SAO another story   作:シニアリー

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そして、デスゲーム宣告の時


悪夢の正式チュートリアル

 

クラインの口から出た言葉を聞いたキリトは、そんなバカな!と思い、彼に声を掛ける。

 

「よく見てみろよ!」

 

キリトにそう言われたクラインは、もう1度メインメニューをスクロールして探してみるが、彼から苦い表情が消える事は無かった。

 

「……やっぱどこにもねぇよ!」

 

やはりどこにもなく、見つける事は出来なかった。

 

「メインメニューの1番下に…っ!」

 

キリトはクラインが言っている事が信じられず、自分の目で確かめようとメニューを開いた。そして、己が目を疑った。本来メニューの1番下に存在している筈の《LOGOUT》ボタンが消えていたのだ。

 

「ライト、お前は…っ!」

 

すぐ横に立つライトに確認を取ろうとするが、彼も既にメインメニューを開いていた。そして、ライトのウインドウからも、同じようにログアウトボタンが消えているのを確認した。

 

「…オレも同じだ」

 

ここに居る3人、全てのメニューウインドウから、ログアウトボタンが消滅していた。

 

「まぁ、今日は正式サービス初日だからな。こんなバグも出るだろう。今頃、運営は半泣きだろうな!」

 

始まったゲームにはアクシデントが付き物だと、楽観的な思想のクラインは笑い声を上げた。

 

「お前もな!」

「へぇ?」

 

キリトの言葉に訳が分からず、クラインの頭に疑問符が浮かび上がる。そんな彼に、キリトがある事を告げる。

 

「今5時25分だけど!」

 

その言葉で、クラインは完全に理解した。後5分で、自分が注文したピザが届く事に。

 

「…あっ…俺様のテリマヨピザとジンジャーエールがぁぁ!!」

 

このままでは、5分後にやって来るピザを受け取る事が出来ない。それに気付いたクラインが、思わず絶叫してしまった。すると、キリトがクラインにゲームマスターコールをしろと言う。

 

「さっさとGMコールを「無理だ」…えっ?」

 

しかし、ライトの鋭い声が遮り、更にキリトを動揺させる。彼の言葉を耳に、キリトは驚いて向き直った。そこには、ウインドウを開いて眉を顰めるライトが立っていた。

 

「呼びかけているが、応答がない……キリト、ログアウトボタンを押す以外に、現実世界に帰る方法は?」

 

ライトがキリトに、この世界から抜け出す方法がないか質問する。βテスト版を経験しているキリトが、この3人の中で1番詳しいと思い、そう訊ねたのだ。キリトは顎に手を当てて考えると、少しの沈黙の後、少し動揺しながら答えた。

 

「…無い。プレイヤーが自発的にログアウトする為には、メニューを操作する以外方法が無い!」

「(やっぱりか。)」

 

どうやらライトも、キリトと同じ意見だったようだ。

 

ナーヴギアと共に送られてきたマニュアルにも、緊急脱出方法は一切載っていなかった。ログアウトする方法はログアウトボタンを押すか、ナーヴギアに接続されている電源コードを引き抜くしかない。脱出方法が無いと聞かされたクラインが慌て始める。

 

「んなバカな…他に方法があるだろう! 戻れ! ログアウト! 脱出!!」

 

完全に動揺しているクラインは、声を張り上げて叫んだ。しかし、どんなに叫んでも何も起こらなかった。

 

「無理だ。マニュアルにも、緊急切断方法は一切載ってなかった」

「おいおい、嘘だろう」

 

つまり、今ここに居る3人は、このゲームから脱出不可能な状態に陥っているのだ。

 

「あ、そうだ! 頭からナーヴギアを引っぺがすか…」

 

この世界にログインしている全プレイヤーはナーヴギアを被り、アインクラッドにダイブしている。それを取り外せば、ログアウトは出来るだろう。

 

「出来ないよ。俺達は今、現実世界の体を動かせないんだ!」

 

しかし、すぐにキリトが否定し、理由を続けようとする前に、ライトが説明し始めた。

 

「この世界にダイブしている間は、脳から発生される信号をナーヴギアがここで遮断しているから、か」

 

ナーヴギアを手に入れる前、ライトはインターネットで詳細について調べていた。使用者の脳から発生される信号はナーヴギアが遮断し、その命令は仮想世界で設定したアバターに通る設計になっている。

 

「ああ、その通りだ」

 

現実世界の自分達の体は動かせない。つまり、ゲーム中は被っているナーヴギアを外せない。

 

「って事は、このままバグが直るか、現実世界の奴らがナーヴギアを外してくれるまで待つしかないって事か?」

 

現時点で、クラインが言った2つの方法しか、現実世界に帰る方法はない。だが、ライトはもしかしたら、彼が上げた2つの方法のうち、前者の方は無いかもしれないと考えており、それには根拠があった。

 

「…っ…ライト、何か気になる事があるのか?」

 

ライトの表情が、かなり険しい事に気付いたキリトが問いかける。

 

「オレ達が置かれている状況はログアウト不可能。仮想世界に意識をダイブさせられたままだ。それは運営側からしてみれば、大問題だとは思わないか?」

 

少し考えれば分かる事だ。仮想世界に自分の意識がずっと囚われているこの状況。そんな問題が発生すれば、人気が急激に下がるのは目に見えている。

 

そんなゲームをやりたいと思う人間など居ないと言って良いからだ。それに、こんな緊急事態を放置していれば、今後の運営を考えると大失態になってしまう。

 

「確かに、こんな状況になれば、運営側が全プレイヤーを強制ログアウトさせる筈。なのに、未だに何も起こらないなんて異常だ…」

 

キリトの言う通り、今起きているバグは致命的すぎる。こんな事になれば、SAOを運営している《アーガス》という会社が、全プレイヤー達を強制的にログアウトさせる筈なのだ。しかし、一向にその気配はない。その時、その音は鳴り響いた。

 

 

ゴーン!! ゴーン!!

 

 

「「「っ!?」」」

 

振り返れば、はじまりの街に設置されていた、巨大な鐘が鳴り響いていた。

 

「…何だ?」

 

はじまりの街にある巨大な鐘が、唐突に鳴り響いた。次の瞬間、3人の視界が光に包まれた。

 

「「「っ!!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば、3人は西洋の建物が周りに立ち並ぶ、はじまりの街の中央広場に立っていた。3人だけではなく、このゲームにダイブしている大勢のプレイヤーが集められていた。

 

「強制転移?」

 

この場に集められたプレイヤー達が、完全名混乱状態となっている中、ライトは辺り一帯を見回すと呟いた。

 

「…全プレイヤーが集められたのか?」

 

ライトは辺りを見まして、そう結論づけた。これだけの大人数が集まっているという事は、これから運営側が《LOGOUT》ボタンが消失している原因を説明してくれると、容易に想像できる。

 

「あっ…上」

 

その声につられて、周りのプレイヤー達が空を見上げる。ライトも視線を空に移すと、空の一部分が赤く点滅しており、そこには英語で《WARNING》の文字が浮かび上がっていた。英語の文字が点滅を止めた瞬間、この第1層の空が血のように赤く染まった。更に、その裂け目から赤い液体が流れ落ち、それらがローブを被った顔がない、巨大な人の姿に変化した。

 

「……何だありゃ?」

 

クラインがそう呟くのも無理はない。10人に聞けば、誰もが同じ回答をすると思える程に、不気味に見える存在だった。顔が無いというのが、特にそれを引き立てている。

 

他のプレイヤー達はその姿に怯えている者、動揺している者と十人十色だった。巨大な人間の姿を模ったそれはゆっくりと両手を広げた。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

「私の世界?」

 

唐突に、男の声が聞こえた。その声は、あの巨大な人間の姿から聞こえてきた声で間違い無いだろう。

 

『私の名前は茅場 晶彦。今やこの世界をコントロール出来る唯一の人間だ』

 

 

《茅場 晶彦》

 

 

この仮想世界《ソードアート・オンライン》を作り上げた量子物理学者にして、天才的ゲームデザイナーと言われている男であり、ライトも雑誌やテレビ、ネットでも調べた事がある。殆どのプレイヤー達は、目の前にゲームマスターが現れた事に驚いたり、唖然としたりしていた。

 

『プレイヤー諸君は、既にメイン・メニューからログアウトボタンが消滅しているのに気付いているだろうが、これは不具合などではない。繰り返す。不具合ではなく、ソードアート・オンライン本来の仕様なのだ!』

 

茅場 晶彦は、はっきりとそう述べた。それはつまり、1度ログインしてしまえば、自分でログアウトするのは不可能だと言っているようなものだ。

 

『諸君は自発的にログアウトする事は出来ない。また、外部の人間の手によるナーヴギアの停止、あるいは解除もあり得ない。もし、それが試みられた場合…』

 

その先の言葉を予測できた者は、誰1人として居なかっただろう。想像も及ばない言葉が、茅場 晶彦の口から語られた。

 

『ナーヴギアの信号阻止から発生される高出力マイクロウェーブが、諸君らの脳を破壊し、生命活動を停止させる。』

 

いきなりそんな事を言われても、簡単に信じられる者はいない。事実、この場に集まる殆どのプレイヤー達も、茅場の言葉など信じていなかった。いや、それが理解できなかった。そう、クラインの近くに立つ、2人の少年を除いたプレイヤー達が。

 

「何言ってんだあいつ。頭おかしいんじゃね? なぁ、キリト、ライト?」

 

無論、クラインも信じてはいなかった為、茅場の言葉は出鱈目だと、2人に確認を取る。

 

「…出来なくは、ないだろうな」

 

しかし、クラインの確認に、ライトが無情にもそう告げた。その声からは、少し怒りの感情が混ざっているようにも感じられる。

 

「信号阻止のマイクロウェーブは、確かに電子レンジと同じだ。リミッターを外せば、脳を焼く事も…」

 

キリトがライトに継ぐ形で、そう答える。

 

「じゃあよ、電源を切れば良いんじゃねぇか?」

 

確かに、殆どの機械は長く持続させる為、コードを通して電源を供給しており、それはナーヴギアも同じだ。だが、クラインが言った案には1つ問題があった。

 

「いや、あれにはバッテリーが内蔵されていた筈だ。」

 

そう。ナーヴギアには電源を切断せれても、長時間プレイできるように、一種の乾電池が組み込まれている。もし、そのバッテリーのエネルギーでも脳を焼き切れるとしたら、どのみち結果は同じだ。

 

「で、でも無茶苦茶だろう、こんなの!?」

 

クラインの言う通り、これではまるで、ここに立つ全プレイヤーを殺す為に、茅場はナーヴギアを作ったとしか思えない。しかし、そんな事などお構いなしに、茅場は説明を続ける。

 

『残念ながら現時点で、プレイヤーの家族や友人などが警告を無視し、ナーヴギアを強制解除しようと試みた例があり、その結果、既に213名のプレイヤーが、仮想世界からも現実世界からも永久退場してしまった。』

 

彼のその言葉が真実だと言うならば、この世界にログインしていたそのプレイヤー達は、もう死んでしまっているという事だ。

 

「213人も…」

「…まさか」

「信じねぇ…信じねぇぞ俺は!」

 

キリトとライトは、既に死んだプレイヤーの人数に唖然となり、クラインはこの状況を受け入れようとしなかった。いや、受け入れたくなかったのだ。すると、茅場の周りに幾つかのモニターが出現した。

 

『ご覧の通り、多数の死者が出た事で、現在あらゆるメディアが繰り返し、この情報を報道している。』

 

そのモニターには、ナーヴギアによって脳を破壊され、死亡した者達のニュースが流れていた。これを見せられれば、どうしようもない。

 

『よって、ナーヴギアが強制的に解除される危険性は低くなっていると言ってよかろう。諸君らは安心してゲーム攻略に励んで欲しい』

 

ここまでの茅場の説明を受けても、誰も安心する事など出来なかった。誰もが呆然としたまま、立ち尽くすしか出来なかった。しかし、茅場は無視して説明を続ける。

 

『しかし、十分に理解して貰いたい。今後、ゲームに置いてあらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し……諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される。』

「っ!!?」

 

キリトの顔は驚愕に染まった。HP0=死という事が確信に変わったのだから、無理もないだろう。他のプレイヤー達は、茅場の説明を聞いて呆然としたままだ。

 

『諸君らが現実世界に帰る方法はただ1つ、このゲームをクリアすれば良い。現在、君達が居るのはアインクラッドの最下層、第1層である。各フロアの迷宮区を攻略し、フロアボスを倒せば、次の層へ進む事が出来る。そして、100層で待ち構えているボスを倒せば、クリアとなる』

 

それを達成させる事がどれほど難しいか、RPGゲームは簡単にはクリア出来ないように設定されている。長い時間を掛けてプレイし続ければ、運営側は儲けを得られるからだ。だが、茅場はノーコンンティニューでクリアしろと言っているのだ。

 

「クリア100層だと…出来る訳ねぇだろう。βテストじゃ、碌に上がれなかったんだろう!?」

 

一体どれ程の時間が掛かるのか。クラインが上空で宣言している茅場に向かって怒鳴りつける。

 

「(キリトは2ヶ月で10層まで攻略できた。だけど、ノーコンティニューじゃない、死に戻りを繰り返してだ……やっぱり、どう計算しても2年弱は掛かるな)」

 

ライトは既に、この状況を誰よりも早く飲み込んでいた。そして、第1層のフィールドで、キリトがβ時代に何層まで攻略できたかを思い出していた。彼のβ時代の攻略ペースは1ヶ月で5層。という事は、100層に辿り着くまでに掛かる時間は20ヶ月。1年と8ヶ月は最低でも掛かる計算だ。

 

『それでは最後に、諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントを用意してある。確認してくれたまえ!』

 

全プレイヤーがメイン・メニューを開いて確認すると、確かにアイテムがあった。ライトや他のプレイヤーもそれをタップして、オブジェクト化する。

 

「手鏡?」

 

現れたのは、直径10cm程の長方形型の手鏡だった。ライトが手鏡に映る自分の顔を見詰めていた

 

 

 

ーーーその時

 

 

「おおお!!」

「クライン!?」

「っ!?」

 

クラインが大きな声を上げた。見ると、青白い光が彼を中心に発生していた。それは周囲のプレイヤーにも起こり、ライトやキリトもその光に包まれた。

 

「くっ!」

「うわぁっ!」

 

暫くして、手鏡から発生させられた青白い光は治まり、漸く視界を確保する事が出来た。

 

「大丈夫か、キリト、ライト?」

 

クラインの心配する声音が聞こえたので、キリトは返事を返そうと振り向いたが、彼は全く違う言葉を問いかけていた。

 

「あ、あぁ……あれ、お前誰?」

 

そこには見知らぬ男が立っていた。装備はクラインが着ていたのと同じだが、髪の長さや表情が少々違っているのだ。

 

「おめぇこそ誰だよ?」

 

その男も、キリトに向かって訊き返す。キリトは男の言葉に意味が分からず、再び手鏡に移る自分の顔を覗き見た。しかし、そこに映っていたのは、先程のキリトのアバターではなかった。

 

まだまだ幼さが残り、線が細い顔をしている上に、女子に間違われてもおかしくない童顔な顔立ちをしていた。それと同時に、周りも完全な混乱状態に陥っていた。

 

見てみれば、あれだけ美男美女が多かったのに、殆どのプレイヤーが男性となっていた。まさかと思い、キリトはクラインの方を向き、確かめる為に声を掛けた。

 

「お前がクラインか?」「おめぇがキリトか?」

 

互いに指を差すキリトと思わしき少年と、クラインと思わしき男性。その傍らでは、同じように信じられないような表情で、手鏡に映る顔を見詰めるライトが立っていた。そして、彼は小さく呟いた。

 

「……オレの…顔…」

 

その顔はキリト以上に線が細く、幼い顔立ちをしており、少し長めの茶髪に緋色の瞳を宿していた。更に、身長も変化しており、設定では170cm以上にしていた筈が、今は160cmあるかどうかの小柄になっていた。

 

「ライト……おめぇ、女だったのか!?」

「さっきのアバターがお前なのか!? か、変わりすぎだろ!?」

 

現実世界では幾度となく間違えられ、うんざりしていたのだが、年月が経つにつれて慣れてしまった。その為、さして怒る事もなく、それでも少し半眼になりながら口を開いた。

 

「違う、オレは男だ。それからキリト、オレから言わせれば、お前も随分と変わってるからな」

 

仮想世界では、自由にアバターを設定できる。髪の色を変えたり、顔の骨格を変えたりと設定できるのだ。

 

「っていうか…な、何で?」

 

それよりも何故、仮想世界で現実世界の顔が再現されているのか。キリトはある事を思い出した。それは、ナーヴギアの構造だった。

 

「スキャン…ナーヴギアは高密度の信号阻止で、顔をほぼ完全に覆っている。だから、顔の形を把握できるんだ。だけど、身長や体格は一体どうやって?」

 

どうやら顔だけではなく、体格までもが精巧に作られているようだ。アバターを女性に設定していた男性プレイヤーが、現実世界の元の体格に戻っているのがその証拠だろう。そして、その疑問に答えたのはライトだった。

 

「…多分、あの時だ。ナーヴギアを初めて装着した時、キャリブレーションで、体のあちこちを触られた時だろう?」

「っ…そうか、その時のデータを元に」

 

ライトの言葉に、キリトは納得した反応を示す。しかし、また新たな疑問が浮かんでくる。

 

「けど、何でだ? そもそもなんでこんな事しやがるんだ!?」

 

クラインが混乱しながらも口にした疑問は、この場に立つプレイヤー達全員が思う事の筈だ。

 

「もう少し待てば、すぐに話すだろうさ!」

 

そう言ってローブの男、茅場を指差すのはライトだった。彼は恐らく、茅場 晶彦には何か目的があるだろうと考えていた。こんな大騒動を起こしておいて、目的がない筈がない。

 

『諸君は今、何故と思っているだろう。何故、ソードアート・オンライン及びナーヴギア開発者、茅場 晶彦はこんな事をしたのだろうと。大規模なテロなのか。それとも、全プレイヤー10,000人を人質に身代金を要求するのかと?』

 

考えれば考える程、様々な理由が浮かび上がって来る。だが、そんな事をする為に、わざわざゲームを開発して10,000人のプレイヤーを閉じ込める回りくどいやり方をするとは思えなかった。そして、ライトのその考えは的中した。

 

『私の目的はそのどれでもない。何故なら、私の目的は既に達成されているからだ。この世界を作り出し鑑賞する為にのみ、私はソードアート・オンラインを作り上げた』

 

茅場 晶彦の目的。それは、この世界にダイブしている10,000人のプレイヤーを鑑賞。つまり、見物する為に作り上げたという事だ。プレイヤー達はもう誰も声を上げられず、彼の説明を黙って聞いていた。

 

『以上で、ソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。最後に忠告しておく…《これはゲームであっても、遊びではない》…プレイヤー諸君の健闘を祈る』

 

巨大なローブはそう言うと、煙のように上空に溶け込んで消え、空も元の夕焼けの色へ戻った。

 

しかし、誰もが呆然と立ち尽くしていた。この世界で死ねば、現実世界でも死ぬ。この世界は既に、彼らにとってもう1つの現実世界と化したのだ。世界初のフルダイブゲームは、一瞬にして常軌を逸したデスゲームに変貌した。そんな中、先程のチュートリアルを聞いていたライトは、自分の右手を見詰めていた。

 

「(この世界で死ねば、現実世界でも死ぬ…《これはゲームであっても、遊びではない》か……いいだろう、茅場 晶彦! クリアしてやる、この命を賭けたゲーム…Death Gameを!)」

 

ライトは拳を握り締め、目付きを鋭くさせた。元より覚悟は決まっていたようだ。この世界から脱出し、現実世界へ帰還する為に、そして、ゲームクリアを目指す為に《戦う》と。

 




本当のSAOが始動したました。

そう言えば、You Tubeでソードアート・オンラインFULL DIVEの冒頭が配信されていましたね。中々、迫力があって、続きが見てみたいです。
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