まーた長く書いちゃったよ、私ぇ…。
戦闘シーンが難しいうえに、あまり描写できないのなんなんだろう。
そのくせして別描写がなーがいなーがい。
読みづらーい……。
何はともあれ、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではどうぞ。
ダルグナー、ヴァイツェン?…え、甘いぞこのビール!?
4.
「なあにも、殴ることないでしょ⁉」
〈あいつの勝手な行動を私が修正しなきゃ、誰がするんだってんだ!〉
千束が怒鳴りながら電話をかける。相手は一昨日の現場の指揮責任者、ファーストリコリスの春川フキだ。
たきなの怪我の訳を聞いた千束は、控えめに言っても大激怒だった。任務としては失敗だが、仲間の命を救ったその行動は称賛されるべきものであり、決して糾弾され、追い出されるような仕打ちを受けるものではないと。千束は勢いのまま電話をかけ、そのままフキとの激しい口論へと発展した。
1人が怒っていると周りの人間は冷静になるという。千束の怒声を遠く聞きながらトビアは現在、和装を解いてセーターを着こんだのち、カウンターに座ってコーヒーを待つたきなの隣に座る。横顔をうかがうと、彼女は事件のことを思い出したのか、少し沈んだ表情をしていた。
「千束のこと、想像と違ってた?」
「え…、あ、いえ、そんな…」
トビアが話しかけると、たきなは少し驚きながらもそう返した。
「もうすぐミカさんがコーヒー淹れてくれるから、待ってて。この店の自慢の一品なんだ」
「トビア、あまり持ち上げないでくれ。たきな、熱いから気をつけてな」
そう言って、ミカがコーヒーを渡す。
じっと、カップの水面を見つめるたきな。
「…たきなさん、君は、後悔してる?」
トビアが視線を合わせずに聞く。
「……わからないんです」
たきなからぽつりと、言葉が紡がれる。
「私は、あの子を助けようと、自分のできることをしたつもりでした。独断でしたし、作戦から逸脱した行為ということも分かっていたつもりです」
でも、
「……結局、あの子に怖い思いをさせて、ちゃんと謝れないまま、碌な準備もできずに本部から出ることになりました…。褒めてほしかったわけじゃないのに、気分が落ち込むんです。だから、よくわからないんです…」
また、カップに視線を落とすたきな。
「そっか…。じゃあ、…今はしょうがないね」
「…え?」
「だって、今のところよく分からないんでしょ?自分のことなのに」
トビアは、たきなに顔を向けて、諭すように話す。
「結局は、自分で納得できる答えを出さなきゃいけないんだ。どんなに時間をかけてもね」
「………」
「せっかく時間ができたんだから、ゆっくり考えなきゃ。まずは、そのコーヒーをどうぞ」
「……はい」
「…難しく考えることはないよ、たきなさん。コーヒーは、コーヒーだからさ」
「…はいっ」
少し、元気が出てくれたようでよかった。
クリームと砂糖を入れて、一口。“おいしい”と小さくつぶやくたきなを見て、トビアは安堵のため息をつく。
「そういえば、千束が静かになったな…。電話終わったのかな?」
◆
「…………」
〈おい、千束ぉ…?無視するたぁいい度胸だなぁ…?〉
「ん、んんん!…なんだよ?」
〈…トビアさんが、なにかしてたのか?〉
「…………たきなのこと、励ましてた」
〈あの人たらしも、相変わらずだな…。というか、千束〉
「……なんだよ、フキ」
〈いつ告るんだ、お前〉
「は、はあああ⁉」
〈あの人の人気、ここ2・3年でまたすごいことになってんだぞ。もたついてるとお前〉
「ううう、うっせぇー!アホォー!!」
受話器を思いっきりたたきつける千束。心なしか、息が荒い。
「ふぅー、ふぅー、……はあ。よっし、たきなぁー!トビアー!」
少し呼吸を整え、二人を呼ぶ。
「早速、仕事行こう!私、着替えてくる!」
「あ、はいっ」
飲みかけのカップを置き、席を立とうとするたきな。
「おっと、まだ準備かかるから、先生のコーヒー飲んでていいからね!」
それを制止すると、奥へ向かう。ちらっとトビアのほうを見ると、すでに着替えており、準備は万端のようだ。
「千束、たきなさんに言わなきゃいけないこと、あるんじゃないの?」
すると、彼からそんなことを言われる。そうだ、大事なことを言い忘れてた
「たきな!」
「はい」
急いで戻り、満面の笑みでそれを伝える。
「リコリコへようこそ!」
5.
仕事というからには、どんな任務が待ってるのかと身構えていたたきな。基本的な暗殺・襲撃任務であれば、ツーマンセルでの行動が基本であり、今回のスリーマンセルのような編成となれば、特殊な任務が待ち受けているかもしれない。
はたして、たきなの予想は思っていたのとは違う形で当たっていた。
保育園で園児とお遊戯、日本語学校で臨時講師。暴力団事務所に立ち寄った時は、襲撃任務かと身構えたが、結局はコーヒーのデリバリー。
なんだか拍子抜けもいいところで、訳もなく疲れたたきな。
“ちょっと待ってて”と自販機へ向かったトビアを尻目に、公園のベンチに腰掛ける。顔を上げれば、太陽が傾き始めている。いったい、この支部は何なんだろう。ここで、成果は上げられるのだろうか。
「よっ、かーのじょ?隣いい?」
千束がおどけながら隣に座る。
並んで座る赤と青の制服の少女。周りの目には、同じ学校の先輩後輩くらいにしか映らないだろう。
「……千束さん、ここは、何をする支部なのですか?」
たきなは千束に問いかける。今日一日で普段の任務からかけ離れた内容に、戸惑いが隠せない。
「そうだなー、…DAが興味も持たない、困っている人を助けるための支部、かな」
「それは…、支部としてやる必要はないのでは?」
「でも、誰かがやらなきゃ。それに、私がしたいんだよね」
理解できなかった。
自分たちは日本の治安を陰ながら守る戦士。ここまで育ててくれた恩もあるが、このリコリスという仕事に、確かな使命と誇りを持っている。それなのに、彼女は自分がしたいという理由で、他のリコリスとは異なる仕事を優先させる。
「…よくわかりません。この支部も、あなたのことも」
「そっか…。ま、気長にいこうよ。これからこれから。あんまり長すぎると、困っちゃうけどね?」
そう語る千束の顔は、ほんの少し寂しげに見えた。
「ねぇ、あれ見える?」
ふと、千束が指をさす。それは、10年前の事件で変わり果てた姿となった旧電波塔だった。
「…はい、あなたが解決した現場でしたね」
「そう、だね。テロリストを倒したのは、私。でも、倒壊を防いだのは私だけじゃないよ」
「防いだ……?」
気になる言い方だ。あれは、テロリストが爆弾を適切に効果的な位置に設置できず、しかもうまく起爆しなかったものがあったおかげで倒壊を免れた、というのが京都支部で学んだ内容だ。
「そう、防いだの。爆弾はちゃんと起爆してたし、何だったらあのまま横倒しになって落ちてもおかしくなかった。」
衝撃の事実だ。これが本当だったら、DAは内部でも情報を改ざんしていたことになる。
「あのとき私、展望台に取り残されててね?助けてもらって、そのまま一緒に倒れるの止めたんだ」
「助け…?一緒に…?」
聞いていて、違和感を覚える。爆発が起きているときに、展望台へ誰が助けに向かえるのだろう。そして、そのまま倒壊を防ぐとは。解除しようにも、爆弾は外壁部にもあったというのに。
……ふと、6年前の出来事が頭をよぎる。
彼の操る、あの巨人なら、もしかして。
「そのときに、その人に言ってもらったんだ。君は誰かを助けられたんだ、って」
“目から鱗だったんだー”と続ける千束。まるで、大切な宝物を自慢するような、きれいな表情だった。
「私、人を傷つけることでしか、誰かの助けになれないと思ってたんだ。テロリストを撃つぐらいしかできないんだって。でも、そう言われて、それ以外のことでもできることがあるんじゃないかなって、思えた」
「…それが、あなたのしたいことなんですね」
満面の笑みで頷く千束。
やはり、まだ分からない事の方が多い。けれど、少しだけ、シンパシーを感じた。
彼女もまた、彼に救われたんだろうな。
目を輝かせる千束の横顔を見ながら、たきなはそう思った。
「ところで、トビア遅くない?」
「言われてみれば…見てきましょうか?」
「おーい?どっちか来てくれない?」
「お、呼んでる……なにやってんの?」
「いや、買ったらなんか別の商品も出てきちゃって。その繰り返しでこんな量に…」
「…当たり付き、と書いてありますね、この自販機」
「トビア……ロ〇6興味ない?」
「なんでもいいから、持ってくれない⁉」
◆
「え?じゃ、最初から無かったの?」
「はい、相当な量が取引されていたはずなのですが…」
少し落ち着いて、一昨日の銃取引事件の顛末をたきなから聞く。
どうにも、取引自体がその時間に行われていなかったらしく、ラジアータも予測していないうえに、本部との通信途絶。控えめに言って、異常事態であった。
「なるほどね…。もしかして、違う日にやったかそもそもやってなかったか…」
「うーわ、ほんとに口封じ人事じゃん…」
“ウチを窓際部署扱いしおって~!”千束がうなる。確かに、自分たちの大切な居場所をそんな扱いにされればそうなる。
(でも、楠木さん、そんなことするかなぁ…)
なんだかんだとリコリス思いの人だ。案外、こちらの気質に合うと判断したのかもしれない。
「それで、何丁行方が分からなくなってるの?」
千束の声に、意識を向け直すトビア。確かに、当日のブリーフィングではなかった情報だ。
「………だいたい、1,000丁です」
「…んえ⁉」
予想だにしない数に変な声が漏れるトビア。例えマフィアの抗争でも見かけない数の武器だ。
「戦争でもする気なの?そいつら⁉」
「…たきなさん、おれ達も協力するから、必ずなんとかしような」
影響を考えると、自分たちも他人事ではいられないだろう。
「!はい!」
勢いよく返事するたきな。さっきまでの疲れ切っていた表情が嘘のようだ。
「………。随分と懐かれたね~、トビア~?」
千束が肩を小突きながらからかってくる。そういえば、彼女はたきなとの初対面時に結構しつこく絡んでいたせいもあって、少し距離を置かれていた。さっき二人にしたときは、並んで座っていろいろと話していたように見えたが、まあ、この位の嫉妬ならかわいいものだと、トビアは軽く流す。
「さあ、たきな切り替えて!これから向かうのは、警察署です!」
千束が声を上げて、たきなに促す。まだリコリコの仕事の途中であり、次は常連の阿部さんの職場である警察署だ。
「なんでも、ストーカー被害に遭ってる人がいて、相談を受けたんだって」
「?それは、警察の領分なのでは?」
「ところがどっこい、実害があったわけでもないらしくて、動けないんだって」
「ある意味、この支部の本領発揮だね」
トビアが続ける。犯罪抑止という意味では、こういう仕事もリコリスとしては間違っていない。
「なので、阿部さんから話を聞いて、その後に被害者と直接面談。もっと詳しいことを聞いて、その後護衛か対処か、どっちか決める!」
“気合い入れるぞー!”と手を上げる千束。なんだかよく分かってなさそうな、でも先ほどよりも柔らかい表情をするたきな。
とりあえず、今日一日で結構仲良くなれたなと、トビアは思った。
6.
〈それで、その沙保里さんって人が彼氏と撮った写真に例の取引の現場が写っちゃってて、どうにもそれが原因で狙われてたみたいなの!〉
「それは、また…。そのお泊りセット、お前が取りに来るのか?」
〈ううん、トビアに行ってもらってる!そろそろ着くはずだから、渡してね!〉
千束からリコリコに連絡が入った。なんでも、依頼として受けたストーカー相談なのだが、よく聞くと、たきなが左遷される原因となった取引がらみであったと判明。これから泊りで依頼人の護衛することになったとのことで、その準備を頼むとのことだ。
これは、タイミングがいいというべきか、はたまた運が悪いと見るべきか。
ミカがその電話を受け取った後、しばらくしてトビアが店に戻ってくる。
「ミカさん、準備はできてます?」
「ああ、持って行ってくれ」
「あんたも災難ねー。千束のパシリとか」
「まあ、ぼくも装備を少し取りに来たかったし、ちょうどよかったからさ?」
“それに女の子二人の方が安心できるでしょ”そう言って、ワイヤーガンと荷物を受け取る。
現在、依頼主の沙保里さんには千束とたきなの二人がついている。
現役のリコリスのコンビだ。よほどのことがない限り、二人で十分対処可能だろう、トビアはそう判断したうえで戻ってきた。
さすがに戻るまでの時間を考えると、徒歩では遠いため、店のバイクを借りる。
荷台に千束の荷物を括り付け、事前に打ち合わせした合流地点へと急ぐ。いくら安心できるとはいえ、何が起こるかわからない。
そうして、合流地点に到着するも、待ち人来ず。何かあったかと、周辺を見やるトビアが見たものは、タイヤが潰れたワゴン車と、にらみ合う二人であった。
「……、えっ、沙保里さん車の中⁉千束がついててどうなってんの⁉」
とにかく、合流を急ぐ。
◆
たきなは、基本的には模範的なリコリスである。訓練所では銃撃に特に適性を示し、現場でも対象の排除・確保ともに優秀であった。しかし、リコリスに護衛という任務は、まず存在しない。任務の目標はあくまで殺害か確保することであり、誰かを守るなんてことはやってこなかったのだ。
その結果、
「たきな⁉なにやってんの⁉」
「あれなら彼女を囮に、下手人をあぶりだして対応した方が良いと判断したまでです。大丈夫です、彼女には当てません!」
「そういう問題じゃないでしょ‼」
たきなは、護衛任務を人質救出任務へと難易度を上げていた。
トビアがリコリコに戻ったのち、たきなは尾行するかのように周辺に位置どる不審なワゴン車を確認。千束が店に連絡を入れている隙を狙って、沙保里を囮にして出方をうかがうと
、案の定彼女を車内に拉致、頭にズタ袋をかぶせた。たきなはすぐさま車輌の運転席に向け発砲、ドライバーの肩に当てたのち、そのままヘッドライトとタイヤに銃弾を撃ち込み動きを奪ったところで千束に止められ、今に至る。
「だいたい、あなたが止めなければもう終わってます!」
「沙保里さんに当てる気⁉」
「そんなミスはしませんっ。この距離からでも射殺できます!」
「命大事だってば!」
2人の言い争いが続く。双方の主張は相いれず、平行線をたどる。
そうこうしているうちに、車内から武装した男たちが出てくる。どうやらここで自分たちを迎撃するつもりらしい。開いたドアを盾に、何事か叫んでいる。
「だいたい、人質に……。!」
千束がそこまで言って、気づく。ワゴン車後方に、トレンチコートを左手に抱え、肩にワイヤーガンを下げるセーターの少年を見つける。トビアだ。
彼は指を銃の形にして、こちらの近くの方向を差し示す。見ると、上空に滞空するドローンが見える。その指を少し跳ね上げたのち、男たちに指を向けるトビア。
「……ねぇ、たきな。射撃に自信があるんだって?なら、7時方向に飛んでるドローン、私の合図の合わせて撃ってくれない?サプレッサーなしで、音を出して」
「…何を、いえ、分かりました」
たきなに指示を出す。一瞬、不服そうな表情をするも、従うたきな。
破裂音とともに、音を立てて墜落していくドローン。
同時に駆け出す。
さあ、反撃開始だ。
◆
「やあ、取引したいんだけど?」
「⁉」
言って、至近距離で撃たれる千束。しかし、彼女は特に慌てる様子もなく避け、盾にしていた開いたドアごと銃弾を浴びせる。赤い粉塵が舞い、倒れ伏す男。
一人やられた事に、男たちがにわかに騒ぎ出す。すると、男の一人が突然頭にコートを被せられ、その上からワイヤーが体に巻き付けられる。パニックになり、声を上げる男。そして、思いっきり顔を殴りつけられ動きを止める。やったのは、トビアだ。いつの間に戻ってきたのだろうか。
数十秒の間に一人になってしまった人質犯。急に現れたトビアに狙いをつけ、発砲しようとすると、背後の千束に撃たれる。痛みに銃を取りこぼし、うずくまるもそのままトビアに蹴り飛ばされる。
あっという間の出来事だった。流れるような連携に、洗練された手際。
たきなは、状況を忘れて見入ってしまった。
これが、東京一のリコリスに、フリーエージェントの実力。
「たきなちぁあああんんん!!!」
ズタ袋を取ってもらい、自由になった沙保里に抱き着かれて、ようやく意識が現実に戻ってくる。
2人の様子を見る。ドライバーの手当てをするトビアに、携帯に連絡を入れている千束。どうやら、男たちの処理と現場の片づけにクリーナーを呼ぶつもりのようだ。すぐそばには彼がやったのだろう、ワイヤーでまとめて縛られる男たちが転がっていた。
そこで、はたと気づく。手当?
「もしかして、誰も殺していない……?」
千束が撃った相手も、怪我こそあれど致命傷を負った者はいない。付着する赤い何かも、血ではなくそういう塗料みたいだ。
「……命大事にって、敵も何ですか…?」
思わずトビアに問いかけるたきな。
「……いつもじゃないさ。やれる時だけ」
「なんで、とどめを?刺さないんですか?」
「おれは、戦争をやってるつもりはないからな……」
“これでよし”そう言って治療を終えた男を改めて拘束するトビア。
なんだか、よくわからない。
この人は何を言ってるんだろう。戦争だったら殺していいのだろうか。人殺しは、人殺しなのに。
けれど、自分と同じことをやったのに、この人たちは誰も殺さずにやってのけたんだな。
沙保里を送り届けながら、たきなはただ、そう思った。
7.
「……いちゃついた写真なんて、ひけらかすもんじゃ無いっての……」
千束から端末を渡され、画面に映る一組のカップルをにらみつけた後、ミズキはそう吐き捨てた。
「僻むなよ…」
「僻みじゃねーしい?SNSへの無自覚な投稿による自分に降りかかる被害を一切考えない恋に浮かれた若者のインターネットリテラシーの低さに警鐘をならしただけだしいぃいい⁉」
「すっごい早口じゃん」
翌日、喫茶リコリコにて。
デブリーフィングと呼ぶにはあまりに緩いが、昨日の事件の顛末を説明していた。
「どこだ…?」
ミカが端末の画面を離したり、近づけたりと、なんとかピントをつけようと四苦八苦している。
「んーと、あ、ここ、ここ」
見かねた千束が画面を拡大し示す。
「あの日か?」
「3時間前だってさ。楠木さん、偽の情報でもつかまされたんじゃない?」
結局、1,000丁の武器取引は、作戦決行時にはすでに終了していたらしい。
DAがつかんだ情報は、まったくの嘘ではなかったが、取引時間に差異が生じていた。
おまけに、謀ったかのような通信障害。はっきりいって、組織の根幹システムを揺るがす事態である。
「クリーナー頼みやがって…。いくらすると思ってのよ、あんたら」
「DAに渡したら、殺されちゃうじゃーん。気分悪いよー」
「今度から自腹ね、あんた」
「それは違うじゃん!」
愚痴るミズキに、千束が噛みつく。
リコリコの財政を圧迫する要因の一つである。
「とにかくっ!DAもこいつ等追ってるんでしょ?私たちで先に見つければ、本部に凱旋できるだけの大きな手柄になると思います!どう?たきな!」
「やりますっ!」
千束の宣言に合わせて、店奥の扉が開く。そこには、青い着物に身を包み、長い黒髪をツインテールに縛ったたきながいた。
「おおお?ほっほー!かーわいいー!」
飛びつく千束、驚いて固まるたきな。
「いや、やめてあげなよ…。ほらみんな、コーヒー淹れたから飲んでよ」
そこに人数分のコーヒーをもって、厨房からトビアが出てくる。
「トビアありがとー!ね、みんなで写真撮ろうよ!全員集合!」
千束の号令で集まるリコリコの面々。中心には赤と青の着物少女、そしてすぐ後ろに黒い和装の少年。
「ぼく、真ん中でいいの?たきなさん入れたら?」
「だーめ。私の隣に置いとかないと、バランス悪いでしょ?」
どうやらこだわりがあるらしい。
端末をインカメラにして、写真を撮る。
満足のいくものが撮れたと、すぐさまSNSへ投稿。
「あんた、早速何してんのよ…」
「だいじょーぶ!お向かいさんにビルはないよー」
と、ここでトビアが声を上げる。
「そろそろお客さんが来そうだね。たきなさん、練習通りに」
「あ、はい」
カランコロン。
店のドアが開く。パリッとしたスーツを着こなした男性が入店する。
初めて見るお客さんだ。
「ほら、たきな?」
千束に促される。
「い、いらっしゃいませっ」
戸惑いはある。納得もいってない。
それでも、この状況にたきなは、そんなに不快感を感じていなかった
2022年、春。この日、喫茶リコリコに新しい仲間ができた。
おまけ
・その頃の本部
「司令、何を見てらっしゃるんですか?」
「クソガキどもの監視だ」
「?SNS、ですか?」
「まったく、いつまでたっても困った連中だ」
「ふふ、楽しそうな写真ですね」
「……………」
「………よかったな、たきな」
以下、筆者メモ。
恥ずかしい割には、書いてると結構かけちゃうんすよね…
6.
・フキちゃんの修正→「修正してやる!」もとい、たきなちゃんに頼まれたことは伏せてる。なんだかんだといい子だよね。
・わからない→この状態の人には、何言っても効果ない。自分の中で、ある程度の答えは出しましょう。誰も助けてくれないし、助けられない。
・コーヒーはコーヒー→シーブックリスペクト。それに何か意味を持たせるのは、自分次第。
・たきなのトビア評①→気遣いの上手なお兄さん。
・DA本部のトビア人気→そんなお兄さんが、女の園にいれば、ね?
5.
・疲れるたきな→とどめは保育園だった。
・長いと困る→この作品、なんでもない一言も油断できないよね。そんなつもりで書きました。
・DAの電波塔倒壊阻止偽装→正直、説明できなかったから隠したんじゃねーの?
・千束主観のあの言葉→傷つける才能あるっていわれるより、助ける才能あるって言われた方がうれしいよね。
・シンパシー→親近感+1
・自販機のアタリ→社会人になってから当たったけど、そんな嬉しくもないっスヨ?
・ロ〇6→あの時期になると銀行前に行列作ってんの、どうにかなんない?
・たきなに懐かれるトビア→わんこ。
・たきなのトビア評②→欲しいときに欲しい言葉をくれた人。
・千束の微妙な間→もてるの早すぎない?トビア…。
・かわいい嫉妬→前回の続きなんですが、やっぱり分かってあげられるだけで、分かってるかどうかは別問題。
・阿部さん→別にやらない(古のネタ)
6.
・ワイヤーガン→アニメで見て、割とごつくてびっくり。デスストランディングみたいなやつかと思ってた。
・現役リコリス2人の護衛→なお、女子高生の見た目で油断させる、というコンセプトの都合上、実は狙う側としてはチャンスにしか見えなかった模様。ぶっちゃけトビア残した方が守れた。男一人でもいれば、一気に警戒するものです。
・たきな暴走→ほぼアニメと同じ流れだが、実は手柄は一切考えておらず、沙保里さんの危険を確実に排除しようとしてたというイメージ。だって、最初っから射殺する気まんまんだったからね、うちの子。
・任務難易度変更→そもそも護衛は襲われても逃げればいいが、救出は確実にどこかで相手の排除が選択肢に入り込む。やること自体、ガラッと変わっちゃうよね、というお話。
・トビア発見→目ぇ、いいからね。
・トビアアクション!→むっず!!!MSよりも難しいですね、コレ!あまりトビア君に射撃がうまいイメージがわかず、そういえばヨナさんに拳法習ってたなぁと思い、こういう形にしました。でも、この海賊、ザビーネから撃たれたときに避けてんだよなぁ。
・トレンチコート→いきなり視界と口をふさぐのはやめましょう。過呼吸に陥り、最悪の場合ショック死に至ります。なお、こいつら沙保里さんに対して同じことやってた模様。
・トビアのセリフ→彼の信条のようなもの。ひいては、クロスボーン・ガンダム全体のテーマ。いくら戦争だと己を正当化していっても、結局は独りよがり。
・たきなのトビア評③→なんだか不思議なことを言う人。意外と強くてびっくり。
・自分と違う→アニメでもこの子近いこと思ってたんじゃないかな。
7.
・ミズキの僻み→でも、言ってること自体はそんなに間違ってない。
・ミカの目→でもお金くらいは数えられるようになった。
・たきなのリコリコ制服姿→かわいがりたくなるよね。
・集合写真→べったべたの展開だけど、めっちゃ好き
・新しいお客さん→???「来たぜッ、ジョースターさんッッ!!!」
・よかったな→なお、リコリコに流した張本人の模様。
今回は分割ではなく、わざと分けて書いたんですですケド、なんか労力が二倍になったような……。
そして結局伸びる文章量、改善できるのか?私…。
さて、今回も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
次回の更新は例によって未定です。
それでは、またお会いするその日まで。
感想、評価お待ちしております。