東方女友達(仮)   作:タイラー

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紅魔館編 ②美鈴の奥義

紅魔館の門前にて、門番の美鈴は呼吸を整える。

深呼吸というほど深くはなく、かといって普段通りといえるほど浅くはない。

呼吸と同時に精神も安定させ、身体と共に臨戦態勢に高めていく。

 

幾度目かの息の吐き出しを終えた瞬間、空気が張り詰めた。

 

突如美鈴を襲う鋭い蹴撃。

 

「疾ッ!!」

 

気合いの入った雄叫びと共に放たれたその蹴りを美鈴は、無言ではたき落とした。

 

「くっ!?」

 

美鈴の防御により、バランスを崩したのは、美鈴と同じようにチャイナ服に身を包む襲撃者――李春燕だ。

 

何とかバランスを保つも、その間に美鈴は深々と春燕の懐に潜り込んでいた。

タックルをするように美鈴は、春燕に背中からぶつかる。ヒットする直前に思い切り踏み込み、かち上げるような形での一撃。

 

(――ッ!鉄山靠――)

 

技の名を思い浮かべたときにはもう遅い。強烈な衝撃が春燕を吹き飛ばした。

 

技を決めた美鈴だが、油断はしない。もう一人、襲撃者がその懐に飛び込んでくるのを冷静に確認した。

 

襲撃者は素早く至近距離まで接近し、自らの腰を深く落とす。そして拳を真っ直ぐ突き出した。

 

第2の襲撃者――大山真由里の渾身の正拳突きだ。

技を繰り出した後の美鈴の胴に、拳が吸い込まれていく――かに見えた。

 

「ふっ!!」

 

美鈴が大きく息を吐く、と同時に素早く回転する。

真由里の突きは、美鈴に当たるが、回転により受け流される結果となる。

さらに美鈴は回転を利用し、蹴りを放つ。

 

(後ろ回し蹴りっ!!)

 

技を察知し、咄嗟にガードした真由里だったが、春燕と同じく弾き飛ばされる。

 

2人の襲撃者は完膚なきまでに敗北を突きつけられた。

しかし、2人にとっては想定内の結果である。

 

後ろ回し蹴りで迎撃した美鈴が、その蹴り足を下ろす前に、

3人目の襲撃者が美鈴の襟と袖を掴む。

そして、美鈴の軸足を自らの足で外側から鋭く刈り取ろうと繰り出す。

 

2人の攻撃を囮にし、放たれるのは、最後の襲撃者――熊田一葉の大外刈りだ。

 

(完璧っ!)

 

自ら心中で自画自賛するほどのタイミングで放たれた技だった。

しかし、

 

「こぉぉぉ……!」

 

足が刈られる直前に、美鈴が息を吸い込み、腹に力を加える。

一葉の足が美鈴の足に掛かったそのとき、

一葉の脳裏には、樹齢何千年と経っていそうな大木のイメージがこびりついた。

すなわち、

 

(根が張ったように動かない!?)

 

美鈴の軸足を刈り取るはずだった、一葉の刈り足は、その軸足に阻まれ全く動かない。

そして、美鈴は蹴り足を着地させると同時にその足を軸とし、一葉の道着の襟を掴み、自分に引き寄せ、反対に一葉の刈り足を刈った。

大外返しである。

 

一葉はなす術なく地に倒され、そこに立っているのは美鈴1人となった。

 

 

「いやぁ、皆さん強かったですよ! 筋が良いです!」

美鈴が拍手を送ると、倒れていた3人が起き上がる。

どうやら全員、怪我一つしていないようである。

 

「美鈴さんが凄すぎて、自分が未熟だとしか分からないっす……」

「だね〜。まさか柔道まで柔道技で返されるとは、思わなかったよ」

 

真由里は少し残念そうに、一葉はカラカラと笑いながら答える。

 

「師匠! どうやったらそこまで強くなれるアルか!? 何か極意があるアルか!?」

 

春燕に至っては既に美鈴を師匠呼びしていた。

 

「大事なのは訓練の継続ですが――そうですね、呼吸というのが極意に挙げられるでしょう」

 

美鈴は静かにそう答えた。

 

「呼吸……アルか?」

「はい。例えば、空手には息吹というものがありますね」

 

美鈴は真由里を見る。真由里は即座に返答する。

 

「押忍! 丹田に力をこめる呼吸法っす!」

「丹田――まぁ、大雑把に臍の下辺りですね。呼吸により、ここに力を込めることで私は先程、熊田さんの放った大外刈りを受け切りました」

「大木相手に柔道してる感じだったよ」

 

一葉がそのときの実感を語る。

美鈴はビシッと人差し指を上に立て、話を続ける。

 

「そう!呼吸で力を込めることにより、私は地中深くに根を張る大樹の如き、安定感を得、熊田さんの技を受け切ったのです! そして、この呼吸法をマスターすることにより得られた奥義があります!」

「お、お、奥義っすか!?」

 

真由里が前のめりになって、美鈴の話の続きを待つ。他の2人も目を輝かせている。

 

「そう、その奥義とは――立ったまま寝ることです!」

 

3人がずっこけた。

 

「これにより私は門番という仕事をしつつも、昼寝を楽しむことが可能になりました。さらに呼吸を安定させることにより、即座に眠りに入ることもでき、眠りの質も向上。良いことずくめの奥義です。堂々と横になれば仕事をしてないとバレますが、これでバレる確率も激減――」

「「「あ」」」

 

美鈴がペラペラと奥義について講釈してる間に3人はあることに気付き、素っ頓狂な声を上げた。

そして、各自、美鈴に後ろを見るようにジェスチャーを送る。

 

「? どうしました、皆さん? 後ろ? はて……」

 

後ろを振り向いた美鈴が、静かに怒りをたたえるメイド長により折檻を受けることになった。

 

格闘3人娘の今日の教訓

メイド長>門番

 




Q 呼吸法とか技の出し方とか突っ込みどころしかないんだけど?
A 正直すまんかった
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