一週間空いちゃった……
一応新章突入的なフィーリングです。
「こんちは〜! 『文化祭ライブリベンジ in 下北沢STARRY』、今度の土曜にやりま〜す! よろっしゃっしゃ〜す! 参加無料で〜っす!」
11月初旬。
波乱の秀華高校文化祭から早一ヶ月以上が経過した頃、俺はついに迫ったライブの告知に明け暮れていた。
“文化祭ライブリベンジ”と銘打ったそのライブは、まぁ名前の通りではある。
俺が後藤にフライング・ボディ・プレス、あるいは別名フライング・ソーセージを食らって救急搬送されたせいで中止になってしまった文化祭ライブ。
結束バンドの後ろにはバンドが三組も控えていたのに、彼らが文化祭ステージで努力の成果を披露する機会を奪ってしまったわけだ。最後の一組は教師たちが組んだバンドだったんだが、それだって同じことである。
しかも、ヨヨヨちゃんと一緒に新宿で買った菓子折り片手にいざ一人で謝罪の旅に出てみれば、行く先々でむしろ俺の怪我の方を心配されてしまう始末。
優しさが身に染みてちょっと泣いたし、だからこそ、俺はそれに報いなければならないと強く思ったのだ。
最初、俺が主導して放課後に体育館を貸切る形でリベンジライブを開催できないかと画策したのだが、機材の準備や日程を抑えるのが難しくて断念。体育館なんてほぼ毎日どこかしらの部活が使っているのだ。
となると、まぁ当然の成り行きというかなんというか次点で思い当たるのがスターリーだったわけだが、貸し切りでやろうとしたらだいぶ金かかるよねって。
実際、恐る恐る店長さんに相談してみると、案の定情け容赦のない料金が提示されて凹むしかなかった。いくらなんでも十万超えは……まぁ生活費の口座には入ってなくもないんだけどいきなり使う勇気は出ないよと。
お詫びのつもりで主催するライブだから参加してもらうバンドにノルマを課すのも違う気がするし、いったいどうしたもんか……と、店長さんの前で頭を悩ませていたところ、なんか急にもごもごと「……で、でもまぁ? 身内が迷惑かけたようなもんだし? 別に金は出してもらわなくても……ただ、ただな? 此崎、お前子どもの頃の写真とか……あるだろ? それってさ、もしかしなくてもぼっちちゃんが一緒に写ってたり――」とかなんとか店長さんが言ってきた。
──そしてふと気が付けば、11月の第一土曜日に“文化祭ライブリベンジ”の予定が入っていたのである!
……ま、オーナーだから好きにすりゃいいんだろうけどさ、そうなるとこっちが自制しないとまずいって話になるんだよな。ホント、後藤の私物の横流しとかチラつかせたら比喩じゃなしになんでもさせてくれそうな勢いだし……。
「―――『文化祭ライブリベンジ in 下北沢STARRY』、今度の土曜でーす! よろしゃーす! 参加無料です、チケット配ってまーす!」
ともかく、今日も今日とて校門の近くで宣伝活動に勤しむ……が、まぁ実を言うと、チケット配布数が既に100枚超えてましてね。もうあんまり熱心に呼びかける必要もない気がするんですよね。
どうしてこんなにチケットを配れているかと言えば、まぁまず無料だからっていうのが一番でかいわな。そして、毎日放課後に宣伝しているのが文化祭での救急搬送で一躍時の人となった一年五組の此崎衣久さんだというのが次点の理由だと思いますね。
本当にこれだけだとしょうもないのでもう一つ付け加えると、スターリー開催ということでちゃっかり参加することになっている結束バンドのおかげもあるのだ。いや身内贔屓とかじゃなくってホントに。
誠に残念ながら話題に上がるきっかけとして俺の存在を無視はできないのだが、文化祭ライブにおける結束バンドの評判が校内で結構評判が良いのだ。いやこれホントなんだってば。
その他にも当然文化祭当日に披露するはずだったバンドを目当てに来る人はいるだろうし、特にステージのトリを飾る予定だった教員バンドも参加することになっているのでこれをおもしろがって見に来る奴も多いだろう。説得できてよかったぜ……。
スターリーのキャパは250人。すでに100枚チケットを配ってるわけだが、結束バンドの各種SNS、そして何よりフォロワー数一万人を超える我らが喜多さんのイソスタでも宣伝してもらっているので、当日に押しかける客もきっといるはずだ。
もちろんチケットを貰うだけ貰っておいて来ない人も間違いなくいるだろうが、しかし半分近く埋まれば上等だとは思うんだよな。
というか、キャパ以上に詰めかけられたらめんどくさいので、最終的に200人くらいにならんかなと思っている。これはこれで高望みだろうか?
「──あのぉ」
――と、そんなあれこれを考えていて気もそぞろになっていたその時、ふと、死角から大層甘ったるい声をかけられた。
「はいどうも! 『文化祭ライブリベンジ in 下北沢STARRY』にご興味が──って、お」
「ふぇ? お、ってなんですかぁ?」
「……い、いえなんでも」
勢いよく振り返り、営業トークを仕掛けようとしたが……なんか……すごい痛い格好の人……黒髪ツーサイドアップ、ピンク色のセーターの萌え袖、首に包帯巻いてるし……い、いやいや、人の服装の趣味にとやかく言うのは良くないよな。
何かこう、とにかく独創的な格好をした推定二十代の女性がそこにいて、面食らった俺は思わず声に詰まってしまったのだった。
――この人誰? というのはまずある。
ここ、高校の敷地内なんですよね。絶対関係者じゃないですよね。
しかし、大声で宣伝していた俺に話しかけてくるのだから、ライブに興味のある人なのかもしれない。基本的には秀華高校の生徒に来てもらえればと思っているが、他所の人間が来てくれたって全く問題はないのである。
俺はひとつ息を吐き、意を決してこの……この、独創的な格好をした推定二十代女性(仮称)と会話を試みるのだった。
「えっと、ライブにご興味が? これ、うちの高校の文化祭ステージで発表するはずだった学生バンドたちの……あ、そもそもね、ちょっといろいろあってステージが中止になっちゃったんですよ。これはそのリベンジ的なライブでして……」
「はいっ、もちろん知ってますぅ~! まとめサイトとトゥイッターでバズってたやつですよね! 『【悲報】JKさん、文化祭ステージで観客の男子生徒にフライング・ソーセージをお見舞いしてしまう』! ……ところでぇ〜もしかしてもしかするんですけどぉ~……あのフライング・ソーセージ食らってたのってぇ……」
「…………」
「黙り込むってことはそういうことですよね!?」
……まぁそういうことなんですけど、なんでバレてんだよ……。
『【悲報】JKさん、文化祭ステージで観客の男子生徒にフライング・ソーセージをお見舞いしてしまう』
こんなクソおもろいタイトルの記事、トゥイッターで流れてきたら俺だってクリックしちゃうよ。
元を辿るとやっぱりどこかの誰かが撮っていたらしい決定的瞬間の動画をどこかの誰かがトゥイッターにアップしていたようで、これをまぁまぁ有名なアフィリエイトのまとめサイトが取り上げたものだから、巡り巡ってトゥイッターでかなり拡散されてしまったのである。
俺、というよりも結束バンドがそれに気が付いたのは、確か後藤さんのご乱心があったときのことだから……ああダメだ後藤さんご乱心してないことの方が少ないからもう少し具体的に思い出さないと。
……うん、20万くらいかけてエフェクターを大量に買い込んだ時の流れで話をしたような覚えがあるので、先々週くらいのことだな。
後藤さんご乱心の一件も気になるだろうけど、そうじゃなくって今はプランクトン後藤(リングネーム)のフライング・ボディ・プレスがバズった件についてだ。
正直、最初は血の気が引いた。だって俺これ……酒飲んでるんだぜ……?
うちの母親に言われたあれこれがフラッシュバックして手が震えたし、心拍数が健康に悪そうなレベルまで跳ね上がったのは言うまでもないだろう。
ただ幸いなことに……本当に幸いなことに、まとめサイトへ掲載された動画にはそっちの方の決定的瞬間は収められておらず、まとめサイトのコメントやトゥイッターでのリプライ、エゴサで見つかった限りの発言で俺の飲酒に気が付いている人間はいないようだった。……いやでも大丈夫かなホント……ホントに……。
……いやまぁ、要するにそういう心配がどうにも拭いきれないから安易に頷きたくはないのだが……でもこのまま秀華高の生徒に聞かれたらどうせバレるし……っつーかなんかもうほとんどバレてそうだし……。
「……まぁ、その……そう、ですね」
視線を逸らしながら、結局俺は苦渋の思いで肯定した。
「やっぱり〜! あなたがアノサキくんなんだぁ〜!」
「アノサキって誰だよ」
――が、バレてなかったかもしれない。
いやでもこれ絶対アレだ、「あぁ、
「アノサキくん? どうしたの?」
「……もういいわ。はいはいわたくしが幼馴染にフライング・ソーセージ食らったアノサキですよ」
「――えっ幼馴染!?」
やっべ余計なこと言った。
独創的な格好をした推定二十代女性(仮称)の目がキラキラ輝き始めちゃったわ。
「……ところでなんですけど」
「誤魔化した! 今完全に誤魔化したでしょ!」
「完全に誤魔化してないです。いや、そもそもあなた様はどちら様なんですかって話ですよ。ただの冷やかしならお引き取り願いたいんですが……」
「あ〜待って待って冷やかしじゃないからっ! これ、これ名刺!」
「名刺――お、おわぁ……」
「おわぁって言わないでよっ! 引かないでよっ!」
いや、いくらなんでも『ふりーらいたー ぽいずん♡やみ』(原文ママ)とデフォルメされたおそらく自分のイラストとそこから吹き出しで『17さいだよぉ』は引きますよ……さすがの俺でも……後半はもう言及するの避けるけど、前半だってなんなの? ペンネームってこと? “ぽいずん♡やみ”が?
「……フッ」
「鼻で笑った!? 今、鼻で!!!」
「いや気のせい気のせい。というか、ふりーらいたーってことは記者的な? なんの記事を書いて……って、いやそうか」
「何も言ってないのにわかるの? まぁでもわざわざあなたに声かけたんだからわか――」
「――プロレス雑誌とかに寄稿してるってことっすよね。後藤の技があまりにも見事にキマってたから」
「ちがわい!! ちがわい!!!」
ぽいずん♡やみさん(推定二十代女性)がバタバタと袖を振り回して地団駄を踏む。違ったらしい。
「バンド!! あたし音楽ライターだから!!! ……あっでも今回取材に来たのはネタ記事書くためなんだけどね?」
「正直な人は好きですよ」
ふむ、それにしても音楽ライター……ネタ記事ってことはあのまとめサイトの二番煎じみたいな記事書くつもりなのかもしれんが、それならいっそ結束バンドのこと書いてくれんかな。
……書いてもらうか!
「ぽいずんはーとやみさん」
「♡の部分声に出さないでくれる!?」
「じゃあずんやみさん」
「ぽいまでどっかいった! ってゆーかかわいくないからやめてっ!!」
「注文多いな……じゃあぽいやみ……いやぽやみさんね。かわいいでしょぽやみさん。ぽやぽやしてるみたいで」
「アホって言ってるじゃんそれ!!」
話が進まないのでもうぽやみさんのツッコミは無視することにした。そしてぽやみさんで呼び方決定。
「ぽやみさん、音楽ライターだって言うんならうちのバンドの記事書いてもらえませんか? あ、俺、下北で活動してる“結束バンド”っていうバンドのマネージャーやってて。別に後藤の……うちのギターのフライング・ソーセージはネタにしてくれていいんで」
「えっ……あー……お、おっけー!」
……今一瞬、はっきりと「うわめんどくさ」って顔に書いてあったな。
でも、言い方は悪いがぽやみさんが先に俺たちを利用しようとしたんだし、俺たちだってぽやみさんを利用したって罰は当たらないだろう。
そもそも利用し合ってお互いにどれだけの益があるのか、という疑問はあるけど。でも自分は音楽ライターだって言って怒るならバンドに興味持ってくれよと。
ともかく、俺はブレザーの内ポケットにしまってあった茶封筒を取り出し、中に入っていた文化祭ライブリベンジのチケットを無理やりぽやみさんに握らせる。
「はい、これチケットです。確かに渡しましたからね。当日来てくれたらインタビューでもなんでもお答えしますよ」
「うっ、こ、交渉上手め……!」
ぐぬぬと歯噛みするぽやみさん。
俺はしれっとした顔で小首を傾げてみせる。
と、なんだかんだと話がまとまったっぽいタイミングで、不意に校舎の方からクソでかい声が聞こえてくる。
「――おい此崎ィ! お前今度は何やっとるんだァ! その女の子ウチの生徒じゃないだろうっ!」
「げっ、ちょっと、あれってもしかして……」
「あぁ、生活指導の先生っすね。たぶん身元バレたら警察呼ばれると思うんで逃げた方がいいと思いますよ」
「ぎゃー! 逃げる逃げるぅー!」
「此崎ィ!」
先生、なんで俺の名前ばっかり呼ぶんですかね。今まさに逃げ去ろうとしている自称17歳の存在の方が問題だと思うんですけど……。
「……うーむ、来てくれるといいような、なんとなく来てくれない方がいいような……」
ぽやみが校門から出るなり曲がって姿をくらましたのを見届けつつ、俺は誰にともなく呟いた。
またなんかおもしれー女と知り合ってしまったわけだが、なんとなくこう、ぽやみさんからは地雷臭が……いや格好とかじゃなくってな?
「此崎ィ! またお前は女性に手を出してなぁっ!!」
「――いやちょっと先生ェ!! そもそも俺女性に手ぇ出したことないんですけど! 冤罪ですよ冤罪!!」
おいもう生活指導の教師がそれ言い出したら俺の風評おしまいなんだよ!
それ以前に終わってんだろってのはそうかもしれないけどさぁ!!
♪ ♪ ♪
「――というような感じでですね、土曜のライブに音楽ライターさんをお招きすることになりました。口約束ですけど、もしかすると結束バンドのこと記事にしてもらえるかもしれませんよ」
かくかくしかじかまるまるうまうま。
その日、生活指導の先生に謂れのない罪でこってり絞られた後にスターリーへ赴いて、ぽやみさんとのあれこれを説明すると。
「……この男……」
「校門の傍で宣伝するだけだからって油断していたわね……」
「……やっぱり……やっぱり此崎くんの『頑張る』ってそういう……そういう……」
「此崎、さすがは伝説のロックキング……」
丸テーブルを囲んで座る結束バンド4名から返ってきたのは、こんな反応だった。
誠に遺憾である。
俺はむっとして、ジト目を向けてくる四人に対してその意を表明した。
「なんなんですかその『コイツまた目を離した隙に女性を引っ掛けてきたわ』みたいな目は。違うんですけど?」
「違くないじゃん」
「違くないわよね」
「違くないと思う」
「違くないでしょ」
「…………」
一応カウンターに座っている店長さんのこともちらっと見てみると「またかコイツ」みたいな目を向けられていて五対一。
隣に座ってるPAさんはいつものようにニコニコしていて、敵ではなさそうだけど味方でもなさそう。
うん、俺の負け。なんで負けたのか明日までに考えてこようと思う。
……でも最近おかしいんだよな。具体的に言うと先月新宿でヨヨヨちゃんとデートして以降、俺が虹夏先輩たちのいないところで女性とやり取りをするとなぜかそれを察知されてるというか。
先に少し触れたヨヨヨちゃんとのカラオケリベンジとか、ヨヨヨちゃんと夜に通話したときとか、ヨヨヨちゃんにシデロスのライブに招待された(残念ながらバイトがあって行けなかった)ときとか……あれ、もしかして女性とのやり取りじゃなくてヨヨヨちゃんとのやり取りが原因……あぁいや、イライザさんにシクハックのライブを見に来ないかって誘われた時もだから違うわ。あときくりちゃんからロイン電話かかってきたときとかも……。
ちなみにだが、察知確率は今のところ後藤が100%で虹夏先輩と喜多さんが50%前後、リョウ先輩が0%である。
今日だって、ぽやみさんとのことを説明することになったのはスターリーに来て挨拶をするなり後藤と虹夏先輩から「此崎くん……もしかしてまた女の人と知り合った……?」と尋ねられたからなのだ。本当に怖い。
「……ま、まぁでもとにかく、あの人がどのくらい影響力あるライターさんかはわからないですけど、滅多にない機会だと思うんですよ。だから……」
「ぽいずん♡やみさん、でしたっけ? そんなに名のあるライターじゃないみたいですけどネットの掲示板でプチ炎上してますね~。本名とか出身校とか晒されてますし……」
「それって一番やばいタイプじゃないですか……?」
スマホをたぷたぷ触っていたPAさんがあまり知りたくなかった現実を突きつけてきて俺と喜多さんの表情が引きつった。
……ッスー……。
「……やっぱりやめときます?」
「う、うーん……もうチケット渡しちゃったんでしょ? 連絡して『やっぱり来ないでください』っていうのもさすがにどうかと思うし……話の通じる人だって願うしかないんじゃないかなぁ。ぼっちちゃんもあんまり蒸し返されるの嫌だろうし」
「あっうっ、わっ私はその、別に……」
「ぼっち、有名人になれるチャンス。これがバズったらぼっちが此崎にプロレス技をかける動画シリーズ作ろう」
「ゆっ有名人……!」
「お前なんで目ぇ輝かせてんだ引っぱたくぞ」
あのフライング・ソーセージだって打ちどころ悪かったら死んでるからね? 一人に一つずつの大切な命なんですよ?(nヶ月ぶり二回目)
……とりあえず後藤のことは後で引っぱたくとして、やはり深く考えもせずにぽやみさんを懐柔しようとしてしまったのは失敗だったかもしれない。
つい最近……と言ってももう二か月近く前のことになるが、ヨヨヨちゃんのときにそれでだいぶ上手くいってしまったからなぁ。
ヨヨヨちゃんも最初は俺に対して敵愾心マックスだったけど、ちょっとじゃれてあげたらあっという間に懐いて……ってのはヨヨヨちゃんが人懐っこすぎたのはあるか。いやないわけないんだわ。最初の新宿デートの少し後、中途半端になっちゃったからってもう一回カラオケ行ったしな。仲良くなりすぎだろ。
で、ヨヨヨちゃんへのあれこれを踏まえて今日のこと思い返すとさ、ぽやみさんに対しても同じような感じで相手しちゃってたよね。ヨヨヨちゃんでの成功体験が強烈すぎたんだわ……。
「おーい此崎くん? 別にそんなに気に病まなくても良いからね?」
「ん? あぁ……いやまぁ、気に病んでるってほどじゃないんですよ、さすがにちょっと考えなしだったなぁってだけで。よかれと思ったんですがねぇ……」
「此崎くんにしてはネガティブね。そんなに心配なの?」
「というより俺、そもそもそんなにポジティブでもねぇけどな……ま、虹夏先輩の言う通り願うしかないってやつですかね。うん、土曜日の俺に任せよう」
「出たそれ」
虹夏先輩に呆れ顔で言われる。
でも出るでしょこれ。だってもう悩んでもしょうがねぇし。
「なんにせよ、先輩たちは諸々気にせず練習頑張ってください。ライブまでもうあと三日ですからね」
「わかってるって! 文化祭の時に比べたら全然余裕だよ! ねー喜多ちゃん?」
「はい! あの時はスケジュール厳しかったですからね~」
虹夏先輩と喜多さんが頷き合って、後藤も隣でこくこくと首を縦に振る。リョウ先輩は腕組をしたままノーリアクションだが、つまりは何の問題もないということだろう。
文化祭ライブから丸一ヶ月。
今回とて十分に長くはないかもしれないが、虹夏先輩や喜多さんが言うように文化祭ライブの時に比べればよっぽどマシだ。今回は新曲を披露するのではなく、今までやってきた曲のクオリティをあげて挑む予定というのも大きいだろう。
俺自身は今回のリベンジライブを開催するために奔走していて、むしろ文化祭前よりも結束バンドの練習に付き合う時間を取れていない。
が、数日に一回見させてもらう四人での合わせ練習はどんどん良くなっているし、文化祭ライブの時よりもバンドとして一回りも二回りも成長しているように思える。
今回のライブも期待していいはずだ。
だから俺は俺のやること、安心してやろうと思う。
ぽやみさんのことは少し心配だが、それだって心配しすぎることはきっとない。
結束バンドなら大丈夫だと、俺は根拠もなく確信している。
根拠もなく、確信していたのだった。
久々に謝辞っておきますわぁ!
評価お気に入り感想ここすき誤字報告等々ありがとう!
そして三次創作書いてくれたり描いてくれているみんなー! 本当にありがとー!
――そう、知ってるかい? 今このうぉざぼの三次創作SSって150件以上あるんだぜ! ツイッターとマシュマロで紹介してて、そのほとんどがディスコードにまとめてあるんだぜ! 150件って何? こわ。
そんなこわい三次創作者20人くらいを含む250人超を擁しているのがうぉざぼ部室棟(ディスコ鯖)です。入居者募集中。鯖ジャムのツイッタープロフに固定してあります。
ツイッター → https://twitter.com/SAVAnoSugerNi
次回はもっと早く投稿してぇな……してぇ……