【カオ転三次】がんばれシフター ギラギラ転生記 ~僕がライダーになった理由~(仮)   作:えくり屋

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アホなやつとキャッキャさせようとしたらなんかシリアスになってしまった


── 出 逢 ──

 イッチの朝は早い。

 朝、日の出とともに目覚めると境内の掃除を始める。

 仮面ライダーが竹箒を持って掃除する姿は異様というかシュールさがすごいし、まだ薄暗い中で赤く光るマルチアイはかなり不気味で、神社に来たばかりの修行者には悪魔と勘違いされ何度も悲鳴をあげさせていたが、そこも含めて既に日常の光景となっていた。

 

 掃除が終るとヘルハウンドのだけんを連れて朝のお散歩。

 パーカーゴースト*1風のパーカーを羽織ってフードを被り、自らリードを咥えしっぽを振っているだけんを連れて出発。

 コースは日によって変わるが、本日は神社周辺の樹海コースである。

 一般人とすれ違うこともなく、わずかながらもMAGを含む野草やきのこが取れ、時折だけんが土に埋まってるフォルマを見つけお小遣いが得られるここはお気に入りのコースだ。

 

 元々天然の異界として人を惑わす性質を持つ富士の樹海だが、神社周辺はショタおじによって整えられ【俺たち】以外が侵入すればそっと樹海の外に追い出す仕組みになっており、一般人が迷い込むことはほぼ無く、例え覚醒者であっても【俺たち】でないのなら招かれたのでも無い限り神社に辿り着くことも叶わないといった性質になっていた。

 出現する悪魔も人に害意を持たない低位の自然霊的なものばかりで、修行の一環として使われることはあるものの遭難さえしなければかなり安全なコースとなっている。

 今では神社までの道も【俺たち】であるのなら一般道から車で入れるくらいには整備されているので、ここで遭難する人間も修行の一環として樹海に放り込まれてサバイバルさせられているものか、修行に耐えられなくなって脱走し樹海に飛び込んだものといった感じで、基本的に純粋な外からの遭難者というものはいない。

 

 はずなのだが今日に限ってはその例外が発生してた。

 

 

 

 

 「なんで!こんな!ところに!熊が!いるんだ!よ!!!!!」

 

 なんでと言われてもこの熊は元々富士の樹海に生息していたツキノワグマであり、侵入してきたのは今熊に追い回されている少年の方である。

 神社周辺のMAGを蓄えた植物やそれらを食べた動物を食し、覚醒してないまでも普通のツキノワグマよりは大分大きく強く育っていた。

 故にこの樹海の頂点捕食者として君臨していたがショタおじを筆頭とした覚醒者【俺たち】による修行場の整備により、生物としての格の違いを本能で理解させられ覚醒者に襲いかかることはなくなり、「縄張りに入った未覚醒の人間を襲う」という覚醒修行のギミックの一環となって日々元気に修行者たちを追い回していた。

 

 なので通常ならば少年が追い回されてるのは修行の一環で何も問題ないはずなのだが、神社の事務所に貼られてる修行の予定表には現在樹海サバイバル修行は行われていないはずであった。

 

 「ごす!こっちだ!」

 

 少年と熊の間に割り込むようにイッチとだけんが滑り込む。

 突然現れた障害物に止まりきれなかった熊はイッチにぶつかり弾き返され結構な勢いで後ろに転がった。

 そして顔を上げイッチを見やると「やっべ・・・」といった感じの表情を浮かべゆっくり後ずさりはじめ、ある程度離れると一気に樹海に奥に走り去っていくのを見届けると熊に追われてた少年を振り返る。

 

 [だいじょうぶ?]

 

 「スゲェ!!本物の仮面ライダーじゃん!!!」

 

 熊から逃げ惑っていた高校生くらいの少年、鬼束響は先程の様子はどこへやら、興奮した様子で雄叫びを上げていた。

 

 「ごす、こいつの匂いにおぼえがない。たぶんしらんやつだぞ」

 

 だけんの言葉に(とりあえずショタおじにきいてみるね)と念話で応えタブレットを取り出しショタおじにショートメッセージを送るとすぐに「連れてきて」とのこと。

 いつもより早いが散歩を切り上げ神社に戻ることになった。

 

 

 ・

 

 ・

 

 ・

 

 「はー、世の中には酷えやつがいるもんだ。

 メシアが酷えってのは掲示板で散々聞いてたけど、メシア以外にもヤバい組織ってあるんだなあ……。

 誘拐して洗脳して改造ってもう漫画とかの中の悪の秘密結社そのものじゃないか」

 

 [でもすぐにショタおじや霊視ニキにたすけてもらったからね]

 

 「いやいやいや、すぐ助けてもらったって悪魔にされて戻れないし喋れない記憶もないって大分手遅れだろ。街にも出れないし神社に籠もりっきりて結構キツイんじゃないか?」

 

 イッチの身の上や境遇に同情し、当たり前の疑問を投げかける

 

 [製造班の人たちがサポートしてくれるしみんなやさしいよ?たまにこわがる人もいるけど]

 

 だが記憶が無いが故に、今いる環境に疑問がない。

 自分でも少し怖いのだから他人が怖がるのは当然のことでもある

 

 「ごすは記憶がないからふつうのにんげんの街や生活にはあまり未練がないのだろう。」

 

 「そういうもんか? というかそれですませていいのか?」

 

 「そういうもんだろう、ところでおまえはなんで遭難してたのだ?」

 

 悪魔であり、人ではないだけんには人の作る食べ物などには興味があるが、人の営みにはそこまで興味はない。

 人ではあるが、悪魔の気配の方が強い己の主人もそういうものであると思っていた。

 主人が自分と少し違うのは、主人が周りの人間を好いておりそして彼らに恩を返したいと思っている。

 その程度の差(そういうもん)だろうという理解だった。

 

 「そう、俺が遭難したのには深い深い理由があってだな……。」

 

 デカい黒柴(妖獣ヘルハウンド)の問に、響はめちゃくちゃ浅い理由を語り始めたのだった。

 

 

 

 

 

 「うち(ガイア連合)に管理移管した霊地の元管理者の孫と、霊地に祀られてた祖先の鬼の角ねえ……」

 

 「ウッス、これまでは霊地の管理の関係で100年ぶりくらいにまともに霊能の才を持って生まれた俺が寺にいて重しになることで、100年間の管理不備で溢れそうになってた異界を抑えてたんスけど、連合から来てくれた【俺たち】が異界を潰してくれたんでやっとここに来れたんすよね。

 んで実家出るときにじーちゃんが代々受け継がれてる、ご先祖様の角も持ってって欲しいってことで持ってきました。」

 

 初めて地元から出たテンションであちこち寄り道してたら路銀が尽き、樹海突っ切ったらすぐ着くんじゃね?と浅い考えで遭難したことを説明した響は、続けて神社に来た理由を述べた。

 

 「うちの地元を荒らしていた大鬼が、そこを訪れた侍に調伏されて夫婦になって共に生きるために角を切り落として人間になって添い遂げたって伝説があって、その鬼と侍の子孫がうちの家系で、鬼の手下の妖怪どもを封じた異界の入り口に寺を立ててこの角で封印してたらしいッスね。

 んで封印の儀式とかもあったらしいんですけど、明治入った頃には霊能者としての才能が薄くなってて、ついでに戦後のドサクサで儀式の方法も一部失伝したらしくて、そのまま寺の維持はしてたけど封印は手がつけられずにガッタガタ、なにか出来るわけではないけどそれを感じれる程度の霊感があって、曾祖父さんから話を聞いてたじーちゃんはずっと戦々恐々としてたらしいんすよね。

 そんなところに俺が生まれてから急に封印のガタつきが治まったってんで、俺を重しとして地元から出さないことで封印を安定させるってスタンスでやってたところに連合がやって来てスパっと異界消滅させて、霊地の管理もおまかせ出来て晴れて俺は自由の身、とりあえず何するにしても力は必要だろうってことで修行しに来ました。

 いやー、掲示板で相談したらすぐ来てくれて助かったっすよ。

 あ、角の扱いは俺にはよくわからんのでそっちにお任せでいいっすか?」

 

 遭難理由の軽さに対して生い立ちは割と重かった。

 

 「まあその辺は転生者同士の助け合いってことで。

 んじゃ、修行は受けるってことでいいよね? コースはどうする?

 かかる時間は個人差あれど、ぬるいけど時間かかるコースと、しんどいけどそこそこの時間でいけるコース、何度も死ぬけど短期間で逝けるコースの3つがあるけど。」

 

 いつもの通り軽い口調で選択肢を提示する(地獄を選ばせる)ショタおじ。

 

 「あー……それなんですけど、俺を助けてくれた仮面ライダー、イッチはどのくらい強いんです?」

 

 「あの子はまだレベル自体はそんなに高くないけど潜在能力というか内に宿してしまったものの重さでは【俺たち】の中でも相当なものだよ。

 だからあの子は確実に強くなるし、強くならなくちゃいけない。

 そしてそれに対して本人も前向きだから、あっという間に強くなるだろうね。」

 

 「んじゃ今ならまだ追いつけるってことっすね。」

 

 「一体どうしたんだい?以前から知り合いってわけでもないんだろ?」

 

 思ってもなかった答えに思わず神主は問い返す。

 

 「知り合ったのはさっき熊から助けてもらったときで会話も神社に着くまでの30分程度。

 まあ殆ど俺が一方的に喋ってちょいちょい犬がツッコミ入れてきたくらいのもんですけど、どうしても重ねちゃうんですよね。」

 

 「転生してから17年、封印の重しとして地元から出ることすら出来なかった俺と、酷え奴らに酷えことされて人間に戻れなくなってここから出られなくなったアイツ。

 境遇は違えど一箇所に縛り付けられる息苦しさを俺は十分知ってるつもりっす。

 アイツは記憶が無いからそれを苦しいなんて思ってない、というかわかってないかもしれないけど、俺はアイツを外に出してやりたいって、話を聞いてそう思ったんです。」

 

 「それにレベルが上がれば人間の姿になれるんですよね?なら一人でやるよりも二人でやった方が安全で効率よくいけるっしょ?

 なら俺がパパっと覚醒してサクッとアイツに追いついて一緒に強くなる。

 これが俺の出来る命を救ってもらった恩返しかなって。」

 

 神主の問いかけに、強い意思を持った目と言葉で答えた。

 

 「うん、うん、キミは良いやつだなぁ!

 うん、気に入った!その想いにこっちも応えようじゃないか!

 短期間で覚醒して強くなれる超スペシャル修行コースを用意しよう!!!

 あ、角はそのまま持ってていいよ、祖先由来の呪物だから覚醒の一助になるだろうし。」

 

 こうして少年の言葉に感動したショタおじ(鬼畜)により新しい地獄が開かれることとなった。

 鬼束響は、自分の言葉に後でちょっとだけ後悔した。

*1
仮面ライダーゴーストに登場する英雄や偉人の魂と力を宿したパーカー風の装備




寺生まれのOさんこと、響くんは身長180cmくらいで結構身体も鍛えてる感じ。
今生では普通に学校とかも通ってたけど家の事情で遠足も修学旅行も友達と隣町に遊びに行ったこともありませんでした。
前世もインドア派なタイプでもなかったので割とストレス貯めながら過ごしてきたのでそれから開放された瞬間羽目を外しすぎて神社に着く前に路銀を使い切り樹海に特攻しました。
かしこさはかなり低いけどハートで補うタイプ。
ずっとお寺で過ごしてたので般若心経くらいなら暗唱できるけど説法とかは出来るタイプじゃない。
多分。

明日から3週間ほどPCの無い環境になるので更新できなくなります
一応スマホで書けるなら書くつもりですけどwifiあんのかなあそこ…
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