真剣で私に恋しなさい!~僕の川神奮闘期~   作:スタ

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真剣で自分と闘いなさい! 2

「今より第一グラウンドで、決闘が行われます。内容は武器有りの戦闘。見学希望者は第一グラウンドまでお集まりください」

 

 

アナウンスが終わると同時に続々とグラウンドに見物人達が集まって来る

本人達の希望があれば見学不可にも出来るが…というか司はめちゃくちゃ嫌がっていたけどクリスの人気度がそれを許さなかったようで、他のクラスや違う学年の連中も面白がって集まって来るのでお祭り状態だ

 

 

「朝飯の弁当いかがですかー?」

 

 

相変わらず商魂たくましい料理部の奴らの対応も早い

 

 

「というわけで決闘トトカルチョだ!さあ賭けた賭けた!」

 

 

こっちはこっちでまたトトカルチョをやってるけど…

 

 

「ショバ代納めてもらおうか」

 

 

「姉さん…」

 

 

まあ来ないわけがないよな、この人は

 

 

「お前んとこのお嬢がまた決闘やってるぞ猟犬」

 

 

「そのようですね、しかも相手は昨日の転入生ですか」

 

 

「ふははははは!!早速やっているな!!この俺が直々に見にきてやったぞ!さあ、存分に闘うが良い!!」

 

 

「相変わらず暑苦しいねぇお宅」

 

 

「おいハゲ…英雄様への口の聞き方に気をつけろ…刻むぞ…」

 

 

「すいません!!」

 

 

 

マルギッテさんはともかくこいつらまで…今日は暇なのかな

 

 

「盛り上がってきたな五条!」

 

 

「こんな賑やかになるんだ決闘って…」

 

 

「うむ、自分と犬の時もそうだったな」

 

 

「クリ!あんた抜け駆けしておいて負けるんじゃないわよー!でも五条くんも頑張ってー!」

 

 

「あ、ありがとう川神さん…」

 

 

「それより五条、お前武器はいいのか?自分はこの剣を使うが」

 

 

「武器使ったことないから…これでいい」

 

 

「そうか、しかし無手だからと言って自分は手加減しないぞ!全力で勝負だ!」

 

 

「さて、そろそろいいかのう?」

 

 

ギャラリーも増えてきたところで学長が二人の間に入り、告げる

 

 

「これより川神学園伝統、決闘の儀を執り行う!2人とも、前へ出て名乗りをあげるがいい!」

 

 

「2年F組!クリスティアーネ・フリードリヒ!」

 

 

「お嬢様、ご武運を」

 

 

「負けんなよクリス!」

 

 

「2年F組、五条司!…なんか恥ずいなこれ…」

 

 

「頑張って司、俺は君に賭けてるから」

 

 

「大和はあとでちょっと話がある」

 

 

「あ、はい」

 

 

「ワシが立ち合いのもと決闘を許可する。勝負がつくまでは何があっても止めぬ。が、勝負がついたにも関わらず攻撃を行おうとしたらワシが介入させてもらう、良いな?」

 

 

「承知している!」

 

 

「はい…」

 

 

「ヨンパチ…リベンジだ…」

 

 

「分かってる…出世の機会は逃してもシャッターチャンスは逃さねえ!」

 

 

懲りないなコイツら…

 

 

 

「いざ尋常に、はじめいっ!!!!!!!」

 

 

「勝負!」

 

 

先に踏み込んだのはクリスだった

 

 

「あぶなっ」

 

 

そしてそれを交わす司

 

 

「いい動きだ、まだまだいくぞ!」

 

 

「お、お手柔らかに」

 

 

「始まったなあ弟ぉ…」

 

 

「うん、というわけで解説お願い」

 

 

「うーん…とりあえずクリスがかわいい」

 

 

「何の解説だよ」

 

 

「って言ってもな…今のところクリスはいい動きしてるとしか」

 

 

「どうしたどうした!避けてばかりでは勝てないぞ五条!」

 

 

「避けないと痛いでしょうがっうおお!?」

 

 

鋭い突きを容赦なく何度も撃ち続けるクリス、反対に司はさっきから避けてばかりで防戦一方と言ったところ。まあでもそうなるよな…俺もそれが精一杯だもん…

 

 

「あいつ…すごい避けるね、大和みたい」

 

 

「それはどうも」

 

 

「結婚して」

 

 

「話題の切り替えが不自然すぎるだろ、お友達で」

 

 

「むう…」

 

 

まあ確かに回避には自信あるけどな

 

 

「ところで姉さんはどっちに賭けたの?」

 

 

「いや、私は賭け事とかしないから」

 

 

「何言ってんの?」

 

 

「とは言えそろそろ戦局が動くんじゃないか?」

 

 

「そこだ!」

 

 

トドメと言わんばかりのクリスの必殺の突きが相手の胴へ一直線に向かう

 

 

「かはっ!?」

 

 

「っ!?」

 

 

かに思われた、角度も速度も完璧、確実に入ったと思った彼女の今日一番の突き、誰がどう見ても勝者はクリスだろうとある者は歓喜し、ある者は悲哀、ある者は背を向け立ち去ろうとしていた、それに待ったをかけたのがこの現状

 

端的に言おう、倒れた…というか膝をつきうずくまっていたのは誰もが勝者だと確信し疑う事の無かったクリスの方だった

 

 

「え…いま何が起きたの?」

 

 

「やられたな…クリス」

 

 

「どういう事?姉さん」

 

 

「この間、古武術特集を一緒に見ただろ、大和」

 

 

「うん、あんまりよくは分からなかったけど…それをやったって事?」

 

 

「ああ、要するに予備動作を消す技術を使ったんだ。膝、股関節、肩という具合に力を抜いていってそのまま突きを出したクリスの足元に滑らかに…そして倒れこむように且つ力の流れを殺さずにそこから繰り出す技…」

 

 

「卍蹴り…ですね」

 

 

「まゆっち、いつの間に」

 

 

「ああ、そう言う事だ…クリスの視点から見たら相手が急に消えたように錯覚してるだろう」

 

 

「そして直後にどこからともなく打撃が入っている…日頃鍛錬していてもふとした瞬間に急にやられたら引っかかったりするんですよね…」

 

 

「全くだ…まあ私には効かないけどな」

 

 

クリスがまだ倒れていないので決闘はそのまま続行、しかしそろそろ決着がつくであろう事はここにいる誰もが直感していた

 

 

「くっ…やるな五条、けっこう良いのを食らってしまったぞ」

 

 

「正直絵面的にツラい……」

 

 

「今の発言は間違っているぞ五条、これは決闘だ。男だの女だのそんな事を気にして言っているのであれば、それはこの神聖な儀式と何より自分の騎士道を侮辱しているのと一緒だ」

 

 

「クリス…」

 

 

「(お嬢様…)」

 

 

「堂々としていろ!自分はこの程度問題ない、決闘を続けよう!」

 

 

「ああ…そうだな、今のは取り消す…とんだ失礼をしてしまった事を心より詫びる…続けようクリス。第二ラウンドだ」

 

 

「ふっ、そうこなくては…とは言えそろそろHRの時間も終わる、次で決着をつけよう」

 

 

「同感!」

 

 

両者構える、そして

 

 

「いくぞ…五条!!!」

 

 

「来い、クリス!!!」

 

 

勝負の行方は

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

「ふっ…次は負けないぞ」

 

 

「何度でも受けて立つ」

 

 

「「クリス!!!」」

 

 

「お嬢様!!!」

 

 

倒れたのはクリス、そして決まった本日の決闘、勝者は

 

 

「勝者、五条司!これにて決闘の儀を完遂したものとする!」

 

 

「「うおおおおおおーーー!!!!」」

 

 

「勝っちゃったよ…あのクリスに」

 

 

「あのクソ野郎…よくもクリスちゃんを…」

 

 

「良い勝負だったわよー!ふたりともー!!」

 

 

「……」

 

 

「猟犬、大丈夫か?」

 

 

「…正直動揺しています…しかし問題ありません、これが決闘というものです」

 

 

「鏡みてみろよ。そう言ってる割にはお前、獲物を見つけた時の顔してるぜ?」

 

 

「ふっ…気のせいと知りなさい」

 

 

喝采と感嘆の声が入り混じる中、本日の決闘は無事終了

クリスは念の為保健室へ、司もついでに付き添い一時限の途中から2人も合流

 

 

この日を境に俺たちと司は共に絆を深めていく事になる…かもしれない


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