月の女神と一匹狼   作:柳芽帆奈

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どうも皆さん、はじめまして。柳芽帆奈です。
私は「鉄のハーレム堪能記」っていう作品を書いてたんですけど、今回新しいssを書いてみる事にしてみました。ヤンデレは勉強中なので温かい目で見てくれれば幸いです。
それではどうぞ。


第一章「出会い」
第一話「恥ずかしながら、帰って参りました」


『お待たせ致しました、16番線から急行能登号金沢行き、まもなくの発車です……』

 

「うっ、うぅ……」

 

「あいりちゃん、なかないで……ぼくもあいりちゃんとバイバイするの、いやだもん!」

 

深夜23時30分、東京のターミナルが一つ、上野駅。

 

そこには四人の大人と二人の幼稚園生ぐらいの男の子と女の子がいた。男の子の方は艶やかな黒い髪色をしていて、同世代の他の子よりは背が高く、女の子の方は栗色の髪にあどけないながらも整った顔をした少女であった。

 

その女の子……天野愛莉は目に大粒の滴をたたえながら、目の前の男の子……吉野翔悟との別れを惜しんでいた。物心ついた時から隣の家で仲良しだった彼はあと数分で目の前に止まるクリーム4号と赤2号を纏った列車に乗って遥か遠く、金沢へと旅立ってしまうのだ。

 

「さっ、もう列車が出るし、行きましょう」

 

「やだやだぁ!しょうごとおわかれしたくない!」

 

「……」

 

大人にとっては新幹線と在来線特急を乗り継げば数時間で着く北陸の地も、彼らにとってはあまりにも遠く、これが今生の別れのような心地で佇んでいた。

 

「ね、ねえあいりちゃん。ぼく、あいりちゃんにプレゼントしたいものがあるんだ……」

 

「ぐすっ……なぁに?」

 

「これ、ぼくとパパとママでいっしょにえらんだんだ」

 

翔悟が渡したのは二つの五線譜と音符があしらわれたキーホルダー。そのうちの一個を愛莉に手渡す。

 

「いいの?」

 

「うん!はなれててもいっしょだよ!」

 

「……ありがとう!だいすき!」

 

そう言って愛莉は翔悟に抱きついた。涙で顔を腫らしながらもその表情は先刻とは異なり、嬉しさに満ちていた。

 

『発車します、ご乗車の方はお近くのドアからご乗車ください』

 

がらんどうの上野駅16番線にメロディが鳴り響く。いよいよ別れの時がやってきた。

 

「じゃあ……バイバイ」

 

「うん!わたし、しょうごのこと、ずっとずぅ〜っと、まってるからね!」

 

『16番線、ドアが閉まります。ご注意ください……』

 

ドアがゆっくりと閉まり、二人の間に壁が隔てられる。電車はゆっくりとモーター音を唸らせながら夜の上野駅を発って行く。母親に抱きかかえられた愛莉は再び目に涙を浮かばせながら翔悟の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。

 

「……すっ、ぐすっ、ぐすっ……」

 

車内では、愛莉の姿が見えなくなった瞬間、彼がずっととどめ続けていた涙が溢れ出す。もう止められなかった。

 

「翔悟、よく頑張ったな。偉いぞ」

 

「うわぁぁぁん!」

 

汽笛一声新橋を、はや我汽車は離れたり。

 

鉄道唱歌が流れる中、親二人の胸の中で翔悟は涙を止めどなく流した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから11年の月日が流れ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side翔悟〜

 

『東京、東京……ご乗車ありがとうございました』

 

金沢から3時間10分、はくたか572号が東京駅に到着した。

 

「ふぅ……懐かしいな」

 

列車を降りると眼前にはライトアップされたレンガ造りの駅舎、それを中心に取り囲む摩天楼が広がる。あぁ、やっぱり帰ってきたんや……

 

こんな時に思い出すんはあの時の事……愛莉、元気にしとるかな。あの時からずっと連絡取れてなかったし……

 

あっ、自己紹介忘れてた。どーも、吉野翔悟です。

 

……えっ、何か話せ?ないよないよ。高校進級を機に東京で一人暮らしをする事になったってことぐらいしかないよ。これにて終わり、閉廷!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、俺の姿は陽葉学園にあった。元々は女子校だったのだが、ここ最近の少子化で三年前から共学へ舵を切ったらしい。実際見ていると女子が多い。そりゃそうか。三年前に共学化したって事は3月に卒業した先輩は全員女子って事だからな。それにしてもクソでけえなこの学校……

 

「え〜っと……クラスの振り分け先が張り出されてるんだったな」

 

数分歩いてようやくたどり着いた講堂横にはずらっと並んだ二年と三年のクラス表が現れた。クラス数も多いなオイ。

 

「え〜っと……吉野、吉野、吉野っと……あ、あったあった」

 

どうやら俺は二年二組で一年間を過ごす事になるらしい。しかも30番……末席じゃないですかい。さてさて、一体どんな顔ぶれがいるのやら、ちっと見てみますか。

 

30番 吉野翔悟

 

29番 大和恵弥

 

28番 矢野藍子

 

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13番 勅使河原堂流

 

12番 田川菜々

 

11番 曽根燐子

 

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3番 今村理衣

 

2番 井田沙耶

 

1番 天野愛莉

 

「ん?」

 

なんかものすごい見覚えのある名前があった気が……

 

1番 天野愛莉

 

えっ、嘘だよな?同姓同名か?

 

何度も眉間をつまんだり、目をパチパチさせても天野愛莉の四文字が消えることはなかった。で、でも日本全体では高校二年生は100万人いるから、同姓同名は一人ぐらい……

 

ドサッ

 

「?」

 

すると、後ろで鞄が落ちる音が聞こえた。それを発したのは一人の少女……ん?

 

栗色の髪。整った顔。鞄についたキーホルダー。

 

ま、間違いない。この少女は……

 

「しょ、翔悟……?翔悟なの……?」

 

「ひ、久しぶり……愛莉」

 

「嘘じゃないよね……ホントに翔悟なの!?」

 

コクッ

 

「……!」

 

小さくうなづくと突然、愛莉に抱きしめられる。うおっ、おっぱいデカッ……って、そうじゃなくて、ちょっと愛莉さん!?ここめちゃくちゃ人いるんですけど!?

 

「会いたかった……11年間、ずっと待ってたのよ!」

 

あ、聞こえてないやつだこれ。

 

ガヤガヤ……

 

「え、なになに?」

 

「マジ恋じゃん……!」

 

周囲ではヒソヒソ甲高い声が聞こえてくる。や、やばい……進級早々色恋沙汰はマジで洒落にならんぞ……!?

 

「愛莉!落ち着け!」

 

俺はなんとか愛莉を落ち着けようと、ちょっとだけ距離を取る。しかし……

 

スンッ

 

「……なんで?」

 

「!!」

 

「私、あの時からずっと待ってたのよ?どうして翔悟はそんな素っ気ないの?ねえ、ナンデ?まさか、他のオンナと付き合ってるの?ねえ教えてよ、ナンデ?ナンデ?ナンデ?……」

 

すかさず俺の肩をガシッと掴む愛莉。その目に光は無かった。ハイライトさん、戻ってきておくれよ、これじゃヤンデレじゃないか……え?ヤンデレになってますだって?うせやん(絶望)

 

「愛莉、別に他の女が出来たわけじゃないよ。ちょっと驚いただけだよ」

 

「……そうなの?」

 

「うん」

 

「じゃあ、嫌ってるわけじゃないのね……良かった」

 

するとまた抱きしめられる。今度はさっきのような激しい抱擁ではなく、静かなハグで。

 

「愛莉……お待たせ。11年間待っててくれてあんやとうな」

 

「うん……うん……!翔悟、お帰りなさい……!」

 

涙をたたえながら愛莉が再会を喜んでくれた。そして、これが全ての始まりとなるのであった……

 




いかがでしたでしょうか?
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