Recoil of Lycoris and Lilybel   作:小鳥遊 小佳夏

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Just not today

俺が救出され、復活して数日。リコリコは一応平常運転に戻っていた。

あの後調べたところによると、リリベルの本部施設は壊滅。建て直しが必要になり、所属するリリベルも孤児院の圧倒的火力により全滅。支部から人員を補充する羽目になったらしい。知ったことではないが。

そして俺はというと。

「はい、あーん」

「次は何を食べますか? あ、お茶飲みます?」

美少女二人の超過保護な看病を受けていた。

救出された俺は傷もわからないほどに回復し、体内については精密検査待ちだが、日常生活を送るのに支障はないだろうとのこと。とは言え最初の数日は絶対安静とのことで根岸先生の病院で入院していたのだ。その時にちーちゃんとたーちゃんが過保護な程の看病をしてくれ、退院してリコリコに復帰してからもそれが続いているのだ。

こちらを気遣ってくれるだけに突き放しづらいのだが、リコリコの中であーんとかをやるのは恥ずかしいからやめてほしい。

「てめえらぁぁあ!! 私の前でいちゃつくな見せつけてんのかあぁん??」

あ、ミズキがキレた。

ちなみに、たーちゃんは事件解決のため部屋から出ていった。継続するかのじゃんけんでちーちゃんに無事勝ったためである。ただご飯がとってもおいしかったので、たまに泊まりに来ることになった。

 

なんとか解放され、少なくともリコリコの中ではやらないようにと約束を取り、通常業務に戻った後。夜になって閉店まで普通に過ごせた。

一日の仕事が終わり、CLOSEDの看板も出し終えて後片付け、明日の仕込みも終了した後は一時のくつろぎタイムになる。

「ぷはぁ♪」

「晩酌は家でやれよ・・・」

と、なんかちーちゃんがすごく悩みこんでいる。

「どうかしましたか? なんか今日は変ですよ?」

「こいつは毎日変だろ」

肯定も否定もできないことを言うなミズキ。

「ん~、先生は?」

「さっき買い出しに行ったぁ。なに~? もうおっさんがこいちいのかな千束ちゃんは」

「ミズキ、飲みすぎてないか?」

絡むな酔っ払い。

「皆さん。リコリコ閉店のピンチです」

・・・は??

 

「クリア」

みんなで更衣室に集まる。

「人のスマホ覗き見すんじゃありません」

「だって見えちゃったんだもん」

「目がいいと余計なもの見てしまうんですね」

「パンツとかな。うぐっ」

たーちゃんが持っていたお盆でクルミの頭にダイレクトアタック。いや今のはクルミが悪い。

「楠木だとなんでわかる」

「そうですよ。司令とは限らないでしょう?」

「いーや、先生を垂らしこんで私をDAに連れ戻す計画じゃわ」

「自慢ですか、結構ですねぇ必要とされてて」

「あぁあぁあぁそうじゃないよぉたきなぁぁ」

百合の花が咲きました、大事にしましょう。

「それでなんで店の閉店と関係してくるんだよ」

「小さいとはいえ、一応DAの支部だからねぇ。ファーストリコリスのこいつがいないと存続できないのよ」

「面倒なこと考えるよなぁ、DAも」

「じゃあ私が戻りますよ」

「うえぇぇ、そんなさ~び~し~い~」

「たきなは及びじゃないんだろ~ぐえっ」

またんも失言したクルミの頭にたきなのお盆が。しかも今度はぐりぐりと追加攻撃。

「失言だった、すまんすまん」

「まだお二人から色々教わり切ってないですし、千束が戻ってここがなくなるくらいならってことですよ」

「たきなぁ♪」

ちーちゃんがたーちゃんに更に深く絡みついている。

「でもみんなだってお店無くなったら困るでしょ?」

「まあ、私は養成所戻しですし」

「まだここに潜伏しないと、ボクは命が危ない」

「私も男との出会いの場がなくなる」

「俺もまたリリベルから逃走の日々だろうしなぁ」

「そうでしょう!」

「「「「うん!」」」」

 

「forbidden・・・検索エンジンには出ないなぁ」

「そこなら俺知ってるぞ。昔任務で助けた人がマスターやってるんだ。会員制の高級バーだよ。これ公式サイト。検索じゃなくて、URL直打ちじゃないと入れない仕様だ」

「会員制のバーか」

「入れるんですか?」

「俺の会員権を使えば俺は入れるが、これを使うとマスターが挨拶に必ず出て来るからな。今回は使わないほうがいいだろう」

「なら、コンピューターの人の出番でしょ」

「本物があるし、偽造は何でもないが」

「おぉ」

「あんたもたまには働きなさいよ」

「いやこんな店で仕事の話するかぁ? 普通に逢引じゃないのか?」

「店長と司令は愛人関係ということですか」

「愛人って」

「あんたの口から、なんか興奮するっ」

「真面目な子からのそういうセリフは良いよなぁ」

「え?」

「でもそういうことだろ?」

「「「ないないないないないない」」」

俺とミズキ、ちーちゃんそろって手を振りつつ否定する。

「なんでだよぉ、ありえる話だろ」

「「「ないないないないないないない」」」

 

ーーーーーー

 

『お昼のニュースです。昨夜、何と警察署で悲惨な事件が発生しました』

『こちらが、暴力団による襲撃を受けた警察署です。現場付近には、使用したと思われる銃器の弾丸が散らばっており、事件の凄惨さを物語っております』

「うわ、あの紋すげぇな、今時珍し」

「あ、それ、DAがまた偽情報掴まされて対処できなかったやつじゃん」

「は?」

「アリスの調べだと、監視カメラのラインに偽映像仕込まれて、そっちにリコリスが向かった結果警察署に殴り込みかけられたんだとか。被害も多かったし、事故には隠蔽できなかったんだろうねぇ」

「まーたハッキングされてんのかDA。大丈夫かあの組織」

「ミズキはあそこ抜けて正解だっただろうね。今も残ってたら、情報部は大忙しだったでしょ」

と、そこに珍しい来客が来た。

「千束はいるか?」

「おぉ、フキいらっしゃい」

「説明は不要だな、見せたいものがある」

「見んか~い」

と、フキが適当に座った席の横にクルミ。

「あ? 見ない顔だな」

「でぃ、でぃでぃ、DAの者です」

「そうなのか?」

「え、あ、あ、あ、うんうん。うちのコンピューターの人」

声がめっちゃ震えている。これだから先生はウォールナットの時にちーちゃんを騙したんだろうね、うん。

「ならちょっと借りるぞ。署内の監視カメラ映像だ」

映像には暴力団なんかじゃなく、緑色のつなぎを着た数人が、AKS-74か何かをぶっ放しているのが映っていた。

「こうなる前にやるのがあんたらの仕事でしょ」

と、クルミが少しずつ逃げ去っている。

「おや、珍しいお客さんだな」

先生が出て来ると、途端に顔が真っ赤になるフキ。そうなんだよなぁ、こいつ先生の事大好きなんだよなぁ。叶わない恋だろうけど。

「団子セットいいっすかぁ? 抹茶のやつ」

「抹茶団子セットね。フキ、お前は?」

「いえ、任務中なので」

いつもはあんなフキが、かわいいねぇ。っと、抹茶団子セットね。あいよ。

丁度自分のおやつに食べようとしてたのがあったので、それを出そうとお皿に団子を並べる。あとは緑茶を~。

「千束ぉ! どうだ、どいつだ!」

照れ隠しが入ってるフキの大声が響く。

「あぁぁ、そんな大きな声で叫ばなくたって・・・あ!?」

少し映像を戻す。

「こいつこいつ、ねえたきな! つー君!」

「ですね!」

「ちょい待ってね・・・。ああ、こいつだよ間違いない!」

呼び出されたので手を止めてカウンターに行って確認する。

「これが・・・」

「ああ。こいつが電波塔事件の首謀者にして、地下鉄銃撃事件、リコリス襲撃事件の首謀者の真島だ。今回ので警察署襲撃事件の首謀者も追加されたか」

「・・・サクラ、行くぞ」

「え・・・。まだ団子がぁぁ」

「良いから行くぞ」

サクラが襟首をつかまれてドナドナされていった。え、あの、団子セット・・・。

奥に戻って、サクラが注文した団子セットを持ってくる。お茶の準備もできたのに・・・。

「食べる?」

「食べる!」

「いただきます」

もとは俺のおやつだったけど、なんか盛っちゃったのでちーちゃんとたーちゃんに出すことにした。

「ったく・・・。ん?」

クルミが続けて流した映像には、「勝負だリコリス!!!」の文字。

真島のやつ、ほんと何を狙ってるんだ?

 

ーーーーーー

 

夜になって。閉店作業も終わりくつろぎタイム。

「腹減ったぁ」

「おうどんでも湯がきます?」

「いいねぇ」

「食べまぁす!!」

「はいよ、おうどんね」

「あぁ、悪いが、私は用事で外出する」

「あら、そう」

「戸締りを、頼むよ」

先生が出て行ったあと、俺たちは顔を見合わせて頷き、一斉に動き出した。

ちーちゃんはドレスを鞄に詰め、クルミはPCを持ち出す。たーちゃんはスーツを手に取り、俺は小物を持ってくる。と、再び扉が開いた。

「言い忘れてたが、ガスの元栓・・・どうした?」

どう見ても不審な格好の五人が固まっていた。なんで戻って来たのよ先生。

「イヤ、ウドンハドコカナト」

「ココニウドンハアリマセンデシター」

「ジャアドコダッタッケー」

俺とちーちゃん、たーちゃんの棒読みが聞こえる。ミズキは腕を伸ばす運動をして、クルミはぴょんぴょん飛び跳ねている。

「うどんなら納戸だ」

と言って先生は再び扉を閉めた。

「「「「「ぷはぁ・・・」」」」」

こんなところで見つかるわけにはいかないからな。今日は先生がバーに行く日だし。

 

ーーーーーー

 

「そろそろだぞ。準備できたか、三人共」

「はい」

「はいは~い」

「ん、いつでもいいぞ」

バーに入って、先生が誰と話すのかを確かめる。そのためにちーちゃんは赤いドレスを。たーちゃんはスーツに身を包んで男装。俺はスーツに青いカラコン、この前開発が完了した、センサーゴーグルの機能の一部を兼ね備えた優れものを装着していた。たーちゃんはかっこいいし、ちーちゃんは胸元とか背中が出てて、元からスタイルがいいのと合わさってなんとなくえっちい。

「それ、今朝もテレビで。なんか金メダルとってました」

たーちゃんが言うそれとは、梟のアクセサリー。

「あ、そう。私にもそういう才能が有っちゃうかなぁ?」

「弾丸避けるとか、誰にでもできることじゃないですけど」

「ありゃ感だよ、弾より早く動けたらメダル取れるんだけど」

「アランさんの手違いだな」

「何ちゅーこと言うんだ貴様」

「そこ右だ」

「ま、金メダルとはいかなくても、誰かの役には立てるでしょう」

「実際、俺の役には立ってくれたしな。ちーちゃんが居なかったら、俺はどうなってたことやら」

「うん。DAに戻されてる場合じゃないんだよ」

そして車はホテルにたどり着いた。

 

「やべぇなこの雰囲気」

「わかるわ」

「ここですかね?」

たーちゃんが壁を押すと、中から認証機が出て来る。パスワードを入れると扉が開く。

「すげー♪」

「通りましたね」

「さすがウォールナット」

「じゃあ行くかぁ」

「ミッション、スタート」

 

「ようこそいらっしゃいました。恐れ入りますが、お名前をお聞かせ願いますか?」

「山葵海苔子と」

「蒲焼太郎」

「河童海老名」

「・・・確認致しました。蒲焼太郎様、ご案内します」

なんでこの偽名で通ったのか気になるが・・・。今度マスターに聞いてみるか。

 

「ごゆっくりおくつろぎください」

ボックスシートに案内され、シャンパンを三人分出された俺たちは、先生が来るのを待っていた。っと。

「どうしたの、つー君?」

「いや、な」

気づけばマスターがこちらを見て会釈していた。こちらも会釈で返し、唇に人差し指を添える。マスターが頷くのを見てほっとする。察しのいい人で助かった。でも変装しても見抜くとは。さすがマスターだ。

と、少しすると先生が来た。

「店長来ましたよ」

店を出た時はいつもの和服だったが、今は白のスーツに身を包んでいる。

「うわぁ、先生、なんかめっちゃキメてんだけど」

『ほら、やっぱ逢引だ逢引』

『だって楠木は』

「女性だし」

「それなんだよなぁ」

「! きた!」

「誰か来ましたね」

「さぁ、先生のお相手は?」

先生の横に座ったのは金髪のかっこいいおじさん。吉さん。

「え、ヨシさん?」

『ったぁ・・・逢引だなこりゃ』

『え?』

「え?」

「私としたことが・・・」

「そういうオチかぁ・・・」

『待て、ミカはそうなのか!? お前らそれ先に言えよぉ』

「行こ、邪魔しちゃ悪い」

「だな。静かに帰ろうぜ」

「あ、はい・・・」

「愛の形は様々なんだよ、たきな」

「それをどうこう言う権利は誰にもないからな」

・・・あれ、そう言えば、ちーちゃんの将来について話すんじゃなかったっけ? それを吉さん、と・・・?

なんか腑に落ちないものを感じつつもまずは帰ろうとして先生の後ろの装飾に隠れるようにしながら入口に向かう。

「こっちこっち」

「お店の常連ですよ挨拶しても」

「いいから、後で教えてあげるから」

「それにつけてきたのがばれたらまずいだろうが」

と、二人の会話が聞こえてくる。

「私が君にあの子を託した。その意味を忘れたのか、ミカ」

千束が止まる。

「ちょっと、千束?」

「何のために千束を救ったと思っている? あの心臓だって、アランの才能の結晶なんだぞ」

・・・やっぱりか。俺の推測は正しかった、と。

「・・・え、ヨシさん、なの?」

「出ないんですか!?」

「ヨシさんだよ!!」

千束を救ったアラン機関の人。それが、吉松。

「ヨシさんなの?」

「千束!!」

思わず出ていったちーちゃん。

「・・・ミカ」

「いや違う!!」

「ごめんなさい! 先生のメールをうっかり見ちゃって」

「司令と会うのかと」

「そんなわけでつけてきたんだ。すまない」

「お前たち・・・」

「でも、今の話。ちょっとだけ、ちょっとだけヨシさんと話をさせて」

「・・・何かな」

たーちゃんと顔を見合わせる。

「俺たちは先に外出てるな」

「うん、ごめん」

「いや、すまないけど、千束の後で君と話したいんだ。待っててくれないか、睦月くん」

「・・・俺と? いいです、けど」

マスターを見ると、こちらへと案内してくれたのでそこに座る。隣にはたーちゃんも。マスターはオレンジジュースを無言で出してくれた。

「すまない、マスター。こうなって。あの二人のお代は俺が持つから、いつもので引いておいてくれ」

「かしこまりました。しかしこのようなことをされずとも、相談していただければ」

「そうだな。次はそうさせてもらおう」

「はい、喜んで。ところで、そちらの方はご兄弟、ですかな?」

「いや、相棒でね。変装するのに合わせてみたんだが、そう見えるなら成功だな」

「私と、つーさんが、兄弟・・・」

おいたーちゃん、なんで顔を赤くしているのか。

「差別だ!」

「ですから、未成年は」

「よくID見ろよ。ちゃんと30って書いてあるだろ」

「ですが・・・」

「でーたー、この店は見た目で人を判断するのかぁ?」

うるさいのがやって来たか・・・。

「マスター、悪い。確かにあいつは見た目と実年齢が違うんだが、そもドレスコード違反だな。追い返してくる」

「いえ、私が。つーさんは吉松氏との話の後に降りてきてください」

「すまない、ありがとう。たーちゃん」

「いえ。それではお先に」

「またのお越しをお待ちしております

たーちゃんが二人を追い返そうとするのと時を同じにして、吉さんが来た。

「千束とは良いんですか?」

「ああ」

「それで、何の話です?」

「覚えているだろうか。君と私は10年前に一度会っているんだ」

吉さんと俺が・・・?

「いつの時、でしょうか」

「あの電波塔事件の前、だよ」

言われて当時の記憶がよみがえってきた。確かリリベル本部にまだ居た時。俺は確かにこの人に会った。

「ああ思い出しましたよ。確か、俺を支援する、と」

「ああ。そうだ。あの時は断られてしまった。そのあと君は電波塔事件を解決し、そして行方不明になってしまった」

ちーちゃんに拾ってもらった時だな。一応死んだというのを偽装してたからな。

「だがあの日、ミカのところに行って君と再び会うことができた。運命だと思ったよ」

「でも、アラン機関の構成員だと支援者に知られるわけにはいかない。だから千束には言えず、千束に繋がるかもしれない俺にも声をかけられなかった」

「そういうわけだ」

でも今回ちーちゃんにばれたから、俺にもまた声をかけたということだ。

「で、どうかな。アラン機関は今でも君を、発明の才能を支援する意思があるが・・・」

「お断りします」

「・・・一応、理由を聞いてもいいかな?」

「そもそも、俺はアラン機関の事が嫌いです。理念も、行動も。なので、嫌いなところから支援を受けたくない。それだけです」

「ふふ、10年前と同じだな。どうやら知らないうちに嫌われてしまっていたようだ」

「はい。だから俺は、自分の力でやりたいことをやろうと思います。いずれはあなた方をぶっ潰すつもりです」

「そうか。とても残念だが、再び断られた以上、仕方がないね」

マスターが出してくれたジュースを飲み切る。さて、帰ろうか。

「それでは俺はこれで。またお会いすることが無いといいなと思いますよ。千束は寂しがるでしょうが」

「そうだね。君とはもう、出会わないほうがいいのかも、しれないね」

 

吉さんが席を立つ。

「そうだ、吉さん」

「なにかな?」

「千束の才能って、殺し、ですか?」

「さぁ、どうだろうね」

そのまま吉さんは行ってしまった。

少し離れたとこで待っていた先生にアイコンタクトすると、先生が吉さんを追いかけていった。

「すまない、マスター。彼女に何かノンアルコールを。全部の会計はいつもので」

「はい、かしこまりました。ではまた、お待ちしております」

先生を待っているらしいちーちゃんを置いて先に降りる。

さて、先に帰ろうか。今日はあまり、良い日じゃないな。

 

ーーーーーー

 

次の日。

「千束ちゃんと睦月君は?」

「今日はまだ」

「伊藤さん、参加しません?」

「だめ」

「さっきからめっちゃ携帯鳴ってんぞ。編集じゃないのか」

「鳴ってない!」

「あー、もう。結局これかぁ」

「どうぞ」

「あ、ありがとう。たきなちゃん、悪人はやっぱり殺すべきかな」

「べきですね」

「ミズキ、おま日の高いうちからなんちゅ格好しとるんだ」

「ミズキさん、お出かけ?」

「まぁねぇ」

「決まってるねぇ」

「どこ行くー」

「もちろん機能の高級バーよ。お子様連れで入れなかったけど、私一人で行けば入れますから。このゴールドカードで」

「そのIDならもう消したわ」

「なんで!? 高級バーよ」

「お前が低級だからだ。いいから座れ」

「やだぁぁぁぁ、絶対行く!」

いつものうるさいリコリコである。

「遅いですね」

「今日くらいは、休ませてやろう」

「そうですね」

と、外から威勢のいい足音が二人分聞こえてくる。

「千束が来ましたぁ!!!!!」

「おそようございまーす」

「おー、千束ちゃん、睦月君」

「千束ぉ、早く早く」

「最新話出来ました? 読む読むぅ」

「昼休みが終わっちゃうよ。早く早く」

「駄目! こっちは遊びじゃないんだぞ。そっちには睦月君行ってあげて」

「え~、また手癖悪くなっちゃいますよぉ?」

「え~、殺しちゃったの、駄目だよ殺しちゃ」

 

「千束。営業始まってるんですから早く着替えてきてください。つーさんもですよ」

「はぁい!」

「おーう!」

「千束が見てくれないとおおぉぉぉぉおぉおぉ」

「すぐ戻りますってぇ。たきなに怒られちゃうからぁ」

二人で一晩ごろごろして考えて。最初は元気がなかったちーちゃんもお昼ごろ目を覚ました時にはいつも通りの笑顔に戻っていた。リコリコは、やっぱりこうでないとね。

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