ファンタジーの存在しない現代世界だと思ってたらいきなり異能力バトル系デスゲーム始まった 作:セフィール
突然だが、私は転生者だ。
人生の夏休みを謳歌していた一般男子大学生だったんだが、ある日階段で足を滑らして、打ち所が悪かったのかそのまま死んだ。
と思ったらいつのまにやら真っ白な部屋にいた。そしてそこにはくじ引きを持った白くて長いひげをはやした光輝く爺さんがいて、くじを引いたら『お前は運が良い』とかなんとか言われて、転生することになった。
どうやらお爺さんは転生の神様だったらしい。
で、その時にサイコロを二回振らされて、出た目が6と4。
そしたら、『好きなアニメや漫画を四つ挙げろ。その中で一番好きな作品からは一つ、他の三作品からは二人ずつ好きなキャラを言えって言われた。』
だから言う通り、『蜘蛛ですが、何か?』から『管理者D』。『呪術廻戦』から『五条悟』と『伏黒甚爾』。『とある魔術の
の計四つの作品と七人のキャラを言った。
これが何か聞いたら、一番好きな作品の一番好きなキャラは、転生後の私の姿。そして他の3作品から出した六人能力を私にくれるという。
チート転生キター!て思ったね。
管理者Dの姿は若葉姫色という高校生、それも超絶美少女。嬉しくないはずがない。まあ私は、容姿よりそのニャルラトホテプ的な上位者特有の愉悦部精神が好きなんだけどね。
五条悟は『無下限呪術』という数式上に存在する無限を現実にする呪術と、呪力の消費をほぼゼロにする『六眼』を持つ最強の呪術師。無下限呪術は絶対的な防御と、とてつもない破壊力を併せ持つ無敵に近い力。しかも五条悟は、『反転術式』という自己回復技も習得している。全部この人手いいんじゃないかな?と思ってしまう。五条先生とお呼びしたい。
伏黒甚爾は、『天与呪縛』という呪力を全く持たない代わりに超人的な身体能力を得る特異体質。しかも気配を消したり、様々な武器を使いこなしたりする高い技量の持ち主でもある。さらに知略にも秀でていて、その実力は一度とはいえ五条悟に瀕死の重傷を負わせるほど。ちなみに呪術廻戦メインキャラの一人、伏黒恵君のお父さんで、パパ黒と呼ばれている。
アクセラレータは、とある魔術の禁書目録の舞台である学園都市にて定められている能力者の階級で、一番上である『レベル5』に属している。しかもその序列は堂々の第1位。自他共に認める最強の超能力者。そしてその能力は、『ベクトル操作』。あらゆるベクトルを操作できるため、物理攻撃はもちろん電撃も炎も放射線も全て効かないどころか跳ね返される。まさに一方通行。私は一方さんと呼んでる。
御坂美琴は、アクセラレータと同じくレベル5に属している。レベル5がたった7人しかいないと言えば、そのすごさがわかると思う。能力は『
ちなみにとある魔術の禁書目録のヒロインでもある。
藤原妹紅は、不老不死になる『蓬莱の薬』を飲んだ蓬莱人。能力はそのまま『老いることも死ぬこともない程度の能力』。長い年月を生きているため、様々な知識と技術を得ている。得意とする炎の妖術以外にも御札や陰陽の術なども使える。不死で炎使いなためか不死鳥をモチーフにした技が多く、不死を利用した自爆技も持つ。東方プロジェクトの舞台である『幻想郷』でも上位の実力者。愛称はもこたん。
八雲紫は幻想郷でも最年長クラスに長生きをしている賢者。能力は『境界を操る程度の能力』。その力はまさにチート級。『スキマ』と呼ばれる空間の切れ目を介してどこへでも移動したり、夜を留めたり、はてには夢の世界のものを現実に取り出したりしている。幻想郷でも最上位の実力者。愛称はゆかりん。
これら六人の、チートオブチートな能力を全てもらえる。破格すぎる。
ただこの時、ちょっと残念に思った。わかってたらもうちょっとちゃんと選んだのになと。
例えば、Dより白織さんみたいな白髪赤目になりたいと思ってたし、能力ならパパ黒より恵君の十種影法術の方が絶対便利だ。
五条先生も一方さんもどっちも大好きなキャラだけど、能力でできることがちょっと被ってる気がするんだよねぇ。
それに美琴ちゃん好きだけど、戦闘系能力は五条先生か一方さんのどっちかいれば十分だから、食蜂さんとか欲しかったなあ。
ゆかりんのは絶対欲しい。けどもこたん、不老不死はいいとして、炎の能力はそんないらない。同じ不死の蓬莱人なら、えーりんか輝夜の能力の方が欲しい。特にえーりんの天才。
でも変更は受け付けないって言われちゃったし、それにキャラはすごく好きだからね。ちょびっと残念には思うだけで不満はないからね。
さて、そんなわけで転生した私は、どんな世界なのかワクワクしてたんだ。おっぱい飲んだりオムツを変えられたりしながら、「やっぱり王道ナーロッパ世界か。それとも現代風ファンタジー世界か。はたまた近未来的ディストピアか。」そんな妄想を膨らませていた。
やっぱりさ、無双ってロマンじゃん?
美少女が、敵の一切合切を薙ぎはらうのって、かっこよくない?
理想のキャラを理想のシチュエーションでロールプレイしてみたいじゃん?
一人称だって、頑張って俺から私に変えたり、ロールプレイのチャンスをふいにしないよう日頃からイメージトレーニングに勤しんだり。
まあありていに言って、期待してたよね。
けれども、ある時気づいてしまったんだ。
あ、この世界、普通だって。
私が生まれたのは、細部はともかくおおよそ地球と同じような世界の、日ノ本という名前のほぼ日本みたいな国。
三歳ぐらいまでは、そんなことにも気づかずに妄想に耽っていられたんだ。
「表面上は平和な現代日本そのものだな。となると、呪術廻戦やFateみたいに超常の力やモノは表向き隠されてるのかな?それか、BLEACHみたいにそもそも人間じゃ関わりようが無いとか?とある系の学園都市みたいに隔離された地域があるパターンかもしれない。」
とか考えてた。
なんなら、「どうせ転生者なんだから、何にもせずとも向こうからそういうのって寄ってくるでしょ。まあ、あんまりにも遅かったら、色々探ってみるのもおもしろそうだなぁ。」なんて余裕もあった。
けれど私は、あんまり我慢できる質ではないので、ある程度動けるようになったら行動を開始したんだ。
私は六人のキャラの、チートと言うにふさわしい能力を持っている。そしてそのキャラ達は、全員頭が良い。特に一方さんとゆかりんはスパコンレベルで数字に強い。つまり何が言いたいかというと、ちょっと勉強すればハッキングなんて簡単だったってこと。
さらにゆかりんのスキマや五条先生の瞬間移動など、移動能力に優れた力もあって、美琴ちゃんにかかれば監視カメラの無力化だってお茶の子さいさい。しかも伏黒甚爾という、いわゆる裏の世界でのやり方を心得た人物の能力のおかげでたいした失敗もしなかった。
そう。転生の神様が言ってたキャラの能力って、その人の経験や技術、知識まで含めたものだったんだ。
これのおかげで、どの能力も最初から本家同様使えたし、ものすごい量の知識も得ることができた。特にゆかりんのはすごかったね。さすが長生きなだけはある。
とまあそんな感じに、合法非合法問わず様々な方法で探し回ってた。途中から、自分でも何を見つけようとしてるのかわからなくなりそうになりながらも探し回った。
そんなことを20歳まで続けて、ようやく私は悟った。
この世界に、ファンタジーは存在しないと。
この世界には、魔法も超能力も存在しない。表には隠された超常の世界なんて無いし、ましてや世界をどうこうする悪の秘密結社もない。普段は力を隠してる人知れず人を助けるヒーローもいない。とんでもない技術力を持った天才的なマッドサイエンティストも、妖精と契約した魔法少女もいない。
ごくごく普通の、現代社会。様々な問題をはらみながらも、日ノ本はかなり平和だ。
確かに刺激的な非日常には憧れる。けれども、平和というのは本来得難いものだ。
そんな、諦め半分、建前半分の気持ちで自分を納得させ、私は普通の人生を歩んで───
───気づけば27歳。立派なアラサーである。そろそろ、お姉さんではなくおばさんと呼ばれることになるだろう。
まあ、妹紅の『老いることも死ぬこともない程度の能力』で、私の容姿は高校生のころから姿も何も変わっちゃいない。もう十年ぐらい『若葉姫色』そのまんまである。幸い、まだ不老だということはばれてない。せいぜい若くて羨ましがられる程度だ。
今は、大学病院で医者をやってる。
優秀な頭脳の持ち主の能力ばかりもらったからね。医者になるぐらいなら、そう難しくなかった。なんなら医大生のときに司法試験も合格して、弁護士資格も取った。テレビで両方の資格を取った人を見てから、やってみたかったんだよねぇ。前世では絶対無理だったけど、今なら可能だということに気づいたら、いてもたってもいられず取ってしまった。
まあ、だからといって特に何があったわけでもないんだけどね。何回か雑誌の取材を受けたぐらい?テレビに出たりなんてちょっと期待してたけど、そんなこともなかった。……別に残念には思ってない。ないったらない。
そんなわけで、私はこの27年間それなりに普通の人生を歩んできた。20歳まではハッキングしたり立ち入り禁止区域に侵入したりしてたけど、まあ誤差でしょう。あれだ、若気の至りってやつ。みんなも黒歴史の一つや二つあるだろう?
それに20歳からはちゃんと折り合いをつけて、納得していたんだ。これからはできるだけ普通の人生を送ろうと。不老不死であるかぎり、いつかは限界がくるだろうけど、それまではと。
それなのに───
『今から皆さんには、殺し合いをしてもらいます。』
───なーんで、こうなるかなあ。