狂気山脈〜邪神の山嶺〜   作:赤宮真琴

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 まだら牛様のシナリオ"狂気山脈〜邪神の山嶺〜"のリプレイ風小説です。


顔合わせ

 山は美しい場所だが、同時に恐ろしい場所でもある。私はそれを、今回の登山で深く心に刻む事となった。

 

 ◆◆◆

 ──オーストラリアの某所。

 

 登山道具が所狭しと壁にかけられたロッジのような所で、暖炉がパチパチと音を立てて部屋を温めている。

 

 今日が、我々"第二次登山隊"初の顔合わせとなる。ちらりと横目にメンバーを見やるが、全員が全員登山界、そうでなくとも何かしらの業界においてのエキスパート達ばかりだ。──かくいう私もその一人だと自負しているが。

 私達の中心に座っている50代くらいだろうか、それぐらいの年齢だと思われる白髪の男性が喋りだす。

 

「皆、集まってくれてありがとう。僕はケヴィン・キングストンだ。イニシャルをとって、よく『K2』と呼ばれている。そう呼んでくれるとうれしい。もちろん、イニシャルに恥じないよう、K2の単独登頂は制覇している」

 

 ケヴィン・キングストン。登山界ではかなり有名なイギリス人の登山家だ。彼と会えたのは光栄な事である。

 

「K2……」

 

 誰かの声が漏れた。自覚はないが、もしかしたらそれは私だったのかもしれない。

 K2は、カラコルム山脈にある山で、標高は8,611m。エベレストに次ぐ世界()3()()の高さである。パキスタンのギルギット・バルティスタン州と、中華人民共和国のウイグル自治区との国境に位置する。

 今回登頂する山が発見されるまでは世界第2位だった山であり、それを1人で制覇したというのは、人間業ではないと言える。

 

「今回のパーティのリーダーを務めることになった、よろしく頼むよ。ここに集まった僕を含む6人、初対面の者も多いだろう。まずは自己紹介を頼む」

 

 リーダーであるK2がそう促し、私の丁度真ん前にいる日本人が立ち上がり、自己紹介を始めた。

 

「……俺は田畑広太、よろしく頼む」

 

 田畑広太。日本人の有名な登山家。近年の登山界で最も知名度がある登山家だろう。K2しか比較対象がいないからというのもあるが、どうにも彼は口数が少ない方らしい。

 

 短く簡潔に自己紹介を終えた彼は席に座り、コーヒーを飲みだした。喉が乾いていたのかもしれない。

 

「そうか、君があの…会えて光栄だよMr.タバタケ」

「……どうも。──こちらこそ」

 

 互いに互いを認知していたらしい。K2は田畑さんに握手を求め、田畑さんは無愛想ながらそれに応じていた。

 

「あらぁ、じゃあ次はアタシね☆ アタシは春桜里美(さとよし)、気軽にサトミって呼んでね☆ 今回参加した理由はさっき自己紹介してた広太ちゃんを格好良く撮るためよ、よろしくね広太ちゃん☆」

「──あぁ」

 

 ──随分と個性がある人だな。前にも会ったけど、その時から変わらない人だ。

 春桜里美、凄腕の記者なのだがオカマである。以前取材を受けたのだがかなり気遣ってくれたので、個人的には既に好感は他の人より上だ。どうやら彼……いや、彼女はマスゴミと呼ばれるような事を嫌い、真っ当なマスコミ……記者である事に誇りを持っているようで、私の時のように取材相手にかなり気を回してくれる良い記者のようだ。

 

 本人が言った通り今回は田畑さんを取材しにきたらしい。それを知ってたのか、それともその個性に圧倒されているのか、田畑さんは一言簡潔に答えてまたコーヒーを飲み始めた。

 

「これはまた個性的な……ミスター──いや、Ms.ハルザクラは登山の経験は?」

「勿論有るわよ? アタシは妥協しない性格でね、どんな困難が待ち受けようとアタシは必ずジャーナリストとして取材するわ☆」

「ははは、それは頼もしいな」

 

 一通り喋り終わった春桜さんは座り、自前のカメラのメンテナンスを行っている。

 そして、私の隣に座っていた女性が立ち上がり自己紹介を始めた。

 

「穂高です。生まれは日本で、医者をしています。今回は、パーティの医療スタッフとして参加させてもらいます。職業登山家ってわけではないから、皆さんのような先鋭登山の実績があるわけじゃないけど、それなりに山を登ってるつもりではあります」

 

 穂高梓。国境なき医師団の紛争地帯を走り回りながら働く傍ら、休日にいろんな山を登っている女医だ。確か年齢は34だと聞いた覚えがあるが、容姿は20代にしか見えない。

 ……と、自己紹介を終えた梓さんの肩にK2が手を置き彼女についての補足を始めた。

 

「彼女は僕が個人的に声をかけたんだ、信頼していい。そこいらの自称登山家よりよっぽど登れるよ。技術も知識も十分だ、信頼してもらってかまわない」

 

 そう言って二人は座った。そして、次立ち上がったのは若く軽薄そうな表情の白人男性だ。

 身にまとっている衣服、装備はどれも高価なメーカーのものに見える……富豪なのだろうか。

 

「コージー、コージー・オスコーだ。出身はオーストラリア、よろしく」

「実は彼は、今回の登山隊のスポンサーとなってくれたオスコー財団の御曹司なんだ」

 

 ……なるほどオスコー財団の御曹司。どうりで高価な衣服、装備を持っているわけだ。それに今回の登山隊のスポンサーの御曹司、これは頭があがらないやもしれない。

 面倒なことになるかも……そんな事を考えていると、突然コージー氏は激高した。

 

「おいおい、御曹司だなんて呼び方やめてくれよ。俺はいわゆる金持ちのボンボンとは違う。自分の足で自然に抗う、一流のアルピニストだ。今回の登山だって、親父が金を出さなかったとしても俺は登っていた。いいか? 俺は俺の力で登るんだ。オスコー家の力で登るんじゃない」

 

 と言って、怒りが収まらないのかドカッと椅子に座った。全員が沈黙し、気まずい空気が流れる。K2は苦笑しつつも話を繋ぐ。

 

「ま、まぁ……そういうわけだ。じゃあ最後に、自己紹介を頼むよ、先生」

 

 皆の注目が集まる。最後に挨拶する奴は一体何者かと、一斉にこちらを見やる。

 内心冷や汗を流しながらも、私は立ち上がる。

 

「……今回、()()()()()()もあって、この登山隊に志願した──志村美幸だ。一応登山関連のアドバイスを纏めた本や、登山にまつわる小説を執筆している……まぁ、小説家だ。ペンネームはMeluで、山は8歳から登っている。素人というわけではない……よろしく頼む」

「貴方のような登山アドバイザーが一緒に来てくれるなら、ありがたいよ、Ms.ミユキ」

「……こちらこそ、貴方のようなベテランと一緒なら、心強い。それに、日本人もいるようだし、心細くはならなさそうだ」

 

 その言葉に田畑さんはこちらを一瞥し、春桜さんはウィンクを寄越した。穂高さんもこちらに微笑を向けてくれた。

 だが、コージー氏はハンッとそっぽを向いた。私が気に入らないのだろうか……?

 

「……おい、おいっ! こっちをそうジロジロと見るんじゃない!」

「……コージー氏の癇に障ったのなら謝罪しよう、すまない」

「っ……い、や……ただ視線が気になっただけだ。それと、『氏』はいらない」

「では……貴方の事はコージーと呼ぼう。いいだろうか?」

「……あぁ、それでいい」

 

 そのままコージーは目を伏せた。頬が紅くなっているように見えるが、ロッジ内の暖炉の火の影響だろう。

 ……解せないのは、その様子に微笑ましいものを見たような顔をする春桜さんとK2だろうか。

 

「まぁ、仲を深められたようで何よりだ。では、ブリーフィングを始めよう」

 

 K2の一言で、本格的に計画を練っていくことになったのだった──。




キャラクター説明

志村美幸
PL:投稿者
年齢:25歳 性別:女性
職業:小説家兼登山家
学歴:恒星高校卒 出身:江深県 片逆市
能力値※
STR(筋力):17 DEX(器用):15 INT(知能):17
CON(体力):16 APP(美貌):18 POW(精神):18
SIZ(身長):18 EDU(教養):20 ダメージ・ボーナス:+1d6
SAN(POW×5):90 アイデア(INT×5):85 幸運(POW×5):90 知識(EDU×5):99
※3d6で最大値は18。EDUのみ特殊で最大値21
登山技能(当時)
ナビゲート:80 登攀:80 ピッケル:80(=登攀の技能値)
アイゼン:60(=キックの技能値) 跳躍:70
キック:60 追跡:70
特筆すべき技能(当時)
製作:小説:50 応急手当:60 信用:50 他の言語(英語):50
目星:75 聞き耳:75
ハンドアウト
第一次登山隊に参加していた友人の捜索


余談
本家ではコージーは穂高梓に好意的だが、これはAPP(美貌)がメンバー中一番だったため。今回は探索者の一人である志村美幸がシナリオ中最高のAPP(美貌)のためこちらに好意的になっている、らしい。
コージーには好感度が存在しているらしく、
現在は志村美幸>穂高梓>K2>田畑広太>春桜里美のようだ。
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