談しても普通に事案。
・厚い信頼→すっかり懐かれるトビア君。
・トランクス→実物見るまでドラゴンボールのあの青年のことだと思ってました。
・映画のワンシーン→タッ〇ルベリーで検索だ!筆者はオース〇ィン・パ〇ーズも大好き。
・涙目→男でも同性にこんなんされたら泣くと思う。
・パンケーキ→20代中ごろ過ぎるときつくなってくる食べ物の一つ。みんな若い頃に色々食べとくんやで…?
・かりんとう→よく考えたらあれも結構砂糖使ってたな…?
・寮で食事→絵面が結構あれな光景。
・夕食→野暮ではあるが、別腹も限界あるよ…?
・名探偵たきな→年齢だけがネック。あともうちょいよ?
・質問のチョイス→困ったときの「休日何してる?」。多分あの時と一緒でお目目ぐるぐる。
・フランス語→ポケ〇ークもまだまだ役不足。
・ドッグタグ→意外と作れるおしゃれアイテム。でも、器具だけで平気で20万、30万する上にプレートも買わなきゃいけないから結構高くつく。
・やきもち千束ちゃん→この位ならかわいいものです。

6.
・街中に水族館→すごいとこだとイルカもいたりする。
・トビアも年パス→そもそもスペースコロニーにそんなのを作る余裕がある訳もなく。
・ピーター→詳しくはXBガンダムスカルハート「星の王女様」より。
・チンアナゴ→ウミディグダ、マジでどうした…?
・オウムガイ→初めて見た時絶対アンモナイトといわれるやつ。ちなみに貝ではなくイカやタコの仲間。何と触手の数は90本以上はあるそうです。
・トラウマ→カラス先生、強烈だったからね。仕方ないと思う。
・木星のMS→どちらかというとMAの方が海っぽい。カニ、クラゲ、さかな、オパビニア…オパビニア?
・気分が悪い→案外ドライな千束ちゃんらしい言葉。なお、この後続く言葉の通りなら、
「殺すのは嫌だから、バットでぶん殴ってぶっ飛ばす」というひどい文言になる。
・戦争をしているつもりはない→ちなみにトビア君、「これは戦争ですからね!」なんて言うシーンがあったりします。ヒントは、彼なりに不器用ながらも一人の女性を元気づけようとしたシーンです。
・意地→???「意地があんだよ…!男の子にはなぁッ!!」
・ぐいぐいたきなちゃん→初日のあれは確かに根に持つ。
・フクロウ→……もしかしてミミズクだったりする?
・才能→トビア君にとっては嫌な思い出が蘇るワード。ヒント、先生と貴族主義。
・さかなー→かわいい。
・チンアナゴ→かわいい。
・エンゼルフィッシュ→その昔、ペズ・バタラというMSがおってな…。
・トビアの過去→現在明かされた情報によると、①オウムガイにトラウマがあって、②戦争を理由にメチャクチャやるやつらと戦って、③才能とかそういう言葉が嫌いで、④やっぱりオウムガイが嫌い。何だこいつ。
・さかなはさかな→すでに使いこなすたきなちゃん。なお冷静に考えると意味不明な模様。
・何かを察知→ああいう思想犯て、自分なりの哲学をもってやるもんだから性質が悪い。
・何が→トビア君、あなたの本分はパイロットです。どうか気にしないで。

7.
・トランクス→なぜ店で履いた…?
・ミズキの反応→いや、恋人の下着履くって相当特殊なプレイよ…?
・スカートめくり→同性同士でもセクハラ認定はあります。
・そっ閉じトビア→こんなん関わりたくないに決まってる。
・夏だなぁ→……そうですねー(目逸らし)

おまけ→被害者:トビア とばっちり:千束

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。

過去一長くなってしまった……。
やっぱ体調整えて書くものだなぁ…。

早く治さないと、年末調整まで間に合わないぃぃぃぃ……。

さて、例によって次回の投稿は未定となっております。

皆さん、どうかを風邪をひかないように気を付けて。
社会人になってからの風邪は、本当につらいものです。

それでは、またお会いする日まで。

感想・評価、いただけたら幸いです。
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