SAO RTA any% 75層決闘エンド   作:hukurou

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002 第2層前半

どうして見所さんを見殺しにしたんや! なRTAはーじまーるよー。

 

さて前回は1階層のボスを撃破したところでしたね。

ボス部屋奥の階段を上って2層についたら、主街区《ウルバス》でいらないボスドロップアイテムを売り払いましょう。持ち切れなかったボスドロップは大量にフロアに放置されているので何回か往復しなきゃいけません。

 

アイテムの売却が終わったら転移門広場に《立て札》を設置します。1層の隠しダンジョンで攻略情報を書いていたものですね。

 

SAOでは普通にプレイをすると最初の一ヶ月で二千人ほどのプレイヤーが死にますが、このチャートでは死亡者は極力減らします。

 

死者数を減らす方法は2つあります。

1つは早めに次の階層を解放することです。早期に階層が攻略されると、SAOって案外余裕なんじゃね? という楽観的な雰囲気を作ることができ、閉塞感や絶望感から自棄にはしるプレイヤーや、焦りから無理のある攻略速度をとるプレイヤーを減らせます。

 

2つ目は攻略情報を広めることです。

ログアウトが不可能で気軽に攻略サイトも見られない現状、情報の共有は死活問題です。

暗中模索で非効率的な動きをしているプレイヤーはいつまでも低レベルなままですし、やばい敵や危険なフィールドの情報が周知されるかはプレイヤーの生存率に直結する問題です。

 

まあ、攻略情報自体はほっといてもアルゴネキが広めてくれるんですけどね。初見さん。

彼女はのちに攻略情報をまとめた冊子を無料配布し、プレイヤーの危険を大きく減らしてくれる人物です。

くっそ有能だな。

 

しかしアルゴネキの動きは遅いです。正確には情報収集自体は早いんですが、それを他のプレイヤーに広めるためにわざわざコストと時間のかかる紙の冊子を使うんですよね。

 

はぁ~、つっかえ(手のひら返し)

 

そこで本チャートでは《立て札》を有効活用します。

 

これをプレイヤーがたくさん集まる転移門広場に設置し、攻略情報を書いておくことで、素早く大勢のプレイヤーに攻略情報を伝えることができるというわけです。

手間暇かかる攻略本の作成なんてやってらんねえよなぁ。

 

また一度この方法を広めると、《立て札》を使って攻略情報を共有する文化がプレイヤーの間で定着します。ネットの攻略Wikiのように各自が情報を持ち寄って公開しあう形式は、情報屋という一部の人間を介した伝達より圧倒的に速いです。

 

問題は《立て札》をどこに置くかです。試走の時にカヤバーンの演説直後に中央広場に立て札を設置した時は、多くのプレイヤーに目撃されたせいか、情報共有の責任者的な役割を押し付けられて無駄な仕事が増えました。

おお、ロスいロスい。

 

そんな役目は他のプレイヤーに押し付けるのが吉でしょう。

 

ということで今回は絶対に目撃者が出ない2層の転移門広場に《立て札》を設置していきます。

危険なモンスターのでるスポット。おすすめの装備。始まりの町の便利な施設。圏内で受けられるクエストの情報。あと幼い子供を見つけたら北の教会に連れてくるように書いておきます。この際圏外の攻略情報は安全にかかわる情報以外は書かないようにしておきましょう。初心者プレイヤーの欲を変に刺激してしまうとかえって死者数が増加することになります。

 

立て札の設置が終わったら適当に宿をとって寝ます。

 

えっ、転移門のアクティベートはしなくていいのかって?

 

SAO初心者ニキのために説明しておくと転移門とは各層の主街区に一つずつ設置されているワープポータルの事です。物理的に階層をつないでいる階段は迷宮区の奥にあり、立地が悪いのでプレイヤーの階層移動はこのポータルが主流となります。

 

転移門は前階層のボスモンスターが倒されると時間経過で勝手に開通しますが、プレイヤーが触れることで即座に開通させることもできます。

他のプレイヤーのために解放するもよし、ボス攻略の役得として階層を先行攻略するもよしと、プレイヤーの個性が出る選択ですね。

 

今回は、まあやらなくていいです。

こうしておくと、死ねばこの世界から解放されるって俺が証明してきてやるぜ的なノリで自殺するプレイヤーたちの数も抑えられます。多分プレイヤーの多くが転移門広場に集まり、見物してくれる人がいなくなるからだと思います。

かまってちゃんはスルー推奨だってはっきりわかんだね。

 

宿で寝て一晩したら、再び転移門に向かいましょう。

転移門前は2層を見物しに来たプレイヤーが大勢いますね。これでやっと1層に戻れます。

昨夜のうちに1層に戻ろうとすると開通されたばっかりの階層からやってくるプレイヤーとしてかなり目立ってしまいます。ボス攻略者の素性はチャート上もう少し後になるまで秘密にしておくため、一晩待った方がいいでしょう。

 

人ごみに混じって転移門をくぐったら、教会に向かいます。

シリカたちは……もう起きてますね。

じゃあ、彼女たちを連れて2層に戻りましょうか。

 

朝起きたらいなくなっていたことをいぶかしがられながら、転移門広場のカフェテラスで朝食をとります。SAOではとりあえず飢えないだけの食事には金がかかりませんが、おいしいものにはそれなりの値段がついています。大した金を持ってない子供達にはおごってやりましょう。

食べた分は肉体労働で返すんやで。

 

精神的に不安定になりがちな子供を安定させるために必要なものは三つあります。帰るべき家(K)。ベストフレンズ(B)。仕事(S)です。

悲観的な気分の時に暇な時間を与えるとろくなことになりません。シリカたちのためを思って仕事を用意してあげる保護者の鑑。

 

ということでシリカ他2名の小中学生には今日の仕事を言い渡します。

その名もβテスター狩り。

彼女たちにはこれから二手に分かれて武器屋と防具屋に張り込みをしてもらいます。指示する場所は大通りから離れた場所にある代わりに、やや高性能な品が販売されている店です。攻略情報を知っているなら真っ先に訪れるけど、ニュービーには見つかりづらい場所ですね。

 

ここで訪れるプレイヤーに片っ端からフレンド申請をしてもらいます。

普通なら見ず知らずの他人にそんなことをされても断るというプレイヤーもいますが、相手が子供なら別です。このゲームよくわからなくて、いざって時にβテスターの人に質問できるように連絡先教えてください的なことを、シリカやもう一人のメスガキに言わせておけばたいていのプレイヤーの連絡先はゲットできます。

あまりのオスガキ? まあ、張り込んでいる間の話し相手でもやっていればいいんじゃないですか(適当)

 

シリカたちを送り出した後も、しばらくカフェテラスに居座ります。わざわざ2層転移門前で食事をとっていたのには理由がありまして、2日目の朝に高確率で現れるプレイヤーを見つけるためなんですよね。

 

たまーにバタフライエフェクト的にプレイヤーの行動が変わり、現れない事もあるのんですが……おっ、きましたね。

 

忍者風の覆面を付けた不審者二人組、コタローとイスケです。彼らはβ時代に《風魔忍軍》というギルドで忍者風のロールプレイをしていたβテスターなのですが、なんとデスゲーム化したSAOにおいてもネタビルドの忍者プレイを続ける筋金入りの変態です。

 

彼らが2階層の《立て札》を読みに現れる理由は初心者向けの基礎情報の確認、ではなくとあるエクストラスキルの情報を求めてです。

 

エクストラスキルとは通常のスキルとは違い、特定の条件を満たした場合のみ取得できるスキルの事です。βテスト時代、彼らは《体術》というエクストラスキルが2階層で修得できるという情報をつかんだのですが、結局クエストの具体的な場所がわからず、習得まではできませんでした。

 

そんななか、正式版でも2層が開通され数か月越しのリベンジとばかりにクエスト情報を集めに来てるんですよね。

まあ、《立て札》にはエクストラスキルの存在なんて書いてないんですが。

 

意気消沈する二人にすかさず話しかけましょう。

 

まずうちさぁ、体術クエストあるんだけど…やってかない?

 

やったぜ!

仲間を二人ゲットしました。

 

2層はメインモンスターが牛に設定された階層です。オックスやカウと名のついたmobモンスターが多く、迷宮区にはトーラス族というミノタウロス的なモンスターが出現します。フィールドは森や山もありますが大部分は荒野で、西部劇みたいなイメージだと思います。知らんけど。

 

肝心のフロアボスですが、《アステリオス・ザ・トーラスキング》と前座の中ボス二体という構成です。大型化しているとはいえ、こいつらも例にもれずトーラス族です。この階層では一階層のように回廊結晶を使ったグリッチもどきは使えません。使えないというか、こいつらはクソ雑魚ナメクジなので使う必要がありません。普通に正々堂々と倒していきます。

 

とはいえ複数体のボスを一人で倒すのには無理があります。

 

そういう勇気は匹夫の勇。

 

この階層では一緒にボス攻略をするプレイヤーを集める必要があります。

 

この忍者達は《体術》スキルの情報を教える代わりにこっちの用事も手伝ってほしい、といえば都合よくこき使える手駒になってくれます。しかもスキル構成も非常に魅力的です。さっそくボス戦に向けてレベリングを施しましょう。

 

二人を街の外に連れ出しモブモンスターを釣ってこさせます。ねらい目は《トレンブリング・カウ》という牛モンスターです。このモンスターはプレイヤーのターゲット時間と持続距離が長いので釣ってくるには最適です。STRが高いので忍者の二人は攻撃を食らうとやばいですが、突進攻撃ばっかりしてくるので簡単に避けられます。集めたモンスターはレベル12の火力で殲滅します。

二階層のフィールドには他のプレイヤーがほとんど来ていないのでmobも独占出来て経験値効率はウマ味です。

 

SAOは序盤のうちはレベルも上がりやすいので大体夕方前には忍者達のレベルも8に到達します。そうしたら体術クエストをやりに行きましょう。向かうのは《ウルバス》から東に30分ほど移動した山奥にある小屋です。

ここにはカラテマスターこと体術スキル習得クエストの開始NPCがいます。

 

皆で彼に弟子入りしましょう。

 

クエストが開始するとお茶目なNPCに顔にラクガキされます。修行が終わるまで人里に下りないようにするためのものだそうです。

 

ちなみに情報屋のアルゴが鼠のアルゴと呼ばれている理由は、ベータ時代にここで受けた体術クエストで鼠のヒゲのような落書きをされたからだそうです。

ヒゲの落書きされて慌てるアルゴ見たい……見たくない? (ノンケ感)

 

「な、なにするでござるか!?」

 

忍者が動揺していますが君たちは覆面あるんだからさぁ(呆れ)

 

クエストが開始すると庭に大岩が出現します。体術スキル習得条件は武器による攻撃を使わず大岩の耐久値をゼロにする事です。

 

カラテマスターは己の拳でうんぬんと言ってきますが無視します。システム的に禁止されているのは武器による攻撃だけなので、別に蹴りで壊そうが頭突きで壊そうが何の問題もありません。

 

ただこの大岩の耐久値はシステムのほぼ上限に設定されています。これを攻撃力補正のない素手攻撃で壊すなんて無理無理無理ぃ!

どんなに頑張っても岩を壊すのに3日はかかります。

 

辞めたらこのクエスト?

 

そこでRTAでは岩をアインクラッド外縁部から投げ捨てる「ロックアウト」法や、たまたま決闘を始めた無関係なプレイヤーの攻撃が運悪く岩にあたってしまう「さすらいデュエリスト」など様々な方法が開発されました。

 

速ければそれでいいって、それRTAじゃ一番言われてるから。

 

今回は「牛牧場」を使います。

クエストが受けられる山小屋付近はモブの湧きがない安全地帯なので、モンスターの介入は想定されていません。しかしモンスターの攻撃もしっかりとオブジェクトの耐久値を減らしてくれます。

ということで近くのフィールドまで行き、トレンブリング・カウをトレインしてきましょう。

このモンスターならしつこいターゲティングを利用して生息域を超えた長距離移動ができます。山小屋に戻ってきたら岩の上に乗りましょう。

 

哀れ、遠距離の攻撃手段を持たない牛は、足場を壊そうとやっきになって岩を攻撃します。この牛の攻撃は分かりやすくよけやすい分威力が大きいです。2層水準の平均的なプレイヤーでも直撃を食らえば大体HPの3~4割を持って行かれます。ちなみに、PvPでソードスキルを直撃させたときのダメージ量もそれくらいです。なので、大岩の耐久度はソードスキルで攻撃し続けているのと同じ速度で減少していきます。

 

さらに今回は時間短縮のために牛を複数用意します。

 

15分後、まさしく山奥の修練場と言った風情の静謐な雰囲気を醸し出していた庭は、10頭の牛が放し飼いされている賑やかな牧場へと変貌しています。

 

あとは、ヘイトを維持しつつ岩の上でジッとしてればいいだけです。

じゃけんそんな単純作業は忍者に任せて帰りましょ。

モンスターの攻撃をもってしても3つの岩を割るには数時間以上かかります。

悲しいけどこれ、RTAなのよね。

 

さて、主街区に戻ってきましたがカヤバ君にはまだやることがあります。

シリカたちには夕方になったら教会に帰るように言っておいたのですが、フレンドメッセージで教会に人が来ていると連絡があったんですよね。

 

教会を訪ねてきているプレイヤーは……やっぱりサーシャですね。以前も少し触れましたが、彼女は通常プレイでも率先して低年齢層のプレイヤーを集めて教会で面倒を見ようとするお人好しです。

《立て札》に『子供たちを始まりの町の教会で保護しています。見かけたら連れてきてください』と書いておくと、大体2日以内に来てくれます。

 

今回もひい、ふう、みい……三人の小学生を連れて現れましたね。

本来なら彼女が子供の保護に乗り出すのはもう少し後で、偶然町中で不安そうに立ち尽くしている子を見つけて放っておけなくなってからなんですが、《立て札》チャートではこうしてすぐに動き始めます。

 

理由はたぶん早々に子供のプレイヤーの存在に気づくことと、子供との遭遇率が高くなるからです。

 

《立て札》がなく情報共有が遅れる場合、1万人のプレイヤーは三々五々好き勝手に動き回ります。始まりの町は直径1キロ以上の大型フィールドなので各地に分散したプレイヤー同士が出会う確率は高くありません。

 

しかし、《立て札》を立てておくと多くのプレイヤーは転移門広場に集まるようになり、また攻略情報が書いてあるクエストを優先的にクリアしようとし始めます。結果行動範囲が重なりやすく、遭遇しやすくなるというわけです。

 

さて、サーシャですが子供を預かってさようならとはいきません。何としてもここで彼女に保護者役を押し付けましょう。幸い彼女も乗り気なので役割譲渡は簡単でしょう(無敗)。

 

RTA中に何度も教会に戻ってくるなんてロスでしかありませんしね。子供達とは用がある時だけ呼び出せる関係がベストでしょう。

 

さて、雑事が終わったらシリカ達に本日の収穫を尋ねましょう。フレンドはどのくらい増えましたかね?

今回もアルゴとディアベルはいますね。この二人は安定して初日に現れます。他のβテスターは誰といつ頃会えるかが結構ランダム性が高いので、運悪く目当ての人物と数日中に連絡がつかなきゃロス確定なのですが……。

 

おお! 運よくキリト、アスナの両名と知り合えてますね。初日に2人とも出会えるのはラッキーです。遅いと3日かかることもあるんですが。

 

説明した通り本チャートでは2層ボス戦は一人では挑みません。

攻略メンバーにはキリト・アスナ・ミト・イスケ・コタロー・シリカを加えます。

 

人選の理由ですが、キリトは説明不要。連れて行かない選択肢はないでしょう。

イスケ・コタローはβテスターなので攻撃・回避が安定しています。アスナはβテスターではないものの持ち前の運動神経でそれに遜色のない動きをしてくれます。ミトはアスナのクラスメイトでベータ版では最前線で戦っていたプレイヤーの一人でもあり、キリト同様2層ボスとの戦闘経験があります。シリカは腕と足が2本付いているのでしっかり荷物を持ってくれます。

 

あっ、そうだ(唐突)。

ここでボス攻略後に誰にも見つからないようにしていた理由を説明します。

 

理由は複数ありますが、一番は早い段階でキリトやアスナ・ミトを見つけるためです。

このチャートでは2層ボス戦にβテスターを連れていきますが、初日の夜に始まりの町を飛び出してしまう彼らをどうやってボス攻略に誘うのか。

コレガワカラナイ。

 

キリトや他の最速攻略組は迷宮区を目指して競うように進んでいきますからね。後方の始まりの町で何が起こっているかは基本的に気にしません。迷宮区あたりで2層装備を身に着けている後発組を見かけるまで2層開通を知らなかったなんてこともざらにあります。

 

そこで大事になってくるのが攻略者の不在です。こうしておくと多くのプレイヤーは誰が1層ボスを倒したのか勝手に調べだします。

そして真っ先に疑われるのはベータテスターです。キリトはクラインから、ミトはベータ時代のパーティーメンバーから『ボス倒したのお前?』的なメッセージを受けてすぐさま事態を把握するってわけですね。

 

あとは今日のように2層の武器屋・防具屋の前で張り込んでいればむこうから向かってきてくれるってわけですね。

 

じゃあ後はシリカにパパパっと連絡してもらって、今日の仕事は終わり! 以上閉廷! 解散!


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