うぉっち・ざ・ぼっち!   作:鯖ジャム

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激おこプンプン丸って10年以上前の流行らしい。
ぴえん超えてぱおんも3年以上前の流行らしい。

これが人生か。


#62 ぴえん超えてぽやん

 

「おはようございます! 結束バンドです! 今日はよろしくお願いします!」

「あ~、はよっす〜……え〜どちらさんでしたっけ? ……輪ゴム? あ、結束? バンドさんっすね~。出演いただきありがとうございます、ブッキングマネージャーの柳っす。そんじゃすぐリハやるんで準備お願いしま~す」

 

 ――あれこれヤバくね? と、俺は早速そんな感想を抱いてしまった。

 

 ……いや、俺だけじゃなくて喜多さんもこっちに振り向いて目が合って、「今名前覚えられてなかったよね?」みたいな感じで以心伝心してしまったのでこれヤバい。

 

 なんかもうオノマトペが目に見えそうなくらいにへらへらした感じで挨拶を返してきたブッキングマネージャー柳氏。人を見た目で判断してはいけないというが、しかし例のメールの差出人であるということの説得力、納得度は圧倒的だった。つまりこれもう絶対ヤバい。

 

 そして……。

 

「おはようございます〜! わたしたち地下アイドルの『天使のキューティクル』です! 今日はよろしくお願いしま~す!」

「デスメタルバンド『屍人のカーニバル』デス」

「どうも、臼井です……定年退職したからこの期に弾き語りを始めたんですけどねぇ、まだ半年の若輩ですがどうぞお手柔らかによろしく……」

「……闇鍋?」

「こ、こら此崎くん! 失礼なこと言わないの!」

「いやでもほぼ仮装大会みたいな……」

「喜多ちゃんまでなんてこと言うの!」

 

 虹夏先輩が必死に否定しようとしているが、これもう、もう……。

 

 俺が頭を抱えていると、臼井さんと名乗っていた謎のおじさんが近寄ってきて話しかけてくる。

 

「いやぁ、君たちみたいなすごく若い子まで出るようなライブなんだね? 私なんか場違いな感じがするけど、ここのブッキング、マネージャー? だっていう人に絶賛してもらってね。ほら、こんなメールが届いて……」

「……うわぁ……」

 

 あのさ、確かにテンプレみたいなメールだとは思ったけどホントにテンプレで使い回されてるじゃん。

 

 そして臼井さんは「自分ではハードロックじゃないと思ってるんだけど、でも最近だとこういうのも含まれるのかな? あはは」とか言いながらリハのためにステージへ上がると、半年にしてはやたらと年季の入った弾き語りを始めるのだった。

 

「……ハード、ロック……」

「……ほ、ほらあれだよ、なんか、こう……こんな哀愁漂う曲……ハ、ハードな人生送ってきたからハードロック、的な……」

「く、苦しすぎませんか……?」

「憶測で割と失礼」

 

 虹夏先輩が顔を引き攣らせながら無理筋すぎる擁護をしようとしていたが、さらに臼井さんの後には『天使のキューティクル』と『屍人のカーニバル』がリハをしていて、まぁね、もちろん各々が各々らしさを全面に出した音楽をやっていましたとも。ハードロックさんは依然として行方不明です。

 

 ……あかん。これは本格的にあかんやつや。

 

 それから結束バンドも続けてリハに入ったのだが、案の定と言うべきかここまでの困惑の連続でいまいち演奏に集中しきれていなかった。

 俺は少しでも良い方向に転がれば、とステージの下からあれこれ口を出してみたものの、結局最後までろくな手応えも掴めず、控室で本番に備えることになってしまったのであった。

 

「――あ、此崎くん、フロアの様子どうだったかしら?」

「まぁやっぱり、こう、いろいろ入り乱れてたな……意外と人数は集まってたけど」

 

 しばらく経って開場時間を過ぎ、それなりにお客さんが揃ってきたあたりで俺は一度会場の様子を見に行ったのだが、まぁ出演する側が闇鍋ならそれを見に来るお客さんも当然闇鍋状態になるよねって。

 

 ペンライトを持ったコテコテのオタクっぽい人たちとお手本のようにデスでメタルっぽい格好の人たちがいて、そこに極めて一般的な格好の結束バンドファンたちが紛れ込んでいるような感じ。

 だからって結束バンドのファンが一方的に他を怖がっているかと言うとそういうわけでもなく、むしろそれぞれがそれぞれにビビってるように見えたというか。デスでメタルな人たちもなんかビクビクしてるように見えた。ちょっとかわいく思えてしまったのはギャップのせいだと思う。

 

「……それにしても」

 

 と、不意にリョウ先輩が口を開く。

 お通夜と表現するのは大袈裟だが、だいぶ気まずいこの雰囲気の中でいったい何を言い出すかと思えば……。

 

「これだけジャンルがバラバラだとあんまりここでやる意味ないかも。アレが好きな人たちにうちのファンになってもらうのきつくない?」

「ちょ、おま」

「リョウ先輩、それは……」

「あっうっ」

 

 山田ァ! 今それ全員心の中でこっそり思ってたけど口に出しちゃダメでしょうが! 本番前に言うことじゃないでしょうが! 

 

「……あー、あの、虹夏先輩? その、このクズ太郎の言ってることとかなーんにも気にしなくていいですからね? ほら、意外とロック趣味の人もいるかもですし、思ってたのとは違くてもチャンスだと思えば十分チャンスっていうか!」

「…………」

「に、虹夏せんぱーい? もしもーし……?」

「……ぐすっ……」

 

 ……おぎゃっ!

 

「衣久、よくも私の幼馴染を泣かせてくれたなおぉん……!?」

「待った! 待ってくださいリョウ先輩誤解です!! 九割方真実を突き付けたあんたが悪いと思います!!!」

「ねぇちょっと此崎くんっ! 真実とか言ってさらに伊地知先輩のこと悪く言ってるじゃないの!」

「あぎゃっ!!」

 

 待って失言! ガチ失言!

 俺にしては珍しい、とか自分で言っちゃうが、これもうアカン、ほんまにアカンやつや……!

 

 持ち込んできたスネアドラムを前にしゃがみ込んで俯きながら、肩を震わせている虹夏先輩。

 喜多さんがすぐに駆け寄って寄り添い、リョウ先輩は拳をポキポキ言わせながら俺に迫ってきて、後藤は「バンドホウカイ……バンドホウカイ……」と鳴きながら爆発寸前(物理)である。

 

「――す、す、すいませんでしたぁ! いやあの、本当に悪意があったわけじゃないんですっ!! 大変申し訳ございませんっ!!!」

 

 そして俺は、虹夏先輩に対して土下座を敢行した。

 プライドも何もない。どっちが正しいとか間違っているとかじゃなくて、泣かせたら俺の負けだ。いや勝ち負けでもないんだけど、もうとにかくこんなふうに追い詰めたくって今日まで虹夏先輩の好きなようにさせていたわけではないのだ。断じて。

 

 ……そうして少しのあいだ床を間近に見つめる時間が続いたかと思うと、やがて虹夏先輩が小さな声で「違うの」と呟いた。

 

「此崎くん、顔上げてよ……悪いのは此崎くんじゃなくてあたしじゃん。此崎くんはちゃんと考えた方が良いって言ってくれたのに、此崎くんの話全然聞かないで突っ走って、それで今日……結局、此崎くんと、お姉ちゃんの言うことが合ってた。あたし、ホントに最悪だ……みんなのこと散々乗せたのに、こんな……」

 

 頭をもたげて前を見ると、虹夏先輩は身体こそこちらに向けていたが僅かに顔は俯けたままで、鼻をすすりながら目を赤くしていた。

 

 ――そんなことないですよ、と。

 たったの一言で全部否定して、それから耳あたりの良い言葉を並べるのは簡単なことだった。

 

 でも俺は、実際に喉元まで出かかったそれらの言葉を飲み込んで、口を噤んだ。

 

 虹夏先輩が悲しんでいるのは、俺も悲しい。こんな表情、こんな姿は見たくなかった。

 それでも、虹夏先輩が感じたこと、言葉にしたことの全部を安易に否定してしまうのは違うととっさに思ったのだ。

 

 ……ただ、代わりの言葉がすぐに出てくるわけでもなく、俺は本当に黙り込むだけになってしまう。

 

 唇を噛んで顔を伏せ、あとはただもう、俺なんかには謝らなくていいからと願いでも捧げるみたいに目を瞑って――。

 

「――ぎゃっ!」

「――ぶほっ!?」

 

 脳天に、結構普通にエグい衝撃が降ってきた。

 いたってシンプルな俺の悲鳴と、同時に目ん玉飛び出てそうな虹夏先輩のちょっとひどい悲鳴が部屋の中に響いた。

 

「な、なに、リョウ先輩か……?」

「リョウ、ちょっと何を……!?」

「二人とも。まだ何にも終わってない。というか始まってすらないでしょ」

 

 頭を抱えてしゃがみ込んでいる俺と虹夏先輩を鷹揚に見下ろすリョウ先輩。

 降ってきた衝撃の正体は山田ハンドブレードによる一対のチョップであり、俺たちはそれを脳天に喰らったらしい。

 

「あと私たちのこと舐めすぎ。今更このくらいのことで怖気づいたりしない。ね、ぼっち」

「ははははっははっははははい!!」

「……間違えた。ね、郁代」

「間違えてないですよリョウ先輩! ひとりちゃんだって大丈夫ですからっ!」

「……みんな……」

 

 虹夏先輩は目を丸くしながら三人の顔を見比べて、それから俺に目を向けてくる。

 

 俺は、自分がどんな顔をしていたのかわからなかった。

 けれど、虹夏先輩は俺の顔を見つめた後、何かを決意したような表情になってそれまでの迷いや後悔を振り切るように勢い良く立ち上がった。

 

「よし、わかった! 此崎くんのことは後でぶっ飛ばすし、ライブは超盛り上げてこのライブハウスもぶっ壊そう!」

「えっなんで今の流れで俺ぶっ飛ばされるんですか?」

「いいよ虹夏、その意気」

「山田さん?」

「伊地知先輩! 此崎くんはぶっ飛ばしてもいいですけどライブハウス壊すのはまずいですからねっ!?」

「喜多さん?」

「……そ、それで虹夏ちゃんの気が済むなら……!」

「後藤さん?」

 

 結束バンドのみなさん? 今のご時世特に理由のない暴力は流行りませんことよ?

 

 みなさん?

 

 

     ♪ ♪ ♪

 

 

 今回のライブは珍しく順リハである。順リハと言うのは要するに、リハーサルとライブ本番での出演順が同じだということだ。

 

 俺がほぼ丸一年働いてきたスターリーではいつも逆リハ、つまりは順リハとまさしく逆でライブでの出演が遅いバンドから順にリハーサルをやっていくという方式を取っているし、新宿フォルトでシクハックやシデロスのライブに招待されてリハから見せてもらったときなんかも同様だったので、正直結構な違和感があった。

 

 ……まぁ別に俺の抱いた違和感自体はどうでもいいのだが、とにかく一番最後にリハをした結束バンドは本番においてもトリで、そこそこの待ち時間がある。

 あれから少しの作戦会議を挟み、その後四人はスタジオを借りてギリギリまで合わせの練習しておきたいとのことなので、俺はライブの進行具合を見ておくことにしたのだった。まぁスタッフの人が声かけてくれるとは思うけど、一応ね。

 

 で、俺が陣取ったのはもちろんフロア後方だ。関係者ってことでチケット代は払ってないので、お金を払っているお客さんより後ろなのは当然至極である。

 

 あとはまぁ、恒例の動画撮影のためにはやっぱり一番後ろからがいいよねって。

 もちろんライブハウス側の許可は取っている……のだが、「あぁ別にいいっすよお好きにどうぞ~」みたいな死ぬほど軽いノリで、他の演者さんたちの意思確認とか全然されてなさそうだから撮影は結束バンドがステージに立っている間だけにする予定だ。

 

 そんなこんなで、臼井さんの物憂げな弾き語りでフロアが寂寥感に包まれている中、よさげなポジションを探していると……。

 

「……あれ、店長さん」

「うおっ、な、なんだ此崎か……」

 

 見知った顔……というか、店長さんがいた。めっちゃ普通にいた。

 

「来てたんなら教えてくれればよかったのに。水臭いじゃないですか」

「いや……たまたま暇でたまたま気が向いたからたまたま来ただけで……」

「あーはいはい虹夏先輩と喧嘩してて気まずいけどやっぱり様子が気になるから他のスタッフにスターリーのこと任せてチケットも自腹でバッチリ見届けに来たんですねわかります」

「うるせぇよ」

 

 せっかく丁寧に翻訳して差し上げたのに耳を引っ張られた。痛い。

 

「……で、その、なんだ……大丈夫そうか?」

「あーはーん? いったい何について仰っているのかわたくしにはさっぱり……」

「五秒以内に答えなきゃぶっ飛ばす」

「大丈夫ですみんなのおかげで丸く収まりましたちょっと揉めたっていうか虹夏先輩が凹んじゃいましたけど」

 

 このバイオレンス姉妹がよ……もう妹の方にもぶっ飛ばされるの確定してるのに姉の方にまでぶっ飛ばされたら大気圏突破しちゃうでしょ。嫌ですわわたくし地球にいたいですわ。

 

 店長さんの隣から半歩分だけ逃げつつ、俺はため息を吐く。

 

「あとはまぁ、本番次第……ですね。まぁほら、見ての通りなんでお客さんがどこまで乗ってくれるか……」

「……ま、そこも含めて実力が試されることになるわけだ。やるって決めたのはあいつらだし、どういう結果になってもしょうがねぇよ」

「なんかその望み薄っぽい言い方やめてください……」

「実際そうなんだから腹くくれよ、マネージャー」

 

 ううむ……でも確かにこのしんみりした雰囲気の弾き語りから地下アイドルのステージとデスメタ挟んだらもう会場の雰囲気どうなるかなんてわかんねぇんだよなぁ……なんかこうわけわかんなくなってとりあえず楽しいぜヒャッハーみたいな感じにならんかな。ならんか。

 

 

 

 ――ならんこともない気がしてきた。

 

 それからずっと店長さんと二人並んでライブを見ていたのだが、普段あまりにも縁のないライブすぎて逆に楽しくなってきてる俺がいた。

 

 本番でヅラがズレてた臼井さんの弾き語りは、まぁ楽しいとかじゃないんだけどギター初めて半年の割に上手くね? とか思っちゃったし。

 

 この世からダメージヘアを失くしたいらしい(???)天使のキューティクルとかいう地下アイドルグループは、もう掛け声わけわからんし曲のタイトルも歌詞もわけわからんしファンたちがペンライト振り回してるのもよくわからんかったのだが、バンドのライブとはまた違った盛り上がりがあって何も考えなければ割と楽しかった。なんかペンライトとハチマキ配られたし。

 

 そしてデスメタルバンドの屍人のカーニバルさんは、まぁ大方の予想通りえげつなかったね。別にライブで聞くのは初めてじゃなくって、スターリーでもたまにデスメタルのバンドがやることがある。それに、中学の頃に後藤からの影響でちょっと聞いてたことのあるジャンルだけど……やっぱ普通のロックバンドと比べると動画とライブとでは迫力の差が大きい。そして上手い下手がピンと来ない。

 

 総じて、考えず、感じることに徹すればなんか楽しいなって思いましたとさ。

 

「此崎お前よくノれるなこのライブに……」

「そりゃせっかく見てるのに楽しまないのは損じゃないですか」

「貧乏性か?」

 

 そういうわけではないと思いますね。たぶん。

 

 ……と、一方でもちろん自分の役割だって忘れていない。

 天キュル(天使のキューティクルの略称らしい)の出番が終わったところで一度裏に行って、スタジオにいる結束バンドに声をかけた。

 それぞれ持ち時間30分くらいで入れ替えもゆっくりめだからまだ余裕はあったが、みんなの雰囲気を見ておきたかったのだ。

 

「……いよいよだな」

「そっすねぇ」

「平然としやがって……本当に大丈夫なんだろうな?」

「ええ、大丈夫です。期待して待ってていいと思います」

 

 後藤や喜多さん、リョウ先輩だけじゃなくって、虹夏先輩にも笑顔でサムズアップしてもらったしな。そしたらもう、あとは信じるしかないじゃないの。

 

 ステージには既に四人が立っている。

 主に結束バンドファンたちからの声援をもらいながら、各々黙々とセッティングを進めている。

 

 やがて、四人が顔を見合わせて頷き合えば、それと同時に鮮烈なドラムソロがざわつく空気を鋭く切り裂いていった。

 

『こんばんは!! 結束バンドですっ! 今日は来てくれてありがとう! いきなりだけどメンバー紹介いきますっ!! ベース、山田リョウ!』

 

 虹夏先輩が元気よくそう言うと、すかさずリョウ先輩のスラップによるソロが入る。

 滅多にやらないソロ演奏で、心なしか……いやどう見てもめちゃくちゃ嬉しそうである。

 

「……あいつなんか言ってねぇか?」

「ここじゃ全然聞こえないですけど大したことは言ってない気がします」

 

 虹夏先輩の顔的にね。

 てか動画撮ってるから喋ってるの全部あとでバレちゃうな……。

 

『続いてリードギター、後藤ひとり!!』

 

 さらに次は後藤のソロだ。

 これが思いの外かっこよく弾けていた。人前、ステージの上という緊張はあっても、人と合わせる必要がなく自由にギターを掻き鳴らせるだけでいつもより上手く聞こえ……いやこれはちょっと複雑だな……あと注目に耐えかねたのかなんなのか知らんが客に背中を向けるなおバカ。

 

「あぁ、ぼっちちゃんどうして後ろ向いちゃうんだ……」

「まぁまぁ店長さん、後ろ向いてる後藤も良いじゃんってことでここはひとつ」

「……あぁそうだな!」

 

 大事なことなのでもう一度言っておくが、動画撮ってるからあとで全部バレちゃう。バレちゃうんだよなぁ……。

 

『あーもうぼっちちゃんもういい! 次っ、ボーカル喜多ちゃん!』

『は~い!』

 

 かっこよく煽っていた虹夏先輩もおバカ二人を経てやけくそになってきて、喜多さんもギターをジャンジャカ鳴らしつつゆるい感じの返事である。

 

『今日はなんだか不思議なライブだけどこれも何かの縁! みんなで一緒に最後まで楽しみましょう! 東武? 西武? 池袋~!』

「……あいつすげぇな……」

「天キュルのやつか……」

 

 店長さんと二人で思わず感心してしまった。

 喜多さんがやってた最後のわけのわからん掛け声、あれは天キュルのライブ、あとはリハーサルの時にもやっていたコール&レスポンスの真似だと思う。

 なんだっけ、シャンプー、リンス、ヘアオイル〜みたいな……いやダメだ頭の中で単語並べても意味わからん。意味とか考えない方がいい。頭おかしくなって死ぬ。

 

 でもまぁ、すごいというのは決して皮肉ではなく、あれでがっちり天キュルのファンの人たちの心掴んでるっぽいから作戦通り……と、言っていいはずだ。

 

 ジャンル違いも甚だしい観客の闇鍋――どうすれば彼らに結束バンドへの興味を持ってもらえるか。それが問題だった。

 

 金をバラまく……という案が真っ先にリョウ先輩が出てきたがそれはさすがに論外として、後藤を使ってびっくり人間ショーなど極めて魅力的な案もあったのだが、結局のところMCの中で自己紹介、特にソロ演奏なんかをやって、お客さんに結束バンド一人一人のことを知ってもらおうということになったのだ。

 

「みんな、一段と上手くなりましたし。今ならそれだけでも人を惹きつけられるって俺も思いました。……どう、でしたかね?」

「なんで私に聞くんだよ。そんなの今更……もう、見ての通りだろ」

「……ん、ですよね」

 

 店長さんと一緒にフロアを見渡す。

 本当に、見ての通りでしかない。

 

 

 ライブハウスにいる全員が結束バンドに注目して――ドン引きしていた。

 

 

「後藤……お前がチャンピオンだ……!」

 

 歯ギター……!

 ここにきて渾身の歯ギター……初お披露目ッ……!

 

「さすが後藤、俺たちにできないことを平然とやってのけるッ……!」

「――そこにシビれるあこがれる……()()()()()()()()()ッ……!」

「……うん?」

「……ん?」

 

 あっ、とお互いの顔を見て、声が揃った。

 後藤の歯ギターに夢中だった店長さんも、さすがに訝しんでこちらに振り向いた。

 

「どうした此さ……あ? てめぇ、ぶりっこメルヘン年齢鯖読み人でなしライターじゃねぇかなんでここにいやがるんだあぁ?」

「出会い頭にそんなすらすら暴言吐いた上に凄んでくる!?」

 

 いや全部事実だし……と呟く店長さん。

 

 俺は、あまりにも予想だにしていなかったその再会に完全に固まってしまって、ツッコミのひとつも入れられなかった。

 

「……ぽ、ぽや――じゃなくて佐藤愛子さんじゅうななさい……」

「本名と年齢やめなさいよ!!!」

 





ぽやぁ!(訳:次回も頑張って少しでも早く投稿したいぽやねぇ!)
ぽやぽやぁ!(訳:あともう少しで感想が2000件になるぽやねぇ! 急いで書け!)
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