ようこそ未熟者がいく教室へ   作:にやまな

197 / 227
これでこの章も終わり、次は小話となります。


体育祭本番 6

 

 

 

 

 

 

 

 

 Aクラスの妨害を龍園に丸投げしたのが功を奏したのか、クラスチャットに供給される様々な情報を繋げていくと全ての競技で一位を取っているペアが俺と鈴音さん、そして須藤と小野寺さんペアだけであるとわかったのは、俺たちが最後の競技に差し掛かった段階であった。

 

 クラスの平均勝率は、残念ながら坂柳さんクラスには及ばないだろう。こればっかりは出来レースに徹されるとどうしようもないので中々苦しい展開でもある。

 

 ただ個人賞の一位は問題なく取れると確信できる段階まで来れたのは最悪の中では最善でもある。ここは龍園たちに感謝だろうな、橋本も時間切れで九種目までしか参加できなかったようだし。

 

 龍園クラスも帆波さんクラスもそれなりの結果をのこしているが、参加する競技全てで一位を取っているのは嬉しいことに俺たちのクラスだけという状況はとても良い。

 

 勿論、最善はクラスとしても一位になることなのだが、こればっかりは坂柳さんと同じく完全に出来レースで勝ちに行かなければ難しいので今回は諦めるしかなかった。

 

 事前の手回しと段取りの段階で負けていたということだ。まぁこの敗北が学年末にあると推測される大規模な特別試験の時でなかっただけ御の字なのかもしれない。

 

 それにこの敗北で全てのクラスが実感することが出来ただろう。他学年を味方に付ける強みと効果を。それは次の試験で対策になるだろうし手段にもなる筈だ。俺たちは俺たちでいかに三年生から毟り取るかを考えていたので、攻撃対象ではなく友軍でもあるという認識を持てると考えるべきか。

 

 何であれ一位は逃してしまう、これはもうほぼほぼ確定的だ。なので個人賞のチケットの確保に全力を尽くすべきだろう。そんな体育祭であったと思う。

 

 懸念であったホワイトルームからの刺客もしっかりと対処することができた。すれ違いざまに超高速で手刀を叩きこんだり、九号や清隆がそれぞれ対処したりして、最終的には六つの段ボール箱がこの学園からホワイトルームに出荷されることになるらしい。

 

 そんな裏の出来事はあまり興味もなくて、それほど脅威になる相手もいなかったのでイマイチ印象に残ることもなく、俺たちはいよいよ最終種目に挑むことになるのだった。

 

 十種目目は男女混合ドッジボールである、女子だけの競技も男子だけの競技もあるのだが、男女ペアで挑んでいる都合上、この種目に参加することになる。

 

 泣いても笑っても最終戦、ここで勝てば個人賞は確保できることもあって気合も入るのだが。ここで一つ問題が発生することになるのだった。

 

「よっしゃ、行くぜ笹凪!!」

 

「負けないからね!!」

 

 その相手とは対戦相手チームに須藤と小野寺さんがいるということである。

 

「堀北ぁッ!! ここで決着をつけてやるッ!!」

 

 後、ついでに狂犬枠の伊吹さんもいる。須藤と小野寺さんと伊吹さんと残りの二人は一年生男子の計五人のチームであった。

 

 いやいや、戦略的には俺たちと須藤が戦う必要なんてどこにもない。寧ろ別々の競技を受けて勝ち点を稼ぐのが一番理に適っている。

 

 だというのに須藤と小野寺さんはやる気を漲らせているし、団体戦に必要な面子を探していた伊吹さんもそこに便乗した結果、こうしてドッチボールで対戦という形になるのだった。

 

「えっと、鈴音さん、どうしようか?」

 

 俺の隣で呆れた顔をしている鈴音さんにそう訊ねると、彼女は溜息を吐きながらこう返してくるのだった。

 

「仕方がないわね、彼らと対戦しましょう」

 

「まぁ同率一位だとチケットは取れないからそれも良いかもだけど、須藤と小野寺さんに別々の競技をそれぞれ受けて貰って点数を下げるって手もあるけれど」

 

「その必要もないわ。もうどうしようともAクラスの一位突破は避けられないし、ざっくりとクラス全体の勝ち点を計算したら二位は確実みたいだから」

 

 今から得るポイントはほぼ誤差みたいなものということか。

 

「それなら須藤くんたちを別の競技に出場させる理由がないわね、いっそここで勝利してチケットを確実にしましょう」

 

 既に大勢は決しており多少の差は誤差とも考えられるのならば、やる気を削ぐ必要もないか。この競技でもしっかり勝利して須藤たちと同率一位となることを避ける狙いであるらしい。

 

 ついでに言うのならば、ちゃっかり相手チームにいる伊吹さんに勝利しておきたいのかもしれない。

 

 どうであれここまで来れば個人一位は俺たちのクラスで確定なので、そこまで難しく考える必要はないのだろう。最後くらいは出来レースとか妨害とか点数とか考えるようなことは止めて、純粋に競技を楽しむのも良いかもしれないな。

 

 あちらのチームが勝てば須藤たちがチケットを得るようにすれば良い、こっちが勝てば同じようにチケットを入手できる。ならば後は楽しむだけである。

 

 この競技で十種目全てに参加したことになるので、正真正銘この競技で俺たちの体育祭は終わることになる。出来レースも妨害も考えずに頑張るとしようか。

 

 楽しむこともまた重要だ、俺たちは色々忘れがちだけど学生なんだから。

 

 そんな訳で五対五に分かれてドッジボールとなった。こちらの残りの三名は三年生の男子生徒一人と女子が二人の面子である。どうやらこの三人もチケットを狙っているようで、南雲先輩がいない今だからこそ出来レースが破綻しているのでチャンスと睨んで最終戦まで頑張って参加していたらしい。

 

 そう考えると桐山先輩と立場は似ているな。こちらのチームならば勝ち目あると踏んで俺たち側に付いているあたり状況を冷静に見ることもできている。これなら足を引っ張られることもないだろう。

 

「それじゃあ今から第十回目のドッジボール競技を開始するよ~」

 

 担当教官である星之宮先生が甘ったるい声でそう宣言したことで、俺たちは最終競技に挑むことになるのだった。

 

 テニスや卓球と同様にドッジボールの公式ルールが適用されており複雑なことは何もない。ボールを当てれば外野に行き内野に選手がいなくなれば勝利となる。だがここでも時短を意識してなのか、外野の選手がボールを当てても内野には戻れない仕様となっている。

 

 また、最初から外野に一人置くルールなので内野の初期人数は四人となる。こっちからは三年生の一人を外野に配置させて貰うことになった。

 

「へッ、遂にこの時が来たな笹凪」

 

「やる気だね須藤」

 

「おうよ、何だかんだでお前に挑むことはなかったからな、凄ぇ奴とは戦いてえもんだ」

 

 なんだろう、この体育祭で須藤が一番学生らしく汗を流しているんじゃないだろうか。俺は勿論のこと全校生徒が見習うべきなのかもしれない。出来レースとかその妨害とか龍園と一緒に策謀に走り回っていた身としては直視できないくらいに眩しい。

 

 彼はなんというかアレだな、日に日に爽やかさが増していく男である。その内、全校生徒が見習うべき学生らしさを一番身に着けるんじゃなかろうか。

 

 出来レースに必死になってる人も、妨害に力を入れている者も、今一度初心に戻って須藤を見習うべきなんじゃないかな。

 

「なんで眩しそうな顔をしてるんだ、どっか体調悪いのかよ?」

 

「いや、すまない、あまりにも青春力が高くて眩しかったんだ」

 

 南雲先輩のドロドロベチャベチャしたヘドロのような敵対心によく触れていたからか、アレに比べれば今の須藤は清涼剤である。須藤は是非そのまま突き進んで欲しい。

 

「まぁなんでもいいけどよ。せっかくこうして直接対決できるんだ、体調が悪いとか嫌だしな」

 

 ボールを受け取った須藤は肩を回して体を解すと、すぐさま集中力を高めていく。スポーツマンだけあってこういう切り替えは流石と言うべきなんだろうな。

 

「行くぜ小野寺」

 

「うん、全力で行こう」

 

「それと龍園とこの……狂犬?」

 

「おい、それどういう意味?」

 

「いや、なんか色々な所に噛みつきそうな雰囲気があったからよ、気に障ったなら悪い」

 

 須藤から見ても伊吹さんは狂犬っぽく見えるのか。まぁ鈴音さんへ向ける視線と雰囲気を考えればおかしくはないか。

 

「お前らも頼むぜ、笹凪は強い、油断せず全力で行くぞ」

 

 あぁ言うのをリーダーシップと表現するのだろうな、バスケでも中心人物となっていると聞くし、コート上での存在感は教室にいる時よりもずっと大きい。そんな須藤の様子に鈴音さんすら驚いているようだ。

 

 視線を集める存在感に、自然と須藤を中心に動こうとする連帯感が広がっていく。それは一種の安心をチームに与えるものなんだろう。須藤と同じチームでバスケをする選手たちは幸運なのかもしれないと俺は思ったほどである。

 

「これは負けてられないな」

 

 俺もまた師匠モードになった周囲の視線と意識を引きつける。すると正面にいる須藤チームがビクッと体を強張らせたのが見えた。

 

「あっちも本気か、ああなった笹凪は手が付けられなくなるぞ」

 

 冷や汗をかいた須藤がそんなことを言ってより集中力を高めていく。師匠モードの圧力に真っ向勝負を挑める辺り本当に意思の強い男だと思う。

 

 手に持ったボールを一度だけクルリと回すと、準備が整ったのか須藤は全力でボールを投擲してくる、狙いは真っすぐ俺の胸に向けてだ。その速度もコントロールも高校生離れしたものであり普通なら回避を選択するのかもしれない。

 

 だが真っすぐ向かって来る以上は俺は受け止める。手加減する理由も油断する意味もないからだ。

 

「やっぱり楽々と受け止められたか」

 

「残念かな?」

 

「まさか、安心したくらいだぜ……お前は、この程度で倒せる訳がないからな」

 

 投げつけられた剛速球を受け止めた俺を見て須藤は笑みを浮かべる。恐れおののいているようにも、歓喜に震えているようにも見えた。

 

「良い顔だ、返礼はこちらの本気で行かせて貰うとしよう」

 

 例の如く全力を出すと相手を殺してしまうので、常識的な範囲の力加減を心がける……だが、勝利を目指す意思に一切の驕りはない。

 

 全力は出せないけど間違いなく本気だ。俺は本気で今の須藤に勝ちたいとおもった。今ならば敗北したとしても折れることなく進んで行ってくれるという確信があり、もしかしたらこちらに黒星を与えてくれるのではという期待が体を躍動させた。

 

 先程の須藤を真似て大きく振りかぶる、しっかりとつかんだボールは掌に張り付くように握りしめて、いざ投擲というタイミングで僅かに指を引っ掛けて投げつける。

 

「こいやぁあああッ!!」

 

 決死の覚悟で身構える須藤は、投げつけられたボールを受け止める体勢に入ったのだが、そのボールは須藤に当たる直前にほぼ直角に軌道を変えて須藤の隣にいる小野寺さんに向かうのだった。

 

「うそッ!?」

 

「小野寺ッ……させっかよッ!!」

 

 急激にカーブしたボールは狙い通り小野寺さんに命中する。これでまず一人アウトだと思ったのだが、跳ね上がったボールの軌道を瞬時に見切った須藤は見事な瞬発力で駆けだして行った。

 

 そしてボールが床に落ちる前にキャッチして見せる。流石の瞬発力と言うべきだろう。

 

「ごめん須藤くん、無茶させちゃった」

 

「気にすんな小野寺、仲間なんだからな」

 

 ここまでずっと体育祭ではペアを組んで挑んだことで、二人の間にしっかりと信頼関係が構築されているらしい。始まる前は小野寺さんは盗撮犯としてどこか心の距離があった筈なのだが、今はそれも感じられない。

 

 良い関係を築けているようでなによりだ。喧嘩でもしていないかと心配だったが杞憂であったのだろう。

 

 改めてボールを握り直した須藤は真っすぐに俺を見つめて剛速球を投げつけて来る――かと思ったが、そのボールは鋭く外野に待機していた生徒に回される。

 

 正面突破は難しいと判断してのことだろう。冷静な判断であり実際にこちらの内野にいた三年生は対応することができずボールを当てられてしまう。

 

 だが、さっきの須藤の動きに触発されたからなのか、俺もまた鋭くボールの軌道を見極めて跳ね上がったボールを掴み取る。

 

 その高さは体育館にあるバスケのゴールポストよりも更に高い位置だ。垂直飛びの世界記録は軽く超えるものであった。

 

「ははッ、すげえな」

 

「負けたくないからね」

 

「そりゃそうだ、そうじゃなきゃ困るっての」

 

 再び俺に戻って来たボールを握りしめる、そんな様子を見て須藤がまた笑みを浮かべるのだった。

 

「須藤、楽しいかい?」

 

「へッ、言わせんなよ」

 

「野暮だったか」

 

「あぁ、お前に勝ちたいってずっと思ってたんだぜ。どんなことだって構わねえ、ほんの一瞬でも何かで上回りたい……でも変だよな、勝ちたいって思いながら、そうなって欲しくもないって考えてんだよな」

 

「どうしてかな?」

 

「簡単に超えられる相手に憧れてたら意味がねえ……笹凪に勝ちたいって思ってる間は、俺はまだまだ強くなれるってことだろ?」

 

「そうか……そんな風に思われるのは少しおもはゆいが、悪い気はしないね」

 

 気が付けば俺は、誰かに憧れて貰えるだけの人間になれていたと言うことだろうか。入学したばかりの頃の不完全で足りないものばかりだった頃の俺と比べれば、しっかりと成長できているのかもしれない。

 

 ならば負ける訳にはいかないな。超えるべき壁であるし、憧れられる存在でありたいのだ。そう考えると俺はまだまだ強くなれる気がした。

 

 俺が師匠に憧れて強くなりたいと思ったように、他の誰かだって同じように思うこともあるんだろう。

 

 少し恥ずかしい、だが悪い気分ではない。

 

 手に持ったボールを投げつけて須藤チームにいた一年生を排除する。一切の手加減を無くした投擲は見事に内野の数を減らすことになるのだった。

 

 今度は須藤の捕球も間に合わない。跳ね上がるのではなくすぐに床に落ちるように計算したからだ。

 

 そのボールを拾い上げたのは伊吹さんである。龍園クラスの立派な狂犬枠に成長した彼女は目を吊り上げて鋭くこちら側の鈴音さんを睨む。

 

「とうとうこの時が来た……いつも上から目線のアンタを這いつくばらせる時がねッ」

 

 無人島での鈴音さんからの施しがどうしても我慢できなかったのか因縁は深いらしい。ボールを握る両手には力が込められており視線は射貫くかのように鋭い。

 

「よくそんなこと言えたわね、無人島で私の物資をあれだけ消費しておきながら、感謝の言葉一つないなんて本当に子どもなのだから」

 

 そして鈴音さんの姿勢も変わらない。あくまで余裕というものを常に意識している。まぁ内心ではかなり張り合ってるみたいだけど。

 

「そのいけ好かない顔面を吹っ飛ばしてやる!!」

 

 伊吹さんも流石は龍園クラスといった所だろうか、ちょっと冷静さを欠いているようだけど、ガラの悪さは間違いなくあの集団特有のものである。

 

 何より投げつけられたボールの勢いときたら、本当に鈴音さんの顔面を粉砕するかのような勢いがあった。何だかんだで彼女もしっかりと龍園の手下と言うことだろう。

 

「くッ!?」

 

 予想以上に伊吹さんが投げたボールの勢いが強かった為に、鈴音さんは顔面に迫るボールを掴み切れずに両手で守るように弾いてしまった。

 

 アウトにする訳にはいかなかったので跳ね上がったボールが床に転がる前にキャッチすることはできた。

 

「やったッ、勝ったッ、私の勝ちッ!!」

 

「は? 何を言っているのかしら、天武くんがキャッチしたのを見ていたでしょう」

 

「つまり笹凪がいないと負けてたってことでしょ。私の勝ち、完璧な勝利ッ……アンタの負け!!」

 

「……」

 

 伊吹さんの言葉に鈴音さんはとてつもなくイラッとした顔をする。その凍えるような視線は須藤や小野寺さん、そして味方チームの俺ですら背筋を震わせるほどであった。

 

「天武くん、ボールを寄こしなさい」

 

「あ、はい」

 

 持っていたボールを恐ろしさのあまり献上することになる。

 

 そして鈴音さんは固いボールの感触を確かめてから、大きく振りかぶって力強く投げ返すことになる。その先にいるのは当然ながら伊吹さんだ。

 

「ごふぁッ!?」

 

 こちらはこちらで予想以上に投げつけたボールの勢いは強く、伊吹さんは反応できずに鳩尾にボールを受けてくの字に曲がることになってしまう。乙女とは思えないほど濁った声を上げた彼女は崩れ落ちてしまった。

 

「お、おい、大丈夫か?」

 

 須藤でさえ龍園クラスへの敵対心を忘れて、派手に崩れ落ちた伊吹さんを心配するほどである。

 

「こ、これで……勝ったと思うなよ」

 

 最早お決まりとなってしまったセリフと共に、伊吹さんは意識を失うことになった。

 

 鈴音さんもだいぶゴリラかしてきたような気がするな。毎日運動していることは知っていたけれど、ここまでやるだなんて……。

 

「ふん、何度来ても私が負けることはないわよ」

 

 担架で運ばれていく伊吹さんを見て鈴音さんは胸を張ってそう言った。ちょっと気分が良さそうなのは指摘しない方がいいんだろうな。

 

 あの調子だと伊吹さんはまた挑んでくるのかもしれないけど、鈴音さんにも良い刺激になるのかもしれない……うん、多分。

 

「さて、気を取り直して続けようか」

 

「おぅ、そうだな、まだ勝負は終わってねえ」

 

 漫画の中の悪役みたいなセリフと共に担架に乗って体育館を去って行った伊吹さんのことはひとまず横に置いておいて、目の前の競技に集中するとしよう。

 

 なにせ須藤との対決はこの学校ではもう唯一と言っても良いかもしれないほどに、濁りのない青春的時間だからな、しっかりと楽しんでおきたい。

 

 ここには出来レースもないし、謀略や妨害もない。南雲先輩みたいにドロドロベチャベチャした思惑もない。流れる汗はそのまま学生らしさに繋がるのだ。

 

 今となってはそれがどれだけ貴重だろうか、この学校の生徒はもっと須藤たちを見習うべきだと思う。

 

 なんてことを考えながら俺たちは須藤チームとドッジボールを続けることになる。この瞬間だけは混じり気なしの心地いい時間なので純粋に楽しむことができた。

 

 こうして体育祭は終わることになり、俺たちのクラスは残念なことに二位となり、一位を坂柳さんクラスに奪われることになってしまう。

 

 三位は龍園クラス、四位は帆波さんクラスとなり、個人賞の一位は無事に十種目全てを集団戦で勝利した俺と鈴音さんが取ることになるのだった。

 

 当然ながら報酬としてチケットを選択することになり、一年生では九号とペアの男子生徒がチケットを取り、合計八百万を支払って二枚を購入することになる。

 

 これで俺たちの学年で四枚のチケットが集まり、それらを契約通り4000万ポイントで朝比奈先輩に売ることになった。

 

 三年生では思惑通り鬼龍院先輩と桐山先輩がチケットを取ったらしく、体育祭の終了と同時に桐山先輩はAクラスへ移動したと噂で聞き、鬼龍院先輩は1000万でチケットを売却したらしい。

 

 最終的には、南雲先輩の財布から5000万が消えたことになるという訳だ。三年生から大量のポイントを引っ張って来れたと考えれば、無駄な体育祭とは言えないのかもしれない。

 

 欲を言えばクラスとしても勝ちたかったけど、今後の課題としてこの敗北は受け入れるとしよう。

 

 ホワイトルームから来た刺客も全員手足を折って段ボール箱に詰めてから配送することができたから最悪の事態は避けられた。

 

 最後の最後に須藤との対戦で青春的な時間も楽しめたから、最終的にはとても楽しい行事であると俺の中では印象に残るのだった。

 

 次は学園祭である。こちらも学生らしく楽しめると良いと願いながら、今年の体育祭は終わることになる。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。