ツインズ・ゴー!   作:レイラレイラ

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ぼっち・ざ・ろっくを見て書きたい熱が高まったので投稿です

今話の時系列は中3になる直前の春休みです


運命の出会い①

 

 皆さんは運命というものを信じますか? 

 

 あっ、違いますよ!? 

 

 決して怪しい宗教のお誘いとか、思春期特有の病を抱えているだとかそういったものじゃないから! 

 

 占いとか予言だとかそういうものは肯定も否定もしない、あくまでも友達との話題作りに使うような、ごくありふれたものだった。

 

 ラッキーカラーをたまたま身につけてたら、ああ今日はいいことありそうみたいなそんな感じだ。

 

 いつものように家族で仲良く朝食を取っていた時、毎朝チェックしているニュース番組の占いコーナーでこう言っていた。

 

『今日のベストラッキーは4月生まれのあなた! 少し遠くにお出かけすると運命の出会いがあるかも! ラッキーカラーは赤!』

 

 みたいな、正にピンポイントで私のことを指しているみたいで何だか少し嬉しかったのは否定出来ないけどね。

 

「何だかすごいピンポイントで私達のこと指してるみたいね。もしかしたら本当に運命の出会いとか起きちゃったりして!」

 

「そう上手くいくかしら。私は今の対人関係で満足してるし、イソスタとかでも色んな人と交流してるぶん、そういう出会いなんて容易に作れそうな気がするわ」

 

「郁乃が言いたいこともわかるけど、信じてみないと何も始まらないわよ。こういうのは行動してこそだと私は思うの!」

 

「…………そうね。お姉ちゃんの言う通り、かも。うん、そうよね。きっと、メイビー」

 

「断定の要素がない!? 言ってるこっちが不安になってくるんだけど!」

 

 私の双子の姉である喜多郁代の前向きさに、どうにも頭が上がらなくてテーブルに頭をぶつけるどころか貫通して地球まで行ってしまいそうだった。

 

 普段はお姉ちゃんと似たり寄ったりの性格な私だけど、朝に弱いためにネガティブな反応をしてしまうのはお許し願いたい。

 

 お姉ちゃんは学年ヒエラルキーでも上位に君臨する陽キャで、明るくて優しくて、身内贔屓かもしれないけどとにかく素敵な女の子。お姉ちゃん以上に可愛い女の子に私は出会ったことがない。

 

 鏡で同じ顔を見てても私の顔だと思うだけだけど、直にこうしてお姉ちゃんの愛らしい顔を見ているとこの世のストレスから解放された気分になる。

 

 きっとサ○ヤ人もお姉ちゃんの可愛さにやられてしまうだろう。

 

 世界の全てがお姉ちゃんで出来ていたらよかったのに。

 

 可愛いは正義もとい、お姉ちゃんは正義。

 

 ダメダメ! いつもの私に戻るのよ喜多郁乃!! 

 

「ちょっと郁乃!? エナドリを頭にかけようとしないの! 早く顔を洗ってきなさい!」

 

 おっと、またやらかしてしまうところだったわ。

 

 ありがとうお姉ちゃん。

 

 今度お礼にハニートースト作ってあげるね。

 

 そしてお姉ちゃんに言われるがまま(監視付き)、顔を洗ってスッキリしたところでネガティブ思考も遥か彼方に飛んでいった。

 

「あ! そういえば今日は何かイベントがあるとか言ってなかった? たしか、ガンサムっていうアニメの。早く行かないと遅れちゃうわ」

 

「ガ○ダムだよお姉ちゃん」

 

 ガンサムだとパロってる方になっちゃうでしょうが。

 

 非オタのお姉ちゃんには同じようなものかもしれないけど、私達みたいな人種からすれば場合によっては地雷を踏むことになりかねないんだから。

 

 石田ボイスのせいで目を瞑ってたら完全にアスランだったし。

 

 フリルたっぷりでオフショルダーのブラウスと黒のミニスカートで少し攻めたコーデにしたはいいものの、内心アニメイベントに行く格好じゃないよなと思いながら花の女子高生たるもの常に可愛くあろうとするのは間違ってないと思う。

 

「じゃあお姉ちゃん、いつものやっちゃいましょう」

 

「ポーズはどうするの?」

 

「おまかせで」

 

 パシャ! 

 

 撮れた写真には、私達が俗に言う虫歯ポーズでそれぞれの頬を押さえている姿が収められていた。

 

 私が右手でお姉ちゃんの右頬を押さえ、お姉ちゃんが左手で私の左頬を押さえるというまさに双子だからこそ映える形になったんじゃないかしら。

 

「あはは! さすがお姉ちゃんわかってる!」

 

「妹の考えてることだもの。こういう時に察してこそのお姉ちゃんでしょ」

 

「オタクカルチャーのこと以外はだけどね」

 

 本当にそこ以外は私のことをわかってくれるのよね。

 

 まあ無理に勧めるものでもないし、ネットには同士がたくさんいるから寂しくない。

 

 ないったらない。

 

 とりあえずイソスタには『アニメイベント行ってきます! お姉ちゃんは行かないけど!』で投稿っと。

 

「それじゃ行ってくるね。お土産は味噌煮込みうどんでいいかしら」

 

「名古屋まで行く気なの!?」

 

 もちろん行くはずもない。

 

 小学校低学年の頃は行くよ~って答えてたけど、大泣きするほどに懇願されて止めざるを得なかった。

 

 キャラ付けとしては十分にありだと思うけど、お姉ちゃんみたいな人なら絶対に大人気取れるのに。

 

 荒療治になるけど今度の文化祭でクラスのスローガン『きた~! 行くよ~!』を入れたものを考えてみるのもあり…………

 

「スローガンにするとか止めなさい。卒業までネタにされる未来が見えるわ」

 

「あ、はい」

 

 もしかしたらお姉ちゃんはニュータイプかもしれない。

 

 それより私の肩がメキメキ言ってるから、反省とギブアップの意を込めてお姉ちゃんの手をポンポンと叩く。

 

 結局駅に到着するまで肩の痛みが消えることはなかった。

 

「これがお姉ちゃんに与えられた痛みだと思うと、何でこんなに気持ちいいのかしら…………!!」

 

 

「おかあさーん。このお姉ちゃん変なこと言ってるー」

 

「しっ。見ちゃ行けません!」

 

 

 …………つい声に出してしまったみたい。

 

 あれ、おかしいな。目から目汁が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■■

 

 

 

 

 

 

 結論から言ってしまえば、運命の出会いは確かにあった。

 

 イベントの帰りに事前にチェックしていたお店巡りをしていたところで、私は()()と出会った。

 

 服屋さんとかチョコレート専門店などのオシャレなお店を一通りまわった後、たまたま近くに風情のある楽器屋さんを見つけたので行ってみることにする。

 

 ルンルン気分で中に入ろうとしたんだけど、お店の外でピンク色のジャージを着た挙動不審な女の子がうろうろしていて私はそれがどうしても気になってしまった。

 

 困っている人を見るとどうにも放っておけないのは幼い頃からの性分で、助けた後に嬉しそうに笑ってくれると私も胸の内が暖かくなる。

 

 それに名前も知らない子とはいえ、目的も果たせずにこのまま帰らせるのは不憫だからね。

 

「ねぇ? あなたお店に入りたいなら、私が案内してあげるわよ。と言っても、私も来るの初めてなんだけど。なーんちゃ……って……」

 

「…………!」

 

 おどけて緊張を解そうと発した言葉は、尻すぼみになって消えていくほどに私は雷に撃たれたみたいに強い衝撃を受けた。

 

 肩の辺りまである髪は新鮮な桃みたいに鮮やかなピンク色で、今にもかぶりつきたくなるような気分にさせられる。

 

 顔も振り向きざまの一瞬しか見えなかったけど、間違いなくモデルとかアイドルも目指せるレベルの美少女だと断言してもいい。

 

 心臓が爆発するんじゃないかと錯覚するほど痛くて、顔も鏡なんて見なくてもわかるくらい赤くて火照ってる。

 

 それと同時に思い出した運命の出会いという言葉。

 

 それを『言葉』ではなく『心』で理解できた!! 

 

「この気持ち、まさしく愛だわ!!」

 

「ひえっ!」

 

 いけないいけない、つい感情が昂って怖がらせてしまったわ。

 

 突然知らない人に愛とか言われてもイタい人とか、既に不審者丸出しの行動すぎて今さらながら自分でもどうなんだと反省する。

 

「いきなりごめんなさい! 私は喜多郁乃。あなたは?」

 

「あっ、後藤ひとりです」

 

「よろしくね。それでね、よかったらなんだけど…………ちょっと私とお茶でもしない?」

 

 相当私もテンパってるらしい。

 

 言ってること完全にナンパする人のそれだし。

 

 後藤さんも完全にヤバい人を見る目になってるし、私ってこんなに会話下手だったかしら。

 

 私の人生初の黒歴史が生まれた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 





喜多郁乃

喜多ちゃん(喜多郁代)の双子の妹。
陽キャとオタクのハイブリッド
結束バンドではキーボード担当
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