海賊少年を百合の間に挟んでみる実験   作:愛犬家

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風邪がまだ治らないので初投稿です。

何のかんの1週間に1・2回は投稿できていたのに、遂にペースを崩してしまった…。
まさかこんなところで不定期更新のタグ通りになるとは…。

そういえば皆さま、たくさんのご感想をいただき、ありがとうございます。
皆さんカラス先生好きですねぇ。
そんなあなたに朗報!
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若かりし頃のカラス先生が見れますよ!(ダイマ)
ちなみに私は、キゾ中将にしか見えませんでした。

さて、今回は短編になります。
茹だった頭で書いたお話ですので、例によってゆるーくお読みいただけたら幸いです。

それではどうぞ。


やっぱり薬をスーパードライでかっ込んだのがいけなかったのかな…?


#16海賊と一緒④

その1.ネコとフクロウ

 

「やあ、お邪魔するよトビア君」

「あれ、いらっしゃい吉さん。ちょっとぶりですね?」

お客さんがあまり来ない時間帯に、彼はやって来た。

 

吉松シンジ、たきなの初めてのお客さんにして、ミカとは旧知の仲。

あまり頻度が多い方でもなく、客足が少ない時間を狙って来るタイプのお客さんだ。

「シンジ。…2週間ぶりか?」

「正確には、12日ぶりだね。ブレンドとおはぎをお願いできるかい?」

「おっと、じゃあ今日はミカさんが用意します?」

「そうだな、シンジ少し待っててくれ」

そう言って厨房に引っ込むミカ。

 

「そういえば、千束ちゃんとたきなちゃんは留守かい?」

「配達に行ってるんですよ。タイミング悪かったですね?」

「いやいや、そんなこともないさ。君と二人っきりというのも珍しいしね」

「?そう、ですか?」

確かにあまりない組み合わせではあるが、そこまでだろうかとトビアは首をかしげる。

 

「せっかくだし、君のことを教えてくれないかい?」

「そんな人様に話せるようなおもしろい人生、送ってませんよ」

そう言ってはにかむトビア。

「そうかい?なかなかミステリアスだと思うけどなぁ。例えば」

“その顔の傷は、どうしたんだい?”

おや、と思う。

他のお客さんからも、なんだかんだ聞かれたことのない質問だ。

吉松からは、からかい目的というよりは純粋な興味を感じる。

「…ああ、自分で被ってたヘルメットが割れましてね、その時のガラスで切っちゃったんですよ」

嘘は言ってない。

「おや、バイクにでも乗っていたのかい?」

「まあ、似たようなものに。ちょっとやんちゃな乗り方をしちゃったもので…」

乗り物というのも、特に嘘でもない。

 

「……ふーむ、これは手ごわそうだね?」

もっとも、吉松は本当のことを言ってないと感じたのか、少し不満げな表情をする。

「ま、ミステリアスボーイってことで、どうか一つ」

そう言って、トビアは笑ってごまかすのであった。

 

『……私は、アランから支援を受けていなければ、このような舞台に立つことはできなかったでしょう……』

ふと、カウンター横のTVからそんな声が聞こえてくる。

見てみると、海外から来日したピアニストのインタビューのようだ。

首元には先日千束から見せてもらったものと同じ、フクロウのペンダント。

彼女は、左手首を義手に換えており、それがアラン機関からの支援なのだろう。

「素晴らしいと思わないかい?」

吉松から、そう声がかけられる。

自分と同じようにTVを見つめている。

「彼女は、幼いころから天才ピアニストとして名を馳せていてね。数年前に事故で利き腕を失ってしまったんだ」

「それを、アランが…?」

「それだけ、彼女の才能が素晴らしいものだったんだ」

目を細めて語る吉松。

その表情は、トビアにとって嫌なものを思い出すものだった。

 

「おや、どうかしたかいトビア君?怖い顔してるよ?」

吉松に声をかけられ、はっとする。

いけない、彼は関係ない。

 

「ああ、と、…すみません。それより、彼女ってそんなにすごい人なんですか?」

いささか、へたくそな話の逸らし方だ。

それでも吉松は気を悪くせず、彼女のついて教えてくれる。

「ああ、数々のコンクールを総なめし、新たな演奏技法を編み出した。まさに神からの贈り物さ」

「へえ、…それならこれからも楽しみですね。作曲とかもできたりするのかな…」

そうトビアがこぼすと、あれほど饒舌に語っていた吉松がぴたりと止まる。

 

「なんだって?」

「え、だってそれだけすごい演奏ができるなら、新しい曲も編み出せないかな、って?」

思わずきょとんとしてしまう。

何か変なことを言ってしまっただろうか。

 

「…どうして、そう思ったのかな?」

「いや、いくら何でもピアノの演奏しかできない、ということもないと思うんですよ。才能って言っても、それ一つじゃなくて色んな使い方があるじゃないですか」

明らかに様子がおかしくなった彼に戸惑いつつも、言葉を重ねるトビア。

「だから、せっかく色んな事できるなら、やってみないと」

 

「いや、…それは使命に反する行いだ…」

「ヨシさん?」

絞り出すような言葉に驚く。

「才能は、神からの贈り物だ。必ず授けられた意味がある。決して無為に消費されるべきものではない」

「それが、使命…?」

「そうだ、世界に貢献する、才能を持つ者の意味だ…!」

 

すこしの間、沈黙。

これが、彼の、…もしかするとアラン機関の信条なのだろう。

スーツに輝くフクロウのバッジが存在感を増す。

 

「ヨシさん、考え方は人それぞれだからさ、あんまり気にしないでほしいんですけど。…おれは、そうは考えない」

 

“だってそれじゃ、つまらないじゃないか”

 

ちゃんと向き合って、自分の言葉を伝える。

信じられないものを見たかのような表情をする吉松。

「つまらない…?」

「そんな一つの事しかさせてもらえないなんて、つまらないですよ。…それにさ、才能が神様からの贈り物だとしたら、それこそ一つだけしかできないってのは寂しいじゃないですか?」

”神様だって、そんなつまらないことはしないだろうし”

 

「………、君は、独特な考え方をするんだね…?」

ふと表情をやわらげ、吉松が苦笑い。

 

「考え方は人それぞれですって。…色んな人がいてもいいじゃないですか」

こっちも頬を掻き、苦笑い。

「……君も、結構才能あるね?」

「やめてよ、ヨシさん。ぼくはいいや、ただの人間で充分!」

「2人とも、打ち解けてきたじゃないか」

ちょうどいいタイミングでミカがコーヒーとおはぎをもってやってくる。

 

「ミカ、妬かないでくれよ」

「そういうからかい方は、嫌いだ」

2人の間で雰囲気が作られる。

「あー、と。お二人ともごゆっくり」

 

とりあえず、ここは退散だ。

2人を残して厨房へと引っ込む。

 

それにしても、

「あの目…」

あいつを、…先生を思い出させるあの目が頭から離れない。

 

「アラン機関、思ったよりもやばそうなとこだなぁ…」

千束には悪いが、一抹の不安を覚えるトビアであった。

 

「そういえば、才能という言葉にあまりいいイメージをもってなさそうだね?どうしてだい?」

「ああ、…昔そんな感じの事言われて強引に勧誘されたことがありまして…」

「それはまた…。そのことがトラウマに?」

「それが、そのこととは別に“君はまだまだ強くなる”“生き延びたら、私の生徒にしてあげます”なんて言われて、重機みたいなのと対決させられたり…」

「うん、君に対して謎しか深まらないな?」

 

 

 

その2.海賊とまかない

 

「えーっと、…たきな?」

「なんですか?トビア」

「お昼、用意する話だったけど…」

「?はい、用意してありますよね?」

「……なにこれ?」

「プロテインです」

“バナナ味ですよ?”

全員分のシェイカーを配り終え、そんなことを言いながら首を傾げるたきな。

 

とある日の喫茶リコリコ。

ここでは昼食は店員間の持ち回りで決まっているため、毎回バラエティに富んだものが出される。

例えば、ミカが当番の時は手軽に食べられて満足度の高いものが出るし、

千束の場合は突発的に作りたいものや食べたいものが出るので、満足度だけは高いものが出る。

 

しかし、今回のたきなの場合、極端なものが出てきてしまっていた。

「いや、プロテインって。…あ、ちょっとおいしい」

ツッコミながらもシェイカーを振り、トビアが一気に飲み干す。

意外と味がいいのが感想を困らせる。

「国産の、質にこだわった逸品です。…皆さん、どうしました?お客さんが来る前に飲んでしまいましょう。それとも、…チョコレート味の方がよかったですか?」

「違う、そうじゃない」

おもわず鈴木〇之の往年の名曲のようなことを言って、ミカがツッコミを入れる。

「もっと、こう、食事というか、昼食らしいものの方が……」

「昼食らしさ、とは?」

「……なんだろうな…」

しかしたきなから質問され、答えに窮してしまう。

 

「えーと、たきなさん?君はなぜプロテインを用意したのかな?」

飲みながらも質問する千束。

と、いうのも前にたきながまかないで作ったのは、里芋の煮っころがしに冷奴と煮ひじき、それにご飯とみそ汁、漬物のTHE和定食だったのだ。

かなりしっかりしたお昼で、とてもおいしかったので印象に残っている。

「仕事の合間に摂取するものですし、手早くできて栄養バランスも考えるとこれが一番合理的でした」

しれっと言うたきな。

なんだろうか、言っていることは間違ってないのだが、肝心の部分が致命的に間違えている気がする。

 

カランコロン。

来客を知らせるベルが鳴る。

「あ、お客さんが来ましたね。私出てきます」

そう言って席を立つたきな。

残された面々は、顔を俯かせ座敷で唸る。

 

「というか、たきなの奴、昼食を摂取と呼び始めたぞ…」

クルミが誰の責任だといわんばかりに周りを見やる。

「あれ、ミズキそう言えば、この前たきなが作ってたのケチつけてなかったっけ?“満席なのに、いつまでもまかない作ってないでフロア出やがれっ!”って」

「ハア⁉アタシのせいだっての⁉お客さん入ってきてるのに、芋煮込み始めたのよあの子⁉んな悠長な事させられっかっての!」

「意外とそういうとこ真面目だな、お前」

千束の指摘にミズキが切れ、クルミが呆れた視線をよこす。

 

「…とりあえず、ぼくも飲み終わってるから仕事に戻るよ。…お昼足りなきゃ、あとで何か作るから、とりあえず飲んじゃいなよ?」

「ト、トビア…!」

救いの神を見たかのようにトビアを仰ぐ千束。

他の面々もどこか安心したかのような様子だ。

「そうだ、ついでで構わないから、たきなにまかないを教えてやってくれないか」

「え」

ミカからそんなことを言われる。

「そうよ、アンタならもしかしたら…!」

「リコリコの食事事情はお前にかかってる、頼んだぞトビア!」

ミズキとクルミに期待を込められた視線を受ける。

 

「……なんだろう、このまったく燃えてこないシチュエーション」

とりあえず、お客さんの対応が先だ。

 

「トビア、さっきのまかないなんですけど」

「あ、うん。…どうしたの」

「いえ、みんなの反応が思ったよりも良くなかったな、と」

「一応気にしてんだ…」

ある程度客足も捌け、少し余裕が出てきた時間帯。

トビアにそう相談するたきな。頭によぎるは、先ほどの皆のリアクションだ

 

「そうだな…、たきなはさ、なんでみんなそんな反応になったと思う?」

「なんで…、プロテインが嫌だったから、でしょうか…?」

考えながらも答える。

「少し惜しいかな。正解は、お昼ご飯を食べられると思ったらプロテインが出てきたから、かな」

「それは、どう違うんですか…?」

そう言って、困惑。

「例えば、ご飯を食べるためにお店に入ったのに、いきなりプロテイン出されたらがっかりするでしょ?そういうことだよ」

「でも、前に作った時はミズキさんにいつまでも作るなと怒られてしまいましたし、時間を考えたらそうなったんですが…」

「おれやミカさんは、あまり時間をかけずに作るでしょ?」

「まあ、確かに…」

言って思い返す。

ミカの場合は丼ものが多かった気がするし、トビアの場合はサンドウィッチや昨晩の夕飯の残りといって事前に自宅から料理をもってきて温めなおすといった事もやっていた。

「そうやって、程よく手を抜いて用意するものなんだ」

「程よく…?」

「そう、程よく。なるべく簡単に、尚且つ満足度の高いものを作る」

それは、また

「…難しくないですか?」

なんとも要求が多い。

 

「慣れてないうちは難しいね。だからさ、次は一緒に作ろうか」

すると、トビアからそう提案される。

「一緒に、ですか…」

そう言って、想像してみる。

 

一緒に並んで厨房に立ち、

一緒に料理を作って、

調味料なんかも交換し合ったりして、

みんなの分を用意する。

 

それはなんとも

「…いいですね、それ」

 

「なーにがいいのかなぁ~?」

「ひゃっ」

 

突然後ろから声をかけられて、ビックリする。

見ると千束がじっとりした視線をこちらに向けながら、ぬっと出てくる。

「たーきなさーんは、なーにを想像したのかなぁ~?」

「いえ、別に変なことは…」

まあ、この前千束に押し付けられた映画のワンシーンに、似たようなものはあったのでそれを当てはめてはいたが…。

 

「あ、それなら千束も一緒にやります?」

もしかして、一緒にやりたかったとかだろうか。

「うーん、それなら、ま、いっか。トビアー?」

「まあ、先生役は多くてもいいし、それでいこう」

少し難しい顔をした千束だったが、すぐに了承。

トビアに確認を取り、たきなに対してのまかない講習会に参加の運びとなった。

 

リコリコに来てからそろそろ4か月になろうとしているのに、まだまだ新しく知ることが多い。それでも、特段面倒だとは感じていないことにたきなは薄く笑う。

 

そろそろ夏も中盤戦。

そんな喫茶リコリコの一幕。

 

「そういえばトビアってジャガイモ料理多いですよね?」

「あー、なんか家で結構作っちゃうんだよね…」

「好きなんですか?ジャガイモ」

「と、いうよりは癖というか」

「癖?」

「芋剥きやってると、何だか安らぐんだよね…」

「船乗りか何かやってたんですか…?」

 




以下筆者メモ

その1.
・ネコ→言わずもがな。
・ヘルメット→これ書くにあたって、改めてスカルハート読み返したんですけど、なんかいきなりケガしてるんですよね…。私見落としたかな、どこだろ?ザンバー抜こうとして壊されたとこかな?
・やんちゃな乗り方→むしろMSでやんちゃしないパイロットはいない説。
・VSヨシさん→結構難しいところ。別に喧嘩させたいわけじゃないから、筆者なりの解釈で書かさせていただきました。…アランさんて、おせっかいすぎる気がしますね?
・先生→しっかり哲学を持った厄介な相手。なんだかんだ最後は助けてくれたのがまたなんとも複雑。…F91プリクエルにもいたな、そういえば。
・勧誘→シェリンドンさん、そういえばあれから出てこないなぁ。L&Pででてくるかな?
・重機みたいなの→なぜあの状況で勝てる。

その2.→スピンオフ小説より
・プロテイン→子供の時に観たTVの影響で、パッションな人がやたらと勧めてくる飲み物の印象。
・違う、そうじゃない→MVは一見の価値あり。
・まったく燃えない→託される(食事改善の)意志。
・気にするたきな→良かれと思ってパターン②。でも、なんだかんだ言ってみんなのまかないみてたら分かると思うの。
・まかない→言われてみるとなかなか難しいオーダー。世のお母さん・お父さん方も直面する献立の問題。食えればいいは独り身の特権です。
・一緒に台所→それを遠目に眺めて徐々にフェードアウト、最後はスタッフロールが流れると幸せな気持ちになります(これを書いた筆者、この時38.9℃)
・じっとり千束→「ぬ~け~が~け~?」
・しれっと参加→結果挟まるトビア君。タイトル回収だね!
・夏も中盤戦→筆者の勝手なイメージなのですが、どうもあの小説アニメの4話と5話の間のような気がするんですよね…。ま、二次創作なのでご勘弁。
・お芋→トビア君のまかないメニュー!(芋抜粋)・コロッケパン(自宅から夕飯の残り)・ポテサラ丼(自宅からの略)・じゃがバター(ミズキにのみ提供。見た目とうまさに二重の意味で泣いていた)


ここまでよんでくださり、誠にありがとうございます。

風邪が治らないまま年末調整の計算に突入し、死にそうになってる筆者です。
国税局爆発しねぇかなぁ…。

しつこいようですが、皆さんどうか風邪をひかないようご自愛ください。

それではまた、いつかお会いする日まで。

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