「愛莉!コーテルリャン!」
「オッケー紗乃、今行くわ!」
「エンザーキーイーガー、7番テーブルまで!」
「おう任せろ!」
「ご注文お受けします!」
ここは中野の某中華料理店。駅前という好立地、そして夕方のかき入れ時だけあって客は多く、店内は活気に溢れている。
そんな中で店で意味のわからん言葉で騒いで迷惑かけてんのかって?否、むしろ逆だ。
俺らの装いはいつもの私服でもなければ陽葉の制服でもなく、揃いのダークブラウンの帽子に俺はネイビーのシャツ、女性陣はシャツ+帽子の色と揃いのエプロンを身につけている。
もうお分かりだろう、俺らはメンバー総出でこの店でバイトしているのだ。
何でいきなりって?知るか、そんなもんこれ書いてる作者に聞k……あ、カンペきた。何々?それ話せばいいんだな?オッケオッケー。
事の発端は少し前まで遡る……
なんやかんやがあって愛莉によって部屋に集められた俺とアルテミスのメンバー。なんやかんや説明するんはめんどくさいんで六話を見て、どうぞ。(唐突の宣伝)
「愛莉、話というのは一体なんだったんだ?」
「……あっ、そうだった。すっかり忘れてたわ」
「「「「おい」」」」
仮にもリーダーなんだからしっかりしろよ(汗)
「今から話す内容はとっても重要だからよく聞いて頂戴」
と、愛莉の雰囲気が変わる。普段見せる温厚な表情でもなければ、ヤンデレモードになった時の人として終わってるような表情でもない。声のトーンも低く、面持ちもどこか神妙……こ、この歌姫はいったい何を言い出すんだ……!?
「実はね……」
「「「「……」」」」ゴクリ
「資金調達について考えようと思います!」
「「「「……ほぉ」」」」
「ちょっとちょっと、何でそんなに反応薄いのよ?とても大事な話じゃない!」
「い、いやそうなんだけどさ」
「ああ……まさか愛莉がそんな真面目な事考えてたとは」
「ちょっと意外〜」
「頭の中が翔悟とエロと歌で占められてると思ってたから、そんなこと考えられたんだって、ただただ驚き桃の木山椒の木」
「ひどい言いようね!?」
髪の毛食って下から潮を撒き散らかす人にかける言葉としては至極真っ当なんじゃないの?
「真面目に考えてよ!」
「「「「お前が言うな!!!」」」」
その言葉、普段のお前にそっくりそのまま返してやる!
「……だから、アルテミスとしての活動を続けるにはお金が必要なの!機材のメンテナンス代、衣装の外注代、フェスのエントリー代、校外でやるんだったらショバ代……DJやるのもただじゃないのよ」
だからこいつがモノ言わすのよと銭のポーズをしながら愚痴がましく捲し立てる愛莉サン。
……でも確かに愛莉の言う通りだ。そもそもDJ用の機械だけでも最安で5万円前後はする。この学校はDJ活動を始める学生用に費用の助成を行ってくれたりしているが、それでも十分とは言えない。アニメではそういうお金の問題は出てないけどこれが現実なのだ。
よくもまあ、大人でも手が出ない高価な機材を使う中高生撮り鉄みたいにあれだけの設備や衣装に使う金をポンポン出せるものよ……
「うん、これに関しては愛莉に賛成だ。今後継続的に活動を続けるには避けては通れない問題だからな」
「でも、具体的にはどうするの?」
「いい質問ね、茉奈。具体的にはどこかのクラブと契約したり、芸能事務所に入って本格的に活動をするというのもあるわ……でもいきなり事務所所属というのはハードルが高い。
という事で当座の資金はバイトで稼ぐしかないわね」
「待ってよ愛莉!そう簡単にバイト先なんて見つかるの?」
そりゃそうだ。いくら街中で求人広告がベタベタ貼ってあるとはいえ、なかなかいい条件のバイト先は見つからんだろ。
「……いい質問ね。実はもうツテを辿ってバイト先は見つけてあるの」
おいおいそんなツテどこにあったんだよ。
そして最初に戻るって訳。
なんでも知り合いのおじさんが中華料理店の店長をやってて、その店のバイトを募集していたらしい。愛莉の紹介ならという事で履歴書も見るだけで即採用、時給も1.5倍にアップという破格の高待遇で俺ら5人は採用されたのだった。
ちなみに最初の意味のわからん言葉はこのチェーン店特有の注文の言い回しで、日本語に直してみると……
「愛莉!餃子二人前!」
「オッケー紗乃、今行くわ!」
「鶏の唐揚げ一人前、7番テーブルまで!」
というふうになる。全部ここに書くのはすんごいめんどくさいから気になる人は自分で調べてみよう。
そして夕方のピークを過ぎて人足もだんだん少なくなり始めた。そろそろ上がれるかな……
「すいませーん」
「はーい、ご注文はお決まりですか?」
注文の声がかかったので俺は再びテーブルへと向かう。
「そうね……」
うわっ、この人めっちゃ美人やん。年齢もかなり若そうだし、顔立ちも整ってるし、デカい。何とは言わんがデカい。でもそんな人でも中華料理屋に来るんだ。
「小海老の天ぷらと餃子、ご飯の普通サイズをもらおうかしら」
「はい、小海老の天ぷらと餃子とライスの中ですね……」
「ええ……そういえばキミ最近入ったの?」
「?は、はい」
「そう……ふふっ、可愛い子♡デザートにあなたもいただこうかしら」
「!?」
な、何を言っとるんだこの人は!?
「だって、すごく可愛いもの……♡ねえ、良かったらバイトが終わったらお姉さんとイイコトしない?」
そう言ってこのお客さんは俺の手を握って熱っぽい目で見つめる。ど、どうしよう……
「す、すいません。遠慮します」
「つれないわねぇ、いいじゃn」
ガシッ
ガシッ
「!?」
いきなりこのお客さんの左右の肩が掴まれる。左には茉奈、右には紗乃がそれぞれいた。顔は俯いていて表情を窺い知る事は難しい。
「な、何なの貴女達!?」
「おう?それはこっちの台詞なんだけど?」
「初対面の店員に向かってナンパをかますとは随分やるじゃないか」
「ねえ、紗乃。やっちゃう?」
「ああ、やっちゃえ日産」
どっから日産出てきたんだよ。
「ちょっ、ちょっと!なんで外に連れ出されてるのぉぉぉ!?」
「私達の翔悟に手ェ出した落とし前はしっかりつけないとねぇ」
こうして、俺にナンパした女性は二人によって外に連れ出されていった。
「あああそこだめぇぇぇぇ、許してぇぇぇぇぇ♡♡♡」
ん?なんか外がうっせいな(難聴)
それから数分、さっきの女性が帰ってきたが『なぜか』服が乱れていて、息遣いも荒かっt
「死ねぇ──!」
「「「きゃああああああああっ!?」」」
おい愛莉!飲食店の中でクリーム砲ぶっ放すなよ!……あれ?なんか悲鳴が多い気がする。
「テメェ、やりやがったな!」
「出てこい
奥からクリーム塗れになった茉奈と紗乃がブチギレ状態で登場。紗乃の手には愛莉のとよく似たバズーカが握られている。
「上等よ!ここじゃ迷惑だから表でケリつけたるわ!」
そう言い残して愛莉も店の外へと消えていく。いやその了見はあるんかい。
「……ねえ、吉野君」
「……はい」
「愛莉ちゃん達っていつもあんな風なのかい?」
「すいません、うちのアホ共がホントすいません……」orz
ちなみに、灯佳はあの3人に流される事なく、きちんと仕事をやっていた。えらいぞ。
「ありがとうございましたー」
午後9時、最後の客を送り出して俺達の今日のバイトは終了。各々後片付けを済ませて制服に着替える。
「いやー、助かったよ翔悟君」
「いえいえ、こちらこそあのアホタレを止めるの手伝ってもらってありがとうございます」
そう、あの後クリームとデスソースで場外乱闘を繰り広げていたのを俺と店長さんで一緒になって止めに行ったのだ。本当に感謝してもしきれない。よくクビにしなかった事よ……
「まあ、クビにしちゃうとまた人手を探さないといけなくなるしね……それに彼女達、この辺りではちょっとした有名人になってるから、集客効果は抜群だしね。陽葉の子も前より沢山来てくれるようになったんだよ」
へぇ、思わぬ副産物があったんだ。
「翔悟、着替え終わったわよ」
「うぅ、まだ痛い……」
そうこう話していると愛莉達が出てきた。灯佳以外の三人の頭には大きなたんこぶが出来ている。
「お前らが場外乱闘しまくって人様に迷惑かけたからだろ?」
「「「ひどいよ!実力行使だなんて!」」」
「あ?」
「「「すいませんでした」」」
全く、こいつらは……
「じゃあ、またよろしくね」
「お疲れ様でした!」
店長さんに別れを告げ、店を後にする。ちなみに愛莉と茉奈の二人は用があるようで急いで帰っていった。さて、これで紗乃と灯佳の二人が残ったわけだが……
「じゃあ翔悟、私達もこれで……」
「待った」
……そろそろ切り出すか。
「なあ、二人とも。何か俺と愛莉達に隠してる事はないか?」
「「!!」」
こっからちょっとだけシリアスが入ります。まあそれもハチャメチャ要素で吹っ飛びそうなんだけど。