獣が統べる!<作成中>   作:國靜 繋

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最近更新頻度が遅くなってきてる……


獣の過去

キョロク――

 

帝都のはるか東に位置するこの街は、豊富な地下資源により経済的な躍進を遂げる。

地下資源と言っても、石炭や希少金属類であり石油や核燃料になり得るウランの存在には未だ気が付いていない。

近年は安寧道の教団本拠地と言うこともあり宗教施設が数多く建設され、独自の文化を形成する巨大都市と化している。

帝都で見られないような工芸品や食べ物も多くあり、態々帝都やほかの地方から訪れる人が居るほどだ。

そんな帝国内で爆発的人気を誇る安寧道があるため人々の顔には、帝都では少ない生き生きとした活気に満ち溢れているが、その裏では生活するため土地が日に日に不足して来ており、それが安寧道上層部の悩みの種となっている。

キョロクへと集まって来ている者達の殆どが信者であるため、無碍に扱うことも出来ず、上層部の中には帝国の現状を利用し武装蜂起を考えている者達さえいる。

だが、それはボリック派と呼ばれる者達が安寧道の内にある派閥の殆どを占めているため、計画は阻まれており武装蜂起どころか計画することさえ叶わない。

そんな安寧道に目を付けた反乱軍は、安寧道の武装蜂起の計画を知り、それを利用一気に帝都まで攻め込み、諸悪の根源である大臣を討とうと考えている。

そもそも反乱軍の勝利条件は、諸悪の根源である大臣の殺害だ。

対する大臣要する帝国は、反乱軍の殲滅である。

たった一人を殺せばいい反乱軍、全てを倒しきらなければならない帝国、何も知らない人間が見た場合反乱軍の方が有利に見えるだろう。

だが現実はそう甘くはない。

反乱軍の士気自体は帝国軍のそれを上回っているが、総数は未だ帝国軍の方が多い。

更に帝国には二枚看板の将軍が鎮座しており、帝国最強の攻撃力を誇るエスデス軍、帝国軍最上位に君臨しているブドー大将軍率いる近衛軍。

この二枚を抜けて初めて大臣の元へとたどり着くことが出来る。

むろん、これは帝国軍だけで考えた場合だ。

そこに帝国保安本部長官であるムソウ率いる武装親衛隊のことも含めて考えると現実がどれ程までに絶望的かが、よく分かる。

武装親衛隊総数およそ90万、保有技術力は帝国が保有するよりもはるかに進んでいる。

下手な小国ならば一夜にして滅ぼせるだけの戦力をムソウは個人で所有しているが、これにムソウ個人の力を加えたとすると単純な戦力だけで考えるならば一日で帝国さえ滅ぼせるだろう。

これだけで反乱軍が大臣を討つ可能性はゼロであると言えるだろうが、実はそうではない。

反乱軍に勝機があるとするならば、ムソウが帝国に付く気がさらさらないと言うムソウの意思が関係してくる。

ムソウの中に在るのは劣等種である異民族の排除。

その一点に尽きる。

何故ムソウは此処まで異民族にこだわるか言うと、その話はムソウの青年期まで遡ることになる。

 

 

 

 

ムソウが生まれたのは帝国の南のに位置する地方都市の都市部だった。

父母共に職業は何の因果か、史実と同じ音楽を仕事にしている音楽家であった。

父は初めは歌手としてデビューをしたが、歌手としては二流、三流止まりであった。

だが、作曲家としては一流を以上であったため、歌手として大成した。

母は宮廷で宮廷顧問官を務める音楽研究科であり、父との出会いは、当時の皇帝である先々代皇帝の誕生祭に使う曲を作詞せよと、時の皇帝より直接命じられた時であったらしい。

詳しいことはムソウ本人も聞かされていないし、ムソウ本人も父母の馴初めなど初めから興味がなかった。

結果的に父が作詞した曲を皇帝はいたく気に入り、皇帝お抱えの作曲家となり二人の会う頻度も増え気が付いたら愛が芽生えて、二人の間に子供が出来た。

それがムソウと言う風にムソウ自身は聞かされている。

これだけを見たら順風満々なように見えるが、その幸せは突如として崩れ去ることになった。

元々帝国事態が、異民族に対して排他的であったこともあるが、決定的になったのは、ムソウが帝都にある国立学院に入学している時、南の異民族が攻め込んで来たのだ。

異民族が攻め込んで来たことにより、多くの人的被害をあった。

だが、それはやられた者が弱かっただけであり、そのことについてムソウは何とも思ってはいない。

問題があったのはその後だった。

父が南のの異民族と内通していると、どこからか噂が立ったのだ。

むろんそのような事実はなく、時の皇帝が父の作る曲を気に入っていたと言う幸運も重なり確りと無実であると証明され、噂の出元も確りと処罰された。

噂の出元は、父が台頭するまで皇帝お抱えであった作曲家だ。

原因は妬みから来るものであったが、皇帝が無実であると口にするまでの一週間が地獄であった。

昨日までの友が、これからも隣人であると信じていた者達が、今まで笑顔を向けて来た者達が、皆皆皆が手のひらを返し、憎悪の表情を向けて来たのだ。

結局の所、良い顔をしてきていた者達は皇帝お抱えである父に、宮廷顧問官である母に媚び諂っていただけだったのだ。

家に居ては石を投げ込まれ、買い物に行っては誰も何も売ってもらえず、街を歩けば暴行に遭う。

父はノイローゼにかかり、母は精神的に病み、その後病にかかり床に伏した。

ムソウは、学生の時代からいや生まれた瞬間から圧倒的風格、カリスマ性を持っており、それを裏付けるようにあらゆる物事に必要な技能を持っており、その技能技術は他の追随を許さぬものであった。

そのためか、ムソウに対する嫌がらせや差別などをする勇気あるものはおらず、直接的な被害は一切なかった。

だが、ムソウ本人に被害がなかったとしても身内には被害があった。

それが許せなかったとは言わない。

はめられた父が悪い、弱者は淘汰される。

それを分かっているムソウではあるが、身内のことであるため簡単には割り切れるはずもなかった。

それがある種の転機でもあった。

その日を境に元々他人とは距離を置いており、ムソウに友と呼べる様な存在おらず、作ろうともしなかったに拍車がかかり、ムソウの持っていた人としての良心と言う枷が完全に外れてしまったのだ。

そこからは、首輪や枷の外れた獣のようにムソウは、自身に不足しているモノを再認識すると権力や武力、手駒を増やすように尽力した。

その過程で、顔を広めると言う意味でいろいろな集会や団体にも所属し、反異民族と言う思想に少なからず影響を受けた。

顔を広めることに成功したムソウは皇帝と会う切っ掛けが出来、一気に権力を手にすることが出来たムソウはある報告書を目にした。

両親を貶める切っ掛けとなった噂の出元である下手人である、父の前任者である作曲家に噂を流すように囁いたのは南の異民族であった。

南の異民族としては、噂が真実であると言う、帝国軍の将軍との密約や内部の情報を渡していると言う証拠を使わせ南の帝国軍の指揮官を失脚させようと企んでいた。

その作曲家が元々皇帝お抱えであると言う事実が噂の真実味をさらに増させてしまったのだ。

結局、それを私怨に使われてしまい南の異民族は敗走してしまったのだが。

ここで終わればムソウとしては異民族に対して排他的であるだけで済んだだろう。

一年と経たず、もう一度攻め込んで来たのだ。

これも直ぐに排除できたのだが、問題はこの後だった。

両親は療養のため地方都市から地方の田舎に引っ越していたのだ。

そこを偶然南の異民族が襲った。

父はその時吊し上げるかのように殺され、母は使える場所は徹底的に使われ、殺された。

今の帝都でも見られる光景だが、それを直接目にしていないとはいえ実の親にされると堪ったものではない。

この事件こそが、ムソウを更に排他的にさせる切っ掛けであった。

 

 

 

 

あらゆる思惑が渦巻いていおり、その中心となっているキョロクを見下ろす位置にムソウ率いる武装親衛隊第一師団は陣を敷いていた。

 

「陣の構築はどうだ」

 

「滞りなく進んでおります」

 

ムソウにそう答えたのは、第一師団大佐であり、今回ムソウの副官に着任したヨッヘン・パイパーの相性で親しまれている、ヨアヒム・パイパーだ。

 

「エスデスの動きとナイトレイドの動きはどうなっている」

 

「キョロクへと偵察へ向かわせた者達は未だ戻って来ておりませんので、明確な情報をお教えする事は出来かねます」

 

「そうか、ならば偵察が戻り次第報告を聞こう」

 

ムソウはそう言いながら、自身の天幕へと入って行った。

天幕の中は野営中かと疑いたくなるほどゆとりのある空間であり、作戦指揮や会議を開けるように大きな机が置かれており、机の上には正確に測量されている地図が敷かれその上に透明のアクリル板が敷かれている。

急に訪れたのにも関わらず、ムソウの望んている様に設置されていた。

 

「ヨアヒム、一度会議を開く、全連隊、大隊長を私の天幕に集めろ」

 

「はっ!!」

 

今一度、ボリック抹殺計画に対する打ち合わせをするため、ムソウは全隊長を呼びつけた。

エスデス率いるイェーガーズがボリックの護衛に付いたのならば、計画の変更などは特にないが、ボルスの抜けた穴が誰がどう埋めるかなどを押さえておかなければならない。

当初の予定通り、遠距離狙撃による暗殺が無難ではあるだろうが、エスデスが直接護衛に付いているならば警戒しているはずだ。

だが、エスデスの第一の標的はナイトレイドであり、ナイトレイドの対策こそしているだろうが、武装親衛隊の対策はしていないはずだ。

ならば、最悪ナイトレイドと足並みをそろえ、隙を見て殺せばいい。

 

「最悪私が直接殺すか……」

 

エスデスが直接身辺警護している以上何事も楽観視できない。

羅刹四鬼も警護に付けているため、さらに難易度が上がる。

ボリックが羅刹四鬼を攻めにでも使おうとバカな考えを抱かない限り、最終手段であり、最も愚策であるが確実な手であるムソウが直接ロンギヌスをボリックに向けて投げると言う手段がある。

他に手段があるのならばそちらがいいのだが、とムソウは頭を悩ませた。

狙撃に失敗した場合、リスクを覚悟でチェルシーにボリックの傍に潜ませ暗殺させると言う手もあるが、今チェルシーと言う手札をナイトレイド側に見せるのは好ましくはない。

しかし、ムソウが直接手を下したと言う事実もあまり好ましくない。

そうなると、必然的に第一師団の者達に遠距離狙撃でボリックを暗殺させそれが成功するのが一番好ましい手だ。

ならば、それを確実にするために内部の手引き、援護や配置なども考えなければならないな、とムソウは隊長たちが集まるまでに大よその構想を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

ナイトレイド side

 

「たった今、帝都に居る革命軍のメンバーから連絡があった」

 

「どうしたんだ、ボス?そんな顔をして」

 

レオーネは、未だかつて見たことない程思いつめた表情をしているナジェンダに訊いた。

 

「黄金の獣が、ムソウが、ムソウがキョロクへと向かったと連絡が来た」

 

「「!!」」

 

ムソウ、その名にいち早く反応したのは直に危険性を確認したレオーネと帝国の暗殺部隊に居たアカメだった。

 

「ついに、アイツと正面衝突か」

 

「行けるか、アカメ。奴を殺すことが出来るとしたら、お前と村雨しかない」

 

「大丈夫だ、私が必ず葬る!!」

 

「ナジェンダ、一つ聞きたいのだが」

 

「どうしたスサノオ?」

 

「俺は、ムソウなる人物について知らない」

 

スサノオは、ナジェンダが革命軍本部に着いたその日まで目覚めることがなかった帝具だ。

ならば、ムソウに付いて知らないのも仕方がないと言うものだ。

 

「ムソウに付いて詳しく説明すると難しいが、帝具であるスサノオに一言で分かりやすく説明するならば、帝具ロンギヌスの使い手だ」

 

「何!!ナジェンダ、今後に影響するだろうが今は引くべきだ!!本当にロンギヌスの使い手であると言うならば絶対に戦ってはならない!!」

 

「それは出来ない。今回の作戦がどれ程重要かスサノオとて分かっているだろ!!」

 

「分かっている。俺は帝具だから主の命令には従う。だが、主に命を捨てさせるような事は出来ない」

 

スサノオとて、今回の作戦が如何に大事であるか理解している。

だが、帝具として生まれているスサノオはロンギヌスが如何に危険な帝具か知っているが為に、主であるナジェンダや、仲間と言ってくれた者達の命を散らせたくないためにも譲ることが出来ない。

ナジェンダもスサノオが自身を心配してくれていることは分かっている。

だが、ナジェンダとて今回の作戦が革命軍の今後を左右すると言っても過言ではないため引くことが出来ない。

仲間割れではなく、お互いの譲れぬ信念のために二人は衝突した。

 

「分かってくれスサノオ、今回の作戦が成功しなければ、もっと民に犠牲が出る。私はそれが嫌で革命軍に付いたんだ。ここで自身の命可愛さに作戦を中止したならば殉死していった者達に合わせる顔がなくなる」

 

「だが、あの帝具によって殺されればそれこそ……」

 

スサノオは必死にナジェンダを説得しようとしたが、ナジェンダのあまりにも決意に満ちた表情に言葉を詰まらせた。

 

「分かった。だが、危険と判断した場合お前達だけでも逃げてくれ。俺ならば壊されても囚われることはないからな」

 

この場にいる誰もが、『壊されるのに囚われる』その意味が分からずにいた。

スサノオの性能を考えると、例え壊されても間を置かずに修復する。

しかし、コアが壊されてしまえば、いかに帝具人間であれ修復することはなく、人で言うところの死を意味する。

そのことをこの場にいる何人が理解できただろうか。

 

「スーさん。いくらスーさんの頼みでもそれは出来ない!!俺ら仲間だろ、仲間なら助け合うべきだろ!!」

 

タツミが拳を震わせながらも、力強く言った。

アニキと呼び慕っていたブラートを目の前で失ったのだ。

時には仲間を犠牲にしてでもやり遂げなければいけない、それはタツミとて分かっている。

だからこそ、可能性が残っている段階で諦めるなんてこと認める訳にはいかなかったのだ。

 

「ああ、そうだ。よく言ったタツミ!!分かったかスサノオ、これがナイトレイドだ。たとえお前が帝具であろうと仲間である事に変わりない」

 

スサノオが改めて周りを見ると、皆が皆ナジェンダと同じ意見である事が一目で分かった。

 

「そう、だな。始まる前から弱気ではいかんな」

 

「そうと決まれは、偵察だ!!敵の情報と戦力を削っておけば誰も死なずに済むかもしれないしな!!」

 

タツミは気合十分といった表情で言った。

 




今回の話を自分なりに読み返して、あれ?この程度なら獣殿の思想に影響しそうにないなっと思いつつも、これ以上の物が出来なかったので、自身の才能の無さを恨んだりして……

そして、今度の更新はさらに遅くなります。
と言うのも、一度全部の話に加筆修正を加え、矛盾点などを失くして行こうと思います。


以下余談――

最近思いついた小説ネタが、
ケンイチの世界に刀語の七実を入れるか、七実ではなく、錆白兵を入れる

ゼロの使い魔にイリアが転生して、サモンサーバントでバーサーカーを召喚

劣等生の世界に転生した主人公が、伝勇伝の魔法やとあるシリーズの魔術を使える

他にも番外編で、マキナをブドーと並ぶ大将軍にしたり、ザミエル卿を将軍にした話、シュライバーにアインザッツグルッペンを率いさせたりとかですかね。

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