鈴音さんと一年生を交えての話し合いは無難な形で着陸できたと思う。お互いに学力評価の高い生徒を出し合って、学力評価が低い生徒を助け合う。言ってしまえばそれだけの話である。
一年生のペナルティは初めての特別試験であることからそこまで重くはない。退学することはないからな。しかし二年生はそうはいかないのでどうしても大きな結果を求めてしまうものだ。
おそらく他のクラスも大なり小なり一年生にポイントを渡していることだろう。マネーゲームに参加しないという方針は決して間違ってはいない。
まあ理想を言えば優等生を独占することなのだが、その為にはきっと莫大なポイントが必要になるので、きっとこれで良かったのだろう。
一年生たちの思惑や距離感も見て取れたので、後はどう対処するかを考えないといけない。ホワイトルーム関連を抜きにすれば問題なくクラスでの協力はできると考えている。
特別試験を進めることも、月城さんの思惑を阻むことも大切であった。
話し合いが終わった後、天沢さんの対処をしている清隆は大丈夫だろうかと考えながら寮に帰り、成果はどうだろうかと考えながら隣の部屋の扉をノックする。
暫くすると扉が開いて、部屋の中からどこか疲れた様子の清隆が姿を現した。
「清隆……なんだか疲れているようにも見えるけど」
「……気のせいだ」
「そうは見えないから言っているんだが」
「いや、そうかもしれないな……女子に料理を振る舞うというのはどこか気を遣う」
男飯をはいどうぞとはいかないので何となく苦労したんだろうことはよくわかる。女の子には配慮しろと師匠も言っていたからな。
上手くやれたのだろうか? ホワイトルーム関連を抜きにしても天沢さんは学力がA評価なので、須藤とパートナー契約を結んでくれればとても嬉しいのだが。
「せ~んぱい、もっとこっちに構ってくださいよ」
情報交換と戦略会議をしようと思っていたのだけれど、部屋の奥から間延びした可愛らしい声が届く。どうやら天沢さんはまだ部屋にいるらしい。
「お客さんですか? ん~、後輩女子を連れ込んでおいてそれは減点だなぁ」
そんなことを言いながら天沢さんは玄関にやって来る。そして俺を見つけてニンマリと笑うのだった。
「あ、生意気な一年生の手足を折るのが大好きな先輩だ」
「酷い風評被害だ。アレは勝手に宝泉が骨を折っただけで、俺は何もしていないよ」
実際に宝泉が俺を蹴り飛ばしてきて、勝手に負傷しただけである。目撃者も大勢いるので揺るがない事実でもあった。
つまり俺は悪くない……そんな言い訳をさせてください。
「笹凪先輩、どうして綾小路先輩の部屋を訪ねたんですか?」
「あぁ実は特別試験のことで意見交換をしたくてね……ただ、お邪魔なようなら明日にするけど」
「だってさ綾小路先輩、私たちカップルみたいに思われてますよぉ」
「斜め上の解釈をするな。食事も終わったんだからお前もさっさと帰れ」
「え~、もうちょっとゆっくりしたかったんだけどなぁ」
頬を膨らませて不満を訴える天沢さんを無視して、清隆は俺を見てこう言った。
「天武、悪いが後片付けがまだ残っている。特別試験の話し合いは明日にしてくれ」
「ん、了解、そうしようか」
強引に彼は天沢さんを外にだす。片付けが終わっていないという説明していたが、清隆のことなのでホワイトルーム疑惑のある天沢さんを部屋に招き入れたことを警戒して、盗聴器や監視カメラなどを仕掛けられていないか探すつもりなのかもしれない。
「ぶ~、つれないなぁ」
やや力が入った感じで扉はバタンと締められてしまう。廊下に送り出された天沢さんはやはり不満を露わにしていた。
しかしあれだな、一年前の清隆を知っている身としては、一年生の中に紛れたホワイトルーム生はなんというかとても感情豊かだ。意識しているのか、それとも無意識なのかはわからないが。
「はぁ、まぁいっか、時間はまだまだあるんだし……ですよね、笹凪先輩」
「ん、どういうことかな」
「またまた、わかってる癖に、女子が男子の部屋に入ってるんですから、そこにはもういけない何かがあるんですよぉ」
ニマニマと笑いながらそんなことを言う天沢さんは、なんだかとても嬉しそうである。
「いけない何かね……君は清隆とそういう関係になりたいのかい?」
「あ、もしかして今エッチなこと想像しました? あたしはただ先輩後輩として親睦を深めてるだけなのに、いけないなあ」
何で俺が悪い感じになっているんだろうか?
「というか先輩ってあたしのこと知ってるんですね、初対面なのに」
「これでも生徒会だからね。一年生のことはだいたい把握しているよ。それに特別試験の内容が内容だ、優等生はちゃんと調べてる」
「優等生ねぇ、まあテストは得意だけど」
「君こそ俺を知ってるんだね」
「そりゃ知ってますよ。一年の間でも有名なんですから。最初はOAAで滅茶苦茶な成績だったことで目立って、そのすぐ後にお姫様抱っこで目立って、誰だって知ってるってば」
うん、やはりあのお姫様抱っこは目立ったか、宝泉を保健室まで運ぶ間にかなり注目を集めてしまったからな。
今更ながらやってしまったと思うしかない。これでも不必要に一年生から恐れられてしまう可能性がある。特別試験のこともそうだが、生徒会役員としても問題だろう。
「生意気な一年生の、それもあの悪名高い宝泉くんの手足折るとか、先輩って強いんだ……顔は綺麗系というか、女子っぽいのに、意外に武闘派?」
「武闘派ではないよ、俺はどちらかと言えば平穏を愛する気質だから」
うん? 自分で言っておいてアレだけど、凄く違和感のある発言であった。俺はどの口で平穏等と言っているのだろうか。
「へぇ~、あたしは喧嘩の強い人、好きですよ。やっぱ男子は腕っぷしがないと」
すると彼女の指先が俺の体に伸ばされて無遠慮に触れて来る。制服越しにペタペタと腹筋や胸など確かめて来るのだ。
気安い行動、ボディタッチだが、男子との距離感を無い物として行動していると考えるよりは、異性に触れられたことで相手がどのような反応をするか観察しようとしているようにも見えてくる。
相手の反応を見て対応や距離感を考えるのだろう。異性という武器を上手く使う相手だと俺は思った。
「凄ッ……パッと見は細身なのに、すんごい密度の筋肉、あったかいゴムタイヤみたい……うわ~、どういう鍛え方してるんですか?」
「オリンピック選手が裸足で逃げ出すくらいの鍛錬をずっと」
「……へ、へぇ、大変なんですね」
きっとホワイトルーム生も裸足で逃げ出すことだろう。師匠の鍛錬は最早改造だからな。成長させるんじゃなくて、無理矢理性能を底上げするんだ。そう考えるとホワイトルームとは似ているようで決定的に異なるのかもしれない。
興味深そうにペタペタと触れて来る天沢さんの掌と指先は、胸板から顎先にまで伸びて来る。
そして彼女は上目遣いとなったので、俺と視線が結び合うことになった。
椿さんと同じように全てを観察するかのような瞳だ。やはりボディタッチをすることでこちらの反応や距離感を確かめているらしい。
これがもっと邪念のない、それこそただ単純に距離感が近いだけの女子の行動であったのならば、もしかしたら嬉しかったのかもしれないけど、生憎とホワイトルーム生であることがわかっているので心臓はいつまでも乱れることはなかった。
天沢さんもそれがわかったのだろう。観察する瞳を隠して、こちらに触れていた指先も遠ざかる。そんな彼女はニパッと笑って可愛らしい表情を見せて来る。
「ねぇ笹凪先輩、今からコンビニ行くんですけど、エスコートしてくれません?」
「ん、俺がかい?」
「はい、まさか笹凪先輩は夜に女の子一人で歩かせたりしませんよね~」
「……夜と言うほどの時間でもないけれど、君の言っていることに反論の余地がない、付き合おうか」
まあ彼女と接触して思惑や考えを観察する良い機会なのかもしれない。敵だと仮定して、どう出て来るのか、どんな目標があるのか、どんな性格なのか、知って損はない。
後、今の時刻は6時ほど、そろそろ暗くなってきたので確かに女の子を一人で歩かせるのはどうかと思う。この学校、龍園とか宝泉とかストーカーとか出没するからな。
彼女がホワイトルーム生であることかどうかはそこに関係はない……八神は男の子だからな、きっと頑張ればどうにでもできるだろう。
しかし天沢さんはホワイトルーム生だろうと女の子だからな、しっかり守らないといけない。
師匠曰く、女の子には優しくとのこと。師匠は神なので、つまりそれはこの世の何よりも優先しなければならないことなのだ。
「清隆の料理はどうだったかな? 彼、上手だったろ」
「予想以上に美味しかったかなぁ、笹凪先輩も食べたことあるんだ」
「ごちそうになる時もあるかな。チェスで負けたら俺が料理を作って、勝ったら清隆に作って貰うんだ」
「あ~、それでね、なんかすっごく手慣れてた訳か……やっぱ料理の出来る男子って良いよね」
「出来ないよりも、出来た方が良いのは間違いない」
そんな会話をしながら寮を出てコンビニに向かう。夜という訳ではないが薄暗くはなっていたが、一人にさせないのは正解だったのだろう。
安全であるかどうかの話ではなく、これは配慮の話だからな。
「須藤のことは宜しく頼むよ、君が力を貸してくれれば大丈夫そうだから」
「まぁね、あたしは成績もそこまで悪くないし、ちゃんと美味しい料理だったからしっかり協力するって」
まあ天沢さんに関しては須藤を退学させる理由はどこにもない。利益も無ければ意味もない。ならば清隆に下手に警戒されないように無難にこなすだろう。もしかしたら長期的な視点で清隆を嵌めようとしているのかもしれないから、ここで信用を崩すようなことはしないだろう。
もしこの特別試験で追い込むことが空振ったとしても、長期的な視野で攻めて来る可能性だって十分にある。長丁場も覚悟すべきだ。そう考えると天沢さんも今は信頼を構築するターンなのかもしれない。
彼女と並んで寮を出て、最寄りのコンビニまで歩幅を合わせて歩きながらそんな計算をしていると、隣にいる彼女は何が面白いのか可愛らしい笑顔を見せるだけだ。
「ねね、先輩って恋人とかいるの?」
「いないよ、清隆も同じだ」
最近、愛里さんと距離が縮まって来ているようで、波瑠加さんがよくニマニマして絶妙な距離感を眺めて楽しんでいるようだけど、恋人という訳ではないはずだ。
そんな微妙な距離感にいる二人を、軽井沢さんが見てちょっと不機嫌になる、それがここ最近の清隆を巡る関係性であったりする。
「え~、花の高校生活なんだから、それは寂しくない?」
「全くもって同感だけど、そう簡単なものでもないからね、どこかで縁が欲しいとは思っているんだけど」
俺は高校生の間に恋人とか作れるのだろうか? 未来はわからないので今は祈ることしかできない。
「ふ~ん、先輩たちってモテそうなんだけどいないんだ。それなら狙っちゃっても良いのかな」
「おや、君は異性と踏み込んだ関係になりたいのかい?」
「どうかなぁ……まぁ綾小路先輩かどうかは横に置いておいて、興味自体はあるかも。試しに誰かと付き合ってみようかなって」
そりゃそうだ、高校生なんだから異性に興味も出て来るだろう。ホワイトルーム生だってそこは変わらないか。
天沢さんは寮の最寄りのコンビニに入ると、早速とばかりに買い物カゴに欲しい物を入れていく。ついでなので俺も色々と買っておこうかな。
歯磨き粉が切れかけていたし、他にも色々な小物や食料などを購入するとしよう。コンビニは殆どの品物が置いてあるのでとても便利だとこの学校に来てようやく実感することができた。
師匠と過ごした山奥の神社は、麓の町まで下りてもコンビニなんて無かったからな。そこから更に三十分ほど車を走らせないと辿り着けないくらいの田舎である。初めて入った時はとても驚いたことを今更ながら思い出す。
「天沢さんは何を買って……んん?」
自分が必要な物を買い物カゴに入れて、同じく店内で買い物をしている天沢さんを探してみると、彼女は駄菓子やジュースが入ったカゴを片手に持った状態で、どうした訳かコンビニの隅っこの方にひっそりと置いてある避妊具を興味深そうに眺めていた。
「先輩、これって普通に売ってるんですね。学園の敷地なのに」
「あぁ、まあ高校生が多いこの場所でどうかとも思うけど、無いなら無いで問題も大きくなりそうだからね……それに、この学園で働いている大人たちの為にあるものだよ」
「へぇ~、そういう建前な訳だ」
この学園の姿勢としてはバレないように、そして問題の無いようにしなさいというのが基本であった。
まぁ、抑圧しすぎて非行に走られたり、或いは避妊具を購入できなくて妊娠とかすればそれはそれで教育機関としては問題である。だから建前としては学園で働く大人たち向けの商品ではあるが、学生が購入しても咎められたりはしない。
交際している男女がいたとしても口煩く注意もせず、色々とするにしてもしっかりと言い訳出来るようにしなさいと言いたいのだろう、学校側は。
天沢さんは暫く避妊具を興味深そうに眺めながら、その小箱を自らの買い物カゴに入れてしまう……いや、買うのかよ。せめて俺が見ていないタイミングでして欲しかったのだけれど。
「購入するのかい?」
「あ、生徒会役員としては注意しなきゃダメな感じ?」
「いや、避妊具を買ってはいけないという明確な校則はない。俺がとやかく言うべきことでもないよ」
学生に買わせたくないのなら、そもそも置くなという話にもなる。
「なら良いじゃん、先輩たちにプレゼントして上げようって思って」
何の嫌がらせだ。もし愛里さんが清隆の部屋で避妊具を発見すれば卒倒するかもしれないぞ。
しかも後輩女子から渡されるとか、ちょっと怖いまである。ホワイトルームは常識を教えることを放棄したのだろうか? それでよく天才を作ろう等と思ったな。
平然と大量の駄菓子と避妊具を購入する天沢さんを見て、料理を振る舞った清隆もさぞ苦労しただろうなと、何となくその状況を察するしかない。
しかし今の俺はコンビニの店員からどう思われるのだろうか、後輩の可愛らしい女子に避妊具を購入させる二年生男子……うん、良い印象は持たれないな。
或いは天沢さんはワザとやっているのだろうか? こちらの評判だったり印象を悪くさせる為に、だとするとこれはこれでハニートラップのような扱いになるのか。
コンビニで買い物を済ませたので退店する。外はもうすっかり暗くなっているのがわかった。
後は寮に帰るだけである。僅かな時間でしかなかったけど、それでも彼女の性格や考えが少しだけわかったかもしれない……これが演技じゃなかったらの話だけれども。
俺の想像ではホワイトルーム生は清隆量産型といった感じで、誰も彼もが無感情でロボットみたいに規則正しく行動しているという勝手なイメージがあったのだが、こうして接してみる分にはあまり違和感はない。
八神も普通の学生の枠を出ていない。それこそ優秀な学生という評価がよく似合う。
隣でビニール袋の中に入った駄菓子や例の小箱を漁っている天沢さんも、こうして観察する分には普通の学生であった。
もしかしたら彼女や八神も、或いは俺が把握していないホワイトルーム生も、この学園で学生として普通に暮らしていけるのかもしれない。
普通に笑って、普通に学んで、普通に青春するのだろうか。
そう考えると、彼らや彼女たちを海に投げ捨てるのは、少しだけ可哀想なのかもしれない。
隣を歩く天沢さんは相変わらず無邪気な顔をしながらも、瞳の奥にはこちらを観察する光があった。
俺が彼女と接近して観察しているように、彼女もまた俺を観察していると言うことだろう。
だとするとだ、彼女たちホワイトルーム生は俺の情報や背景も把握して警戒しているということだ。八神も俺と握手する時はどこか警戒した様子だったと思い出す。
月城さん辺りから情報が回っているのだろう。こうしてほぼ初対面なのにこうして買い物に付き合わせる辺り、俺の情報を集めているのだろう。
「はい先輩、付き合ってくれたお礼にこれ上げる」
クスクスと挑発するように笑いながら、天沢さんは俺に幾つかの駄菓子と例の避妊具を押し付けて来る……お菓子は受け取るけど、そういうことするのは止めなさい。
「ありがとう」
駄菓子だけを受け取ってそう伝えると、彼女はムスッと頬を膨らませるのだった。女子でもセクハラになることを知った方が良いと思う。それとあまり距離感を考えずに男子を揶揄うのも止めたほうが無難である。
ただまあ勘違いされて襲い掛かられたとしても、多分彼女は殆どの男を倒せる筈なので、そこまで問題はないのかもしれないな。
「天沢さん、学校は楽しいかな?」
「え、どうしたの急に」
「何となくそう思ったんだ」
「ん~、どうだろ、私はクラスで浮いてるからなぁ」
「そうか、まあ過ごし方は人それぞれだ、まだまだ時間はあるから色々と経験しておくと良いよ。色々な人がいて、色々な考えがあって、ここで得た経験は将来大切な財産になるだろうから」
「……将来か」
ホワイトルーム出身者が思い描く将来というのもよくわからないな。そもそも目的も把握できていない。
「生徒会役員として、そして先達として、何より一人の人間として、君が夢を抱いて、誰かに憧れて、そして恋するような人生であることを願っているよ……だから、うん、高校生活を楽しんで欲しい」
別にそれは天沢さんだから言った訳ではない、八神であったり、七瀬さんや宇都宮や椿さんにだって同じ気持ちを向けている。何だったら宝泉だって同じだった。
青春は人生に必要なものだ、きっとホワイトルームでは教えてくれなかっただろうけど、師匠が言っていたのだから間違いない。
「きっと、楽しいことは沢山あるからさ」
「……」
天沢さんはその言葉に何も返さずにただジッと見つめて来る。こちらを挑発して揶揄うような視線でもなく、無邪気な笑顔もない。瞳の奥に暗い輝きを宿してこちらを観察していた。
何を思っているかはわからない、しかしそんな表情もすぐに消えて、またニパッとした
笑顔を見せてくれた。
「そうかも、せっかく高校生になったんだし、ちゃんと楽しまないと……色々とね」
「あぁ……色々と、楽しめばいい」
きっとその色々の中にはどうしようもないくらいにドロドロとした何かもあるのかもしれないが、今は何も言わないでおこう。
八神もそうだけど、下手なことは考えずに、普通に青春を楽しめばいいと俺は考えている。月城さんとかホワイトルームとかそんなものは海に投げ捨てておけば問題はない、ついでに月城さんも捨てておこう。
それで良いのに、そうは進まないのが彼女たちなんだろうな。
ホワイトルーム出身者がこの学園での生活を少しでも楽しんでくれたのならば、少しだけ報われた気持ちになってしまう。
どうなるかはこれから次第だけど、せめて幸福な最後であって欲しいと、正義の味方として祈りを送っておこう。
八神、天沢さん、そして他の一年生たちも同様だ。
「入学おめでとう」
これからどんな関係になるかはわからない、もしかしたら敵対した末に月城さんと一緒に海に捨てることもあるかもしれない、けれどこの言葉だけは伝えておきたかった。