うぉっち・ざ・ぼっち!   作:鯖ジャム

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恒星、眩しかったね。
眩しすぎて累計五千文字くらいボツにしちゃった……。

は? ライブのせいにすんなカス。


#51 この山なんの山気になる山(事件編・推理編)

 

「此崎、付き合って」

「あーはいはいそれって男女としての交際的なアレじゃなくて買い物的なアレですよね俺も前に喜多さん相手に一回やったんでわかってますよはっはっは」

「いや交際の方」

「は?」

「ジョーク」

 

 ……ちょっと五秒くらい心肺停止したけど無事に帰ってこれた。なんかよく知らない川辺で後藤と会う夢を見たような気がしたが、たぶん気のせいだろう。

 

 年が明け、あっという間に冬休みが終わってしまった1月の中旬に差し掛かる頃。

 

 その日は、バイトのシフトに入っているのが俺とリョウ先輩の二人だけで、結束バンドでのスタジオ練習の予定もなく、虹夏先輩ですら家事やらなんやらでスターリーに顔を見せない珍しい一日だった。

 

 つまりは、リョウ先輩にとって()()を切り出すのにちょうどいいタイミングだったということ……で、いいんだろうか。

 

「あの、付き合うって、何に……?」

「逃避行」

「逃避行?」

「逃避行」

 

 リョウ先輩は、俺との逃避行がご所望らしい。

 

 

     ♪ ♪ ♪

 

 

 ――結束バンドは、結成以来最大の危機を迎えていた。

 

「――ぼっちちゃん、喜多ちゃん。くれぐれも、気を確かにね。死んでる場合でも病んでる場合でもないよ」

「はっはい……」

「はい……」

 

 付けられた明かりは最低限。

 薄暗いスターリーのフロアで、私と喜多さん、虹夏ちゃんの三人は神妙にテーブルを囲んでいた。

 

「確固たる証拠があるわけじゃないよ。でも、現状を鑑みるに、あたしたちはその可能性に目を向けなくちゃいけないと思うんだ」

「……う、うぅ、うぁぁ……!」

「ひ、ひとりちゃんしっかり! 私も……私だって、つらいわ! けれど、受け止めくちゃいけないの。受け止めなくっちゃ、否定することもできないのよ……!」

 

 私が爆発しそうになった頭を抱えて呻くと、喜多さんが肩を抱いてそう言い聞かせてくる。

 

 でも……でもぉ……っ!

 

「ぼっちちゃん」

「ギエピー!?」

「そんなポ○モンみたいな鳴き声あげてもダメだよ。受け止めようね、現実を」

「……あ、あぁぁ……あぁぁぁぁ……!」

 

 お腹の底から絶望の声を漏らす私を、虹夏ちゃんは悲しげな瞳で見つめてくる。

 

 そして、目を伏せてゆるく首を振った後、無慈悲にも()()()()()を言葉にしてしまったのだった。

 

 

 

「――リョウと此崎くん、駆け落ちしたかもしれない……」

「NTRだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああおぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――問題が発生したため、後藤ひとりを再起動する必要があります。エラー情報を収集しています。再起動できます……51.0%完了……サポート担当者に連絡する場合は、この情報を伝えてください──停止コード:BAD_SYSTEM_CONFIG_INFO」

「やだ、ひとりちゃんエラー起こしちゃったわ……」

「やっぱり致命傷だったか……再起動で直るかな……?」

 

 

 

 ──ようこそ。

 

「あ、伊地知先輩! ひとりちゃん再起動できましたよ!」

「ホント! よかったー。クリーンインストール? っていうのやらないといけないのかと思ったよー」

「あっはい。えっ?」

 

 なんか私の人格(OS)が再構築されそうになっていたようだけど許されたらしい。

 

「えっと、いったい何の話をしていたんでしたっけ……?」

「リョウと此崎くんが駆け落ちしたかもって」

「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ」

「ダメよひとりちゃん! 気を確かに持ってって伊地知先輩に言われたでしょ! 私だって今すぐイソスタに病みストーリー投稿したいの我慢してるんだから!!」

「二人の情緒が心配だよ……いやでもホントに二人が揃ってどこ行っちゃったのか突き止めないと! さもないと……」

「Summon Knight?」

「バイトバックれたで賞W受賞によって二人ともお姉ちゃんに殺されちゃいます」

「はわわ」

 

 やっぱり結束バンドの危機……!

 

 ……それは、そんなのは、とても困る。

 結束バンドが解散、もとい壊滅するようなことになれば、二度と私なんかを拾ってくれるバンドは現れるまい。そして私は社会に出ることを余儀なくされて間違いなく適合できずにドロップアウトして親の貯金と年金を啜りながら老いさらばえて死んでいくしかなくなってしまうんだ。

 

 ……い、いやいや、そうでなくても私にとって結束バンドはかけがえのないもの。

 

 後藤ひとりよ。

 この危機に立ち向かわずして、お前はギターヒーローを名乗れるのか。

 

 ──否、否である。

 

「──ま、任せてください虹夏ちゃん、喜多さん……!」

「え? 急にどした?」

「ひとりちゃん、まだ後遺症が……?」

「ちちち違います! わ、私……結束バンドがすっ、好きだから!」

「! ぼっちちゃん……!」

 

 ずっと険しい表情のままだった虹夏ちゃんが、パッと明るい笑顔になる。

 それを目の当たりにしたことで、私の魂の底から未だかつてないやる気と勇気が湧き上がってきたのだった……!

 

「で、ではまず状況を整理しましょう!」

「すごい! ひとりちゃん頼もしいわ! 現状を正しく把握するのは重要だものね!」

 

 そうなのだ! まずは現状を正しく把握するのだ! へけっ!

 

 ……さて。

 端的に言うと、現在、リョウさんと此崎くんが揃って行方不明になっている。

 

 先週、リョウさんと此崎くんが二人きりのシフトだった日があったのだが、二人はその日以来学校にもバイトにも来なくなってしまったのだ。

 

「私とひとりちゃんは、あの日は久しぶりに二人でギター練習してたのよね」

「はっはい!」

「で、ぼっちちゃんは此崎くんとは一緒に帰っていない、と」

「あっはい! バイト上がるの遅くなるから先帰っていいってロインもらいました!」

 

 そのロインのやり取りの中で特に不審なところはない。

 此崎くんと私が一緒に帰らないのも、珍しいと言えば珍しいけど、同じようなことは何度かあった。

 基本、私がシフトに入ってるときはほぼ必ず此崎くんも入っているが、此崎くんがシフト入ってるときは私が休みということもある。これは決して私が大した戦力にならないから此崎くんと抱き合わせにされているのではなくうら若き女子高生たるわたくしが夜に一人きりで帰宅せねばならなくなることを案じていただいているからでありましてわたくしがいまだに一人分の戦力にもなれていないなどということは全然ないことだけは申し上げておきたい所存でございまして候。

 

 とにかく先週のXデーもそういう珍しいシフトだったというだけの話で、私は何の疑問も持たずに一人でさっさと家に帰ったのであった。

 

「伊地知先輩もその日はスターリーに顔出さなかったって言ってましたよね?」

「うん。家事してたんだったか、勉強してたんだったか……でも、スターリーの関係者で最後にリョウたちを目撃したのがお姉ちゃんとPAさんだっていうのは間違いないね」

「そ、そのお二人は何か言ってたり……?」

「一緒に帰っていった、とは聞いたよ。変な様子はなかったって」

 

 むむむ……と、私たちは思わず言葉に詰まってしまう。

 

 ……って、違う違う。まだ悩むには早い。今は現状確認の時間なのだ。

 

「えっと、そもそも行方不明って言っても、本当に連絡も取れなくなっちゃったわけではないですもんね……?」

「ああうん、それはそうだね。リョウも此崎くんもロインすると反応あるし」

「でも、リョウ先輩も此崎くんも頑なに居場所だけは教えてくれないのよね。学校もバイトも来ないとダメって言ってるのにはぐらかされちゃうし……」

 

 そう、別にリョウさんとも此崎くんとも今なお音信不通になってしまっているわけではないのだ。

 最初の最初は本当にロインの既読すらつかなかったのだけど、私が此崎くんに『お父さんとお母さんが警察に捜索願出そうとしてる』と伝えた瞬間から返信が来るようになっていたのだ。

 

 ただ、喜多さんが言ったように、リョウさんも此崎くんもどこで何をしているのかは断固として教えてくれない。

 それに、二人で一緒にいるとも明言はしていないのだが……。

 

「まぁ、このタイミングで同時に行方をくらましてて別行動してるとは考えづらいよね」

「それはまぁ、そうですね」

「……やっぱり駆け落ちじゃない?」

「お……おぎゃ……っ!」

「ひとりちゃん! 一試合で二回もエラーしたら懲罰交代させられちゃうわ! 泣いちゃダメよ! 頑張って!」

「うぅ……ぐすっ……」

 

 な、泣いちゃダメ……泣いちゃダメだ……心を強く持つのよ後藤ひとり……リョウさんは確かに素敵な女性でたまに此崎くんにちょっかい出してるけどあれはどこからどう見ても本気じゃない……本気だったら私に勝ち目は……勝ち目は……?

 

「……べ、別に勝ち負けを争ってるわけじゃないんだからね!」

「どうしたぼっちちゃん。いきなり大槻さんみたいなセリフを……」

「あっいえなんでも……で、でももし! もしも仮に二人で行動を共にしているとしてもですよ!」

「声おっきいな……あーうん、共にしているとしても?」

「か、かかか、かかかかかかかっかかっかっかか駆け落ちとは限らないのでは!?」

「まぁそれはそうね。本当に駆け落ちだったら私も病むわ! 確かに此崎くんは一言で言うとヤバい人だしひとりちゃんを差し置いて他の女性となんやかんやのてんやわんやなんて許せないけどなんだかんだ誠実っていうか熱いところもあって結束バンドを支える姿勢も実は健気だしとてもいい人だと思うけどリョウ先輩を任せられるかっていうとまぁ任せられなくもないっていうかいやでもリョウ先輩が誰かの物になってしまうこと自体が許せないみたいなところあるようなでもそれがリョウ先輩の意思なら私は尊重したいようなそれが此崎くんならほんのちょっと許せるような気がするけどそれはそれとしてやっぱり病むわ!」

「長い長い。喜多ちゃん長い長い。もう既に手に負えないからこれ以上病まないで……目がキマってるよ……」

 

 ほう、喜多さんも随分とやられていますね……しかし私が最弱。今の詠唱を聞いただけで脳みそがはちきれそう!

 

 虹夏ちゃんはガンギマリな私と喜多さんを見て笑顔を引きつらせた後、諦めたような呆れたような、盛大なため息を吐いた。

 

「いや私だってさすがに冗談で言ってるからね? あの二人、結構馬が合ってる感じするけど恋愛とかそういうんじゃ……ない、よね?」

「ないと思います!!!!!!!!」

「願望が九割っぽいけど力強く肯定してくれてありがとねぼっちちゃん……てか、リョウが社会生活ボイコットしてる理由の方はなんとなく察しがついてるんだけどさぁ」

「えっ」

「え、そうなんですか?」

 

 散々私の脳みそを破壊した虹夏ちゃんが突然そんなことを言い出したので、私は思わず裏切られた気持ちいっぱいで顔を向ける。喜多さんは普通にびっくりしたような顔をしていた。

 

「まぁ、その……あたしにもちょっと責任あるかなって感じなんだけど。ほら、作曲……なかなかできあがってこなかったでしょ?」

「あっ。……あっいえ、そっそれは……」

「そう言えばまだみたいですね? リョウ先輩、今まで結構コンスタントに新曲作ってくれてたから珍しいなとは思ってましたけど」

「うん……だからあたし、ちょっとプレッシャーかけすぎちゃったかも。催促してるつもりはなかったんだけど、調子はどうだとかリョウなら絶対良い曲書けるよだとか無責任に言っちゃって……」

「に、虹夏ちゃん……」

 

 虹夏ちゃんは肩を落として、今度は物憂げなため息を吐いた。

 

 ……リョウさんの曲作りがたぶん難航していることを、私と此崎くんは気が付いていた。確か、クリスマスの頃に一度そんな話をしたはずだ。

 後出しみたいでずるい気がするから口には出さないけれど、私も正直、今回のリョウさんと此崎くんが揃って失踪してしまったのはそこに原因があるんじゃないかと思っていた。だから私は今でも生きている。本当に此崎くんが失踪なんてしていたらネットで個人情報拡散してでも捜索しちゃうしそれで一週間も見つからなかったらこの私が無事で済むわけがないのである。

 

 リョウさんと此崎くんが、実際のところどういうつもりなのかはわからない。

 

 でも一つ、丸一週間も顔を見せなくなってしまった二人には“どうして私たちを頼ってくれないの”とだけ今は言いたい。

 

「……あっあの!! にっ虹夏ちゃん!!! 喜多さん!!!」

 

 いつも通り音量調整をミスってボリューム振り切ってしまった私だったが、虹夏ちゃんも喜多さんも慣れたものだと言わんばかりに華麗にスルーしてくれて、ただ視線を送られる。

 

 私はそれに羞恥と安心を覚えつつ、意を決して言った。

 

「──も、ももももう!!! あ、会いに行っちゃいましょう!!!」

 

 

     ♪ ♪ ♪

 

 

 第一に、リョウさんが行方をくらましたのが作業に集中するためか、もしくは行き詰まりを解消するための気分転換、もっと根本的にアイデア探しとか……正確なところはわからないけど、虹夏ちゃんの見立ても併せて考えれば、とにかく作曲のためであるはずだ。

 

 となると、リョウさんはきっと作曲ができる環境にいる。……まぁパソコン一つあればできるじゃんって言われたらその通りなんだけど、たぶんリョウさんはベースやギターを触りながら曲を作りたいタイプ……だと思う。

 

 第二に、此崎くんがそれをサポートしているとすれば、間違いなく()()()()()()()に限られる。……間違いなく。いや、たぶん。

 ……そうだと仮定したら、此崎くんがやりそうなことというとリョウさんの面倒を見ることだ。リョウさんが作曲に集中するために甲斐甲斐しく身の回りのお世話を……お世話……せわわ……はわわ……あっそうじゃなくて、その、そう、身の回りのお世話をしていそうな気がする。

 

 とにかく、以上を踏まえれば。

 

「――リョウさんと此崎くんは、リョウさんか此崎くんのおうちに……いる……!」

 

 名探偵すぎる……後藤ひとり……!

 

「……別に推理しなくてもとりあえず探しとく場所じゃないかな、っていうツッコミはダメ?」

「ダメですよ伊地知先輩! ひとりちゃんがせっかく一生懸命考えたんですから!」

「あんまり甘やかすのも良くな……ハッ、これが此崎くんの教育方針か……!」

 

 虹夏ちゃんと喜多さんが何か言っているけれど、きっと私の名推理に感銘を受けているに違いない。これからは名探偵ぼっちちゃんって呼んでもいいからね虹夏ちゃん……。

 

 はてさて。

 

「それでさっそく此崎くんちにやって来たわけですけれども」

「リョウ先輩のおうちは、お父さんとお母さんが泣きながら『リョウちゃん何日もうちに帰ってこないの~! お友だちの家に泊まるって言ってたけど悲しい~! ぴえん!』って言ってたものね」

「一言一句そのままだったからさすがにびっくりしたよ……まぁ言いそうか言わなそうかで言うと断然前者なんだけど……」

 

 リョウさんのご両親、キャラ濃かったな……二人揃って病院の経営してるらしいけど、お医者さんっていうからにもっと厳格な感じの人かと思ってた。……いや、リョウさんの自由奔放な振る舞い的にそれはないか。でも、それにしたっていまいちリョウさんのキャラからは連想しづらい親御さんたちだった。電話越しに声聞いただけだけど……。

 

 まぁリョウさんのご家族のことは置いておいて、リョウさんが自分の家にいないことの確認が取れて、それどころか「()()()()()()()()()」と言っていたらしいことまでわかった。

 

 リョウさんは、私と同じでバンドメンバー以外に友だちがいないらしい。

 じゃあもう絶対此崎くんちにいるじゃん、ってことになった。

 

「そう言えばぼっちちゃんさ、此崎くんが連絡取れなくなってから家には来てみなかったの?」

「あっもちろん行きました。でも、毎日朝と夜に一回ずつピンポンしたんですけど反応がなかったので……」

「悪質な嫌がらせだ……いやでも居留守使ってたなら此崎くんも此崎くんか」

「とは言え。さっき見た郵便受けはチラシとか入りっぱなしでしたよね。本当にいないんじゃないですか?」

「……ま、結局のところあたしたちの目で確認すればいいでしょ。ぼっちちゃんのお母さんから借り受けた、その最終兵器でね」

「はっはい!」

 

 と、虹夏ちゃんにそれとなく促されて、私はポケットに大切にしまってあった後藤家の最終兵器――此崎くんちの合鍵を取り出し、天高く掲げたのであった。

 

「未婚の男女が一つ屋根の下で寝食を共にするなんて……いえ、でも私は此崎くんを信じています。仮に二人っきりで過ごしていたのだとしても、それはあくまでリョウさんの作曲を最大限サポートするためであって、男と女として節度ある生活を心がけていると。長年私やお母さんという血の繋がりのない女性と深くかかわってきた此崎くんは女性に対する配慮の鬼と言っても過言ではありません。虹夏ちゃんや喜多さんやリョウさんという魅力的な女性に囲まれながらも大した下心も見せず献身的にマネージャーとして働くその姿からも見て取れる鋼の理性がほんの一週間の同棲生活くらいでどうにかなるわけない。だから私はこうも安心して此崎くんのおうちの鍵を開けて中に入れるんですねそれではお邪魔します!!!!」

「長い詠唱だったね。というかチェーンかかってなくてよかった……まぁいいや、とりあえずお邪魔しまーす」

「お邪魔します~。此崎くんいるかしら~?」

 

 私たち三人は玄関に入り、靴を脱ごうとする。

 

 すると、さっそく。

 

「……ローファー、二足あるわね」

「絶対いるじゃん……でも、静かだね? リビングの方も電気付いてないみたい」

 

 廊下も、リビングへ続く扉の曇りガラスの向こうも真っ暗だった。

 声も、物音も聞こえない。

 

「……部屋、ですかね」

「此崎くんの?」

「……はい」

 

 ま、まぁ? いるとしたら此崎くんだけだろうけど? リョウさんはきっと此崎くんのお父さんお母さんの部屋とかで過ごしてるだろうけど? でも女性が生活している部屋をいきなり開けるのはよくないし? まずは此崎くんの部屋から見ておくのが定石だってだけなんだからね! 勘違いしないでよね! ヨヨッ!

 

 以前、結束バンドのみんなで押しかけた時に入った此崎くんの部屋。

 あれから私も此崎くんちに上がっていないので、割と久しぶりだ。

 

「……あ、開けますよ」

「うん……って、勝手に開けて怒られないかな?」

「伊地知先輩、バレなきゃ犯罪じゃないんですよ!」

「すごいこと言うね喜多ちゃん」

「…………」

「…………」

「…………」

「……いや早く開けて!?」

「あっはいすいません開けます!」

「いきなり開けたぁ!」

 

 なんかわかんなくなっちゃって変なタイミングで扉を開けてしまった私。

 虹夏ちゃんがツッコミの勢いでつんのめって、それに押された私と喜多さんは雪崩れるように此崎くんの部屋に押し入る格好となった。

 

 オレンジ色の常夜灯。

 

 薄い明りに照らされた部屋は、まるで泥棒でも入ったかのように荒れていて。

 けれど、そこにある物は、よく見れば此崎くんの物ではなさそうで。

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

 私たちは、見た。

 

 壁際の、ベッドの上で。

 毛布にくるまって。

 身を寄せ合って。

 

 お互いの頭を預け合って、すやすやと眠る此崎くんとリョウさんの姿を。

 

 

 

「NTRだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああうわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああおぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああばああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――問題が発生したため、後藤ひとりを再起動する必要があります。エラー情報を収集しています。再起動できます……51.0%完了……サポート担当者に連絡する場合は、この情報を伝えてください──停止コード:CRITICAL_PROCESS_DIED」

 

 




後藤、こんな短い頻度で二回もエラー起こすなんてそろそろ買い替え時かもしれない。


っしゃあ……久々に謝辞っとくか……。

お気に入り感想評価ここすき誤字報告ありがとうありがとうありがとう。
まぁもう絶滅してしまった気がするけど「あらやだこの作品とっても面白いのに評価し忘れてましたわおほほ」という方がいらっしゃったら評価してくれると嬉しいってウチの猫が言ってました。

ディスコードの宣伝もします。
前回も触れた通り怪文書という名の三次創作SSが400件以上あります。怖いですね。
その他にファンアートもたくさんいただいているんですね。ディスコード鯖内に40件くらいあります。怖いですね。
あと非常に申し訳ないことに前回触れ忘れたんですが作曲&弾き語りしてくれた人もいました。怖いですね。

うぉざぼのディスコード鯖怖いです。でも大半はROM専なので入るのは怖くないです。鯖ジャムのTwitter( https://twitter.com/SAVAnoSugerNi )の固定ツイから入れます。そんな感じです。

次回は早くお届けしたい、なんてことは言いません。だっていつでもそう思っていて、できていないんですからね。
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