うぉっち・ざ・ぼっち!   作:鯖ジャム

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毎日投稿とか隔日投稿とかどうやってやってたんだろうと思う今日のこの頃。



#33 れっつごー新宿大魔境

 

「虹夏先輩……本当に、本当にお疲れ様でした……」

「うん、此崎くんも……」

 

 スターリーにて。

 

 それぞれテストの答案用紙を持ち寄ってはしゃぐ後藤と喜多さんとリョウ先輩を横目に、俺と虹夏先輩はお互いの労をねぎらいながら項垂れていた。

 

「いいですね、リョウ先輩は成果が抜群で……100点取ってる教科がいくつもあって、学年一位って……いやマジでおかしいだろなんなんだあの人……」

「いやいや此崎くん、自分が教えた相手にぶっちぎりでテスト結果負けるの結構凹むんだよ? まぁ毎度こうではないけどさ、今回はちょっと此崎くんにあてられて気合い入っちゃったかな」

「それにしたって……ねぇ?」

「……てか、あたしは此崎くんが羨ましいけどな、ぼっちちゃんってばすごいわかりやすく喜んでるじゃん。あのくらい素直に喜んでくれたらあたしだってもっと嬉しいのに、リョウってば変な方向に振り切れてバンドやめて東大目指すとか平気で言い出すんだもん」

「後半は同情しますが……いやね、あんだけ毎日懇切丁寧に勉強教えて40点も届かないってのは凹みますよ。本当に。もともとあると思っちゃいませんがね、自分には人に物を教える才能がとことんないんじゃないかと毎日毎晩疑って……」

「此崎くん……そんなことない、そんなことないよ。だって、喜多ちゃんも今回結果よかったんでしょ? それはきっと此崎くんのおかげだよね。大丈夫、此崎くんはちゃんとできた、ちゃんとできたんだよ……」

「に、虹夏先輩……」

 

 ほろりと、思わず涙が落ちる。

 

 そう、そうだ。

 結果で言うならば、後藤の赤点回避は余裕を持って成し遂げられたし、喜多さんだって前回よりも良い結果を得られたんだ。

 だったら、それで十分なんだ──そんな当たり前なことを、虹夏先輩は気が付かせてくれた。

 

「虹夏先輩、俺──学校の先生、目指そうと思います」

「いやそれは意味がわからないかな」

 

 そうか?

 そうか。

 

「まぁ冗談はともかく……って虹夏先輩、あっ冗談なんだよかった、みたいな顔しないでくださいよ。そりゃ冗談でしょ」

「……う〜ん……?」

 

 う〜ん、じゃないのよ。

 可愛く唸っても見過ごせない……って、それもともかくだよ。

 

「文化祭ライブ。これでようやく本腰入れて向き合えますね」

「うんうん、そうだね!」

「──ミ゜」

「キャーッ!? 後藤さんが突然の死を迎えたわーッ!?」

「いやなんで!? いやホントになんで!? リョウと喜多ちゃんなにか言った!?」

「ううん。何もしてないのに壊れた」

「パソコンか!」

 

 いやパソコンは何もしてないのに壊れることない……でも後藤は何もしなくても壊れることが稀によくあるからなぁ。

 

 ……まぁともかく、今回の故障原因についてはわかる。

たぶん、こっちからの流れ弾だろう。

 

「……此崎? 何するつもり?」

「まぁ、確認です」

 

 俺は床に転がった後藤の死体に近寄りすぐそばに屈んで、軽く咳払いをした。

 

 そして、後藤の耳元に口を近付けて一言。

 

「──文化祭LIVE……」(超絶イケボ)

「アヒッ!」

「なんで今すっごいカッコいい声で囁いたの!?」

「ホントよ!? というか後藤さんも変な声出さないでっ!」

 

 なんでって、特に理由はないがやりたくなったからだ。

 

 しかし、これではっきりしたな。

 

「うむ、後藤はどうやら文化祭ライブ「アヒッ!」という単語に反応してるらしいな。たぶん文化祭ライブ「アヒッ!」のために試験勉強させられてたことを忘れてたんだろ。まぁよくよく考えたら喜多さんが勝手に文化祭ライブ「アヒッ!」に申し込んだ件、後藤と喜多さんとで話してないんじゃ?」

「そ、そう言えば……でも、テスト勉強頑張ってたから、てっきり後藤さんも文化祭ライブ「アヒッ!」に出る覚悟が決まったのかと……」

「えーっと……今更だけど、確認した方がいいのかな? ねぇぼっちちゃん、文化祭ライブ「アヒッ!」に結束バンドで出演して……うんちょっと待ってさすがに突っ込むけどさっきから文化祭ライブ「アヒッ!」って単語聞くたびに変な声……だからそれぇ! ちょっとぼっちちゃんしっかりしてよ!!」

「あっはひぃ!!!」

 

 あ、後藤帰ってきた。(数日ぶり二回目)

 

 ……と、虹夏先輩がせっかく後藤を黄泉の国から見事一本釣りしたところだったのだが、ここで突然の来客があった。

 

「――やほ~! タダ酒飲ましてぇ~!」

「飲ますか帰れ」

「おーっすきくりちゃ~ん!」

「あ、いっく~ん! おっす~!」

 

 そう、我らがきくりちゃんである。

 

 あれ? この前もいなかった? と疑問に思われた皆さま。

 ご安心ください、最近ずっといます。

 

 営業開始前は基本スターリーで店長さんやPAさん、俺とか後藤とか手当たり次第に絡みながらうろうろして、営業開始が近くなると店長さんか虹夏先輩に伊地知家で大人しくしているように命じられてしょんぼりと去っていく。

 そして、営業が終わって片付けを始めた頃にまた現れて労働に勤しむスターリーの従業員たちをあざ笑うかのような泥酔っぷり披露、その後は伊地知家に泊まったり夜の下北沢に消えていったりするのである。

 

「廣井さんまた来たんですね……」

「はぁ……昨日はなんとか家に帰らせたけど今日もまた泊まってく気かな……」

「廣井お前またこんな時間からべろべろに酔いやがって……人間社会なめんなよニートめ」

「廣井さんはお仕事なくっていいですね~」

 

 ちなみにきくりちゃんの株はこの通りストップ安である。ストップ安。株価安すぎてストップかけてあげたいけど手の施しようがない、という意味である。

 

「……うぅ……ぐすっ」

「きくりちゃん、泣かない泣かない」

「廣井さん、私はロックでいいと思います。ニート」

 

 きくりちゃん株を持っているのはもはや俺とリョウ先輩だけで、めちゃくちゃ迷惑かけられてる店長さんと虹夏先輩の伊地知姉妹は「そんな株は早く手放した方がいい」とちょくちょく言ってくるが、未だに保有し続けているのであった。

 

 ……まぁきくりちゃん株のことはいいんだわ。

 椅子に座る俺の膝にしなだれかかってしくしく泣いてるきくりちゃんの頭を撫でていると、虹夏先輩がジトっと俺を睨みながらも「それより、文化祭ライブのことだよ文化祭ライブ!」と声を上げた。

 

「ぼっちちゃん、改めて確認するけど文化祭ライブ頑張れる? まぁ今更キャンセルなんてさせてもらえるかわかんないけど……」

「あっうっ、ううぅ……」

「後藤さん、頑張りましょ! 私が一番足引っ張っちゃうかもだけど、私もたくさん頑張るわ! だからお願い!」

「うっあっ、ああぁ……」

 

 虹夏先輩は後藤を慮るように尋ねて、逆に喜多さんはお構いなしの前向きポジティブで後藤を鼓舞するように語りかける。

 

 ……喜多さんはどうやら完全にそういう方向性で行くらしい。吹っ切れたというか、開き直ったというか。

 テスト前にも一度事情は説明したもののあの時はとにかくテストでの赤点回避が急務だったから、喜多さんがかなり強引な姿勢を見せていることに虹夏先輩は改めて驚いているような様子だった。

 

 ともあれ、そんな二人に対して後藤が反応を──するより前に、きくりちゃんが口を開いたのである。

 

「なになにどしたのぼっちちゃん。文化祭でライブするのが嫌なのー?」

「あっうっ、あっいえ、いっ嫌というか……そっその、か、かか覚悟が決まらないというか……そっそんな感じです……はい……」

「ふーん……」

「きくりちゃん?」

 

 何か言いたげなきくりちゃんはのっそりと立ち上がり、床の上で膝を抱えて座る後藤に近寄ったかと思うと上着のポケットからぺらっと一枚の紙を取り出した。

 

「ぼっちちゃん、これあげる」

「えっ? こっこれは……」

「今日のライブのチケット。私のね。よかったらさ、これから見に来ない?」

「……へ?」

 

 そして、脈絡もなく後藤にそんな提案をしたのだった。

 

 

     ♪ ♪ ♪

 

 

 目指せ新宿、ということで、結束バンド御一行と仮マネージャー俺はきくりちゃん先導の元でスターリーを出発し、電車に乗り込んだ。

 

 きくりちゃんは後藤にだけでなく、結束バンドの他三人と俺にもライブのチケットをくれた。曰く「このあいだ良いライブを見せてもらったお礼」とのことで、なんとタダである。

 いつも安酒飲んでて人の家を宿代わりに使ってるようなダメ人間がまさか他人に物をタダで渡すなんて、と虹夏先輩や喜多さんが結構ガチでお金を握らせようとしていたが、そこはきくりちゃんも人気インディーズバンドとしてのプライドを貫き通し、これでも稼いでいるのだと一銭も受け取らなかったのであった。

 ……まぁね、そうなると安酒ばっか飲んでるのも疑問に思われるし店長から家賃払えとか言われるわけだけど、泥酔してライブして毎度機材をぶっ壊して毎度弁償しているらしいきくりちゃんは実際のところはだいぶ貧乏なのだ。風呂なしアパートに住んでいるのだ。

 俺はこれについて初めて会ったときに居酒屋で聞かされたわけだが、おもしろいなと思った記憶がある。

 

 まぁきくりちゃんのお財布事情は置いとくとして、肝心なのはライブだ、ライブ。

 

 きくりちゃんのバンド……SICK HACK(シク ハック)が出演するそのライブは、新宿FOLTというライブハウスで行われるらしい。SICK HACK(シク ハック)が活動拠点にしているのがそこで、俺は聞き覚えがなかったが結構有名なライブハウスなのだとか。

 

 下北沢駅から新宿駅までわずか二駅、10分もかからずに辿り着いて、そこからさらに乗り換える。

 新宿駅では後藤があまりの人の多さに精神をやられて「あっ今日のライブすごくよかったですありがとうござました」とか言い出していたが、俺と虹夏先輩で引きずって移動して、結局スターリーを出てから30分くらいでライブハウスに到着できたのだった。

 

「はいはいいらっしゃ〜い! ここが私の活動してるハコ、新宿FOLTで〜っす!」

 

 きくりちゃんがずんずん入っていくそのライブハウスは、スターリーとはだいぶ違った雰囲気の……はっきり言って、さらにアングラな感じのハコだった。

 喜多さんは少しそわそわしていて、後藤はライブハウス内にいた柄の悪そうなバンドマンたちと目が合うや否や「あっ今日はお招きいただいてありがとうございましたお疲れ様でした……」とか言っていた。虹夏先輩とリョウ先輩は平然としてるけど。

 

 ……それにしても……なんか柄悪バンドマンたちの中で約一名、すっごい俺のこと睨んできてる気がする……。

 

「…………」

 

 きくりちゃんと結束バンドの後ろを歩く俺が立ち止まると、相手方の視線の動きがぴたりと止まる。うん、確定なんだわ。

 

 ベレー帽っぽい帽子を被った、ツインテールで目付きの悪いやつ。

たぶん俺たちと同じ高校生くらいの女子。

 

 いったいなんなんだ……と俺が困惑している一方で、先に歩いて行ってしまったきくりちゃんの挨拶とそれに対する不機嫌そうな返事、そして虹夏先輩の心が折れる音とそれを嘆く喜多さんの声が聞こえてきた。

 

「どしたどした」

「あっ此崎くん……!」

「此崎くん……」

「此崎くん此崎くん……」

「……此崎……」

「なになになに?」

 

 虹夏先輩、喜多さん、後藤、リョウ先輩の順でピクミンがごとく俺の背後に回ってきて、何やらこちらにガンを飛ばしてきている線の細いファンキーなおじさんに対する盾にされる。

 

 そうして「なんやねんこの状況」と思いながらファンキーなおじさんと見つめ合っていると、きくりちゃんが助け舟を出してくれた。

 

「ちょっと銀ちゃ~ん私が呼んだゲストだよゲスト~」

「――あら~! ゲストの子たちだったのね♡ 怖い顔してごめんなさいね~!」

 

 ファンキーなおじさんは、見た目以上に言動がファンキーだった。

 

 俺はいち早く察した。

 この人は――乙女だ。

 

「吉田銀次郎37歳、新宿FOLTの店長でーす♡ 好きなジャンルはパンクロックよ~!」

「どうも、此崎衣久15歳、結束バンドの仮マネージャーです。好きなジャンルは……わかんないっすけどいろいろ好きでーす。ほれ、じゃあ黄ピクミンから挨拶しなさい」

「……あっもしかしてあたしのこと言ってる!?」

「赤ピクミンからでもいいぞ」

「それもしかして私のこと!?」

 

 もう青ピクミンからでもいいからとりあえず挨拶しようよ挨拶。桃ピクミンはまぁ……いいわ。

 

「なんかすいません、うちの奴らが」

「あらあらいいのよ別に! 此崎くんだったかしら? あなたどっしり構えてていい男ね~!」

「ふっふっふっ、銀ちゃんったらさすが見る目あるね~! あっ、そうそう銀ちゃんは見た目はおっさんだけど心は乙女なアラフォーなんだよ~! 混乱すると思うけど悪い人じゃないからね~」

 

 きくりちゃんのフォローを受けた虹夏先輩、喜多さん、後藤の三人が「は、はぁ……」とぐるぐる目を回しながら戸惑いたっぷりに返事をする。

 まったく、今は多様性の時代だぜ? 俺とリョウ先輩の動じなさを見習ってくれよな。リョウ先輩はきくりちゃんのバンドのライブに来たことあるらしいから知っていただけかもしれんけど。

 

 ……と、吉田さん……銀次郎さん? まぁ銀ちゃんさん(暫定)はとりあえずいいとして、だ。

 

「──おい廣井」

「ほーい?」

 

 ライブハウスの奥の方から、今度は二人の女性が現れる。

 一人はきくりちゃんのことを呼んだ黒髪の女性で、もう一人はどう見ても日本人でない金髪の女性。黒髪の女性の方は黒無地シャツに黒のスラックス、上にジャージを羽織ったラフな格好をしたかっこいい感じの雰囲気で、金髪の女性の方は……着物を着崩してる? なんかこう、ロックな格好をしているのだった。

 

「遅刻するなっていつも言ってるよな」

「もーリハーサル終わっちゃいましたヨー!」

「ごめーん!」

 

 黒髪の女性は淡々と、金髪の女性はわかりやすくぷんすか怒りながらきくりちゃんに抗議を入れている。

 

 これはまぁ、あれだな。彼女たちが……。

 

「……もしかして、あなたたちが結束バンドですか?」

「えっ、あっはい。えっと……?」

SICK HACK(シク ハック)の人だよ」

 

 黒髪の女性に話しかけられた虹夏先輩が視線を送ると、リョウ先輩がフォローする。

 そして、黒髪の女性はそのフォローに続けて「ドラムの岩下志麻です。よろしく」と言いながらぺこりと頭を下げた。礼儀正しい人だ。

 

「あ、私清水イライザ! イライザって呼んでいいヨー! 仲良くしてネー! ちなみに18歳までイギリスに住んでました~今日本3年目~!」

「へ、へぇ~。日本に来てバンドするなんて、邦ロック好きなんですか?」

「ノー! 日本にはコミケに参加したくて来たのヨー! ホントはアニソンのコピーバンドしたいネ!」

「イライザはねぇ~、アニソンこそが日本の最先端だっていっつも言ってんの~! おもしろいよねぇ~!」

「おもしろくなーい! 私本気ですヨー!」

 

 金髪の女性はイライザさんね。こちらはなかなか癖がありそうだが、元気が良くて愉快な人っぽい。

 

 うむ……なんとまぁ、ここにきくりちゃんが加わると考えるとだいぶ不思議なバランスの三人だな。まぁ結束バンドも他所のこと言えるほど統一感ないんだけどさ。

 

 ……あとさ……さっきからなんか岩下さんがすっげぇ見てくるんだけど、何? これさっきのツインテ女子と同じじゃない?

 

 これは、こっちから尋ねた方がいいのだろうか……なんて迷っているうちに、岩下さんの方から声をかけられてしまった。

 

「キミ……」

「……な、なんすかね」

「まさか、〝いっくん〟?」

「お、おぉ……あー、まぁ、そうです、ね……」

 

 ……わかった。わかったよ。

 これ、きくりちゃん案件だろ。

 

「……悪いけど、ちょっとこっち来てくれる?」

「お? 志麻ったら何こそこそしてるの~?」

「廣井は来るな」

 

 と、そのまま結束バンドからも引き離されて、岩下さんにライブハウスの端っこまで連行される。イライザさんも付いてきたけど、岩下さんはこちらには何も言わなかった。

 

「え、えっと、岩下さん……?」

「志麻でいいよ。改めて確認するけど、君がいつも廣井が言ってる〝いっくん〟で間違いない?」

「まぁ、たぶん……あぁ俺、此崎衣久って言います。結束バンドの仮マネージャーで」

「うん、知ってるヨー! いっつもキクリと仲良くしてるんだよネー?」

「そ、そうっすね。まぁ、仲良くさせてもらってますが……」

「…………」

 

 ……岩下さん、もとい志麻さんの目がヤベェ。

 これは……なんだ、哀れみ? まるでライオンの前に放り出される野兎を見るような……。

 

「……此崎くん。キミ、だいぶお酒に弱いらしいけど、廣井に飲まされそうになったら本気で抵抗しなくちゃダメだよ。さすがに……さすがにあの廣井でも、未成年に手を出さないくらいの理性と常識は……しかも高校一年生……けどちょっと気に入り方が異常だしな……」

「イックーン、つ・ま・り! キクリに食べられそうになっちゃったらちゃーんと逃げないとダメですヨーってことネ! 私たちのベースボーカル、ケーサツに捕まっちゃったら困るからネー!」

「…………」

 

 ……こ、答えづれぇ~……! うんともすんとも言いづれぇ~……!

 志麻さんはもう表情からしてガチのマジ、よく見たらちょっと冷や汗かいてるレベルで真剣に言ってるみたいだし、一方イライザさんは明るい感じで言ってるけど手元でちょっと変化するくらいのストレートすぎて、高校一年生の無垢な男の子にはリアクションが難しすぎるんですけど~?

 

 ……うん、これはもう俺が内心できくりちゃんについてあれこれ考えるのも危険な気がしてきたぞ。やめとこ。

 

「お~い! 志麻~! イライザ~! 準備しようよ~! あとぼっちちゃんたちにいっくん返してあげて~!」

「遅刻してきたのは誰だよ……まぁとにかくそういうことだから。廣井の扱いに困ったらいつでも私やイライザに相談していいから」

「うんうん! あとでお姉さんたちとロイン交換しようネー!」

「あぁ、うっす……」

 

 よくわからんが、味方が増えた……ということでいいんだと思う。

 深く考えるのはやめておこう。

 

 

     ♪ ♪ ♪

 

 

 きくりちゃんたちがライブ準備のために去っていった後、案の定というか結束バンドの四人に何を話していたんだと質問攻めにされたが内容がアレすぎて俺は黙秘権を行使した。

 ちょっとこう、正直に話した後にどういうリアクションをされるかわからんし、そのリアクションに俺自身が上手く対応できる気がしなかったので……。

 

 さて。

 

 俺たちがそんな攻防を繰り広げているうちに、ライブハウスの中にはどんどん人が入ってくる。

 ハコの大きさが違うのはあるが、スターリーではなかなか見ない人数だ。開場から十分かそこらしか経ってないはずだが、既に100人……いや200人は客が入ってる気がする。ライブの開始までにまだまだ増えるだろう。

 

「こんなに人気のライブ、タダで見させてもらうなんてやっぱり悪い気がするね~」

「伊地知先輩、それなら飲み物だけでも買いませんか? せめてライブハウスにお金落とすってことで……」

「私はいい」

「リョウは遠慮してるんじゃなくてお金ないだけでしょ」

「そうとも言う」

 

 そうでしかないんじゃねぇかな。まぁいいけど。

 

「ぼっちちゃんはどうする? 此崎くんは?」

「あっ私も買います」

「俺は……あー、買う前にちょっとトイレ行ってきます。先に三人で行っといてください」

「おっけー」

 

 ということで、俺は一人でお花を摘みに。

 やっぱりライブ前に済ませておこうという人は多いらしく、若干の順番待ちはあったものの特におもしろいイベントも発生せずに用は済んだ。いやさすがに俺もトイレでおもしろいイベントとか求めてないからね。

 

 ……うん、トイレでは発生しなかったんだけどね。

 

「――そこのあなた」

 

 トイレから出たところで、うっかりエンカウントしてしまったのだ。

 というか、待ち構えられていたのだ。

 

「此崎衣久、よね」

「……まぁ、そうっすけど」

 

 

 

「――ちょっと、顔貸しなさい」

 

 

 

 見覚えのある、ツインテ女子に。

 

 





謝辞ィ! ちょっと久々ァ!

お気に入り評価感想ここすき誤字報告等々ありがとォ!
ねぇ知ってる? この作品今累計126位にいるんだよ? マジヤバくね?

最近は感想いっぱいマスマロいっぱいで読むのが楽しいですわ~! ありがとうなのですわ~!
あとここすきの数見ながら自分で読み返してたりするのですわ~! 俺のWTBおもしれ~ですわ~!

はい。
次回は普通に本編の続きです。もしかしたらちょっと遅くなるかも……お仕事が……。
進捗はトゥイッターで呟きます。

トゥイッター
https://twitter.com/SAVAnoSugerNi
マスマロ
https://marshmallow-qa.com/savanosugerni
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