「はぁ……疲れた」
どうも、あれから茉奈と愛莉の猛アタックが続き、(『愛のエキ』ス入りの)お弁当のあーん合戦という羨ましいのか羨ましくないのかよくわからないシチュエーションに陥った吉野翔悟でございます。
いやねぇ、好意を持たれてるのは嬉しいよ?んなもん嫌われてるよりかは何百倍もマシなんだけどさ。
(ならいいじゃない、今から婚姻届持ってそっちに来るわね♡)
来なくていいです。
ドンドン
「?」
え、何か窓の外からドンドン聞こえるけど。
「もう来てるわよ?」
「うわぁぁっ!?」
窓の外には白井黒子もびっくりな移動で窓に張り付く愛莉の姿が見える。おい待てよ!この小説はホラー小説じゃないんだぞ!?
「翔悟ー!開けてー!」
「やだよ!?」
これ開けたら婚姻届にサイン確定でしょ?もう分かってるんだからね!(ツンデレ口調)
「むむぅ……こうなったら」
え、サッシの上に立って何始める気ですか?
「ボエエエエエエエエッ!」
ガシャガシャガシャンッ
……嘘だろ、この人声でガラス割ったよ。
「ふぅ、久しぶりにこの声域使ったわね。のど飴のど飴っと」
いや何平気な顔してのど飴なめてんだよ。喉の強さも中の人譲りってマジで何なんすか……
「よひ!ひゃあひょうほ、ほんいんほほへにはいんひましょう!」
「いやせめて飴食べ切ってから話せよ」
「バリバリボリボリ」
「あっ、噛み砕くんすね」
「……ふぅ。さあ翔悟、覚悟なさい」
言って愛莉が婚姻届を片手にじりじり迫ってくる。もはや絶体絶命。次回作にご期待くださ……
「天野さん!」
「?」
あっ、先生だ!しかも、一際厳しい生徒指導の女性教師!
「他の生徒から聞いたけど、天野さん、このガラスの破片はどうしたの!」
「えっ!?え、えーと」
「正直に言わないとグーパンよ」
「わ、私の声で割りましたぁ!」
「ようし、今から生徒指導室に来なさい異論は認めん!」
そういうと愛莉の制服の襟を掴んでどこかに引きずっていく。ドナドナだね。
「うわぁぁぁん!翔悟助けてぇぇぇ!」
「自業自得です☆」
ガラス割ったんだから†悔い改めて†きなさい。
「語録使ってんじゃないわよォォォォォォ………」
精一杯の捨てセリフを吐いて愛莉は生徒指導室の扉の中に消えていった。今日は日が暮れるまで缶詰だなこりゃ。
「翔悟!大丈夫か!?」
「えっ、紗乃?」
愛莉が連れて行かれたのと入れ替わりに今度は紗乃がこちらにやってきた。
「何かあたり一面にガラスの破片が散らばってたから『あぁ、やっぱり愛莉か……』と思って先生を呼んだんだが……怪我はなかったか?」
「お、おう。ていうかやっぱりって」
「彼女、20オクターブの声を出せるらしいんだ」
「はぁ?」(゚Д゚)
に、20オクターブって何?それはすごいの?
「簡単に言うと声で簡単にガラスを割ったり、ティラノサウルスの唸り声や超低周波を出すことができるらしいんだが……詳しい事は分からない」
「へぇー……それって人間?」
俺が東京を離れてた間に歩く音響兵器と化していた俺の幼馴染。一体何があったんだ……?
「ちなみに世界で一番声域が広い人は10オクターブらしい」
「じゃあ愛莉は何?」
「人外です」
マジでなんやいね……
「とはいえ……」
ギュッ
「無事で良かった。翔悟の元気な姿を見て私は満足だ」
ちょちょちょちょまま、紗乃さん!?いきなり抱きついてどうしちゃったの!?
「君を心配していたんだ……取り越し苦労だったか?」
そんな目しないで下さいよ紗乃さぁん!ただでさえ端正な顔してるんだから、そんな顔で見られたら惚れてまうがな!(某KAWAI風)
「もう私は君に惚れてるんだよ……」
「えっ」
え、い、今……なんて言いました?惚れてるって言ったよね?
「えっ!?く、口に出てたのか!?」
「はいそれはもうバッチリでございますよぉ!」
「そ、そうか……」///
普段はクールを貫く紗乃が今は恋する乙女のように顔を真っ赤にして黙り込んでいる。き、気まずい……
「……取り乱してすまなかった」
「……あの、さっきの言葉って……」
「ああ、そのままの意味だ。私は君が好きだ。勿論、友としてではなく異性として」
俺の目を真っ直ぐ見つめ、宣言する。おいおいこれで三人目っすか?ハイペース過ぎない?
「初めて君の顔を見てから、私の頭の中は君で一杯なんだ……」///
そう言うと、紗乃が俺の頬に手を添えて顔を近づけてきた。急な事で対応しきれず、紗乃に唇を奪われてしまう。
「ちゅっ……んむっ♡ちゅるっ♡ひょうほ……すひら♡ちゅむ♡んっ♡らいふひ♡」
まさかのディープなやつでした。しかも舌の使い方がやけに辿々しい……えっ、まさか初めて?
「ちゅぱっ……わ、私のファーストキスだったんだが、どうだった?」
ワァオ、予想どおりだ。
「すごかったよ、まさかファーストキスがディープキスだなんて……」
「そうか……ふふっ、勇気を出してやった甲斐があっt」
チュドォォォォンッ!
「「!?」」
「……しゃぁぁぁのぉぉぉぉぉ?」
「こ、この声は!?」
み、水樹◯々ボイス……ヤツだ。ヤツが帰ってきた!
「私のダーリンに一体何をしているのかしらぁ?」
振り向くと、そこにはどす黒いオーラを漂わせる愛莉が立っていた。足元には原型が分からないほどにひしゃげたドアが転がっている。あんな華奢な体の何処にそんなパワーが眠ってるんですかねぇ?
「私の……?翔悟は誰のものでのないぞ。私が狙ってもいいじゃないか」
「ほぅ……100歩譲って翔悟の事が好きなのはいいとして、ディープキスをするなんてねぇ……許せないわよこれはァァァァ!?」
言って懐から何か、白を基調に装飾が施された香水瓶のようなものを取り出s……待て待て待て!それはダメだ!ハートをキャッチするんじゃない!
「もう堪忍袋の尾が切れたわ!こうなったら私が直接手を下すまd」
「はいそこまで」
「はうっ!?」
「きゅ〜……」
「え、な、何が起こったんだ……?」
「……二人とも、大丈夫?」
「「と、灯佳!」」
何と愛莉を止めたのは灯佳だった。意外な人物の登場に思わず声が出てしまう。
「ありがとう、灯佳……ちなみにそれは?」
「これ?100tハンマー」
俺が質問すると、灯佳がデカデカと100tと書かれた鋼鉄製のハンマーを軽々しく掲げてみせる。いやいや、何処ぞの街のハンターじゃないんだからさ……
「持ってみる?」
「え?い、いや遠ry」
「はい」ポイッ
いやいや、そんなハンマーを軽々しく投げるんじゃあり
ズドドドドドドドドドド……
ま、せ……ん…………
「ちなみにこれ、本当に100tあるやつだから」
「「……」」
……母さん、父さん、今から金沢に帰るわ。
お待たせしてしまいました。多分これが月狼の今年最後の投稿になります。また来年お会いしましょう!