Recoil of Lycoris and Lilybel   作:小鳥遊 小佳夏

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Same day as usual

「へいお待ち!!」

今日もちーちゃんの威勢のいい声がリコリコに響き渡る。

「千束ちゃ~ん、飲み屋じゃないんだから」

「お、昼から飲めるのかい?」

「ありますよぉ、ミズキの飲みかけが」

「阿部さん、勤務中」

「今日のも凄いね」

「千束specialだから♪ 北村さんも食べます?」

「食べるぅ!」

「はい俺も」

「俺も」

「俺も!」

「はい一丁二丁三丁ぉ!!」

「てっめ、そんな出すだけ赤字な奴の注文とるんじゃねえええええええ!!!!!!」

威勢のいいちーちゃんはさておき。真面目に出すだけ赤字なのを作るのはやめてほしい。値段表示時価にするぞおらぁ。

たーちゃんが妙に思いつめたような顔をしている。

「まずいです、このままでは」

「え?」

 

たーちゃんに集合させられ、お店の裏に集まるリコリコクルー。そこで見せられたのは。

「赤字だな」

「依頼から得たお金を合算してもこれです。銃弾や仕事の移動にかかる経費はどうしてるんですか?」

「DAからの支援金があるのよ。千束のリコリス活動費って名目」

「あとは俺がプールしておいた予備の口座からの引き落としだな。最近は毎月一定額入れるだけで中見てなかったけど、こりゃ確認しておかないと危ないな」

「完全に足出てますよね」

「こーいつがやたら高い弾をやたら撃つからよ」

「あのパフェもな」

「あれ出すだけで赤字だからな。ちーちゃんの気分で増減するし」

「独立してるといいながら、お金はDAとつーさんに頼っていたと。従業員からお金を巻き上げるのってどうなんです?」

「しかもこの赤字だろ? 多分予備口座から引き落とされてる金額、俺の給料より多いと思うよ」

「楠木さんみたいなことを・・・」

「わかりました。以後私が、リコリコの経理をします!! つーさんも手伝ってください!!」

「任された。とりあえずあのパフェは黒字が出る額まで値上げな。あとちーちゃんは厨房の出入り禁止だ」

「え~~~~~~~~~」

 

ーーーーーー

 

ある日の任務。

ちーちゃんがまた派手にプラスチック・フランジブル弾を撃ち、その当たらない弾が壁とガラスに穴をあけた。

「千束。クリーナーを使うと膨大なお金が飛びます。つーさんの伝手でも安いとはいえ同じです。ついでにその弾も高いんです。現場を壊さず、原状復帰が不要な活動を心がけてください。そして発砲は最小限に」

「へえぇい・・・」

 

次の任務でも。

ちーちゃんが派手にプラスチック・フランジブル弾を放つが。

「ん」

「ふえぇ、ほわっ」

たーちゃんが持ったボーララップをちーちゃんに向けて発射。ワイヤーでぐるぐる巻きにされたちーちゃんはゴロンと転がる。撃ちすぎだ馬鹿たれ。

「っ!!」

そして俺が突っ込んでいつものちーちゃんみたいに弾を躱し接近。必中距離でプラスチック・フランジブル弾を発射。敵を気絶させた。

 

次の任務。

「っ」

「っ!? かはっ、けほっ」

突っ込もうとしたちーちゃんの襟首をつかんで戻すたーちゃん。

マガジンを抜いて確認するのは残弾数。

「撃ち過ぎです」

「じゃあ俺が行くわ」

今日はナックルをつけている俺。近づいて殴ってK.O.。俺の弾丸の消費は0。

 

とりあえず任務での出費を抑えてみたが。

「代わりませんね」

「変わらんなぁ」

赤字のまま戻らない。とりあえず他にも原因がありそうなので探してみることになった。

 

「ミズキぃ! 冷蔵庫の開けっ放しは電気の無駄じゃぁ!!」

「ひいっ!? めんご」

ミズキが頻繁に冷蔵庫を開けっ放しにしてることが判明し。

 

「さん、なな・・・」

「変わりますよ」

「おぉ」

店長の打ち間違いが発覚したのでたーちゃんが変わり。

 

「うぉおおおうわあああああ!?」

「「っ!?」」

「・・・ナイスキャッチ」

クルミが肉体労働ではドジっ子ということが判明し。

 

「「・・・・・・・・・はぁ」」

思いもよらなかったところに原因があったと判明し、ストレスを抱える俺とたーちゃんであった。

 

ある日の任務。

この日は爆弾解体の依頼である。大半は解除したのであるが。

「「さぁ、終わったら帰るアル」」

代金を踏み倒そうという魂胆らしい。

「報酬がまだですが」

「踏み倒す気かぁ?」

「ほれほれぇ」

ちーちゃんが接近し銃を抜かれるも、CQCの要領で相手の銃を奪い、もう一人のも奪ってプラスチック・フランジブル弾を一発。ちなみに敵の誤射でワインが被弾。

「これは私達じゃないですからね」

「はいよぉ」

ちーちゃんがこれで力の差を理解したと銃を返すが、逆に発砲される。が、ちーちゃんである。

「おい、やめ!!」

お店のマスターが止める間もなくマガジンが切れるまで至近距離で撃たれるが、全て躱して無傷のちーちゃん。代わりにお店は穴だらけ、ワインも穴だらけ。

「払いませんからね」

「俺達が出した損害じゃないしな」

ここでたーちゃんのストレス発散が入った。

「みなさん!! 実はまだ最後の二本を残してあります」

この依頼人、金払いが悪いって噂があったからね。備えてた。

「あとはご自分でどうぞ」

「爆発しても知らんからな」

爆弾を置いて帰ろうとする。

「わ、わかった。払うよ」

お店のマスターが観念し、先に払ってもらった後最後の線を切る。

「ども~」

「見た? 見た~? 私撃ったの一発だけど~よ~」

「よくできました」

「やったぁぁぁ♪ 褒められたぁ♪」

「ちーちゃんも成長したよなぁ。これなら赤字も回復できそうだ。でもさっきの依頼人、二度と受ける業者があると思うなよ。事実は流しておくからな」

「つー君敵に回すと怖いからね」

「つーさんもストレスたまってたでしょうし、それくらいは良いのでは?」

 

ーーーーーー

 

「ミズキさーん。あの、新しいパフェ考えてみました」

「え? 見たい見たい。作ってみて」

「どんなのだ?」

リコリコ収支改善のプランの一つ。新メニューの考案である。

俺は俺でみんなをモチーフにした和菓子セットを考案中。

ちーちゃんは苺大福。たーちゃんは水色を付けて涼しい見た目にした寒天。ミズキは草餅。クルミはナッツが入った黄色い練り切り。先生はサツマイモを使った紫色のスイートポテト。俺はおはぎ。これを一皿に盛り付けて提供する。いろんなお菓子が食べれて、常連の人に出してみたら好評だったのだが、手間がかかるので正式採用は保留となっている。たーちゃんのパフェが簡単に作れて人気が出るならそっちを採用したいところ。

そして出てきたのは・・・。カステラの上にホットチョコホイップがとぐろのように巻かれ、上からホットチョコソースがかけられた、見た目が何とも言えないパフェ。えぇ、これ作るの俺・・・。ちなみにお店に既にあるもので作ってるので、コスパ的には良いです。俺のお菓子セットよりも良い。コスパがいいのが逆に悲しいわ。

「寒くなってきた今の時期においしい、ホットチョコたっぷりのパフェです!」

「うん・・・」

「しっ、それ以上は駄目だミズキ(超小声)」

考案した当の本人は、これがうんっ・・・に見えないようで自信満々。相変わらず独特のセンスと言うかなんというか・・・。

「ぐっどもー、え、う、ナニコレ」

「私が考えた新メニューです。どうです?」

「これは・・・うんk」

「「しーっ」」

禁断の一言を口走ろうとしたちーちゃんを止める。それ以上はいけない。

「千束?」

「う、うん。いいんじゃない、かな?」

めっちゃ声が上ずってる。

「ほんとですか!」

「う、うん・・・」

結局頑張って考えてくれたのもあり脚下にできず。一旦試しで提供することになった。なってしまった。なお味は美味しかったです。寒くなる季節にはちょうどいいね。見た目さえ何とかなってたら。

 

「お待ちどうさまです」

そしてメニューに載せてみたところ。なーんでか大流行した。これもうわかんねえな。

珍しくお店の外に大行列ができ、俺もカウンターに出る暇もなくひたすらに厨房でとぐろを巻き続ける始末。先生が皿洗いとチョコパフェ以外の調理に入ってくれなかったら死んでたかもしれない。

「あと3つ追加で」

「これ2番さんな」

「巻きすぎて目がぐるぐるしてきた・・・」

そして考案者のたきなは笑顔。よかったね。

何でここまで大流行したかというと、肝心の見た目のおかげでSNSでバズったのが原因。

「おいしいんだけど見た目が」

「リコリコの店員さんすごく笑顔。しかし持ってるものががが・・・・おいしいんだけど・・・・・」

「リコリコの店員さんを見てくれ、美少女がう〇こ持って走ってるぞ。おいしいんだけど・・・・・」

「おいリコリコの店員やめろ、やめてくれ、鼻をつまむんじゃねぇ! おいしいんだけど・・・・・」

「リコリコの店員さん純粋無垢な少年になんてものを・・・・。おいしいんだけど・・・・」

鼻をつまんだ写真に写ってるのはちーちゃん。悪乗りの結果である。ほんとみんな下ネタ好きだね!?

「クルミ」

そしてついに肉体労働はドジっ子のクルミも狩りだす始末に。

「3番上がるよ」

「ほい、任せろ」

「頼んだ」

「・・・あんた、働くの? どういう風の吹き回し?」

「忙しいからボクにもやれって、千束が」

 

「お、おまちどう~」

そうして臨時でフロアに出たクルミは可愛いと評判に。でもたまに皿割るから、そこ気をつけてね?

当のクルミは可愛いと言われるのにまんざらではないようで。

「♪♪♪♪♪」

「何にやついてんの、クルミ」

すっごい良い笑顔だった。

「次に御並びの方、お待たせしました。こちらへどうぞ」

「いらっしゃいませ!」

「ミズキ、こっち頼む! はい、カフェリコリコ。ちょっとお待ちを。千束!」

「んー?」

「山岸先生だ!」

「はい、もしも~し」

「こぉら! 検診でしょ今日の約束でしょうよ!」

「ごめんなさ~いそうなんですけど実は。お店が忙しすぎて・・・。いやなんかわかんないんですけど流行っちゃって、あぁぁ近々・・・はい。ありがとうございまぁす」

千束を健診に出しただけで破綻が見える。俺も検査の結果を早く聞きに来いと言われているのだが、行くに行けない。ほんとなんでこんなのが流行るんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ。

 

ちなみに、慌て過ぎたミズキが一度フロアにぶちまけ、それはそれでバズりました。南無。

 

ーーーーーー

 

今日はハロウィン。というわけで、仮装して保育園のお手伝いにあたることになった。俺は子供と接するのは苦手なので最初から別任務に回してもらっている。ちーちゃんも保育園に行ったが。

「ここは足りてます。分担しましょう」

たーちゃんに分担しようと言われて、仮装のまま組長への配達、迷子探し、迷子の狸の捕獲、襲撃犯の排除、射撃訓練の指導と外回りをやらされたらしい。俺も暗殺阻止、荷物運び、護衛と外回りだったが。

ちなみに仮装の内容は、ちーちゃんが悪魔、たーちゃんが魔女。俺は吸血鬼である。

でも仮装のおかげで報酬とは別にお菓子とかお小遣いもらえたのでヨシ!

二人で粗方の任務を終えて保育園に戻ると、丁度たーちゃんがお菓子を配っていた。

「ハッピーハロウィン」

「わーい!」

「良い子ね。ハッピーハロウィン」

「わーい♪」

「良い子ね」

その後ろに並んでるのは金色交じりの白い髪の赤目の悪魔コスの子供(年齢17歳)。

「ハッピーハロウィン、いい子だよぉ」

残念ながら流れに乗ってもたーちゃんは騙されず。

「ん~~」

「あぁぁ、私もたきなのプレゼントほしぃぃ」

「子供ですか!!」

もう子供でいいんじゃない、それ。

と、後ろで子供たちが騒いでいる。

「千束お姉ちゃん、これももらっていいの?」

「いいよ~」

「あ、馬鹿お前あれ!」

中には報酬のお金がたくさん。

「はっはっは、持ってけ持ってけ」

「あ、いけません!!」

「ちーちゃん、後でお仕置き」

そんなこんなで頑張った結果。

「「「「おぉぉ!!」」」」

リコリコはめでたく黒字、しかも今までの赤字を取り戻す勢いになり。先生がかねてから欲しがってたレコードプレーヤーや、俺とミズキが熱望してた自動食器洗い機、人手不足解消のためのロボット、通称ロボリコを買うことができた。

プレーヤーを見る先生の背後にはバラが咲き、食器洗いから解放されたミズキは泣いて喜んでいた。

「これがIT革命か」

「安かったので」

「クルミよりは使える」

 

「いやぁ、たきなと睦月様々だわ」

「ん、たきな様はどこいった?」

「クルミも。さっきまでいたのに」

「ああ、二人なら押し入れだよ」

 

襖を開けると、中にクルミとたーちゃんが収まっていた。

「ここかぁ。なーにしてんのよ怪しいなぁ。・・・株?」

「クルミさんと組んで投資したらどうかなぁって」

「そこまでやるか」

「お金があるに越したことは無いしね。株価の上下に影響しそうな情報の収集はアリスができるし、悪くないんじゃない? 予備口座のお金も投資の成果だし」

と、ここでちーちゃんのスマホが鳴る。名前は山岸先生。スルーしようとしたちーちゃんだが、たーちゃんがすっとスマホを奪い取って出る。少し絶望するちーちゃん。年貢の納め時だよ。

「もしもし、山岸先生。たきなです。定期健診ですよね。彼女明日行けます。あとつーさんもですか? 同時に抜けられると困るので、千束が明日で、つーさんは明後日で。はい。よろしくお願い致します」

というわけで、勝手に俺たちの検診の予定が決められた。

「組員の健康管理も私の役目です」

「組員・・・」

「行ってください」

「・・・はぁぁい」

頑張って駐車されて来い。

 

ーーーーーー

 

とは言え、そんな良い風も長くは吹かなかった。

翌日のことである。

「こんにちは、たきなちゃん」

「あ、後藤さん。いらっしゃいませ」

「今日、千束ちゃんは?」

「今日は遅番なんです」

「ヤホーゴチュウモンドウゾ」

ロボリコが注文を取りに行く。

「大丈夫なのか、あれ」

「千束の服じゃん」

今日はちーちゃんが遅いので、ロボリコに誰かがちーちゃんの制服を着せたらしい。

 

クルミが画面つけっぱなしでお手洗いに行った時。丁度たきながその画面を覗いてしまった。

「見た目はすごいけどおいしい」

「笑顔でウ〇コ持ってて草。でも味マジ最高」

と書かれたSNS。ついにたーちゃんが気づいてしまった。

「はっ!」

クルミが戻ってきて気づくも、後の祭り。

「たーちゃん、パフェできた・・・どしたのその顔」

いろんな感情がぐるぐるしてる顔をしていたたーちゃん。

「もうそのパフェ辞めます・・・」

「あー、気づいちゃったか・・・。いいじゃん、人気だし?」

とりあえずロボリコに持ってってもらった。

 

電話が鳴った。

「はい」

「山岸よ」

「あ、山岸先生。たきなです」

「あのー、お店によ。千束はいます?」

「いえ、そちらにお伺いしてませんか?」

「来てないのよ。携帯も出なくてよ」

「そうですか、私も探してみます」

「何、ちーちゃん行ってないの?」

「はい、そうみたいで」

「おかしいな。朝は起こしたし、こうなったら観念していくのがいつものちーちゃんなんだけど」

「電話かけてみますね」

たーちゃんがちーちゃんに電話をかける。

「千束? どこです? 定期健診行ってないんですか?」

『うん、ごめんごめん。急用でさ。ちょい遅れるって山岸先生に言っといて。あ、あとつー君になんだけど、夕飯のおかずにするから、帰りに鶏肉のスライスを6枚買うように伝えておいて。よろしく』

それだけで電話が切られた。

「つーさん、千束が夕飯のおかずにするから、帰りに鶏肉のスライスを6枚、と」

「!? それ襲撃で押し込まれたときの符牒だ! 一人、6発入りリボルバー装備!!」

「っ!? 店長!!」

「たーちゃん、俺はバイクの準備してる! 急いで着替えてこい!!」

「はい!!」

俺は着の身着のままでバイクをガレージから引っ張り出す。俺はまだしも、たーちゃんが銃を持つにはリコリス制服じゃないといけない。

「つーさん!!」

「乗れっ!」

ちーちゃん襲撃事件でお釈迦になったバイクは新調し、サイドカー付きの三人が乗れる仕様になっている。たーちゃんが俺が投げ渡したヘルメットを被りつつ、サイドカーに飛び乗る。

「出してください!」

「振り切るぞ!!」

無事でいてくれよ、ちーちゃん。

 

ーーーーーー

 

「お前、俺の事覚えてるか?」

「あぁん? つばかけられた」

「もっと前だ。覚えてないのか? じゃあ昔話をさせてもらうわ。電波塔事件。そこで俺は、ある二人に手も足も出なかった。放った銃弾は全て躱され、向こうが撃った銃弾は当たる。赤い目が尾を引いてたよ。最後は俺達もやられて起爆スイッチを押すしかなかった。それで電波塔が傾いた」

「人を怪物のように描写するな」

「実際バケモンだよ。思い出したか?」

「つー君が言ってたのは思い出したよ。あの時死んだとばかり思ってたってね」

「はっはっはっはっはっはっはっはっは。だよなぁ。」

真島が懐から取り出したのは梟のアクセサリー。

「俺も持ってるぜ?」

「じゃあなんでこんなことしてんの?」

「は?」

「それ持ってるからには、なんかすごい才能があるんでしょ? 人を幸せにするような。あんたがやってることは逆でしょ」

「お前だって殺し屋じゃねえか」

「おぅ一緒にすんな。私はちゃんと人助けしてる!」

「ん、お前、アランを平和推進機関みたいに思ってるのか?」

「あんた以外はみんなそういう結果を残してるんでしょ」

「私もメダリストみたいに世界に感動を与えたい! ってか? はっ、おめでたい奴だな。お前、アランはそんな連中じゃねえぜ」

「なんて言われても、私にはヨシさんとの約束がある。これはその証」

「ヨシさんって、アラン機関のやつか?」

「あんたには関係ない」

「アランと接触してるのか、お前?」

「あんたが私より何知ってるか知りませんけどね、私はやりたいようにやりますぅ」

「いいねぇ、やっぱ俺とお前は同じだ。殺しの腕を買われて支援されたのさ」

「絶対そんなんじゃありませぇん」

「アランの連中は純粋なんだ。俺たちの殺しを肯定できるくらいにな」

そういうと真島は立って部屋を出ようとする。

「え、あ、帰るの?」

「お前の相棒が来たからな」

 

俺とたーちゃんはそれぞれハンドガンを構え、扉に張り付いた。

「3、2、い!?」

カウント中に向こうから扉が開き、真島が出てきた、扉が開く側に張り付いてたたーちゃんが慌てて銃を構えて撃つも、足払いをされて外れる。俺も構えるが、近すぎてハンドガンを横から叩かれて狙いが逸れる。

「真島ぁ!」

「よぉ、久しぶりだな。死んだかと思ってたよ」

「お前を倒すまでは死ねるか。電波塔、ちーちゃん襲撃。その借り換えしてもらうまではな!」

「お前は覚えてるのか。それは、よかった!」

俺を壁に押しやると、塀を乗り越えて下に落下。下の階の塀を使って勢いを殺し、マンションのガレージの上に飛び移ってそのまま逃げていった。

「またな、電波塔のお二人さん」

俺とたーちゃんはクイックデタッチのサプレッサーを装着し真島を狙うも、逃げられた。

 

「真島が家に来たぁ!?」

「やったかぁ? たきな、睦月」

「残念です。目の前に居たのに」

「突入前に出てこられたよ。なんで俺達が着いたのがわかったんだ?」

「あいつもこれ持ってたわ」

「「「「「!?」」」」」

「あ~んなやつにどんな才能があるのよ」

「凶悪犯も支援されるものなんですか?」

「多分だけど、才能を活かせるのであれば、何でもいいのかもしれない。それが殺しだろうが、犯罪だろうが、何だろうが」

ちーちゃんに殺しをさせるためだけにあんな罠まで仕組むやつらだ。凶悪犯を支援していても不思議じゃない。

「ミカ、恋人から聞いてないのk」

相変わらずデリカシーに欠ける質問に、ミズキのチョップがクルミの首に命中。クルミが机に倒れた。

「どっかで拾ったんでしょ。ヨシさんがあんな奴を助けるわけがない。ねぇ先生。・・・先生?」

「ん? あぁ、そうだな」

歯切れの悪い先生。何か知ってるのか?

「千束!!」

「うわぁはい!」

「私からの電話は3コール以内に出てください! 出ない場合は危険と判断して次のワン切りですぐに向かう通知とします!!」

「え、あ、はい」

「嫌ならすぐ出るように」

「つまりどこに居ても来てくれるのね♪」

「それと、他のセーフハウスに移ってくださいね」

「えぇぇ、あそこ一番気に入ってるんだけどぉ」

「一番長く住んでるしなぁ。これでしばらくは離れ離れかなぁ」

「何言ってるんですか! つーさんもですよ! 携帯の3コールもつーさんにも適用ですからね!」

「えぇ、俺もかよ・・・」

「また遊びに行きますから」

「ほんとぉ! 同棲? また一緒にご飯食べるの?」

「はい。アリスのご飯はとても美味しいので」

「何だそっちかぁ・・・」

「はいはい。仕事しましょ」

 

ーーーーーー

 

その日の夜。ちーちゃんが外でデトニクス.45コンバットマスターを磨いていた。

「DAの銃じゃないですよね、それ」

「外で銃を磨くな。通報されるぞ?」

「たきな。つー君」

たーちゃんがちーちゃんの横に座り、俺は二人に持ってきたコーヒーを渡す。俺はココア。コーヒーは俺の体質的に胃腸を不調にさせるから。

「ほい、飲むか? あったかいぞ。たーちゃんも」

「ありがとう、つー君」

「ありがとうございます」

「この銃だけど、これと一緒にもらった」

これとは梟のアクセサリー。

「吉松氏に?」

「そう、だね。大切」

「ずっと、電波塔の時から使ってるもんな、それ」

リコリコの中ではクルミがドジっ子を発動し、皿が割れたらしい。ミズキ、後始末は任せた。

「寒くなりましたね」

「ねー。たきなが来た日は桜が咲いてた。・・・あれから、ヨシさん来ないねぇ」

やっぱりばれた以上来れない、ということなのかもしれない。

寂しそうなちーちゃんを見て、たーちゃんがカバンから小さい袋を取り出した。

「はい」

「? おー、これ保育園の」

「欲しかったんでしょ?」

「くれるの♪」

早速中身を取り出す。

「おぉ、イッヌ! かわいい! たきな、最近大活躍だねぇ」

「店が潰れないようにと思っただけです。大切な場所なんでしょ?」

「たきな。ありがと」

そのありがとうには、いろんな意味が籠ってる。あ、たーちゃん顔赤い。照れてるなぁ。

「て、定期健診行ってくださいね」

「わかったよぉ」

「何が嫌なんです?」

「嫌なんじゃなくて」

「なんです?」

「ち、ち、注射」

「そうなんだよなぁ。だからいつも行くの渋って、最後は俺が無理矢理連行してた。特に小さい頃は猶更」

「注射が怖いんですか?www 銃向けられても平気なのに?www」

「そうだよぉ、だって注射避けられないし!」

「避けたら注射する意味がないもんなぁwwwww」

「あはははは、最強のリコリスがwwwww注射怖いってwwwww」

いつも通り、ほんわかとした夜だった。

 

ーーーーーー

 

次の日。検診に行ってるであろうちーちゃんにたーちゃんが電話をかけたが、出なかった。

「つーさん、ちょっといいですか?」

「おう」

話を聞いた俺は、昨日の今日で不安になり、急いで着替えてたーちゃんを横に乗せてバイクで根岸先生の病院へ向かった。

「ちょ、二人共どこに行くの!」

とミズキが行っていたが、嫌な予感がするし振り切った。

無事であってくれ。その願いは、届かなかった。

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