海賊少年を百合の間に挟んでみる実験   作:愛犬家

20 / 28
マン・バイトに今更ながらハマったので初投稿です。

は?バカ面白いが?

今回はお茶濁しも兼ねて短編となります。
いつにも増して頭空っぽで書いたので、正直クオリティ低すぎるかも…

ほんの少しでも楽しんでいただけたら、幸いです。

それでは、どうぞ。


…大ジョッキ、買おうかなー


#20海賊と一緒⑤

その1.海賊とドライブ

 

「トビア、寝てていいのよ?わざわざ起きてなくても大丈夫だって」

「ミズキ一人じゃ大変でしょ?いいよ、眠くないし」

 

任務帰りのある朝。

捕縛した対象の引き渡しに時間がかかり、状況が終了したのが早朝4時頃。

ミズキが車で迎えに来ており、トビア達3人は朝日を眺めながらリコリコへと向かっている途中だ。

 

後部座席では千束とたきなが寝息を立ててぐったりしていた。

2人とも夢を見ているらしく、時折寝言をつぶやいている。

 

「…ああ、どうしてそんな姿に、ミズキ…。死ねぇ…」

「いやどんな夢だ⁉」

流石のミズキもツッコミを入れる。

どうやら千束の夢の中では処理されたらしい。

「…うあー…バットが、折れたぁー…」

「しかもバットで殴られてるな?これ」

「んにゃろお、起きたら覚えておけよ…!」

どうどう、と助手席からトビアがなだめる。

運転するミズキの負担を考えてのことだったが、まさかの効果発揮だ。

 

「…たく。それで、トビア?2人には伝えたの?もしかしたらDA本部勤めになるかもしれない件」

「ああ、うん、…まだ、です…」

 

トビアが海上で初めて遭遇した日以降、あのMSと思しきヘリもどきは現れなかった。

だが、事態を重く見た上層部は、対抗可能なX1を完全に管理下に置くべく、トビアに対して本部に戻ってくるよう何度も要請を出していた。

「でも、今のところ強制力はないし、向こうの意図も透けて見えてるから応える気はないよ」

もっとも、現状敵が確認できないのと、被害が特に出ているわけでもないため、こちらが突っぱねている状況だ。

 

「だから別に言わなくてもいいかな?って」

「まったく、そういう所は変わんないわね、アンタ…。まだ自分の事、たきなに伝えて無いでしょ」

「あっ、とぉ。…まったくおっしゃる通りで…」

ばつの悪そうな顔をしてそっぽを向くトビア。

「さっさと言っちゃえばいいものを…」

呆れた声を出すミズキ。

 

「いや、だって、…イタくない?自分でそういう事を言うのって?」

「そのイタい名前出したのどこのどいつよ…」

「だって、そっちに使われるとは思ってもみなかったんだよォ…」

 

経緯としてはこうだ。

トビアとX1を戦力として組み込むにあたって、コールサインを決めようとしたDAだが、どれもしっくりこず。

案として挙がったのは、キャプテン、ティーチ、バーソロミューと言った海賊をイメージさせるものばかり。中にはフックなんてものもあった。

困ったDAは、トビアに“元の世界では何と呼ばれていたか”を聴取、そこで上がった名前のうち“スカルハート”に目を付けた。

「…でもあれは、“X1のこと”って、ちゃんと伝えてたはずなんだよなぁ…」

ちなみにこの名前、誰が言うともなく勝手に付けられたものであり、トビア達海賊は一切関わっていなかったりする。

「使い勝手良かったんじゃない?なんとなく伝わるし」

「普通に恥ずかしいよ…。この前DA行った時だって“お疲れ様です!スカルハート!”なんて言って来るし…」

“慣れたけども…”となおもぼやくトビア。

DA曰く、特徴を正確にとらえたうえで、事情を知らないものからすれば何のことかさっぱりなところが良かったそうな。

 

「…向かうなら、ショッピングモール、よりも…駐屯所へ…」

「いやこっちもこっちでどんな夢見てるんだ…?」

たきなから聞こえてくる寝言に思わずツッコむ。

なんだろう、バットと言いショッピングモールと言い、2人ともゾンビ映画みたいな夢でも見てるのだろうか。

「……いいよぉ、車出してぇ…」

「…正面、突破します……」

「いや、同じ夢見てない…?」

「夢の中で会話しだしたぞこいつら」

シンクロニシティどころの騒ぎじゃないのでは?

 

「…トビア、大丈夫なの?」

「え?」

不意にミズキからそんなことを言われる。

「そこのバカのお守りに、新しい子が追加。それにDAから戻って来いってせっつかれて、よく分からない相手も出てきて…」

「………」

運転中ということもあり、お互い目は合わせない。

だが、その声音からミズキが本気で心配してることが分かる。

 

「ねえ、…もしこの状況が負担なら、さ。こっちのことは気にしないで、帰る手立てを探しに行っても…」

「ミズキ、大丈夫」

言葉を遮る。

「確かに、大変だけどさ。…別に昔のエースに殺されかけたわけでもないし、凶暴なサルの乗ったMS襲われてるわけでもない。みんな心配してくれるしね?それに…」

振り返り、後ろの座席を見る。

 

「トビア、どこだぁ…」

「……トビア…」

 

「寝言でも、人のことを呼んでる甘えん坊が2人もいるし。…おいそれと出てくことはできないかな」

「…相変わらず、甘いわね…」

ミズキが苦笑い。

“まだまだ自分は必要とされている証拠”

そう言ってトビアは微笑む。

 

「…こいつらにかまけて、帰りを待ってるヒトに愛想つかされても知らないわよぉ~?」

「そっ、…その、時はまあ、そのと、時に…?」

「声震えてんぞー?」

ミズキがいたずらっぽく笑う。

いつもは恋愛関連でからかわれる側だからか、声が少し弾んでいた。

 

「……行くぞぉ、トビア、たきなぁ…必殺のぉ」

「こっちはこっちでなんか展開してるなぁ」

後ろの座席では相変わらず寝言がひどい2人。

どうやら、何か必殺技でも出すらしい。

 

「オーロ〇、プラズマ返しぃ…」

「………お、オーロ〇プラズマ返し…」

 

「「……オーロ〇プラズマ返し…?」」

 

なんだその技。

 

「行くぞ、2人とも!あの怪獣を倒す必殺技だ!」

「おお~!」

「いや、あの、トビア?千束?色々気になるところが…。というかこのロボットって、もしかして…!」

「太〇剣、オーロラ〇ラズマ返し!」

「オーロラ〇ラズマ返し~!」

「あ、無視ですか、そうですか。…お、オーロラ〇ラズマ返し…?」

 

『オーロラ〇ラズマん返しぃ~!』

 

「「しゃべった⁉」」

「え、なにそれ知らん。怖…」

「「⁉」」

 

 

 

その2.海賊とアフォガード

 

「トビアさん!エスプレッソとバニラアイスお願いします!」

「いらっしゃい、カナちゃん。すっかり通な食べ方覚えたね」

 

喫茶リコリコに響き渡る元気な声。

彼女はカナ。この店の常連で一際若い中学生の女の子だ。

 

「いやあ、伊藤さん達におごってもらってからすっかりはまっちゃって…」

「この分ならその内、エスプレッソ単体でも注文できそうだね?」

「え゛。…いや、でも、ここは挑戦しておくべきなのか…!」

「無理にしなくても大丈夫だから…」

カウンターに座りながら葛藤する彼女に、苦笑いを浮かべながらたしなめるトビア。

とりあえず、注文の品を用意しなければ。

 

「それで、カナちゃん。…引っ越しはいつごろになりそう?」

他にお客さんもいないことから、気になってることを聞く。

「準備はほとんど終わってるから、明後日にでも。…あの時は本当に、ありがとうございました」

トビアに深々とお辞儀をするカナ。

「お礼なんていいよ。君はおれたちに依頼して、その結果助かった。…それだけなんだからさ」

 

 

彼女は、この夏にリコリコの依頼として処理した案件の被害者だった。

前提として、カナは中々に複雑な状況に追い込まれていた。

もともと彼女の家は崩壊も同然、蒸発した母にいつの間にか家に居座っていた継母のような女、仕事から帰ってこない父親。俗に言う、ネグレクトだった。

さらに追い打ちをかけるように学校では嫌いな教師から嫌な視線を感じ、クラスメイトには撮られたくもない写真を撮られ、それを盾に脅される日々。

 

そんな中、ふと訪れた錦糸町で見つけたのが喫茶リコリコ。

ここに居る間は、そんな現実を忘れられたと語っていた。

 

だが、ここで思わぬ事件に巻き込まれることになる。

偶然彼女が電車の座席から拾った本物の拳銃。これはリコリコが以前捕縛した麻薬組織の主犯格が持っていたものだった。

突如手にした人を殺す手段に気の迷いが生じる。

 

今まで自分を虐げてきた者に復讐を、と。

 

だが、周りの状況は彼女に決意を固めさせる間もなく一変していった。

教師の乱暴未遂、そしてクラスメイトからはお茶会と称して薬物の強要と販売に加担させられかけた。

 

リコリコはカナの様子に気づいてはいたものの、迂闊に介入できず彼女の観察と保護に徹していた。

 

だが、傍から見ても、彼女の限界はすぐそこまで来ていた。

トビアが彼女を見つけた時は、自分でこめかみに銃を突き付けている状態だった。

今思い出しても冷や汗が止まらない。

 

結果としては、カナから“自分を助けてほしい”という依頼を受けた形にしてこれを解決。

銃の出所が出所ということで、DAを巻き込みこれを正規の任務としても登録。

お茶会に関しても情報をDAにリークし、リコリスにより処理させた形になった。

脅される原因となった画像も、クルミがクラスメイトの端末データごときれいさっぱり破壊、たとえネットに流出したとしても学習させたAIを使って選択消去。乱暴教師もミズキが制裁、見事病院送りとなった。

 

 

「…皆さんには、なんてお礼を言っていいのか…」

その時のことを思い出しているのだろう、頭を下げながら、カナの言葉に涙が混じる。

そんな彼女の前にエスプレッソとアイスクリームを用意しながら、トビアはカウンター越しに肩をたたく。

そして一言。

「君が、無事でよかった」

「は、い…!」

 

プルルルル

「おっと。ごめん、すぐ終わらせるから」

そう言って、電話の応対のために引っ込むトビア。

 

涙をぬぐいながらその背中を見て思い出すのは、自分のこめかみに銃を突き付けて、引き金を引こうとしたあの瞬間。

 

 

 

突然、何かが引っ掛かったかのように引き金が引けなくなる。

驚いて銃を持つ手を見ると、いつからいたのかトビアが引き金の間に指を入れ、これ以上動かないようにしていた。

あまりの事に頭が追いつかなくなるが、それでも口を突いて出た言葉は拒絶だった。

「…はなしてっ…!」

「………」

「もういいっ、離してっ!離してよっ!」

叫ぶように言い放つ。

邪魔しないでと。

自分はここで終わりにするんだと。

だが、彼は大きな声で問いかけてきた。

 

「どうしてっ!」

 

「…え?」

まさかそう言われるとは思ってなかったのもあって、答えに窮する。

「この手はおれが、好きで掴んで…」

ぐぐっと強い力で頭から降ろさせられる。

「離さないでいるだけなのに!」

そして、マガジンを排出し、そのまま奪われる。

「離したら、いい事あるのかい?」

もう、その手に銃は握っていないというのに、なおも手を握り続けるトビア。

 

「あっ…!」

掴んだ手を起点に背負い投げの要領で背負われる。

そして、その手の中に紙をねじ込まれる。

「ところでさ。…ウチ、コーヒーセットの無料券やってるんだ。どう?飲んでかない?」

背中越しに話しかけられるその声は、どこまでも今まで通りで…

 

「…うっ、くぅっ…!」

その声に涙がにじむ。

トビアはカナを背負い、その背中を濡らしながら、なおも手を離さず歩き続ける。

彼が向かう場所は明白で、今の彼女にとってどこよりも安心できるところだった。

「…セットだからさ、もう一つなんでも注文できるんだ。どうかな?」

だからだろう、素直な気持ちが言葉として出てくる。

「…トビア、さん。…注文、いい、ですかっ…!」

「うん、…どうぞ」

 

「助けて…!」

「任せて」

 

そう返すトビアの横顔は、いつもと変わらない表情で。

 

そんなに様子に涙は堰を切ってあふれ出し止まらなくなる。

背負いづらいだろうに、片方の手は強く握ったまま。

その手の温かさが、とにかく嬉しかった。

 

 

 

「はい、はい、…かしこまりました。はい、ええ失礼します…」

ガチャン。

トビアの電話は終わったらしく、カウンター前に戻ってくる。

 

「トビアさん、注文いいですか?」

カナの手には、あの時もらった無料券。

「うん、どうぞ」

 

カナには大好きな人たちがいる。

 

まるで父親の理想像のような、優しくおおらかなミカ。

気楽に、雑に扱ってくれる姉のようなミズキ。

頭はいいのにどこか抜けていて、一緒にボドゲ大会に誘ってくれたクルミ。

しっかり者で、誰が相手でも物おじしない黒髪美人のたきな。

自分がこの店の常連になるきっかけとなった、溌溂と愛嬌が服を着てるような千束。

 

そして、今目の前で微笑む、自分のことを救ってくれた、鼻の上に傷が奔る少年。

 

彼のことを思うと、胸が暖かくなり、この店に足を運びたくなる。

会いたくなる。

話をしたくなる。

これは、いわゆるそういう事なのだろう。

 

…助けてもらってばっかりなのだ、そろそろ自分で踏み出していかないと。

「エスプレッソ、単体でお願いします!」

「……お残しは、許さないよ?」

 

まずは、自分の苦手に挑戦。

少しずつ、されど着実に、1歩ずつ。

 

「ううっ…、香りはいいのに、苦ぁい…」

「砂糖と、ミルクも置いとくね」

 

そしていつかは、この思いを伝えられたらな。

 

カナはそんなことを考えながら、エスプレッソに挑むのであった。

 

「たきなさんや」

「なんです?」

「カナちゃん来てるね」

「来てますね」

「…トビアに近くない?」

「…近いですね」

「……近すぎない?」

「……近すぎますね」

「………」

「………」

 

「…お前たち、ここで出歯亀するくらいなら、混ざってきたらどうなんだ…」

 

 

 




以下筆者メモ

その1.→ノベルより。というか、今回の短編みんなノベルから。
・夢オチ→最初っから夢オチって明言してるのも珍しいなと思いました。
・折れたらしいバット→ここ読んで龍騎の1話を思い出した私はもう末期。
・本部への帰属→書いてて思ったケド、X1帰ってくるときとか本部の位置バレるのでは?
・未だ言えないトビア君→自分から言うのは、結構あれだよね。
・スカルハート→誰が言ったか、クロスボーンを指して名づけられたもの。何気にハリソン大尉も使ってる辺り、結構普及してるみたい。
・ゾンビ映画→最近よく走ってるイメージ。ノーマン大好き。
・心配ミズキ→アニメでも思いましたが、彼女ってホントイイ女ですよねぇ。男運がないのと理想が高すぎるのがアレですが。
・昔のエース→「アムロ・レイを、さらわれたアムロ・レイを、奪還してほしい」
・凶暴なサル→「おおおオフィシャルではございませぬぞ!」
・声の震えるトビア→やっぱり気になるところ。あんな別れ方したので猶更。
・オーロ〇プラズマ返し→感想を返したときに思い付いたネタ。結構豪快に剣ぶん回しててビックリ。初めて知ったのはラジ〇ンジャーです。

・しゃべった→サン〇ルカンロボのあの声、どっから出てたんだ…?

その2.
・アフォガード→イタリア語で溺れたアイスクリームの意。何だったらポットから直に入れる時もあるそうな。
・カナ→あのノベルで、ある意味一番の主人公まである。
・引っ越し→ここは独自設定。あんな目に遭って、あのまま同じところには暮らせないだろうなー、という想像です。
・彼女の事件→正直胸糞すぎて、あんまり思い出したくないお話でした。でも、こんなの普通に現実であるんだよなぁ…。何だったら、もっと救いのない…。
・リコリスによる処理→これ、下手するとあのクラスメイト達も処理してるよなぁ…、うわあ…。
・この手は…→正直今回の短編、これやりたかっただけ。
・コーヒーのセット券→中々粋な演出でした。ちょっとクサいくらいでちょうどいいんですよねぇ。
・モテモテトビア→ただ、彼には心に決めた人がいます。そんな彼の一途さがかっこいいのですが。

・出歯亀ーず→語源調べてゾッとするシリーズ。まさか殺人までやってるとは…。


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

もう週一とかも難しくなってきた…。

いい加減、プロットなしで思い付き突発投稿をやめるべきなのか…。

次回の投稿は、例によって未定となります。
いよいよ6話かなー、どうしよ。

それでは皆様、またお会いする日まで。

感想・評価、いただけたら幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。