海賊少年を百合の間に挟んでみる実験   作:愛犬家

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前回の分割分、初投稿です。

分割って言っておきながら、過去最長なのはご愛嬌!
むしろ分割とか言わないで、普通に投稿すりゃよかった!

なんでこんな長い文章しか書けないの?私…。

そういえば皆さん、月食見ました?
私はローソンで買った「ブラックさんのコーラチューハイ」片手に見てました。
あれ、月食?暗い月…シャドームー……

それではどうぞ。


#4海賊と10年②

その4.海賊と少女(2人目)

「なるほど、このレバーでチェーンを動かすんですね。こっちの画面は武装の…稼働率?必要な画面って結構多いんですね。戦闘中に気が散っちゃいませんか?それで、このコンソールってどんなことをするためのものなんですか?」

「ごめん、お願いだから?そろそろ落ち着いてくれない?」

 

 

4の1.

トビアがリコリコに所属してから、4年の時が過ぎた。ミカのコーヒーは無事上達し、千束もすくすく育ち、DAのやり方についていけなくなった、あの時の尋問官“中原ミズキ”という新たな仲間も迎え、常連も付き始めた喫茶リコリコは着々と評判を伸ばしていった。

その裏で、普通では対処できない仕事や、DAからの任務も時折入ってきており、今回もそういった対処の難しい仕事が舞い込んできた。

 

「つまり、X1によるバックアップを頼みたい、と」

〈そうだ。すでに対象車輌がゴルフ場に侵入したのが確認されている。被害の拡大を抑えるため、確実に出番があると思ってくれ、“スカルハート”〉

トビアに楠木から通信が入る。

 

本日17:00、京都府N演習場にて、装甲車3台と戦車1台の特殊車輌がドローン技術の応用による遠隔操縦実験の最中、突如暴走。自衛隊の操作を受け付けず、演習場付近のゴルフ場に向かって侵攻を始めた。DAは外部勢力によるハッキングによるものであると断定、ハッキング元を特定し、対象を殺害する作戦を開始。京都支部がこれにあたる。その間、暴走車輌が市街地に向かうおそれがあり、その対処と処理のためにX1の投入を決定したという。

「みんな、“威張ったコウペン”。デリバリー、一人でいってきます」

「そうか、よろしく頼む」

「トビア!気を付けてね!」

「寄り道せずに戻ってきなさいよー」

符丁を使って仲間たちにDAから任務が入ったことを伝えると、三者三様に言葉をかけられ、店を出る。

むかうはX1の待つ工場跡だ。

 

「「「………」」」

トビアが店を出た後の喫茶リコリコ。もう閉店時間が近く、本日のお客も全員帰り、昼ごろの喧騒が嘘のように静まり返る。

「…ミズキ」

「いやよ」

「まだ何も言ってない」

 

突然だが、喫茶リコリコにおいてトビアは最大戦力だ。DAよりスカルハートのコードネームが割り振られ、銃撃、格闘を高水準にこなし、どんな車両も使って見せる。X1の操縦も言わずもがな。

それは、喫茶店業務においても同じであり、なんでも器用にこなした。

優しげでありながら、顔の傷がなんともミステリアスな雰囲気でお客さんに少なくないファンがついているし、接客態度も落ち着いており、どんな話も親身になって聞く。キッチンを任せても、そつなくこなしピンチヒッターとしても大活躍。賄いを作ると、芋料理の比率が多くなるのが玉に瑕だが。

そもそも、トビアは海賊をしていないときは、仲間たちと運送会社の社員として働いており、様々な業務をこなしていた。クライアントとの交渉に、接客、持ち回りの料理と、事務作業。

 

そして、()()()()()()()

 

「だいたい、オッサンの店でしょーが!毎回トビアに押し付けて、いなけりゃアタシときた!自分で金ぐらい数えろやー!」

「い、いや、しかし、私も歳だし、数字だと目がすべって…」

「こ・の・メ・ガ・ネ・が!見えんのかぁー!」

“やってられるか!”と一升瓶を煽り吠えるミズキに、普段では考えられないほどうろたえるミカ。というのも、彼らはもともとDAにおいて戦技教官と情報部の人間である。相手の情報をまとめることはあっても、収支報告や経理といった裏方作業には、とんと関わってこなかったのだ。

なので、経験者たるトビアにおんぶに抱っことなるのは、当然の帰結であった。

「………」

「くおらぁっ!逃げるな千束ぉ!アンタ一番目ぇいいんだから強制参加じゃあ!」

「うえぇ⁉理不尽だよ!だいたい、キッチンの片づけだって終わってないじゃんか!」

「…そっちは私が先にやっておいた」

「先生⁉」

“トビアお願いだから早くかえってきてぇ~⁉”

千束の叫びが錦糸町の住宅街に木霊する。

 

これが4年経った喫茶リコリコの姿である。

 

 

4の2.

「こちらスカルハート、X1の発進準備完了。司令部、装備の確認を求む」

〈こちら司令部。ビーム兵器は極力避けられたし。あまり派手にされますと、隠蔽が間に合いません。〉

「スカルハート了解。武装はブラスターにリミッターをかけ携行する。」

〈司令部了解。スカルハート、X1発進してください。グッドラック、ミスター〉

 

千束が好きそうな映画のようなやり取りに、トビアは笑みをこぼす。

 

全身を覆う暗い色のマントをなびかせ、腰にムラマサ・ブラスターを差すと、クロスボーン・ガンダムが飛翔する。

時刻は17:30。まだ夜というには早い時間だが、X1は急加速、誰にも気取られず、あっという間に雲の中へと消えていった。

 

X1はその運用にあたって、いくつか制限が設けられた。

まず、基本的には夜間のみの運用。言わずもがな、15mの巨体が白昼堂々と街を闊歩するわけにもいかない。もっとも、X1が必要な場面というのは、相手も夜間に行動していることが多く、特に問題となっていない。

次に、装備は最低限。X1の武装は近接戦闘を念頭に置かれていたとはいえ、ビーム中心のためどれも現代日本では過剰だ。もちろん、他にMSが確認されていない以上、鉄壁の防御を誇るフルクロスもお役御免と言わんばかりに外され、倉庫でほこりをかぶっている。なお、ムラマサ・ブラスターはビームさえ発振させなければただの頑丈な金属の塊であり、意外と重宝されている。

最後に、起動には司令部の承認が必要となった。緊急時はともかく、このような超兵器を個人にゆだねるのだ、当たり前の措置といえた。

 

東京から京都まで、しばしの空中旅行。

航空機に見つかるとまずいので、少し遠回りになる。

X1は、木星圏の高重力下での戦闘もこなすその推力を、これでもかと発揮していた。

トビアはオートパイロットを起動させ、少し休憩をはさむ。

「それにしても、今回の任務は妙だな…?」

一介のハッカーがやるにしても、他国や組織が仕掛けるにしても大事過ぎる。そもそも、今回の実験は秘匿されたものであった。内部に協力者がいたとしても、やることが派手過ぎる。

「だいたい、実験を暴くにしたって、一台外に出すだけで十分だし。…もしかして、釣られた?」

だとしたら、相手は相当な手練れだ。なにせ、X1の存在は最高機密。運用条件を含めた一切のデータと記録が残っているのは、DA本部だけ。

「でも、楠木さんが気づいてない訳ないし?もしかしておれ、餌にされてない…?」

最近上昇気味だった楠木の株が、また下がり始める。

 

考えても仕方ない、と切り替える。すると、見計らったように通信が入る。

〈こちら司令部。スカルハート、現在地は?〉

「スカルハート、愛知伊賀を通過。現場のゴルフ場まで1分もかからない」

〈さすがですね、ミスター。……えっ⁉〉

「司令部?」

〈スカルハート、急いで!車両を監視中のエコーチームが攻撃を受けました!〉

「!早速か!状況は⁉」

〈セカンドリコリスが一名負傷!…回収完了!っ、サードリコリス1名が応戦中!囮のつもり⁉〉

オートパイロット解除。出力を上げ、ガンダムの速度を上げる。

「間に合ってくれよ…!気合い入れるぞ、X1!」

 

戦場は近い。

 

 

4の3.

今回、京都支部のリコリス2名に課された任務は、目の前の暴走車輌の監視。

本隊がハッカーを処理する間、逐一車輌の状況を報告するのが、彼女たちの役目である。

車輌の処理には、本部より派遣される“スカルハート”に一任すると、よくわからない指示が追加されたが、本隊が作戦目標を達成すれば、なにも問題ないはずであった。

 

〈こちらアルファ。司令部、これより目標に突入する〉

〈こちら司令部。許可する。突入!〉

「…本隊は勝負に出たわね」

「こちらは、まだ動きを見せませんね。定時連絡を入れます。」

「お願い」

ゴルフ場の安全木に身を隠しながら、青とベージュの制服に身を包んだ少女たちが、戦車と装甲車の群れを見つめる。その真上、距離を開けて中継器と思しきドローンが複数台飛んでいるのが見える。距離を取っているとは言え、狙われたらひとたまりもない。

「こちらエコー。対象に依然変化なし。ポイントを変え、引き続き監視を続行します」

黒髪の美しい、小柄なサードリコリスが司令部に通信を入れる。その間、先輩であろうセカンドリコリスが単眼鏡で監視を続行する。

 

〈こちら司令部。了解。次の連絡は5分後。次のポイントをCに変更し——〉

〈こちらアルファ!嵌められた!対象はすでに死亡!現場の端末よりコード確認!〉

「伏せてっ!」

「!」

切羽詰まった本隊の通信を聞いたのち、激しい破裂音。対象の内、こちらに一番近い位置の装甲車が発砲したようだ。

とっさに先輩にかばわれ、地面に押し倒される。

顔に血がかかる。

「っづああっ…!」

「先輩⁉」

見ると、彼女の右肩が被弾していた。青の制服が真っ赤に染まる。

「先輩っ、逃げましょう!気をしっかり!先輩!」

「ううっ…、はぁ、はぁ、はぁ」

すぐさま人員回収のために待機していた車両まで逃げる。幸いにも、木々が盾になっており、たどり着くのは容易だった。急いで先輩を車内に寝かし、止血処置を施す。

「私はそのまま対象をひきつけます!先輩を連れて逃げてっ!」

「ちょっと⁉」

返答も聞かずに飛び出す。

なんとか時間を稼がなくては、車ごとやられる。

すると、案の定木々をなぎ倒し戦車が顔を出す。装甲車では、突破できなかったのだろう。

必死に逃げる。装備以前に生身の人間が戦車に敵うはずがない。

息が上がる、足が恐怖でもつれる、…転倒。すぐに振り向き、状況を確認。迫りくる戦車に反射的に目をつぶる。そして———

 

轟音。

静まり返る現場。主砲を撃たれたのだろうか?いや、この距離なら機銃掃射で対処するはずだ。なにより、自分の体は倒れ伏してもいない。

 

おそるおそる目を開く。

 

そこには、

 

大剣を戦車に突き刺す、緑色に光る眼をした、ドクロマークの巨人がいた。

 

4の4.

「スカルハート、現着!これより作戦行動に入る!」

〈司令部了解!頼みます!〉

言ってすぐ、急降下。ブラスターの切っ先を下に構え、真下の戦車に突き刺す。

そして刺したまま、後方に放り投げる。ひしゃげる砲塔に、から回るキャタピラ。何とか誘爆は避けられたようだ。

 

まずは一機、と息つく間もなく、目の前で腰を抜かすベージュの制服を着た少女を見つける。

「おい!怪我は!動けるか!?」

外部スピーカーで呼びかける。

どこから声が出ているのか、一瞬見失った彼女は、こちらに目を向けゆっくりと頷いた。

 

「本部から来たスカルハートだ。とりあえず、乗ってくれ!」

膝立ちでコックピットハッチを開き、X1の左腕を少女に差し出す。

あまりのことに、頭が働いていないようだが、駆動輪の音が近づいてきていることに気が付き、急いで乗り込んでくる。

 

少女を膝に乗せ、ハッチを閉めて装甲車に向き合う。距離を開けて3台全てがこちらを囲むように配置している。

「そんな、全部向かってくなんて…!」

少女が絶望したかのようにうめく。

「…大丈夫!」

トビアは声を張り、力強く伝える。

「いきなり出てきて信頼も何もないけど、何とかする!」

それでも不安が残るなら…

「これからおれのやること、しっかり見ていてっ!」

なぜだか、この子にはこう言ったほうがいい気がした。

「え、…!はい!」

少女が勢い良くうなずく。

 

直後、体制を低くし、急加速。

瞬時にムラマサ・ブラスターをシザーアンカーで挟み込み、最初の一台の前で機体を右に一回転させる。

その遠心力を利用し、勢いよくアンカーをぶん回す。

(当たる直前に、ビーム発振!)

ブラスターがビームを発振させ、一台を撃破し、そのままチェーンを伸ばし2台、3台と切り裂いていく。

 

最後に、左腕を地面につかせブレーキをかけ、チェーンを回収、手元にブラスターを戻す。

 

対象はすべて沈黙。こちらは監視チーム1名が負傷したものの、死亡者0。

さらにその負傷者は回収済みで、先ほど戦闘区域からの離脱も確認。

任務完了。ようやく一息付けそうだ。

 

「すごい…」

あっという間の出来事だった。

 

戦力比3対1という状況下、いくらこの巨人が強いといえど、派手に立ち回っては近隣住民に気取られかねない。事実上、人質を取られているようなものだ。

にもかかわらず、スカルハートは見事な操縦で最低限の動きで最速で制して見せた。

破壊した車両からは、煙すら上がっておらず、いずれもエンジン部の直撃を避けて無力化されていた。何と恐ろしい技量か。

 

「君?結構怖かったと思うけど、大丈夫?気分は?」

頭の上より声がかかる。

スカルハートは、黒ずくめのパイロットスーツにヘルメットをかぶっており、バイザーが下ろされどんな表情をしているかうかがえない。背が低いわけではないだろうが、成人しているとは思えない高さで、まだ年若いのだろう。

怪しいことこの上ない。ただ、彼は先ほどからこちらを心配し、何度も声をかけてくれていた。

(優しい人、なんだ)

これが本部の、本物のプロフェッショナル。

 

「あっ」

そこまで考えて、ろくにお礼も言えていないことに気づく。

ここまでしてもらって、助けてもらえたのに、自分はお礼の一つも言えていない。

当の本人もあまり気にしていないのも相まって、焦りが募る。

「あ、あのっ…!」

「うん?」

「え、えっと!」

(あれ、なんていうんだっけ、お礼って。そういえばこの巨人ってなんなんだろう。なんでこの人顔見せてくれないの?なんで…)

どんどん考えがまとまらなくなり、咄嗟についた言葉が

 

「これどうやって動かすんですか?何で動いてるんですか?ボタン多すぎませんか?大体何をすればあんな動きができるんですか⁉」

「まってまってまってまって」

文句ともとれない、この巨人についてのツッコミだった。

 

4の5.

あれからしばらく経って。

きれいな花色のお目目がぐるぐると回り、焦点が定まってない少女をなだめていたトビアは、先ほどまで飛んでいたドローン全機が墜落していることに気づく。

「…やられた」

もう、必要な情報は粗方送り届けたらしい。どうやら、自分の考察はそこまで間違ってなさそうだと、ため息をつく。

 

〈こちら司令部。現時刻をもって作戦を終了。スカルハート、お疲れさまでした。別命あるまで待機願います〉

「スカルハート了解。…司令部、本隊の作戦結果を聞いても?」

どうやら、一杯食わされたようだ。京都市内のマンションより不審な電波をキャッチ、DAのスーパーAIラジアータの分析から件のハッカーと断定し、アルファチームが突入するも、被疑者はすでに死亡。直後、死体のそばにあるPC端末より攻撃コードが発信され、暴走車輌監視のためゴルフ場にいたエコーチームが襲われた、ということらしい。

〈DA司令部としての見解は…〉

「おれ、だね?」

「え?」

膝の上から、そんな声が漏れる。

〈…はい、スカルハートの情報収集が目的と思われます…〉

「まんまとおびき出された、ということか…」

「………」

 

機内に沈黙が流れる。

「…すまなかった」

スカルハートからの謝罪が響く。

「おれのせいで、君たちを危険な目に…」

「ふざけないでください」

思わず、鋭い声を上げてしまう。

 

「なんで、あなたが謝るんですか…!あなただって、嵌められたのに…っ!」

ぼろぼろと涙がこぼれる。どうして、自分はこの人に謝らせているんだろう。

「あなたがっ、いなければ、私たちは!もうとっくに死んでますっ!」

勢いあまって抱き着く。

「あなたがっ、助けてくれたんですっ!あなたの、おかげでっ!私は生きてますっ!」

でも、関係ない。何が何でも分かってもらおう。

「だから、そんなこと、言わないで…。あなたのせいじゃない、せいじゃないの…」

だって、あなたはこんなにも

「優しい人なんだもの……!」

 

「…ありがとう」

ゆっくりと髪をなでられる。大きな手だ。幼子をあやすよう、とはこういうことを言うのだろう。

「君は、本当に優しい子だね…。怖かっただろう?逃げ出したかっただろう?」

「怖かった…!逃げたかった…!でも、みんな死んじゃうと思ったらっ、そっちのほうがもっと怖かったっ…!」

思いっきり抱きしめる。今になって、その時の恐怖が押し寄せる。彼は決して振りほどかない。こちらが安心できるように、軽く抱きしめ返してくれている。

「だからっ…!」

だから、ちゃんと伝えよう。

「ありがとう…!私をっ、みんなを助けてくれて…、本当に…!」

心からの感謝を。

 

 

 

4の6.

「……すさまじいな。あんな動きができるものなのか」

男が一人、端末の画面を眺める。よく見えるようにするためなのだろう、周りは薄暗くしてある。

「君たちの時代の、MSといったか、あの兵器は皆こうなのかい?」

『あれは一部だけさ。…もっとも、私には遠く及ばないさ…あんなもの』

スピーカー越しにくぐもった声が男に応える。

『それよりも、…どうだい?直してくれるんだろう?』

「まだかかるさ。そう、急かさないでくれ。なにせわたしたちにとっては、未知の代物だ。もっと調べたくなるものだろう?」

『なら、時間をかけてカッコよく仕上げてもらおうかな?ふふふ』

「ああ、楽しみにしていてくれ」

 

男が画面から目を離し、振り向く。そこは、あまりにも広大な空間だった。まるで映画の秘密基地のような、非現実的な空間。そこには、様々な機器につながれ、たくさんの人間にモニターされる巨大な何かが鎮座していた。

 

それは、左右別の色に塗られ。

 

それは、四肢と呼ぶにはあまりに歪で。

 

それは、人型と呼ぶには、あまりにほど遠く、

 

———どこまでも、「異形」であった。

 

「ただいまぁ~。みんな、どうっ⁉」

「………」(カウンターで頭を抱えるミカ)

「………」(酒瓶を枕に床で寝転がるミズキ)

「………」(座敷の隅っこで壁に向かって体育座りする千束)

「…。ミズキ、飲食店でそれはやめな?」

「なんでアタシだけ⁉」

 

 

2.

「男の部屋に泊まり込むんじゃないよ、まったく…。大丈夫か?あいつ」

ジャージに着替え、洗面台で顔を洗う。

水の冷たさに、眠気が完全吹き飛び頭がすっきりする。

蛇口を止め、鏡を見る。

いつもと変わらない、自分の顔だ。

 

この10年間、ずっと変化のない、自分の顔だ。

 

クロスボーン・ガンダムに起きていたことは、トビアにも当てはまることだった。

背は一切伸びないし、爪も、髪の毛も、体重すら変化しなかった。

そのくせして、腹は減るし、のども乾くし、汗はかく。

リコリコの仲間やDAはトビアの素性を知るがゆえに何も言わないでくれるし、

常連さんには、老けにくい家系とごまかしてある。

 

それでも、心理的なストレスは相当なものだった。

周りが着々と歳を重ねる中、自分だけが取り残される感覚。

千束にはまだ身長で負けていないが、時期に追い抜かれそうだ。

 

「……おれは、いつまで……。いや、決めたじゃないか、自分で」

トビアは鏡の前で独り言ちる。

そう、彼は千束たちと一つ約束を交わしていた。

 

——トビアがいつか帰っちゃう、その時まで、リコリコでみんなと一緒に!——

 

「よおっし!」

気合を入れて、思いっきり自分の頬を叩く。

 

梯子を上がり、玄関の戸締りをしっかりし、軽く駆け出す。

 

2022年2月。まだ春は遠く、肌寒さを覚えながらトビアは駆けていった。

 

「あれ、昨日って別に千束遊びに来なかったよね…?鍵も別に渡してないし…⁉」

 

走るスピードが上がったのは、言うまでもない。

 

おまけ

・いつかのDA本部、あるリコリス

「京都から転属になりました。よろしくお願いします」

「おう。何か聞きたいことはあるか?」

「あ、それなら、スカルハートさんはどちらに?」

「?なんであの人?」

「彼に大事なものを奪われたので」

「?」

「私の心です」

「⁉」

 




以下、筆者のメモ書き。読まなくても大丈夫です。
…ほんとだよ?

4の1、
・スカルハート→やりたかっただけ。
・京都のN演習場→あるにはある。でも、戦車は持ってこれないような広さ。
・威張ったコウペン→適当に考えたオリジナル符丁。DAからくる任務って、上司からくるってこと?じゃあ、偉そうなペンギンってなんだろ、皇帝かな!みたいな。
・デリバリー→派遣任務のこと。一人はそのまんま。
・賄いの芋→剥くのが得意。
・経理・会計業務→できないとマジで苦労する作業。お金のことだからね、仕方ないね。ちなみに筆者は、最近雇用保険料が上がって、11月の給料が少し減って泣いた。

4の2、
・司令部とのやり取り→書いてて楽しかった。以上
・XBガンダムの制限→正直緩すぎた。普通に核兵器だから、人を殺しちゃいけないとか書いときゃよかった。

4の3、
・黒髪のきれいなリコリス→のちの狂犬のつもり。
・ゴルフ場の安全木→ゴルフ場になんか生えてる木。ほかにも戦略木、景観木がある。なんのこっちゃ。
・装甲車の機銃→ぶっちゃけかすっただけで腕が飛ぶ。この子は正しくセカンドになる素養があったのだ…!(筆者のミス)
・空からX1→「スカルハート見参」聞きながら書いた。ピロピッピー。

4の4、
・本部から来たスカルハート→字面が面白すぎた。
・膝の上→この海賊いっつも膝の上に女の子乗せてんな。(実は原作からして)
・X1戦闘→難しすぎる!ほかの先生方すごすぎる…。参考にしたのは無印XBの地球でのデスゲイルズ戦とX-11のイオの回想。あとで書き換えるかも…。
・ムラマサ・ブラスター→ビーム使っちゃった。

4の5、
・お目目ぐるぐる→かわいいね。
・ありがとう→すみませんよりも喜ばれる言葉。なるべく使っていきましょう。

4の6→やりたかっただけ。
・男→???「誰だと思う?ジョースターさんッ!!!」
・異形→プレバンで買ったからプラモあるんですケド、これ、なんて表現したらいいんだ…?

2→弱気なトビア君を書きたかっただけです。こんな呪いを背負わせるつもりは…。あと、基本的に千束ちゃんがやべーやつになってきた。


さてはて、ここまで読んでくださり誠にありがとうございます。
なんだかんだと読まれる方も少しづつ増え、嬉しい限りです。

次回投稿は未定です。
まだだ、まだリコリコの理解が足りないぃっ!

それでは、またお会いする日まで。

感想、評価、いただけると幸いです。



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