みんなはお酒飲んでプラモデルはやめよう☆
さて、今回は分割分、その後半になります。
ほんの少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではどうぞ。
ニュートンが、…ニュートンがどこにも売っていない…?
5.
〈今回は被害ゼロだぞ!文句はないだろ⁉〉
「ああ、分かった分かった。良い作戦だ、ハッカー」
耳元のインカムから聞こえる声にそう返しながら、倒れた千束に近づく緑髪のぼさぼさ頭の男が一人。
周りには、部下と思しきツナギの男たちが見える。
いつぞやのストーカー事件の犯人たちを思い出させる格好だ。
たきなから電話がかかってきて、千束がそれに応えている最中だった。
突如ハイビームを点灯させた乗用車が真っ直ぐ突っ込んできた。
なすすべもなくはねられ、宙を舞う体。
なんとか受け身をとり、ダメージを抑えつつ反撃の隙を窺うために、こうやって倒れたままになっている。
「あ?こいつ…。へぇ、なーるほどなぁ」
男が近づいてくるのがわかる。
行動を超すなら、今だ。
「うお、ラァッ!」
ここで、着ていたポンチョを投げつける。
「なっ⁉」
男の視界をふさぎ、そのまま周囲のツナギたちに発砲。
そのまま逃走を開始する。
「ああ、くっそ、ポンチョもったいないっ!」
とにかくがむしゃらに逃げる。
車を使った手口に、複数の人間。
あれが、一連の犯人という事だろう。
それに、その服装も気になるところだ。
「あれ、沙保里さん襲った連中と同じカッコじゃん…!もしかしなくても、取引がらみ…!」
まるで制服であるかのようなツナギにサングラス。
もしかして、自分たちのように組織なのだろうか?
「だあっ、しつっっこい!」
敵の追跡がなかなか止まない。
おかげでどこかに隠れるということもできない。
先ほどのリーダー格らしき男は、インカムでどこかと話していた。
おそらく後方支援担当がいて、ドローンか何かを飛ばしてこちらを追いつつ、オペレートしているといったところだろう。
「待てよォ!また吹っ飛ばしてやるっ!」
「!げぇっ…!」
千束が何とか海沿いの公園まで逃げ込んだ時、後方から乗用車が突っ込んでくる。
その後部席のドアを開き、先ほどの男が身を乗り出し、拳銃で狙いをつけている。
仕掛けるなら、ここだ。
背を向けるのをやめ、相対すると、銃を斜めに構える千束。
男が笑みを深め、銃撃。
千束はそれを真正面から避ける。
「なんっ…!」
直後、反撃。
相手の車のフロントガラスを射撃で割る。
そして、バランスを崩した男の頭に1発。
「だっ…、がっ…!」
そのまま車から落下する男、勢いよく地面にたたきつけられ転がっていく。
「動くな。…アンタが襲撃の犯人?」
「てて…、ひでえこと、すんなぁ…」
油断なく銃をか構えながら近づく。
その間に起き上がり、こちらへと顔を向ける男。
呆れるほどのタフネスさだ。
「うっわ…」
頭部から出血しており、街灯に照らされたガラの悪い人相がさらに壮絶なことになっている。
あまりの状態に思わず声が出る千束。
男のぎらついた目つきは一切衰えず、不気味ささえ感じる。
とにかくこいつの無力化が先だ。
後ろに回り、拘束を試みる。
おそらく目の前の男が一連の事件の主犯と見ていいだろう。
クルミの情報が確かなら、銃の取引どころか、先日の地下鉄事件にも関わりがありそうだ。
「…ぷッ!」
「うわっ…!がッ!」
そんなことを考えていたのが悪かったのか、突然銃を持つ手を掴まれ、男に何かを吹きかけられ視界が真っ赤に染まる。
そして、そのまま制服を掴まれ拳をふるわれる。
「はっはー!引っ掛かりやがった!」
「くっ…!」
「いいぞー!真島さーん!」
「やっちゃってくださーい!」
こちらを揶揄する野太いヤジが響く。
いつの間にか囲まれていたらしく、周りの車からヘッドライトに照らされ、男たちの影が伸びる。
「はんっ、こんなゴム弾じゃなくて実弾にしときゃよかったな~?」
「かはっ、ごほっ…!」
指で非殺傷弾をもてあそびながら近づく男。
どうやら、こちらの弾丸を口の中でインクに戻し、それを顔に吹きかけてきたようだ。
「殺されねぇって分かってりゃ、こっちのもんよォ!」
「がっ…!」
そのまま蹴り飛ばされ、地面を転がる。
頭を強く殴られたせいか、インクで視界が狭まったうえにうまく焦点が合わない。
何とか体を起こすも、近距離で突きつけられる拳銃。
流石の千束も、こんな状態では避けることも反撃も難しい。
(……万事休す、か。こんなに危ないのは10年ぶりかな…。あの時は、どうだったっけ…、どうやって助かったんだっけ…)
少しふらつく頭によぎるのは、あの時の事。
(そっかぁ…、トビアとガンダムに助けられたんだよね…)
今度はそんなうまい話はないだろうな、そんなことを思いながら、自分を狙う敵の顔をまっすぐ見据える。
「おい、お前の使命はなんだ?」
「…?」
突然、男が問いかける。
目線は千束の胸元。
そこに揺れる、一つのペンダント。
「それだよ、それ」
「これっ、は…」
「お前のアランチルドレンとしての使命は、なん」
直後、目の前の男が何かにくるまれて吹き飛ばされる。
暗い色のそれは、トラックの幌を大きくしたかのような、巨大な何かをくるんでいそうなマントのように見えた。
そして、男が消えたと同時に、千束の前に巨大な影が立つ。
それは、千束にとって命の恩人と言えるモノ。
背中に骨を背負い、額と胸元にドクロを掲げる鋼鉄の巨人。
10年前のあの時の光景が、どうしようもなく重なる。
「クロス、ボーン…、トビ、ア…?」
『無事か⁉けがは⁉』
クロスボーン・ガンダムが、…トビアが降り立つ。
◆
「…!ミズキさんっ、店長っ!」
「…間違いない、な…!」
組事務所へと向かうルートの途中、千束のポンチョとスマホを発見。
車を使い別ルートで向かっていたミズキとミカと合流し、車に乗り込んだたきな。
リコリコに残り、ドローンを使い街中のカメラを乗っ取って何とか千束の位置を割り出したクルミに従い、急ぎ向かう。
トビアからは先に行くと言われており、彼の合流を待たずに急ぐ。
その時、上空から巨大な影が一直線に降りてくる。
場所は、こちらが割り出した千束がいると思しき地点だ。
「スカルハート…!いったい何が…!」
直後、車体が急ブレーキ。
「現着ッ!たきな、早く千束を!」
運転していたミズキから指示を出され、ドアを開けすぐに飛び出す。
見れば、あの巨人は千束を背中にかばうようにして立っている。
カシャン、コォォ。
「ひ、ひいいいっ」
「逃げろ、逃げろぉ!あいつ怒ってるぞ!」
巨人の口元が開き、熱風ともに光を排出する。
まるで、千束を傷つけられたことに対して怒っているように見えた。
その姿にほとんどのツナギ姿の男たちは、蜘蛛を散らすように逃げ始める。
その隙を見逃さず、たきなは何人か残っている男たちに銃弾を見舞う。
「があっ!」
「どこからっ、…がっ!」
いのち大事に。
リコリコのルールを守り、致命傷は避ける。
そのまま駆け出し、千束の下へ。
「千束!」
「たき、な…!」
巨人の後ろにたどり着くと、千束に肩を貸す。
「動けますか?」
「……うん、だい、じょうぶ。…大丈夫」
軽く頭を振り、自分で頬をはたく千束。
額から目元にかけて真っ赤な何かがついているが、血の匂いがないことからインクか何かをかけられたのだろう。
逃走経路の確認と、目の前の巨人を見やるたきな。
いつもと違いマントを羽織っておらず、背中には4本のパーツが伸びている。
噴射口が見えることから、スラスターか何かであるようだ。
腰には何も差しておらず、今回は丸腰で来たらしい。
「かっはっ…、ゲホゲホッ!…ずいぶんな、挨拶だなぁ…。ドクロ…、お前が、スカルハートか…!」
その時、芝生の上に転がっていた大きな布の塊をかき分けて緑髪の男がはい出てきた。
頭からはひどく出血し、だらんとした左腕をかばい、ふらふらと立ち上がる。
時折する咳には血が混じっており、内臓を傷つけられたことが察せられる。
さっきまでくるまれていたそれは、よく見ると巨人がいつも使うマントのようだ。
おそらく、スカルハートはそのマントを使い、男をくるんで投げたのだろう。
だが、それでもなお立ち上がりこちらを睨んでくるとは、いくらなんでも頑丈すぎる。
「はぁ、はぁ、はぁ…!お前ら、あいつらを、絶対逃がすな…!」
息を荒くしながらも、周囲に指示を出す男。
その指示に、逃げ出していたツナギたちも、顔を恐怖にゆがませながらも武器を取り出す。
ここで、巨人の頭が動き、こちらを確認するようにグリーンの眼が光る。
そして、スピーカーから聞きなれた少年の声が響く。
『たきな、千束のことを頼んだ!おれはこのままコイツらをけん制するっ!』
「…あっ…!」
声が漏れる。
それでも、驚きはない。
あの時にかけられた言葉。
懐かしさを思い起こす声。
そして、これ見よがしに使うマント。
年齢を聞いた時から、薄々感ずいていたことだ。
『2人とも、早くっ!』
「……任せてください、
「うんっ…!トビア、頼んだ!」
こちらの返答を聞き、改めて男たちへ顔を向ける巨人。
その隙に、ミカとミズキの待つ車へと走る2人。
「こっちだ!早く!」
後部座席のドアを開け、ミカが手を伸ばす。
「千束、先に!」
そう言いながら千束を押し込むと、たきなは威嚇射撃を続ける。
「!RPG…!」
ツナギの1人がロケットランチャーを構え、こちらに狙いをつける。
今にも撃ち出しそうだ。
〈させるかっ!〉
サポートとしてクルミが飛ばしていたドローンが、彼女の操作によってツナギにクリーンヒット。
別の男たちが乗りこもうとした車両へと飛んでいき、着弾。
これで大幅に足をとどめられる。
「たきなっ、早く乗れ!」
ミカに促され、たきなも乗り込むと急発進。
みるみる内に現場が遠のいていく。
その奥には、ドクロの巨人。
「トビア…」
流石に少し心配になっていく。
敵はロケットランチャーすら用意している連中だ。
対して、スカルハートはいつもの大剣を装備していない。
武器になるものを身に着けていなかったのだ。
そんな状態で狙われたら…
「大丈夫、X1はそんなにやわじゃないよ」
隣の千束から、そう声をかけられる。
「X1…?それが、あの巨人の?」
「そう、名前。クロスボーン・ガンダムX1。全身が武器みたいなものだから、心配いらない。…むしろ、こっちがやばいかも。ミズキ…!」
「…分かってるっ!」
鋭い声を上げるミズキ。
目線の先には、無人と思しき車輌。
それがまっすぐこちらに突っ込んでくる。
「行っくわよォっ!」
まだ、この修羅場は続くらしい。
そんな彼女たちから離れて、上空。
ローター音を響かせて、それはゆっくりと降りてきていた。
独楽をひっくり返したようなヘリもどきに、
X1とは異なる体躯の巨人。
夜はまだ終わりそうもない。
6.
「はあ、はあ、くっそ、ずりぃなぁ!機銃があるなんて聞いてねぇぞっ!」
「真島さん、このままでは車が全滅です!」
「…ちっ、潮時か…!」
X1の頭部からマズルフラッシュ。
狙われた車が瞬く間に鉄くずへと変わっていく。
相手からも銃撃があるが、ガンダムの装甲に阻まれて軽い音がするばかり。
あまりに一方的だった。
いくら大量の武器があろうと、MSの装甲を抜けられる兵器があるわけでもなく。
人間相手に使う銃器しか持たないツナギの集団が、X1に敵う理由はなかった。
ロケットランチャー等も、そもそも機銃掃射により撃たせてもらえずにいる。
トビアは車輌の破壊とけん制に留め、千束たちの離脱を邪魔しないように努めていた。
あくまで目的は千束の救助であるため、それが達せられている以上はこちらに敵を集中させて時間を稼ぎ、折を見て離脱、またはリーダー格の捕縛が望ましい。
だが、こちらは一息手を緩めた途端、凄惨な現場を容易に作り出すため、かなり神経をすり減らしていた。
(まずいな、意外と戦意が高い…!)
おまけに、すぐに逃げ出すと思われた彼らが、予想外にしつこく攻撃を加えてきている。
リーダーと思しき緑髪の男によって統率されていたのも大きく、なかなか機会を得られずにいた。
このままでは戦闘が長引き、こちらの存在が世間に露見されかねない。
いくらラジアータでも、隠蔽は難しくなってしまう。
一方で、相手も疲弊してきているらしく、じりじりと後退を始めていた。
何より、緑髪がふらふらだ。
車両をわざと1・2台見逃していることもあり、撤収の気配をにじませている。
「…ああ?なんだ、あれ…?」
誰かのつぶやきが静かに広がる。
直後、上空よりヘリのようなローター音が聞こえてくる。
まさか。
直後、敵意を感じ、X1を動かす。
破裂音、先ほどまでいた地点の地面が砕ける。
「っ!逃げろッ!」
緑髪の鋭い声が上がるも、何人かのツナギが巻きこまれる。
見れば、あの時のヘリもどきと、それとは別の影。
それは、潜水ゴーグルのようなものをつけた、小柄な体躯のMS。
トビアにとって10年ぶりに見た、おそらく1番相手したであろうMS。
「…バタラまで、コピーしたのか…!」
ミニガンを改造したと思しき武器を手に持ち、ヘリもどきの手に捕まってこちらに狙いをつけるその姿。
細部に異なる部分が見られるものの、木星軍の主力MSである、バタラそのものだった。
すぐにX1を飛翔させる。
千束たちの方に向かわれたら大変だ。
あれらをこのままにしておくわけにはいかない。
こちらに向けてミニガンを撃ってくるバタラ。
おそらく、技術的な問題があったのだろう、ビームを使って攻撃をしてくる気配はない。
わざわざ当たってやる義理もなく、下へと回る。
瞬間、腰部のアンカーを射出。
ヘリもどきを捉える。
そのままスラスターをふかし上昇。
相手のバランスを崩し、上に自機が来るように位置をとる。
X1の右の肘あてを可動させ、ナックルダスターのように前に出す。
そして、ビームを発振。X字上に展開させる。
「落ちろぉっ!」
そのまま拳を振りぬき、殴りつける。
ヘリもどきもろともバタラをビームで貫き、加速。
海面へと押し込める。
そして水中で撃破、誘爆を防ぐ。
「ふう、ふう、ふう…。まずいな…、もうこのレベルのMSが作れるようになってる…」
この技術を広めたであろう、彼の目的はよく分からない。
自分に対して何かしら、…それこそ復讐を目論んでそうではあるが。
ただ、分かったことがある。
「…あのマリモ頭を、助けた…?」
緑髪の仲間を巻き込んでいたが、それでもあのタイミングに仕掛けてきたのは狙ったもののような印象を覚える。
まるで、彼らの撤退を支援したかのような…。
「…、何にせよ、1度上がらないとな…。千束たちのことも心配だし、こいつらを解析してもらわないと」
海底の残骸をアンカーのチェーンで巻き付け、抱える。
どこで製造されたか、どんな技術で作られたか、調べなくては。
「………あっ」
それはそうと、司令部に許可をとらず、勢いで出撃してしまったことを思い出す。
もしかしなくても規約違反だ。
「…こっちも、どうにかしなくちゃ…」
新たな敵に、新たな謎。
1つずつ、片付けるしかない。
そう腹をくくり、トビアはいつもの倉庫へとX1を向かわせるのだった。
◆
「………ハッカー、映像は撮れてるか?」
〈あ、ああ。しっかり撮れてる。あのドクロと別の2機だな?〉
どこかの船室と思しき一室。
そこでは治療を施された真島と呼ばれた緑初の男が、ソファに身を沈めていた。
耳元のインカムからは、ドローンで後方支援を担当していたハッカーの声。
確かロボ太なんて名乗っていたか。
「……画面に出してくれ」
そう指示し、手元のスマホに先ほどの3機の画像を出してもらう。
独楽をひっくり返したかのような腕のついたヘリ。
水中ゴーグルを着けているかのような間抜け面。
そして、額にドクロのレリーフを掲げた、いかつい顔。
「……こいつら、揃いも揃って俺たちを無視しやがって」
思い返せば、てんで勝負になっていなかった。
こちらがいくら撃ちこもうと跳ね返される頑丈な装甲。
頭部から発射される、掠っただけで車がスクラップになるような大口径の銃弾。
おまけに、空まで飛んで見せるでたらめさ。
そもそも大きさだけで少し小さめのビルを相手にしているようなもの。
とてもじゃないが、人間が敵う相手ではない。
あの後、真島たちは命からがら逃げだしていた。
使える車もほとんどなく、散り散りになりながらもなんとか拠点まで戻る。
あれだけ入念に作戦を練って人員も投入したというのに、いとも簡単にひっくり返され、最後は相手にもされなかった。
まったくもって、
「…バランス、悪すぎんだろっ…!」
痛む身体を抑えつつ、立ち上がる。
左腕は吹き飛ばされたときに利き腕をかばって負傷したため、三角巾でつられている。
「おい、ハッカー。…あいつら、1機でも獲るぞ。作戦の練り直しだ」
〈!そう来なくちゃ!あのダセェドクロ取っ払って、僕のイかすエンブレム彫ってやる!〉
次の段階だ。
ちまちましたリコリス狩りは、店終い。
面白そうなアランリコリスに、海賊。
DAにカチコミをかけるよりもよっぽどやりがいのある相手だ。
「さあ、忙しくなってきたぜ…!楽しもうぜぇ、海賊どもぉ…!」
新たな獲物を見つけた真島は、満面の笑みでそう呟いた。
7.
X1が倉庫に戻ると、抱えていた残骸を中に降ろす。
次の日にでもDAの解析班に来てもらって、調査してもらわなくては。
「と、その前に言い訳考えないと…」
今回の出撃は、司令部の許可を得ずに出たものであり、何とか緊急事態という事にしない限りは規約違反だ。
上層部に騒がれたらたまったものではない。
「接収だ何だ言われる前に、何とかしないとな…」
X1を跪かせ、コクピットを降りるトビア。
すると、それを待っていたかのように、人影が飛び出す。
「「トビアっ!」」
「おっ、とぉ!…千束、たきな?2人とも無事だった⁉」
駆け寄ってきたのは、今回の事件で一番の怪我を負った千束と、救出のために前線を張ったたきなだった。
「トビア、…ゴメン。あれだけ1人になるなって言われてたのに…」
「…たきなやみんなに、ちゃんと謝った?」
「…うん」
「なら、ぼくから言うことはないよ。…本当に、無事でよかった」
いつにも増してしおらしい彼女に苦笑しつつ、安心させるかのように頭をなでるトビア。
もう応急処置を済ませたのか、千束は左腕に包帯を巻き、顔に吹きかけられた塗料もきれいさっぱりとれている。
「トビアの方は大丈夫でしたか…?そっちの方は、別の巨大ロボが出たってクルミが…」
たきなからそう心配される。
なんでも、もう1機飛ばしていたクルミのドローンがその姿を捉えていたとのこと。
あまりの事態に大興奮だったそうな。
「そっちも大丈夫、残骸も持ってきたし。…まあ、DAから無許可で出撃したから、交渉材料にしなくちゃ」
少しおどけて、そんなことを言う。
この後の交渉を思い、ほんのちょっとげんなりするトビア。
「……2人とも、無事でよかった…!」
たきながそう言いながら、千束とトビアを強く抱きしめる。
「たきな…」
千束と一緒になって、驚く。
「…うん、心配してくれて、ありがとう。助かったよ、たきな…」
「そうだね、助けてくれて、ありがとう」
そして、お礼を言う2人。
春先にリコリコに来たときからは、考えられない事だった。
彼女の向けてくれる優しさがうれしく、そして誇らしく思えた。
「———それはそうと、2人とも」
途端に、抱きしめる力が強くなる。
“ん?”と疑問に思う2人。
「私に、何か言うことはありませんか」
ぎりぎりぎり。
そんな音が聞こえてきそうな強さだ。
「た、たきな、さん?」
「そう、例えば」
そこまで言われて、はたと気づく。
「そのドクロの巨人、…クロスボーン・ガンダムのこと、とか」
そう言えば、クロスボーンで普通にスピーカー使って会話してた。
ぎちぎちぎちぎち。
「いだだだだだだだだだ⁉」
「あの!ちゃんと!話すから、…力緩めてぇっ…⁉」
「根掘り葉掘り、聞かせてもらいますから、どうぞ覚悟しておいてください」
もはやベアハッグ。
声のトーンが一切変わらないのが、本当に怖い。
ふと横を見ると、いつの間に居たのか、呆れた顔のリコリコの仲間たち。
目線で助けを求めるも、自業自得と言わんばかりの表情で手を合わせてくる。
なーむー。
「ていうか私!関係、なくない⁉」
「知ってて黙ってたようなので、有罪です」
隣で一緒に締められてる千束が抗議の声を上げるも、たきなはバッサリ。
(………、隠し事、するもんじゃ無いなぁ……)
とうとう鯖折りみたいになってきたトビアは、激痛にあえぐ中そう思った。
彼の明日はどっちだ。
ぐりん。
「黙ってた皆さんも、同罪ですからね?」
「「「⁉」」」
ついでに、リコリコメンバーの明日も。
おまけ.
翌日、山岸の病院にて。
「よっしよっしよっしよっし…!」
「え、うそ…。負けた…?なにこれ、夢…?」
「いや、ショック受けすぎでしょ。たきなだって対策立てるって」
「いや、でも、ええぇぇ……?」
「今の私なら、トビアにも勝てます…!じゃん、けん!」
「え、やる流れ…?ぼくの意思は…?」
「ぽん!」
トビア:パー
たきな:グー
「……」
「……」
「……」
「…えっと」
「……」
「…た、たきなさーん…?」
「…グスっ」
「…あんたら、いいトリオだわヨ」
以下いつもの筆者メモ
5.
・VS真島→これもほとんど変えられなかった場面。
・タフネス→この人、こっち方面の才能強くない…?
・囲むツナギ→結構絵面がひどかったシーン。
・Kick Back真島→なんか忘れちゃってるんだ。もとい、一晩で2回もなんか投げつけられる真島さん。
・スカルハート見参2回目→ピロピッピー
・たきな合流→正直途中まで車に乗ってった方がいいような気がしたので、つい…
・フェイスオープン→そういえばあんまりやってこなかったシリーズ①。ねじ込みました。傍から見れば、そら怖いよね。
・真島が立った!→もはや異能生存体。アストラギウス銀河出身ですか、あなた?
・バレるトビア→ようやっとバらせた…!長かった…もう22話なんですケドぉ⁉
・そんな驚かないたきな→「いや、結構怪しい部分出してましたし…。ていうか、声一緒…」
・全身武器→手持ち武器がなくても・頭部バルカン×2、・胸部バルカン×2(レリーフの眼孔内)、・襟元ビーム・サーベル兼ビーム・ガン×2、・両腕部ビーム・シールド兼ブランド・マーカー×2、・右腰シザー・アンカー、・左腰スクリュー・ウェップ、・両脚部ヒート・ダガー×2…多くない?
6.
・お互い攻め切れず→真島一味は単純な決定力不足。トビアはトビアで気を抜くとすぐに「やめなっさいっ!」〈フレッシュトマト味。
・潜水ゴーグルのあいつ→やっちゃった☆空は飛べないのでエルコプテもどきと一緒に登場。でも、XBの名前を出してる以上、登場させないとどうしようもなかったんです許してつかぁさぁい!(ゆうきまさみ)
・ミニガン→流石にビームは無理。ビームシールドもサーベルもついてません。
・ブランド・マーカー→そういえばあんまりやってこなかったシリーズ②。やっぱりXBといえばこの武器の印象の方もいるのでは?ちなみに、意外とビーム伸びたりする。(エレファンテ戦)
・無断出撃→さーて、どーごまかそー
・真島さん、おこ→まあ、MS相手に生身で挑むこと自体が…(経験者トビア)なお、宇宙空間ではあるものの、撃破迄やってのけた先生がいたり…。
・新しい獲物→トビア君追加(顔は知らないけど)
7.
・ベアハッグ→またの名をジーグ・ブリーガー。
・鯖折り→ハニワ原人じゃないからへーきへーき。
おまけ→喜んでるたきなちゃんがとてもかわいかったので、幼児退行させてみました。
そしてこれ書いてるときに檸檬堂1本空いてました(そしてダ〇・オブ・サーズデイへ…)
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
今回は今まで以上に強引な展開になっちゃった…。
まあ、2次創作なんでどうかご容赦ください次
例によって次回の投稿は未定になっております。
そろそろ前の投稿ペースを取り戻したい…!
あと今日買ってきたルブリスウル作っちゃいたい…!(黒ラベル装備)
それでは皆様、またお会いする日まで。
感想・評価、いただけると幸いです。