最終的にTSする一般男性のハクスラダンジョン攻略   作:yugi36

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第1話「うおっ!? まぶしっ!」

 うおっ!? まぶしっ!

 

「うおっ!? まぶしっ!」

 

 眩い光が瞼を貫通する。

 

「あ”~、眼の前がぼやける」

 

 小刻みに瞬きしながら起き上がり、ひんやりとする床にぺたぺたと触れる。

 視界が回復すると、そこはなんの変哲もないワンルームアパートの一室だった。普段暗めに設定している部屋の明かりが全力をだしているところ以外は俺の部屋と相違ない。

 

「……俺、死んだよな?」

 

 首筋や心臓のあたりを触れるが、なんの外傷も無い。

 

「よし、記憶を整理しよう」

 

(玄関から出た先が洞窟。少し進んだ先にいた犬っぽい赤毛のやつに襲われて首筋と心臓付近を喰われた。で、死んだと思ったら自室に戻っていた)

 

 よくよく考えると夢だ。考えなくても夢だな。

 腕時計の針が示す時刻は午前7時30分。

 

「秒針壊れたのか。修理に出すかねえ」

 

 秒針の動かない腕時計を外し、再び玄関へ向かう。

 いつも通りの感覚でドアを開ける。

 

「……」

 

 ゆっくりドアを閉め、もう一度開ける。

 

「……嘘だろ」

 

 目の前に広がるのは夢の中、否。死を体験した洞窟であった。

 ドアを閉め、自室へ戻る。

 

「通信関係も全部オフライン。電話も繋がんねえ」

 

 緊急事態であることは火を見るより明らかだ。

 あらゆる連絡手段が途絶え、食料もそう遠くないうちに尽き、餓死する未来。そんな光景がありありと浮かぶ。

 

(いや待て、死ぬ? 仮にさっきの死が本物だとして俺は何故生きている?)

 

「もう一度外に出るしかないか」

 

 キッチンから包丁と果物ナイフを取り出し、服は厚手のものを着用。

 

「装備確認オーケー。貧弱そうだけどオーケー」

 

 何も良くはないが、無いよりは遥かにマシだ。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 ――洞窟・玄関前

 

 改めて洞窟内を見渡す。

 奥の方はよく見えない。しかしながら自分の周囲は自室より少し暗いだけで意外と明るい。

 昔の人間は暗視能力も現代人に比べて高かったらしいが、これはそういった類のものとは違う気がした。

 

(あの犬はいない。先に進むか)

 

 歩くこと数分、視界に動く何かを捉えた。

 

(あれはなんだ? 犬ではないようだが)

 

 もう少し近づいていく。

 

「ギャ?」

 

 ソレはこちらを向いた。

 

「!?」

 

 毛髪の無い人型。

 耳は尖り、肌は緑色。両手には鋭い爪。

 様々な媒体で登場するモンスターの代表格。

 

(ご、ゴブリン!?)

 

 こちらに気づいたゴブリンのような人型は何かを叫びながら突進してくる。

 思わず両腕を交差させ、防御の姿勢をとる。

 

 衝撃。

 

 想像の数倍の威力でふっ飛ばされた。

 

「ぐっ、うぅっ!」

 

 ゴブリンは基本的に小柄なイメージがあった。それは目の前にいる存在が早々に打ち砕く。

 

(誰だそんなことを言ったやつはっ! 俺と同じ身長180cmはあるぞ。それにかなり筋肉質なマッチョじゃないか)

 

 ゴブリンは追撃とばかりに踏みつけようと足を上げる。

 

「あっ、ぶねえっ!」

 

 俺の居たところに鈍い音をたてながら降ろされた足は少しだけだがめり込んでいた。

 アレを喰らっていたら一瞬で命を散らしていただろう。

 

(包丁と果物ナイフで応戦しないとこっちがやられるっ)

 

 即座にポーチから刃物を取り出し、切っ先を奴へ向ける。

 

 ゴブリンが再度突進してくる。

 

「……やるしかねえ、腹くくれよ俺え……!」

 

 命をまともに奪うなど今の今まで考えたこともなかった。

 きっと突進してくる勢いを利用して包丁を突き刺せば終わる。

 知性のある人型の生物。

 

「やらなきゃ、やられる」

 

 思考が加速する。走馬灯のように。

 全てがスローモーションに見える中、命の葛藤が続いた。

 しかしながら、葛藤が生存本能に侵食されるまでそう時間は要さなかった。

 

 ――やる。

 

 包丁をゴブリンの頭部へ突刺さんと切っ先を定め、向かってくる勢いを利用する。

 

「ギギャッ!? ギッ……」

 

 ゴブリンは一瞬の痙攣の後、絶命した。

 

「は、はは……」

 

 腰が抜け、2、3歩後退してからよろよろと尻を着く。

 

 突然、目の前に何かが現れる。

 

 

 

 存在レベル:2↑レベルアップ

 

 存在力ポイント:3

 

 ○力:0

 ・ライフ:14/20

 ・物理攻撃力:20+30

 ・物理防御力:20+15

 

 ○魔:0

 ・マジックライフ:20/20

 ・発動速度:0%

 ・魔法攻撃力:20

 ・魔法防御力:20

 

 ○技:0

 ・速度:0%

 ・身体操作:15%

 

 ○スキル

 なし

 

 

 

 

「そ、存在レベル? ポイント? 力?」

 

(わ、分からねえ。なんだこれ……そうだっ!)

 

「家に帰ろう」

 

 俺の脳は考えることをやめた。

 

 

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