うぉっち・ざ・ぼっち!   作:鯖ジャム

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次回は番外編だと言ったな。

あれは嘘だ。(保険適用)


#59 路上で歌う、路上で戻す

 

 

 赤い箱。

 郵便ポスト。

 

 下北沢の街にも当然設置されてるそいつを前に、俺たちは緊張と不安に包まれていた。

 

「――よし、じゃあ審査用のデモテープ投函するからね……!」

「はい! お願いします!」

「…………」

「…………」

「……虹夏先輩?」

「あ、うんごめん、なんかこう、願掛けとか、念でも送ったほうがいいかなーとか考えちゃって」

 

 虹夏先輩が茶封筒を持ったままなぜか固まってしまったので声をかけると、そんな答えが返ってくる。

 

 願掛け……まぁやってもいいだろうけど別に抽選じゃないしな……なんて俺が思わず考えているのをよそに、喜多さんが割と気合のこもった感じで「はぁ〜〜〜〜!」とわかりやすく念を込め始めた。

 

「ノンノン喜多ちゃん、もっと強く、もっと強くだよ! はぁっあ! はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああっっっっ!!!!」

「天津飯!!」

「天津飯ってなんすか? ……いや俺も一応やっとくか。――ホアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!(裏声)」

「お、いいよいいよ此崎くん! さすが恥も外聞もないね!!」

 

 それほどでもないんだぜ虹夏パイセン。オイラ、本気で結束バンドを手助けするって決めてっからよ……。

 

「それに、へへっ、見てくださいよパイセン。この後藤の姿を。これには負けますぜ」

「――臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前・犬・蟹・蛙・狐・鳩・ヤカン……!」

「……途中から影絵のやつになってない?」

「あ、それこの前ふたりちゃんに教えてもらったやつ! 幼稚園で習ったんですってー」

「へぇー、かわいいね〜」

 

 違う、そうじゃない。

 まずは謎のオーラによって髪の毛が重力に逆らって立ち昇っていることについてツッコミを入れて欲しかったんだ。

 ちなみに、こんだけ必死に念を送ってる後藤であるが、どうせ「絶対優勝して100万円手に入れて高校中退」とか考えてるだけだろう。たぶん。

 

 ……まぁ何はともあれ、だいぶいろいろなことがあったけども、なんとか無事にデモテープをポストに入れるところまできた。

 

 あっという間だったような、随分と長かったような。

 ありきたりだが、俺個人としてはそんな印象だ。

 

 一番最初がどこだったかと言えば、まぁやっぱりぽやみさんとのいざこざだろう。

 あれから後藤を始めとしたみんなが未確認ライオットに参加することを決意して、すぐに練習漬けの日々が始まった。

 クリスマスには急遽シクハックのライブに出演させてもらって、年が明けてからは此山事変(完全定着、諦めた)が起こり、そして大事になったわけではないものの喜多さんもボーカルとしての自分を見つめ直し、MVの音源を撮り直すことになって……。

 

「いや~、あれから撮り直した喜多ちゃんの歌、すごい良くなってたよね~」

「あ、ありがとうございます!」

「MVも再投稿したけどすぐに再生数戻った、というか伸び具合なら前よりいい感じですしね。どうせデモ審査のためにもう一回音源撮るのも視野に入れてたので、喜多さんも納得できたならいろいろと好都合でした」

「ええ、此崎くんもいろいろと気を回してくれてありがとうね。あとは後藤さ……ご、ごと、ごとりちゃんもありがとうね!」

「何その気持ち悪い呼び方!?」

「何だそのおもしろい呼び方!」

 

 ごとりちゃん! そういうのもあるのか……!

 

「此崎くん?」

「はい」

 

 虹夏パイセンの牽制が早すぎる。危うくタッチアウトになるところ……いやもう逆にアウト取られてる?

 

「ねぇ衣久」

「なんすかリョウ先輩」

「寒い」

「……スターリー戻りましょうか」

 

 そういうリョウ先輩の話ぶった切ってくるところ、割と好きだよ。

 

 と、まぁリョウ先輩への告白もそこそこに、俺たちはスターリーへ向かって歩き出した。虹夏先輩と喜多さんが二人で前を歩き、その後ろを残り三人で並ぶ形である。

 

「はぁー、それにしてもいよいよって感じ……なんだけど、結果出るまでちょっと気が抜けちゃいそうだねぇ」

「そうですね、このままバンド練習は続けるとして、何か他にできることってないんでしょうか……」

「……あー、じゃあほら、そろそろ路上ライブやるか? ごとりが提案したアレ」

「えっあっはい!!!」

 

 うるせぇぞごとり。

 

「いいねそれ! 寒さもちょっとはマシになってきたし!」

「えぇ……まだ普通に寒いから嫌……」

「まぁまぁリョウ先輩そう言わずに〜」

 

 一応、ごとりが出したアイデアで、フェスに向けてのやることリストには入っていた路上ライブ。

 それが今の今までほったらかしにされていたのは、まぁそれよりまずは練習しないとだとか、やるにも新曲できてからじゃないとだとか、というかスターリーでのライブだけでも結構大変だとか……とにかくいろいろ理由はあったが、何より真冬に路上ライブは寒過ぎて無理、というのが一番大きかった。

 

 3月というと暦の上では春だが、暦の上でのことが現実に即していないなんてわざわざ言うまでもないだろう。

 冬のロスタイムみたいな気温と空模様で、路上ライブ日和なんてのはきっとまだまだやってこない。

 

 ……が、やはりハコでのライブは金銭的な問題でなかなか増やせるものじゃないので、ライブの経験、あるいはもっとざっくり言ってしまえば度胸をつけるためにも路上ライブは多少の無理を通してもやっていいと俺は思う。

 

 それに、どんどん新しいことをやってファンを開拓していかなければ、たとえ一次審査を無事に通過しても後が続かなくなってしまう。

 MVのアップというジョーカーも切ったことだから、ここらで一つ地道にファンを増やすような新しい活動をするべきだとも思うのだ。

 

「よーしそれじゃあ早速来週末にでもやっちゃおっか! 喜多ちゃん、SNSで宣伝よろしくぅ!」

「はい! りょーかいですっ!」

「あっ」

「ん? 何さ此崎くん」

「あ、えーっと……いや、まぁいいです。なんでもないです」

「何それ余計気になるじゃん!」

 

 うーむ、虹夏先輩の言うことはもっともなんだけど、これはちょっと水を差すようなことというか……。

 

「……いやマジでもないです」

「えぇ〜?」

「此崎くん、私も気になっちゃうんだけど、告知しちゃって平気なのかしら?」

「うん、まぁ……そうだな、むしろ喜多さんはきちんと宣伝してくれ。バンドのこと。今年の春の新作コスメの話はもういいから……」

「……喜多ちゃん?」

「ちっ違います伊地知先輩! こっこれには深い理由が……!」

 

 ……と、お奉行様の矛先が無事に職権濫用疑惑のSNS大臣に向かったところで、しかし今度は両隣の作詞大臣と作曲大臣からの視線にさらされる。

 

 とりあえずその場ではスルーしておいたものの、それからスターリーに戻って練習を終えた帰り道、結局後藤には少しだけ話すことになった――。

 

 

     ♪ ♪ ♪

 

 

 路上ライブってのは、こう、なんというか……一応オブラートに包んで表現すると、あんまり褒められた行為ではない。

 

 まぁ実際俺にも前科がある。

 ……いやこの場合前科って言っちゃうとマジのガチ感が出ちゃうんだけど、去年の夏にきくりちゃんと後藤との三人で、地元でやったアレである。

 あの時、一曲やっただけであっさりとお巡りさんに見つかって注意されてしまって、要するにそういうことである。

 

 インターネットでいろいろ調べてみても見事に歯切れの悪い話ばかりが出てくるので、これじゃダメだとひとまず店長さんに話を聞いてみたのだが……詳細は省く。割と苦笑いものだったんでね。

 そして次に、実際に下北で路上ライブをやってるお兄さんお姉さんたちにちょっくら尋ねてみることにした。演奏を聞いて、おひねりも学生なりのお気持ち程度を投げて、それから自分も路上ライブやってみたいんですけど……みたいな体でライブが終わった後に相談させてもらったのである。

 それで、結果的にはまぁ……やっぱり、ねぇ?

 

 したがって、俺の出した結論としては、怒られたらやめよう! って感じである。これもう調べない方が余計なこと考えなくて済んだのになーってやつだった。

 

「――なんだ、そんなこと考えてたんだ」

「いやまぁ……ホント水差すのは嫌だったんで、って結局後藤にもリョウ先輩にも話しちゃいましたけど……」

「別に気にしない。ロックとはアウトロー、アウトローとはロック」

「はい」

 

 まぁね、リョウ先輩はそんな感じじゃないかと思ったよ。

 たぶん虹夏先輩もおんなじようなこと言う気がするし喜多さんもじゃあやめようとはならない気がするよね。

 

 じゃあ誰が一番気にするかってもちろん後藤で、だから言わないって散々言ったのに「でも……」とか「スト……」とかもごもごしながらチラチラ見てくるからつまびらかに話してやったら案の定錯乱していた。別に死刑にはならないんだわ。

 

 ……とは言え、後藤も最終的にそれじゃあ無理だとは言わず、死刑を覚悟して路上ライブに臨むと宣言したのだった。別に死刑にはならないんだわ。

 

「おーい、二人とも何話してるのー! 早く準備するよー!」

「ん」

「へーいすんませーん」

 

 リョウ先輩と端っこでこそこそ話していたら虹夏先輩からの怒られが発生してしまった。

 

 ――と、ほぼ俺だけが気にしていたそんな悩みごともあったわけであるが、時すでに路上ライブ当日であり、場所すでに下北駅前である。

 

 ここまで来たら……とかではなく俺もとっくに腹を括っているので、今やるべきは準備の手伝い。

 虹夏先輩といろいろ打ち合わせして必要なものを厳選し、スターリーから機材を借りている。ざっくり言うとマイクとかアンプだな。

 

 それらをみんなでせっせとセッティングしていくわけだが、道行く人からさっそく注目されていて小恥ずかしい。なんならもう立ち止まっている人がいるくらいだ。すごいぜ下北、さすがは音楽の街だ。

 

「……あ、そう言えば伊地知先輩、結局ドラムどうするんですか? バスドラとか見当たらないですけど……」

「ふふん、喜多ちゃん、これだよこれ〜。今日のあたしのバスドラはこれ!」

「え、キャリーバッグ……ですよね?」

「そう! これにキックペダル付ければ簡易バスドラムになるんだよ〜! あとはハイハットとスネアあれば充分!」

 

 ほら、と虹夏先輩は先ほど中身を出して空洞にしたキャリーバッグで重低音を響かせる。

 なんか「ゔっ! ゔっ!」と後藤の呻き声みたいに聞こえるような気がしたが、たぶん後藤がバスドラみたいな声でしょっちゅう呻いているからそう思ってしまうのだろう。呪いみたいなもんである。

 

「あとこれ物販な。俺の方でよってらっしゃい見てらっしゃいするから」

「衣久、あとこれも託す。投げ銭箱!」

「はいはい」

「何日か前から何作ってるのかと思ったら……こういうのだけは準備いいなコイツ……」

 

 バンドグッズを並べたレジャーシートの一角に座る俺に満面の笑みで手作り感満載の箱を渡してくるリョウ先輩。

 喜多さんが「やだ、無邪気でかわいいわリョウ先輩……!」と言うのもわかるが、逆に呆れ切っている虹夏先輩の気持ちもよくわかる。

 

 あとなんかスケッチブックに『けつばんちゃん』とかいう変なマスコットキャラを描いてきたみたいだけど……まぁ公式に採用するかどうかは要検討ということで。

 ぱっと見てもちゃんと見ても謎生物すぎるし結束バンドに締め付けられてて死にかけてるし、投げ銭入るほど元気になるって設定が微妙に可愛げないし……まぁおもしろいから俺的には別にいいけど……。

 

「――さーてと、だいたい配置はこんなもんかな? あとは各自チューニングとか済ませてもらって……此崎くん、そろそろ呼び込みよろしく!」

「うっす、そんじゃあ――」

「――あ〜っ!! いっくぅ〜〜〜ん!! 結束バンドのみんなもやってるじゃ〜〜うぇへへへぇ〜〜〜〜〜い!!!」

「今日のライブ終わった!!!」

「今日のライブ始まったな!!!」

 

 きた! きくりちゃんきた! これで勝つる! 結束バンドの初路上ライブが伝説になることが決まったぜ!

 

 近寄ってきたきくりちゃんは「いぇ〜い!」と声を上げながら俺とハイタッチをして、そのまま俺の横にすとんと座る。

 虹夏先輩が「なんでここにいるんですか!?」などと言って狼狽えているが、きくりちゃんは常にみんなの心の中にいるのでどこにいてもおかしくないのだ。ほら、あなたのすぐ後ろにも……。

 

「あ〜あ、それにしても今日は路上ライブなんだねぇ……ハコでのライブじゃないからタダ飯……じゃなくて打ち上げはなしかなぁ……?」

「は、ハイエナのような人だ……」

「ちょっと待ってください虹夏先輩! きくりちゃんがハイエナみたいなんじゃなくてハイエナがきくりちゃんみたいなんですが!?」

「フォローしているかのように見せかけて全然意味がわからないわ……」

「あときくりちゃん、たぶん今日打ち上げはしますよ? 最近機会もなかったですし俺の財布からちょろっと出しても……」

「えっ! いいの!? いっくん大好き~!!!」

「はっはっはっ、きくりちゃん抱きつくのはやめてくれ~あったかいけど周囲の視線~」

「――グギ、グギゴ、ゴギガガガギゴ……!」

「ねぇ虹夏、虹夏のバスドラから変な音してるんだけど」

「やだなにこれ呪い!?」

 

 お、大丈夫か? 呪術師でも呼ぶか?

 

 

     ♪ ♪ ♪

 

 

 虹夏先輩の簡易バスドラに潜んでいた呪いの正体はコミュ症の特定疾病呪霊こと後藤であったので、とりあえず俺の方で祓っておいた。その後すぐさま(ギターの)プレイヤーとして受肉させたから路上ライブはモーマンタイである。

 

 そして、俺ときくりちゃんの愉快な呼び込みの甲斐もあり、さらに続々と人が集まってきていた。

 

「……ねーねーいっくん?」

「あいあいきくりちゃん」

「喜多ちゃん、なーんか不安そうじゃない? 声かけてあげなくてだいじょーぶ?」

「……あー」

 

 きくりちゃんがちょんちょんと肩をつついてきたので耳を寄せると、小さい声でそんなことを囁かれる。

 

 俺はきくりちゃんの視線を追って、確かに不安そうな喜多さんの横顔を見た後、いつも通り猫背になりながらギターのチューニングをしている後藤に目を移した。

 

「……?」

 

 すると、後藤がすぐに俺の視線に気が付いてこちらを見てきたので、俺が再び喜多さんに目をやると後藤も釣られて喜多さんの方に意識を向けて……どうやら、察したらしい。

 

「……おぉー、さっすが幼馴染。目と目で通じ合ってるじゃん! やるぅー!」

「んな大したもんじゃないですって。ただの丸投げですよ」

「……えー? なに拗ねてんのさいっくーん。自分で言いたいことあるなら言いにいきなー?」

「拗ねてないですけど。言いたいことも別にないですし」

 

 俺は、今回の喜多さんのスランプの一件を最初から最後までずーっと後藤に丸投げしてきた。

 だから、今更都合よく口を挟むつもりはない。

 

 後藤が喜多さんに話しかけている。

 二人の会話は、雑音に埋もれて聞こえてこなかった。

 

「……大丈夫でしょ、あの二人なら。ライブが始まればわかりますよ」

「……そーお? ならいいけどねー」

 

 きくりちゃんは、セリフとは裏腹に何かを言いたげに思えたが、ぐびっと一升瓶のおにころを煽っただけ。

 隣から漂うアルコール臭に少し身体の火照りを感じてきた俺は、そうやって何も言ってこないきくりちゃんにかすかな安心感を覚えたのだった。

 

 

 

 ――それからすぐに結束バンドの路上ライブは始まって、結果から言ってしまえば十分に大成功と呼べる出来だった。

 

 一曲目の歌い出しから、喜多さんへの心配は完全に払拭された――否、それ以上だったと言うべきだろう。

 

 迷いを振り払った彼女の歌声はこれまでやってどのライブよりも格段によく通っていて、期待半分冷やかし半分だったであろう多くのお客さんの表情があきらかに変わったし、あのきくりちゃんですら目を見張っていたくらいであった。

 

 それと、少し下世話だが大事なこと。リョウ先輩がニコニコで用意してきた投げ銭箱にそこそこのおひねりを頂けて、俺ときくりちゃんで宣伝していたグッズの数々もぼちぼち売れていったのだ。

 細かく数えてはいないが、たぶん合わせて一万円くらいにはなっているんじゃないだろうか。グッズの仕入れ値を考えなければ月々の一人分の活動費……これはバカにならない金額である。

 

「――っておい山田」

「おや、何かね衣久氏」

「そのお金、どうして自分の財布にしまおうとしているんだい?」

「……そこにお金があるから、かな」

「ただの犯罪者なのよ」

 

 横領罪なのよ。五年以下の懲役なのよ。

 ……まぁ実際には虹夏先輩によって私刑に処されたわけだが、それはともかく。

 

 散々俺が心配していたお巡りさんに見つかって注意される、というようなこともなかったし、諸々含めてとても上手くいったのだった。

 

「いやぁ、調子に乗って『これから毎週ここでライブします!』とか言っちゃったけど大丈夫だったかな?」

「全然大丈夫じゃないですかね。あの様子ならリピートしてくれる人もきっといますよ」

「うんうん、いっくんの言う通りだよ~。……いや~みんなの初ライブから見守ってきた身としてはさ、ちょっとこみ上げてくるものがあるよね~」

「廣井さん……」

 

 あらやだきくりちゃんったら……でもそうだよな……きくりちゃんも去年の夏からずっと結束バンドのこと気にかけてくれてるもんな……。

 

「……うっぷ」

「きくりちゃん?」

「こ、こみ、上げ……い、胃から……」

「あっさようなら!」

「お疲れ様です」

「今日はありがとうございましたー!」

「あっあっあっ」

「何してんのぼっちちゃん逃げるよ!」

「あっあっ、きっ緊張からの解放、肉体の崩壊っ……!」

「ちょっと韻踏んでる場合じゃないわよごととりちゃん! もうっ、伊地知先輩お願いします~!」

「ぬあーっ! どいつもこいつもーっ!」

 

 ……と、四人は蜘蛛の子を散らすようにその場からいなくなってしまった。

 うん、()()()

 

「…………」

「……うっ、ぷ……い、いっくん……」

「……えーっと、きくりちゃんだいじょ」

「あっごめむりおぼろろろろろろろろろろろろろろろろ」

「わぁ」

 

 取り残された俺は足元にきくりちゃんブレンドのおにころカクテル(比喩)を浴びる羽目になり、その後志麻さん(保護者)に連絡して引き取ってもらうまで背中を摩ってあげる係を全うしたのであった。

 

 ちなみに志麻さんめっちゃキレてて怖かった。

 

 





次回こそ番外編じゃあ……!
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