ソードアートオンライン~the Only Enjoy Day Was Yesterday~   作:RIM-156 SM-2ER

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今回からSAOの二次創作を投稿したします。皆様、楽しんでいただけると幸いです。


プロローグ

ツゥと背筋を汗が流れる。間違いなく、この地域特有の暑さだけが原因ではない。

目の前にある光景が、ケンに緊張からくる汗を誘発しているのだ。そのせいで、ボディーアーマーの下に着込んだ迷彩服は、汗を吸ったせいでぐっしょり濡れている。

 

「Mother fucker・・・・!」

 

隣にいるプラッテ二等兵曹が、フォアグリップやレーザーサイトなど多様なアクセサリーをつけてあるHK416を構えながら、独特なだみ声でスラングをつぶやく。ケンも口にこそ出さないものの、隣にいるプラッテ兵曹と同じ気持ちだった。

その汗と怒りの原因は、目の前で自爆ベストを身に着けさせられて、泣きながら立っている6歳~10歳くらいの姉妹と、テロリスト御用達のAK-47をもって隠れている男である。

 

let the kid go(その子を解放しろ)!」

 

プラッテ兵曹は、かなり高圧的な口調で、HK416を構えながら男が抱えている子供を離すように命令した。さっきから男を狙い撃ちにしようと狙ってみるが、完全に姉妹の陰に隠れてしまって撃てそうにない。

姉妹が伏せるなりしてくれればテロリストを制圧できるのだが、さっきから泣いていて期待できそうにない。

 

「グスッ・・・・助けて・・・・」

 

姉妹のうち姉と思わしき、10歳くらいの少女が泣きながら日本語で助けを求めてきた。

 

「ッ!」

 

プラッテ兵曹はガチガチのドイツ系アメリカ人であり、日本語は一切わからない。しかしながら、日系アメリカ人でもあり、日本にも行ったことのあるケンはその言葉の意味が分かった。

まだあどけない少女が、自爆ベストをつけさせられて何かがら助けを求めてくる。その状況と、過去の体験、そして数日前に()()した幼馴染との思い出がよみがえる。そして、一瞬ではあるものの意識がそっちに行ってしまった。

しかし、テロリストはそれを見逃すほど甘くはなかった。ケンが一瞬意識をそらしたのに気づくとすぐさま、身を乗り出してAKを構えた。

 

「しまっ!!」

 

とっさに自分が持っていたHK417を撃とうとするが、相手の方が早かった。子供を抑えている関係上、相手はどうしても片手撃ちであったが、ケンとテロリストとの距離は50mもない。7.62㎜×39㎜弾が入った特徴的な30連バナナマガジンが空になるほど打ち尽くせば、ケンに数発は当たるに違いない。

急所となる胴体や頭はボディーアーマーとヘルメットで守っているが、同じく急所であるが首や顔面、太ももなどは防護されていない。

 

――死ぬ・・・・!

 

そう思ってケンが覚悟を決めたときであった。

 

「ケン!」

 

横から独特なだみ声で、ケンの名前が叫ばれた。それと同時に、ケンにドンという衝撃が加わり、そしてダダダという重厚な破裂音とパンパンパンという軽快な破裂音が走った。

 

―――――――――――――――

 

「兵曹ッ!!!」

 

その大声とともに、ケン・タニザキ・ブラットリーは飛び起きた。悪夢を見ていた影響か、服も布団も寝汗でびっしょりだった。

チッと舌打ちをすると、ケンは顔についた寝汗を手で拭って、近くにおいてあったミネラルウォーターを飲む。異様に水分を失った体には、ぬるいミネラルウォーターの水は染み渡った。

ペットボトルを持ったまま、ケンはのっそりとベットから這い出ると、窓に近寄ってカーテンを開ける。朝焼けの空を見ながら、もう一度グイッと水を飲む。

さっきまで500mlペットボトル一杯にあった水は、もはや半分も残っていない。

 

「プラッテ兵曹、()()()()・・・・()()()()・・・・」

 

ケンは3人の名前をつぶやく。ケンの脳裏には、血に染まる砂漠迷彩服と血がべっとりついた手がよぎった。

 

「チッ・・・・」

 

俺はもう一度舌打ちすると、ミネラルウォーターを全部飲み干して、捨てやすいようにと柔らかく作られたペットボトルをクシャっと握りつぶした。

その時、下から老婆の声がする。

 

「ケン!起きたの?」

「ああ、ばあちゃんか・・・・。今起きた!」

 

ケンは祖母からの呼びかけにそう応じた。おそらく優しい祖母が朝ごはんを作ってくれているのだろう。

ケンはトーストや目玉焼きとコーヒーというアメリカ式の朝食も好きだが、日本の祖母が作った麦飯に味噌汁に焼き魚という献立の和風な朝食も好物だった。

今日の朝食は何だろうかと思いつつ、部屋から出て行った。

誰もいなくなった部屋の写真立てには、ケンと肩を組むもう一人の砂漠迷彩服に身を包んだ男の写真があった。

 

―――――――――――――――

 

その日の昼、ケンはガガガというディーゼルエンジンが発する小刻みな振動を感じながら、耕耘機を操作していた。

ここは日本にいるケンの祖母が持っている畑だった。ケンの祖父母は米農家で、数年前までは大きな田んぼを有していた。しかし、4年前に俺がアメリカ海軍に入隊したのと同時期くらいに祖父が病気で死んだのをきっかけに、祖母は稲作をやめて、小さな畑で大根やカブ、ナスなどを育てるのみとなっていた。

小さいとはいえ畑をしているからか、73にしてはケンの祖母はとてもパワフルで、10㎏の肥料の袋を2つも軽々と持ち上げていて、ケンやケンの母に少し教えてもらっただけでパソコンやスマホも使いこなせるような聡明な人である。

その祖母を手伝って、ケンも畑にいたのだ。

 

「ケン!そろそろ休憩にしようか」

 

水筒と風呂敷を掲げて、祖母はそう言ってきた。ケンは「わかった」とだけ言うと、耕耘機のエンジンを止めて、近くの水道で土に汚れた手を洗ってから祖母のもとに向かった。

祖母はすでに風呂敷を広げていた。中にはラップでくるまれた、祖母お手製の塩むすびが入っていた。近くにあった紙コップには、麦茶が入っていた。

 

「うめぇ・・・・」

 

塩むすびはちょうどいい塩加減で、それを冷たい麦茶で流し込んだ。風が近くにあった竹林の竹を揺らす。

まったくもって平和といって差し支えない景色であった。

 

――あの作戦も嘘だったみたいだ・・・・

 

ケンは数か月前に従事したある作戦のことを思い出した。砂漠迷彩服に広がる黒っぽいしみと手にべっとりと付いた血、それらが脳裏をフラッシュバックする。

 

「・・・・ッ」

「大丈夫かい?」

 

元気にふるまっていても、聡明な祖母にはバレバレであった。心配そうな表情で、ケンの顔を覗き込んでいた。祖母を心配させたくない一心で、ケンはにこっとアメリカ人らしい笑みを返した。

 

「大丈夫だよ!それよりも・・・・」

「ん?どうしたんだい?」

「明日、出かけるから。どうしても買いたいものがあってね」

 

ケンは話を逸らすことにした。とはいっても、買いたいものがあるのは間違いではない。ケンの親友が、どうしても欲しいといっていたあるゲーム。そいつを買おうと思っていたのだ。

 

「わかったよ。お祖母ちゃんは一人で全然大丈夫だから、行ってらっしゃい」

「ありがとう。そうするよ」

 

ケンはお礼を言うと、最後の塩むすびを口の中に放り込んで飲み込んだ。

 

―――――――――――――――

 

視界が若干赤い、耳がキーンとなっていてよく聞こえない。体中が痛い、よく見るとところどころボディーアーマーで防護されていないところから血が出ている。

顔や手は土埃にまみれ、ケンは無様に地面に転がっていた。

 

「な、なにが・・・・」

 

なぜこうなっているのかとっさに思い出せなかったが、兵士の性か「これは攻撃だ」と判断して、近くに転がっていた銃に手を伸ばした。

M4アサルトライフル、ドットサイトやレーザーサイトが付いたそれは、半世紀近く米兵の横にあった傑作銃だ。ケンの普段使っている銃とは違うが、同じAR系の銃であるためほとんど操作感は変わらない。

ここまで10秒とかかっていなかったが、ケンにはだいぶ長い時間がたったように思えた。慣れた手つきで、セーフティを解除して構えたところで、ケンは思い出した。そして、さっきまでしゃべっていた幼馴染がいたであろう方を見る。

 

「チャック!!」

 

そこにはうつぶせに倒れて、ピクリとも動かない砂漠迷彩の装備に身を包んだ海兵隊員がいた。いや、正確にはその下に4,5歳くらいの子供が泣き叫んでいた。

ケンは慌てて立ち上がろうとしたが、けがをした影響か、慌てていたからか、足にうまいこと力が入らず、半ば四つん這いのようになって親友のもとに駆け寄る。

ずれたヘルメットの淵をつかんであげると、幼馴染の体をひっくり返して子供の上からどかすと、そのまま抱きかかえて揺さぶった。

 

「しっかりしろ!チャック!!」

 

―――――――――――――――

 

ケンはそこで目が覚めた。ケンがいたのは土埃が舞う戦場ではなく、ガタンガタンと定期的に揺れる電車の中であった。

 

「嫌な夢を見たな・・・・」

 

ケンは顔をしかめて、眉間をつまむ。すると抱えていたカバンがするっと落ちそうになる。

 

「おっと、危ない」

 

慌てて落ちないようにカバンをつかむと、中を覗き込む。そこには、今話題のある最新ゲームが入っていた。その名も「ソードアートオンライン」世界初のVRMMOゲームということで、世界中で話題となっているゲームだ。

ケンの親友もゲームが好きで、誘われて一緒にFPSやMMORPGゲームをしたことがつい昨日のように思える。その親友が、よく話題にしていて休暇をとって日本に買いに行こうとしていたくらいであった。おそらくあんな夢を見たのも、このゲームのせいなのだろう。

ケンが日本に来たのは祖母に会いに来たというのもあるが、このゲームを買おうと思ったのも理由の一つであった。

親友の影響で、FPSやMMORPGのプレイヤーになってから10年以上。世界初のVRMMOを自分でプレーしてみたいというのもあったが、親友が見たがっていた世界をこの目で確かめてみたいという気持ちもあった。

 

「もうあれから4か月もたったのか」

 

ケンはカバンからスマホを取り出すと、指紋認証をクリアしてフォルダからある写真を出した。中東の任地で撮った一枚だ。砂漠使用のライトカーキに塗装されたJLTVを背に同世代くらいの米兵と肩を組んで映るケンの姿がそこにあった。




いかがでしたでしょうか?
原作の雰囲気とかなり違う始まり方に困惑された方もいるでしょうか?
さて、本編でもわかる通り、主人公のケン・T・ブラットリー君は某国軍に所属している現役軍人という設定です。
どこの所属かわかった人はツイッターのDMか、ハーメルンのDMで行ってくれるとありがたいです。
多分、その手に詳しい人はもう分ってそうですね。
ではまた次回、さようならぁ!

次回 第1話 SAO
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