海賊少年を百合の間に挟んでみる実験   作:愛犬家

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ちょっと出張先のルビコンから戻ってきたので初投稿です。

初アーマードコアでしたが意外と遊べました。
あんなヘタクソだったのに3週できるんだもんなぁ…(遠い目)

ごす、エア、戦友、自称企業、ドンマイグアス…
キャラクターの顔も出ないのに、よくもまああんなに濃ゆいキャラクター出せるもんだなぁ。

さて、今回はある意味伝説のパフェ回となります。

ほんの少しでも楽しんでいただけたら、幸いです。
それでは、どうぞ。

え、1日の飲酒量、ビール500ml…?
今私の横に転がってるのは、300ml4缶…⁉


#27海賊と出稼ぎ①

1.

 

海もほど近い、草原と巨大な施設がある島。

この島に、聞きなれない足音が響く。

それは、3本指の動きがぎこちない両腕で大きなコンテナを掴み、工場のような施設の前へ運んでいく。

高さは見上げるほどの巨体で、15m以上はある。

正面は、のっぺりとしたクラゲのような上半身と、その真ん中にはレールの上を左右に動く一つ目。

背中には丸い筒状の大きなパーツが斜め下に引っ付いている。

全体的に野暮ったいかと思えば、下半身は人の足のようになっており、上半身に比べて随分とスタイリッシュだ。

 

見る者が見れば、“なにか上に被せている”という事がまるわかりな鋼鉄の巨人。

この巨人の中で、ヘルメットにツナギ姿の少年がため息一つ。

 

『トビア君、そのコンテナで今日はおしまいだ。早めに上がってくれて大丈夫だよ』

「はい、分かりました。お疲れ様です」

通信に答え、コンテナを設置し終えると、首にかけていたタオルで額をぬぐう。

いつもよりも視界が狭く、独特の緊張感に気疲れを感じていたトビアは、作業を終わらせると機体を格納庫へ戻し、コックピットから顔を出す。

「お疲れ!」

「流石に早いな、助かるよ!」

「この分ならスケジュールもだいぶ早まるよ!」

「お疲れ様でーす!」

トビアに気づいた作業員が口々に感謝を伝えてくる。

初日の困惑した表情が嘘のようだ。

 

ここは、種子島宇宙センター。

日本で最大の宇宙ロケット発射場である。

夕日に照らされたロケットガレージ、そのすぐ傍に仮設で建てられた格納庫の前でトビアは大きく伸びする。

「ん~~~…!さて、みんなはちゃんと稼げているかな…?」

胸ポケットに忍ばせていた携帯を取り出し、電話を掛ける。

なぜ自分がここでロケットの打ち上げに関わっているのか、その原因を思い返しながら。

 

ある日の喫茶リコリコ。

この日も看板娘の千束が元気に注文をとっている。

「へいお待ちぃ‼」

「居酒屋じゃないんだから…」

そう千束に返す伊藤が頼んだのは、最近千束が考案した豪勢なスペシャルパフェ。

これでもかと具材を載せて、たった1200円ぽっきり。

正直、喫茶リコリコで一番の高額商品ではあるのだが、これでも採算が合っていないぐらいには安く抑えている。

「お、昼から飲めるのかい?」

居酒屋というワードに反応して阿部がそう返す。

「ありますよー?ミズキの飲みかけ」

「阿部さん…!勤務中ですよ…!」

一緒に来店していた後輩の三谷にたしなめられる阿部。

悪い悪い、と言いつつ千束に注文。

「にしても、今回のパフェは一段と大きいな…。じゃあ、あのパフェ2つ頼むよ」

「喜んで―!あ、北村さんもいかが?」

「お、食べる食べる」

「俺もいいかい?」

「なら、私も!ブレンドお替りも一緒に!」

「おお、スペシャル5丁追加にブレンドね!毎度ありぃ!トビア、先生!」

自分が考えたパフェが大盛況だ。

千束は嬉しそうに厨房へと注文を伝える。

 

「はいはいっとぉ…。あれ、たきな?」

「トビア…」

まあ、味はいいし見た目も華やかだしなぁ、と考えていたトビアにたきなが遠慮がちに話しかける。

「このままだと、マズいです」

「?マズい、て言うと…まさか」

だんだんトビアの顔が引きつっていく。

その表情に、神妙な顔をしたたきなが頷きながら、一言。

 

「赤字です」

 

事の発端は、たきなのこんなつぶやきだった。

 

 

 

2.

 

営業終了後、座敷に置かれたノートPCを全員で囲む。

今月の収支に、経費で落ちていく項目、さらに依頼で稼いだ報酬額と、その経費。

そう言った項目を表計算ソフトで計算していった結果…。

「…ものの見事に、赤字だね…」

絞り出すように、トビアがぽつり。

 

「依頼の報酬を合算してこれですよ?弾丸や仕事でかかる経費はどうしてるんですか」

「DAから千束の活動費として支援金が出てるのよ。リコリスの活動費って名目ね」

たきなの疑問にミズキが答える。

「完全に足が出てるじゃないですか…」

深くため息。

「大体、こいつがバカ高い弾丸使いまくるからよ!」

「あのパフェもぶっちゃけ採算度外視だし…」

「クリーナーも頼みまくってるもんな」

ミズキ、トビア、クルミの千束への連続攻撃。

「…あの弾丸、そんなに高価なんですか?」

「1発で9㎜パラベラムの4倍よ、あれ」

余りの額に、呆れ顔。

「あれだけ独立を謳いながらも、実費はDA持ちだったと…」

そして最後に、たきなのとどめ。

「楠木さんみたいなこと言わないでよ⁉うわーん!」

千束は泣いた。

「ていうか!トビアも弾使ってるじゃん!なんで私だけ⁉」

半べそでトビアを指差す。

「いや、トビアあんまり銃使いませんし…。なんだったら誰よりもお金かけてないですケド…」

「正直撃つより殴った方が早いし」

「そう言えばそうだった…!味方がいねぇ…⁉」

ついでに言えば、彼の防弾コートやシートは思いっきり自腹だ。

「……わかりました」

深く息をつくと、たきなは声高に宣言する。

「これから私が経理を担当します!」

 

ここに、リコリコ財政大改革が始まった。

 

〈…で、こちらに実入りのいい仕事を紹介してほしい、と。いっそ清々しいほどの頼りっぷりだな?スカルハート〉

「いや、返す言葉も、ございません…」

トビアは電話の向こうに額に青筋を浮かべた楠木を幻視した。

 

宣言の後、たきなは現在のリコリコの問題点を徹底的に洗い出していた。

ズボラなミズキの冷蔵庫の開けっ放し、クルミのドジによる皿の破損、ミカのレジ打ちの遅さに起因する店の回転率の悪さ。

千束は喫茶店業務に対しては満点であったが、依頼に際しての弾丸消費量とクリーナーによる出費が顕著であった。

特にクリーナーの現状復帰にかかる費用が群を抜いていたので、現在はあまり現場を荒らさないための戦術転換に迫られており、あーでもないこーでもないと頭を悩ませている。

 

そして肝心のトビアは、裏も表もそつなくこなしていることから特に改善点はなかったため、稼げそうな仕事はないかとDAに連絡を取っている最中だ。

〈というか、そういうことを直接私に聴くのはどうなんだ?〉

「いや、その、初めは普通に担当のオペレーターさんに連絡したんですケド…」

“それなら司令にお繋ぎしますね!”といい声で言われてしまい、遠慮する暇もなく直通。

正直トビアも困っていた。

〈…はあ、それで、なんだ。稼げそうな任務だったか?あいにくだが間に合っている〉

「ですよねー」

まあ、ダメもとだったのだ。

最悪、がむしゃらにアルバイトを入れるか、はたまた投資に手を出すか…。

〈…と、いいところだが。運が良かったな、スカルハート。お前に直接指名だ〉

「……はえ?」

予想外の言葉に、変な声が漏れる。

「それは?いったい…」

〈DAに技術を下ろしてもらってる種子島からだ。今度打ち上げるロケットに組み立て作業の遅れが出てきているようでな、X1の力を是非とも借りたいそうだ〉

「え、X1を⁉」

今度こそ驚きを隠せない。

相手が相手なので、軍事転用目的ではなさそうだが、まさかX1の力を求められるとは。

「そもそもX1を表に出してもいいんですか?下手したら大パニックになるんじゃ…」

〈以前、お前が注文を出していた偽装装甲が完成してな。今回は今後を見据えて、こちらの事情を知る者の監督下での運用試験、という事だ〉

 

今後。

おそらくこの前に見せられたクロスボーンのコピーの運用を指しているのだろう。

確かに今回のように偽装を施していれば、特殊作業重機だとなんとか押し通して運用できる…?。

「…15mで人型の重機は無理ありません?」

言ってて不安になってきた。

大丈夫だろうか、この仕事。

〈それを含めた試験、だ。日程と詳細は追って伝える、ではな〉

 

ブツッ

音を立てて切れる電話。

あの口ぶりでは、もうやることが決定しているらしい。

 

スマホをしまい、しばし無言の後、軽くため息。

「……やるかぁ」

トビア、種子島で出稼ぎ決定。

 

 

 

3.

 

〈…でね!たきなが合格点出してくれてさ!いやー、私ってばカンフーの才能もあったみたいでさー〉

「案外、どうにかなってるようで何より」

 

電話口にて、千束が自分が種子島に向かってからのリコリコの様子を教えてくれている。

今回は爆弾解除の依頼の終わりに依頼主に料金をちょろまかされそうになったようで、たきなが中途半端に解除されていない爆弾を手に交渉したそうな。

千束の方も、弾薬の消費を抑えるために近接格闘で制圧できたようで、それは嬉しそうに報告してくる。

〈トビアの方はどお?うまくやれてる?〉

「うん、最初こそ大変だったケド、今はちゃんと馴染めてるよ。作業自体も早く終わりそうでいくらか手当も付きそう」

〈さっすが!〉

最初のころはまあ、信用はされていなかった。

なにせ、巨大人型特殊作業重機とそのパイロット。

いかに現物があろうと胡散臭いことこの上ない。

その上こちらの見た目は完璧に10代半ば。

信用しろという方に無理があった。

それでも組み立て作業の補助に入ると評価は一変。

ただパーツを港から持っていくだけでも車両に積み替えて運ぶよりも早く、大きさもあるからそのまま組み立ての作業やその補助にも入れる。

「でも、視界が狭くて結構神経使うから大変かな?」

〈…さすがの私もあの写真見て、笑うよりもぽかんとしたなぁ…〉

言って格納庫のX1を見やる。

ブラックロー運送の時に使用した偽装装甲そのまんまを頼んでいたのだが、流石に性能までそのままとはいかず、特にセンサー周りやカメラに苦労した。

それにしても別の意味でインパクト大の姿をしている。

どことなく、ベルナデットが乗せられていた、総統のバイオ脳付きMAに似ている気もするが、どうだろう?

 

〈…そういえば、X1どうやって運んだの?まさかあの格好のまま飛んで…?〉

「いやいやいや…。ていうかこの状態じゃ飛べないから…」

運び方としては、事前に鹿児島近海に偽装装甲を載せたタンカーを用意。

そこまでは自力で飛んで、船に着艦ののちに装甲を装備。

あとはそのままタンカーで運ぶといった具合だ。

 

〈はえー、結構手間暇かけましたなー。あ、じゃあそろそろ電話切るね。明日は新メニュー会議だし、またかけるね〉

「変な案出すなよ?じゃあ、また」

通話終了。

果たしてどんなメニューが飛び出すのか、楽しみやら不安やら。

「やあ、トビア君。今日もお疲れ様」

「…鈴木さん、はい、お疲れさまでした」

自身にかけられる声にトビアが顔を向けると、一人の小柄な老人がこちらの側にまで歩いてきていた。

彼の名前は鈴木実。

DAの事情を知る、数少ない種子島宇宙センターの職員だ。

「…最近は減ったけど、私を見るたびに微妙な顔をするのはなぜなんだい?」

「え゛。…あ、まあ、じつは知り合いにそっくりな人がいまして、ははは…」

…名前といい、容姿といい、どうしてもあの作戦の仲間の1人を思い出させるせいで、トビアとしてはぎこちなさが出てしまうのが悩みどころである。

「さっきの電話は、君の仲間かい?」

「ええ、少し心配だったんですけど、何事もなかったみたいで…」

そこまで聞いて、鈴木が冗談交じりにぽつり。

「…DAの喫茶店なんて、何の冗談かと思ったが、存外普通のお店みたいだね?」

どうも電話の内容を聞かれていたらしい。

 

「そう言えば、鈴木さんはどこでDAと関わりを?」

ふと、気になったことを聞いてみる。

正直な所、鈴木自体はベテランではあるものの組織の中核にはいない。

今回の依頼も鈴木が関わったわけでもない。

存在自体が機密だらけのDAをどこで知ったのだろう。

「…そうだね、あれはもう14・5年以上は昔になりますか。ウチへ国が予算をあまり上げてくれなくなった時がありまして…」

話としてはこうだ。

実施中のものも含めいくつかの探査プロジェクトを控えていた種子島だったが、時の政権交代のあおりを受け、大幅に予算が減らされていたとのこと。

「今あの人達に“例の質問”を聞いてみたいところだねぇ」

「………」

ふふふふふふふ。

スズキの黒い笑みにトビアは何も言えなかった。

それはさておき、どうにか予算を確保したい彼らに資金提供を持ちかけたのがDAだったとのこと。

「その交換条件として、こちらの技術提供を求められましてね…。私はその時の技術スタッフとして関わったのですよ」

「なるほど…」

DAの持つ超技術のルーツが見えた気がした。

考えてみれば、何もおかしな話ではない。

エアバック機能まで持たせた多機能過ぎる武装鞄に、ワイヤーガンといった特殊武装。

そして何より、自分が愛用する防弾コート。

そういった装備の源流がここにあったという事だろう。

 

 

「…しかし、君は本当にDAなのかい?さっきの電話といい、どうにもらしくないというか…」

「あ、ははは…」

心底不思議そうな顔を向けてくる鈴木。

DAがどういう組織か理解しているからこその反応だ。

(やっぱり思う所はあるよな…)

自分たちの宇宙へと向かうための技術が、年端もいかない子供たちが人を殺すために使われる。

腸が煮えくり返るような思いに違いなかった。

そんなところからやってくる人間なんて、とてもじゃないが信用なんてできなかっただろう。

 

「世代は変わった、という事かね?」

最初の頃よりも険が取れた取れた顔で、鈴木が笑いかける。

「まあ、ぼくらは特殊でして…。鈴木さんも東京にいらしたときは是非来てください」

そう言って、鈴木にリコリコの名刺を渡すトビア。

「錦糸町じゃあ、それなりに名の売れてる喫茶店なんですよ、ウチ」

「…つくづくらしくないねぇ。分かったよ、楽しみにしてる」

そう答える鈴木は、柔らかな笑顔だった。

 

「…トビア君、この話題の喫茶店てもしかして…」

「…………いったい?何が、どうして……?」

後日、“下品なパフェを出す喫茶店”とSNSでバズるリコリコを見つけ、白目をむくトビアの姿がそこにあった

 




恒例の筆者メモ

1.
・働くモビルスーツ→実はずっとやりたかったネタ。当初は宇宙で働かせるつもりでした(無謀)
・種子島→困ったときのJ〇XA。

・スペシャルパフェ→あの量はもう食べられないなぁ。…若いときに食えるものは食っとくべきだなぁ(後悔)
・そんなパフェを注文する常連の皆さん→胃袋頑丈すぎない…?

2.
・弾丸の値段→1発だいたい21~50円前後。これの4倍といってもそんなに高く感じないかもしれないが、拳銃の1マガジン装弾数が大体15~18くらいなので結構な出費。
・たきな財政改革→経理もうそうだしお金に関わる仕事はある意味一種の才能が必要です。だからこそ、ココのたきなちゃんが凄すぎる。
・楠木直通→オペレーターさんのトビアに対する信頼が厚すぎる。
・15mの人型重機→明らかにデカすぎる。レイバーでさえ4~8m前後だってのに…。

3.
・ロケット組み立て→横に倒したまま作って、その後立てるのがセオリー。
・偽装のデザイン→クラゲっぽいし、エレゴレラとなんか関係がありそうな、なさそうな…。
・鈴木さん→やりたかったネタその2。ただ、こういうことをして違和感がないキャラクターってスズキさんかウモン爺さん位なので難しいものです。
・例の質問→あんまりそのまんま書くと、特定の個人・団体に対する誹謗中傷につながりかねないのでぼかしました。分からない人は、政権交代 仕分けで検索だ!…ぼかした意味無くなったぁ⁉(怒られたら消します)
・DAの装備の源流→やはり困ったときのJ〇XA。まあ、N〇SAもそういう事してるし、いいよね?の精神。

・下品なパフェ→こんなネタを百合アニメでやるスタッフさんは本当に頭がおかしいと思う。(誉め言葉)

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
後半は近日投稿予定です。
まーた長引いてしまった…。

それでは、またお会いする日まで。

感想・評価、いただけたら幸いです。
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