ソードアート・オンライン フェイタルバレット 聖騎士の懐刀   作:立冬

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第四話 ファン活動について

 クソ! ムラマサは無事だったがガバメントを持ってかれた! 

 

 デスって送り返されて、まずは装備の確認。

 

 そして次にはキルしてきた奴の確認だ。

 改めてピトフーイについて調べてみると、あちこちから怨嗟の声が聞こえてきた。

 あまり素行がよろしくないらしい。だろうな。

 それとエムという凄腕のスナイパーを伴っていることもあるとか。援護射撃をしてたのはたぶんコイツだな。

 

 しかしアルゴちゃんめ、リアルの情報は売らないとは言っていたが、俺は自著でSAOでのアカウント晒してるんだぞ。

 GGOのディリオス=SAOのディリオスってことが分かれば、そっから自動的に大里雄一までイコールが繋がるだろうがよ! 

 

 クレームの一言も入れてやりたいが、どうせ改めないだろうし、あんまりキツく言い過ぎるとアスナちゃんあたりにチクられそうだし、SAOのアカ晒したのは自分だし、黙っておくことにした。

 

 さて、さしあたってはドロップしたガバメントの補填だ。

 某キリトくんですらサブウェポンに拳銃を使ってる。サブが光剣だけというのは流石に心許ない。

 

「何か探し物ですか?」

 ショップ街を歩き回っていると、後ろから声をかけられた。

「ああ、懐に優しい45口径がないかと」

「さっきドロップしてましたね」

 

 さっとムラマサを抜いて振り返ると、後ろには重装備を着込んだ大男が立っていた。

 

 この顔、さっき見たばかりだ。プレイヤーネームも合致する。

 

「あんた、ピトフーイの連れの……」

「エムと言います。よろしくお願いします」

 初っ端からテンションが高めだった相方とは打って変わって物静かな雰囲気だ。

 

「先ほどはピトフーイが失礼しました。斬りかかりはしましたが、あんたの本のファンなのは本当なんです。その.あんな事した後でなんですがサインをいただけますか? 自分で行ったらまた斬りかかりそうだからと彼女に頼まれまして」

 著者を見たら斬りかかって来るとは拗らせたファンがいたものだなぁ。

 

「構わないが、何に何で書けば? 生憎筆記用具を持ち合わせてないので。あと慣れてないなら敬語は無しでいいよ」

 まあ書くけど。

 

「あ、ああ、それじゃあお言葉に甘えて。ペンはこれを使ってくれ、で、サインをこの光剣の柄のところに」

 そう言って彼はサインペンと光剣を差し出してきた。

 てかこれさっき俺を斬ったやつだよな。まあいいけど。

 

「しかし、書いてくれるんだな。追い払われてピトフーイにしばかれるものだと思ってたんだが」

「俺もある人のなかなか拗らせたファンだからな。ファンだけど愛憎半ばという思いはわからんでもない」

「B君のことか?」

「あんたも読んでくれたのか?」

「ピトフーイに読まされてな。拗らせてるなとは思ったが、それも仕方ないなと思えてくるぐらいには感情移入できた。考えさせられる本だったよ。かく言う俺もファン活動の拗らせ方については人の事を言えた義理じゃない」

 凸凹コンビだと思ったが、この人案外ピトフーイと似たもの同士なのかもしれない。

 

「よし、と。書き慣れてないんで少し不格好だが、これでいいか?」

「ああ。ありがとう」

「どういたしまして。そうだ、せっかくだしフレンド登録でもしてく?」

「いいのか? じゃあまたお言葉に甘えさせて貰おうか」

 時の人扱いこそされているものの、物書きとしてはあくまでアマチュアに毛が生えた程度な俺にとって、サインを求められるのは中々ない経験で、正直結構嬉しい。

 

「それと、ピトフーイからの預かり物だ。サインとさっきのガバメントの返礼だそうだ」

 サインペンと光剣をしまったエムは、その手で拳銃を取り出して差し出してきた。

 

「これは……ガバメントの……」

 コルトガバメントもといM1911は非常にバリエーションの多い銃だ。一見しただけで判別するのは中々難しい。

 これは全体的にかなり手が入っているが、まずトリガーがスケルトンタイプ、スライドの刻印もコルトではなくスプリングフィールド。

 手に取ってみると、セーフティが左側面だけでなく右側面にもついている事に気付く。

 

「うーん、わからん」

 ウインドウを開いてみると、「M1911A1 MEU」の文字。

 

「ああ、MEUピストルか!」

「45口径には45口径で酬いたいそうだ」

「コイツは良い、ありがたく貰っていこう。ピトフーイにもよろしく」

「ああ。伝えておく」

 短い間だったがありがとうノーマルガバメント君。ピトフーイさんと仲良くやるんだぞ。

 

 

「そうだ。最後に一つ聞いてもいいか?」

「なんだ」

 フレンド登録も済ませた別れ際、エムがそう切り出した。

 

「もしSAOに、死に魅入られた人間がいたらどうなってたと思う」

「死に魅入られた人間?」

 思わずオウム返しで尋ねた。

 

「ああ、命をかける事に異常な執着をしている人間、誰かと殺し合いをしたくてたまらない、そんな人間だ。どうなってたと思う」

 彼は明確に誰かを思い浮かべているように見えた。

 

「……どうなってたんだろうな」

 しばし考えて出てきた答えはそんな言葉だった。

 

「順当に考えればPKギルドにでも入ってたんだろうが、いわゆるPK目的のプレイヤーって、多分最初から人格が破綻してた訳じゃないんだと俺は思う。本にも書いたと思うけどさ、そういうPKギルドってカルト宗教みたいなものだったんだよ」

「多分イカれてたのはトップともう数人と、そう言ってたな」

「ああ。実際、支援活動で実は何人かPKやってたってプレイヤーと話したりとかしてるんだけどさ、思ってた通り、道を外れてはいたけど根は普通の人間だった」

 リアルであったPKプレイヤー達の顔が脳裏に浮かぶ。

 

「そういうものなのか」

「人間誰しも狂気と言うか、攻撃性と言うか、そういう物を内に持ってるんだと思う。普段は大体の人間が訳もなく心の奥底に抑え込んでるそういうものが、極限状況下では表層近くをうろつき始めるんだ。で、ふとした加減で外に向かって吹き出す。生き物としての本能なんだろう、身を守る為の。多分アンタが言うその死に魅入られた奴とやらは普段からそういう狂気を抑え込めてないんだ。そういう奴がSAOにいたら……どうだろうな。いざ極限状態に置かれると一周回ってまともになるかもな」

 この死に魅入られた人間というのは彼自身なのかそれとも

 

「まあ何にせよ、実際に放り込んでみないとどうなるかなんてわからん。そういう場所だ。なんにせよ想像を絶するものにはお目にかかれると思うが」

「そうか、どうもありがとう」

「こちらこそ」

 エムは丁寧に礼を言ってのそのそと去って行った。

 

 しかし、死に魅入られた人間か。エムの言う彼あるいは彼女が、実際に人を殺したらどんな反応をするんだろうか。

 

 

 深呼吸して目を閉じると、あの時に光景がありありと目に浮かんできた。




週刊投稿のつもりでしたが筆が進まず三週間空いてしまいました。
ただし五話は来週投稿できると思います。六話も多分再来週に。

思ったんですけど銃器の解説とかって必要だったりしますかね? わざわざFBの二次を読んでくれる人なんて粒揃いのガンマニアだろうなとは思うんですが、SAOが好きなだけで銃にはあんまり詳しくない人がいるかもわからないので。
需要があれば後書きで解説したり、適当なタイミングでまとめて解説したりしようかなと思います。
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