「お世話になりました。」
「おう、お疲れさん!次の仕事先でも頑張れよ!」
「はい、お世話になりました」
そういって会社に背を向け歩き出す
「はぁ…いい加減ちゃんとした職につかないと…」
この台詞、今までどれだけ呟いてきたのだろう…
これまで色々な仕事をしてきたがこの男、どれも長続きせず幾度となく職を転々とし続け、気が付けば20代も終盤
周りの友人たちは皆それぞれのやりたい事や分野で各々に活躍していたり既に家庭を持っている者も多々いる。それに比べ自分は未だにただのフリーター、そしてつい今し方また仕事を辞めてきた、どうして自分はいつもこうなんだろうと常に周りと比べ自分にコンプレックスを抱きながら毎日を悶々と過ごしている
「はぁ…また就活か…」
「いらっしゃいませ~~~」
相変わらず今日もゆるい口調だな…と思いながらコンビニへ来た。ていうかいつも思うけど本当あの子らみたいに学生の内にバイトとかして社会経験を積んでおけば俺の将来もいくらかは安定していたのだろうか…
所詮はたられば話である、人生というものは甘くない
「ありがとうございました、またお越しくださいませ」
求人雑誌を手に取り店を出る。その後喫茶店で腰を落ち着けたところでページをめくる
「なんだこれは…どれもこれも全部最近自分が落ちたところばかりじゃないか…誰も採用する気が無いなら募集するなよ…」
自業自得なのを棚にあげているだけとはいえ、自分が落ちた会社の募集ばかりが目に入ると愚痴りたくもなる、が、そんなことをいつまで言っていても状況が変わるわけでもなく、仕方がないので、そのままページをめくり続ける
「お待たせしました。本日のケーキセットです。」
といったとこで、注文の品がきたので手を止め 食す
「(あの店員、若いのにてきぱきしてて凄いな…)」
さっきのコンビニでも思ったが最近の若者というのは本当にすごい、学生の頃から働くなんてなかなかできる事じゃないと思うし別にお世辞でもなんでもなく素直に尊敬している
「もう少しだけ、頑張ってみるか」
“頑張る”という言葉は正直好きじゃないがあんな姿を見ると不思議と励みになることもある
………
……
…
「お客様、ラストオーダーの時間ですが他にご注文はございますか?」
「え」
気付くともう閉店間際、集中していたら時間というのはあっという間である。店員としてはいつまで居座ってるんだコイツはって話ではあるのだが
「あ、いえ帰ります。ご馳走様でした」
「ありがとうございました」
そう言って慌てて店を出る
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「はぁ…結局ダメだった…」
いくつか気になるところをリストアップして片っ端から電話をしていたのだが年齢が年齢だけにその時点で断られててしまうのだった
「くそっ…だったら求人に年齢制限なしって書くなよ…ああ…また明日から引きこもり生活か…」
などと愚痴を一人でこぼしながら本当にこれからどうしよう…と肩をすくませ夜の道を歩いていた時だった
「随分と落ちぶれたものだな、小僧」
「っ!?」
突然うしろから声をかけられ振り向くとそこには執事服を来た屈強な男が立っていた
「喜べ小僧、チャンスをくれてやろう。貴様はさる御方のとあるプロジェクトの実験体に選ばれた」
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「……て……きて……起きてってば」
「んん……ん」
「司、はやく起きないと遅刻するよ」
「うわ!大和?」
「おはよう司、朝食も出来てるからはやく着替えて」
ここは川神学園にいくつも存在する学生寮のうちのひとつ島津寮、つい先日編入してきたばかりの俺の入寮先である
あの後、大和達はちょっとした歓迎会のようなものを開いてくれたのだが初日早々濃いキャラ達に出会いすぎた疲れもあって早めに切り上げて眠ってしまったようだ
「おーっす、はやく食べないと遅刻するぞ」
「昨日はよく眠れたか?」
「おはようございます先輩」
「………」
リビングに降りて来るともう寮の皆はテーブルにつき食卓を囲んでいた
「おはようみんな、昨日はありがとう」
「何を言っている、自分達はもう同じ釜の飯を食う仲間だ」
「そうそう、堅苦しいこと言ってないで早く飯食って行こうぜ」
いい奴らだな、こいつら…相変わらずずっと読書してて口聞いてくれないのが1人いるけど…
「ほら、座った座った」
大和に急かされつつ食卓につき朝食を食べ俺たちは寮を出た